~つながり・支えあう地域づくり~

地域の力 ~つながり・支えあう地域づくり~
力
地域の
Part 2
~つながり・支えあう地域づくり~
〒604–0874
京都市中京区竹屋町通烏丸東入ル清水町375
ハートピア京都内
TEL(075)252–6294 FAX(075)252–6310
社会福祉法人 京都府社会福祉協議会
社会福祉法人 京都府社会福祉協議会
社会福祉法人 京都府社会福祉協議会
地域の力Part2
~つながり・支えあう地域づくり~
平成27年3月 発行
発 行
社会福祉法人 京都府社会福祉協議会
〒604 0874
京都市中京区竹屋町通烏丸東入ル清水町375
ハートピア京都 5 F
TEL.(075)252 6294/FAX.(075)252 6310
HP http://www.kyoshakyo.or.jp/
編集・印刷
株式会社 きかんしコム
はじめに
わが国では、団塊の世代が 75 歳を迎える平成 37(2025)年に向けて社会保障制度の改
革が進められる大きな節目の時代を迎えています。
高齢者福祉の分野では、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、でき
る限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、
地域において、特に介護にかかる包括的な支援・サービス提供体制
(地域包括ケアシステ
ム)の構築が進められています。
平成 27 年 4 月には介護保険法が改正され、ボランティアや NPO を含めた多様な主体
の参画により日常生活圏域に着目した地域包括ケアシステムづくりをめざすことになり
ました。
それぞれの地域の状況に応じた地域包括ケアシステムがつくられるためには、何より
も、地域住民自身が「暮らし続けたいと思う地域の姿」を描き、それにもとづいて自治体
や関係機関、企業等の多様な分野が協働して支えていく取り組みが大切です。
本冊子には、
「暮らし続けたい地域づくり」の具体的な実践の一つである住民主体の福
祉活動を 25 事例(京都府内の各市町村より 1 事例)掲載しています。行政や地域包括支援
センター、社会福祉協議会等をはじめとする専門職の皆様にお読みいただき、住民福祉
活動の魅力や醍醐味を味わっていただきながら、各地域における地域包括ケアシステム
の構築を具体的に推進していく際の「住民と専門職の協働のあり方」
(= 専門職等がどのよ
うな視点を大切にすべきか)を考える上での一助となり、今後の支援に繋がるヒントを得
ていただければ幸いです。
なお、住民主体の福祉活動には、高齢者福祉の分野だけではなく、子育ての問題や虐
待、生活困窮など深刻な福祉課題や生活課題の背景にある社会的孤立・排除を解消する
地域づくりにとっても大きな役割があります。
様々な生きづらさを抱え孤立しがちな人たちをはじめ、だれもが尊厳をもって生きて
いくためには、人と人とのつながりはなくてはならないものであり、そのつながりを身
近な地域でつくっているのが住民福祉活動だからです。
こうした点からも、本冊子が幅広い分野の方々にとっても、地域住民による福祉活動
の価値への理解を深めたり、連携や協働の糸口として役立てていただけることを願って
います。
本冊子は、平成 24 年度に作成した『地域の力~「地域包括ケア」の推進力~』の続編で
もありますので、ぜひ本冊子と併せてお読みください。
社会福祉法人 京都府社会福祉協議会
1
地域の力Part2 目 次
はじめに
1
1 章 地域の共同性を育む視点
地域での新しい共同性への期待と専門職の役割
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
同志社大学 永田 祐 先生
掲載している事例について |解説とポイント|
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2 章 つながりづくりの活動実践
福知山市 大江アットホーム舟越
▍サロン活動 舞鶴市
白浜台地域ビジョン実行委員会
▍その他
(地域ビジョンづくり)
10
綾部市
だんないカフェ
▍その他
(居場所づくり)
11
宇治市
御蔵山ゆう輪蔵ぶ
▍その他
(助け合い活動)
12
宮津市
暮らしのかけ橋
▍生活支援サービス 13
亀岡市
ふれあいサロン交流会
▍その他
(小地域活動)
14
城陽市
メンズボランティア「手助け隊」
▍生活支援ボランティア 15
向日市
ご近所福祉活動
▍その他
(ご近所福祉)
16
長岡京市 配食サービス燦燦
(さんさん)
▍配食サービス 17
八幡市
▍生活支援サービス 18
京田辺市 ボランティアグループ「ぴんぽ~ん」
▍生活支援ボランティア 19
京丹後市 診療所通院支援バス
▍その他
(移動支援)
20
南丹市
▍サロン活動 21
木津川市 木津川市配食サービス
▍配食サービス 22
大山崎町 おはなしいきいきボランティア「ぴんぽ~ん」
▍見守り活動 23
久御山町 栄 3・4 丁目地域福祉会
▍見守り活動 24
井手町
▍生活支援サービス 25
宇治田原町 喫茶ボランティアてぃ♡ぽっと
▍その他
(交流)
26
笠置町
軽度生活援助サービス
▍生活支援サービス 27
和束町
高齢者見まわりパトロール
▍見守り活動 28
精華町
馬渕小地域福祉委員会
▍その他
(小地域活動)
29
南山城村 外出支援サービス絆
▍その他
(移動支援)
30
京丹波町 竹野サロン
▍サロン活動 31
伊根町
男性サロン教室
▍サロン活動 32
与謝野町 耳みにサロン ▍サロン活動 33
おわりに 2
くらしのサポート愛ちゃん
ふれあいカフェ
フレンドリーサポート事業
9
34
1
章
地域の共同性を育む視点
3
地域での新しい共同性への期待と
専門職の役割
同志社大学 永田 祐 先生
個人化する社会・孤立する個人
一 章
現在、私たちの社会はますます個人化しているといわ
ています。第 3 に、従来日本社会のセーフティネットと
れています。ここでいう個人化とは、家族、地域社会、
されてきた会社もこうした役割を果たせなくなっていま
会社といった個人と社会の間に存在したセーフティネッ
す。若年層で非正規雇用の割合が増大し、労働組合の
トの機能が低下し、様々なリスクが直接個人に降りか
組織率も年々低下するなかで、会社というコミュニティ
かってくるような社会のことを指しています。
の役割は限定的にならざるを得ません。
具体的な例を挙げてみましょう。第 1に、家族が縮小
こうした社会変動の中で、リスクを個人が直接受け止
二 章
しており、今後その傾向はいっそう顕著になることです。
めなければならないだけでなく、それを自己責任とする
2030 年には男性の生涯未婚率は 27.6% になり、高齢
風潮も強まっています。もちろん、社会の個人化は負の
女性の 23.1% は単身世帯となると推計されています。
側面だけではありません。しかし、こうした急激な変化
家族に頼ることができない人が今後も増加することは間
の中で、少なくない人が社会から孤立するようになって
違いありません。第 2 に、人や地域のつながりが希薄に
いる、そのことが問題だといえます。このような傾向が
なっています。OECD の調査では、加盟国の中で日本
続けば、ますます社会的孤立の問題は深刻化し、社会
が「家族を除く友人などとの関係」が「全くない」
「ない」
や地域の中で SOS を発することができない人、SOS を
と答えた人の割合が最多で、他国と比較しても人との
発しても支援につながらない人が増大していくことが懸
つながりが希薄であることが明らかにされています。親
念されます。社会の変化に合わせた様々なレベルでの
族ネットワークの役割が大きかった日本では、それ以外
セーフティネットの張り直しが求められているのです。
のつながりをいかに構築していくかが大きな課題になっ
地域の共同性
社会の個人化という社会変動の中で、地域は常に「共
サービスといったここで紹介されているすべての活動に
同性」を再構築するセーフティネットの一つとして大き
共通するのが、
「お互いさま」という感覚、そして「放っ
な期待が寄せられてきました。私たちは、人と人との関
ておけない」
「何かしたい」という主体的な意思に基づい
係の中で暮らしており、一人ひとりが育んできた社会関
た活動であるということです。
「義務的にかかわらざる
係を大切にしながら支援していくことは、社会福祉固有
を得ない」という共同性の負の側面ではなく、本冊子に
の視点でもあります。本冊子に収められた府内 25 市町
収められた事例のような水平で自発的な意思に基づい
村の事例は、どれもこのような意味で、地域の共同性を
た自由な共同性がつくる新しいつながりに、孤立を予防
つくりだしていく、再構築していく取り組みといえます。
し、孤立しても包み込むことができる地域づくりへの可
また、注目したいのは、サロンや配食、見守り活動、買
能性を感じることができます。
い物支援、ちょっとした困りごとを支援する生活支援
4
地域と向き合う専門職の姿勢
の土台にある社会関係を回復していかなければ、問題
に、専門職はどのようにかかわっていけばよいのでしょ
は本質的に解決していかないでしょう。支援員は社会的
うか。専門職が、こうした取り組みを「機能」や「手段」
孤立を予防したり、解消するための地域づくりの視点を
としてしかみることができなければ、こうした取り組み
持つことが不可欠になります。
は小さな取り組みにしかみえないかもしれません。専門
もちろん、あらゆる社会的孤立の問題を地域の共同
職による支援が、その人の持つつながりを断ち切ってし
性だけで解決することはできないことも認識しておく必
まうことや新たなつながりの芽を摘んでしまがあること
要があります。特に、大きな社会変動に起因する構造
に気づかなければ、それは不安定で頼りない取り組みと
的な問題は、地域の共同性を再構築するだけでは解決
してしか認識されないかもしれません。
できません。さらに、地域社会に課題解決を押しつける
しかし、専門職からみると「小さな」
「頼りない」取り
組みも、地域でのこうした共同性が私たちの暮らしの土
一 章
では、住民自身が共同性をつくりだしていく取り組み
だけでは、かえって地域を疲弊させ、その力を奪ってし
まうことになりかねません。
一人で生きていくことを強いられたり、それが可能に
るはずです。地域での暮らしは、一人ひとりのこれまで
みえてしまう社会の中で、地域での共同性をどのように
の人生を反映して多様です。したがって、地域生活の
つくりだしていくかは、生活困窮者支援や地域包括ケア
支援は、専門職による支援を当てはめるだけでは不十
の推進に限らず、あらゆる福祉政策の課題です。行政
分で、その人がこれまで大切にしてきた様々な関係を
を含めた専門職が、地域の住民に寄り添いながら、とも
維持したり、新たな関係をつくりだしていく必要があり
に解決策を考え、住民主体の解決を目指していく、同時
ます。だから、専門職は地域で様々な活動に取り組ん
に構造的な問題を解決していくために必要な政策を実
でいる住民と一緒に考え、一人ひとりを支えるだけでな
現していくという実践が地域福祉であり、私たち専門職
く、人が地域で暮らしていくための土台である地域の共
がそのことをきちんと認識することが問われているのだ
同性を支えることに、意識して取り組んでいく必要があ
と思います。
二 章
台であることに気づけば、その価値や必要性がみえてく
るのです。
具体的な政策の中でそのことを考えてみましょう。地
域包括ケアでは、住民と専門職がともに考える場として
「地域ケア会議」が想定されており、これを専門職と地
域住民が話し合い、地域で必要な取り組みをつくりだし
ていく場として発展させていくことが重要になります。
生活困窮者自立支援では、経済的問題を主たる対象と
しているようにみえますが、実際にこうした人々の多く
が社会的孤立の状況にあることが指摘されています。ど
んなに相談窓口を作っても、就労支援を行っても、生活
5
掲載している事例について
─ 解説とポイント ─
1
一 章
つどう(サロン活動)
つどう活動として、京都府内各地で多くおこなわれているサ
ロン活動があります。高齢者に限らず、さまざまな方を対象に
したサロンは府内で 1113 ヶ所実施されています。(平成 27 年
3 月時点 数値は京都府社協調べ)また、障害のある方や子育
て・親子、誰でも立ち寄れるサロンも年々展開が増えています。
今回は、多世代が立ち寄れるサロン、参加が少ない男性を主と
した男性サロン等多様に展開されている活動を取り上げていま
二 章
す。加えて活動されている方が続けている工夫や思い、施設と
の連携の工夫も掲載しています。
2
訪ねる(見守り活動・配食サービス)
府内では、平成 18 年度から「見守り隊事業」を実施し、その後
も見守り活動を積極的に推進してきました。今回は、さりげない
つながりからネットワークづくりへ発展した活動や「食」というつ
ながりを軸にした見守り活動を取り上げています。
京都府社協では、住民やボランティア、企業等との連携による
包括的な支援のためのネットワーク「絆ネット」の推進や訪問型の
活動の推進を目的とした「訪問見守りボランティア強化事業」
(平
成 26 年度実績 22 市町村・351 団体実施)を実施しています。
6
本冊子では、京都府内 25 市町村における各地域での支え合い、つながりづくりの活動をテーマごとに
分類して掲載しています。これらは、明確に分類されているわけではなく、それぞれの要素を持ち、重
なり合っている部分はありますが、今回はその中の一部を切り口に活動を取り上げています。
構成については、活動が生まれたきっかけ、活動内容、活動者・利用者のそれぞれの思いを中心に取
り上げています。そこには、地域ごとの課題、地域ならではの活動の工夫が見られます。地域のつなが
りや見守り・生活支援活動の実施や今後展開していく際の参考となるようにまとめています。
3
今回は、住民参加による生活支援サービスや生活支援のボランティア
一 章
支え合う(生活支援ボランティア・生活支援サービス)
活動を取り上げました。住民参加在宅福祉活動は、京都府内では、11 社
協で取り組まれています。(平成 27 年 3 月時点 京都府社協調べ)介護保
険制度改正の要支援者へのサービス移行等により、住民主体の多様な助
け合い活動、生活支援サービスが期待されています。しかし、住民の自
発的な活動を「サービス」として期待しすぎることは、地域の力を
疲弊させる可能性もあります。今回の活動を取り上げる際には、
される方、両方の思いを大切にしながら活動が進められるよう
二 章
その活動が生まれた背景やきっかけを中心に、活動する方、利用
な社協の関わり方についても掲載しています。
4
つながる(小地域福祉活動・居場所・買い物支援など)
小地域福祉活動、居場所、買い物支援などをそれぞれの仕
組みそのものではなく、仕組みを通したつながりづくりとい
うキーワードで掲載しています。その地域の課題に沿いなが
ら活動を展開させていくと中で地域住民同士の関係の再構築
やあらたな活動への発展などにつながっています。
※今回の冊子の名称、数値等については、取材当時または平成 27 年 3 月時点のものです。
7
2
章
8
つながりづくりの活動実践
サロン活動
大江
ーム
アットホ
舟越
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
「地域の力」
で
より魅力的なサロン活動
社協の事業を基盤に発足し、現在も利用希望者が増え続けているサロン。ボラ
ンティアの知恵と工夫、地元スーパーや特別養護老人ホームの協力も得ながら、
地道な活動を続けています。
旧大江町の全域を対象にした
元気な高齢者サロン
ランティアが腕を振るうようにしました。サロンに参加し
たくても出歩くことが困難なお年寄りをどう支えるのか
という課題は、活動に賛同した地元の特別養護老人ホーム
「五十鈴荘」から、介助者が同乗する送迎バスの運行とい
なぁ !」
。テーブルを囲む参加者とボランティアが、真新し
う力強い協力が得られたことで解決できました。
「それで
いホットプレートを次々に覗き込みます。
やっと、私たち自身も楽しめるようになったんですよ」と
ここは、福知山市大江町の老人福祉センター舟越会館。
ボランティアさんは話します。
一 章
「もうひっくり返そうか?」
、
「わぁ、きれいに焼けた
旧大江町では多くのサロンが開催されていますが、全域を
対象にしたサロンはここだけです。この日は共同募金会の
助成で購入したホットプレートのお披露目の日、手づくり
ジャムを添えたホットケーキが参加者に振る舞われまし
た。
サロンでは、健康体操やゲーム、歌、家でも使える小物
づくりなどにも挑戦。
「楽しいなぁ」と話す、参加者の笑
顔が印象的です。
二 章
呼びかけに応えた
ボランティアや地元団体
このサロンを運営しているのは、
「大江アットホーム舟
越」ボランティア。社協の事業が活動の骨格や仕組みなど
利用者の積極的な
意見や要望が原動力に
の基盤が整ったことで、2014年4月からボランティアが主
体となって活動するサロンへと発展しました。
社協の呼びかけに応えたのは、地域の女性たち。社協
サロンの利用者が折った千羽鶴を、地元の大江中学校の
運営の時からボランティアをしていた迫田代志子さんの
3年生が修学旅行先の沖縄平和祈念堂に奉納するなど、子
呼びかけで、民生委員や元養護教諭、主婦らが運営に加
どもたちとの交流も広がっています。また、外部講師によ
わりました。とはいえ、社協の事業であったものをボラン
る講話など、常に新しいイベントも用意。そうしたマンネ
ティアで企画から事務、会計まで担うのは「想像以上に大
リを脱する試みが功を奏し、参加者から“刺繍をやろう”
変だった」と迫田さん。試行錯誤しながら運営スタイルを
と積極的な声もあがるようになり、スタッフも研修を行っ
スリム化し、昼食も近所のスーパーの仕出し弁当配達に切
てその気持ちに応える努力をしているそうです。参加者を
り替えて負担と経費を軽減。その分、地元の食材や自家
惹き付ける魅力的なサロンは、こうした工夫によって維持
菜園の野菜を使った具だくさんのお味噌汁や小鉢を、ボ
されているようです。
こと
社協からひと市社協
山
知
福
団体DATA
大江アットホーム舟越
主な活動地域
◦活動場所:老人福祉センター舟越会館
(福知山市大江町波美235)
◦活動者数:サロンボランティアスタッフ 10人
◦利用者数:登録者 37人
◦活動内容:月3回(木曜日)9:00 ~ 16:00、参加費1,000
円(弁当、おやつ、特別養護老人ホーム「五十
鈴荘」
による送迎付き)
旧大江町
全域
福知山市
旧大江町全域が対象のため、
「サロンで交友
関係が広がる」
と好評です。地元の特別養護
老人ホームの送迎や配達弁当を依頼してい
るスーパーなどの理解と支援があり、まさ
に
「地域の力」
で継続を実現されています。
9
サロン活動
地域
白浜台
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
人こそ貴重な地域の宝
住民の支えあいで生きるまちづくり
ビジョン会
員
実行委
郊外型の住宅街が点在する舞鶴市。人口の減少や交通の便の悪さなど、市内
の住宅街が共通で抱える生活課題に、住民同士が力を合わせて立ち向かう地域
の姿がありました。
しながら試験的に開催、工夫を重ね、今では年間延べ300
40年の歳月とともに
住民同士の関係が希薄に
人、1回平均20人が参加するまでになりました。また、春
は「紅しだれ桜コンサート」
、夏は「白浜台納涼祭」
、秋は
一 章
中舞鶴地区西部の高台に広がる白浜台は、1970年代に
「コスモス祭」といった老若男女が一体になって楽しめる
開発された住宅街。当初は子育て世代で賑わったこの地域
イベントも企画し、顔の見える関係づくりに力を入れてい
も、40年の歳月を経て高齢化が進行し、ひとり暮らしの
ます。さらには安心安全なまちづくりを目指して自主防災
お年寄りが増加。買い物できる商店や病院などが近くにな
部を設置、危機対策マニュアルの作成や防災訓練なども
く、車を運転できない人には決して暮らしやすいとはいえ
行っています。
ません。
活動の担い手が増え
地域支え合いサポーターにも登録
そのような状況で自治意識の芽生えを決定づけたのは、
2011年3月に発生した東日本大震災でした。未曾有の大
災害を目の当たりにして、行政に頼りきりではなく、ふだ
「やっている人を見ていて、私もできることを手伝いた
んから住民同士で支えあい、いざという時に結束力を発揮
いと思った」と活動を始めた人もいます。社協が推進する
二 章
できる地域にしたい。そこで舞鶴市が実施する「地域づく
「地域支えあいサポーター」に現在では白浜台から6人が登
りサポート制度」に応募、
10年先を見据えた地域ビジョン
録し、民生委員や組長などと連携しながら見守りや声かけ
を策定するため、
2011年11月に委員会が設置されました。
の活動を行っています。民生委員の藤原正春さんは、
「民生
今ここにある人とモノを活かし
地域が動き出した
委員とサポーターが一緒になって取り組めば、見守り活動
が重層化され心強い」と言います。
「未来につなげよう 支えあい 助けあい ふれあいある ま
「白浜台地域ビジョン」を作るにあたって、
「当初は『バ
ち 白浜台」
、この合言葉を回覧チラシには必ず載せ、周知
スが来ない』
、
『交通の便が悪い』といった問題ばかりが山
する工夫もしています。
「不便もあるがこの地域に住み続け
積し、会議が一向に進みませんでした」と、世話役の臼井
たい」
、
「この地域が好き」という思いをもつ住民が増えれ
和久さん。
「しかし、ないものの話ばかりしても仕方がな
ばと続けてきた地道な取り組みが、実を結び始めています。
い。
「そこで『今、自分たちの地域、白浜台にあるものは
何か』と考え始めたら、この地域には様々な活動を行い、
専門知識や技術をもつ人材がたくさんいることに気付い
たのです」
。しめ縄づくり、ハーモニカや尺八、オカリナの
演奏、地域は人材の宝庫でした。
支えあうまちづくりを目標に地域ビジョン策定委員会
を結成して、まずスタートしたのがサロン。運営のノウハ
ウや他の地域の事例など、市社協が提供する情報を活用
こと
社協からひと市社協
鶴
舞
団体DATA
白浜台地域ビジョン実行委員会
◦活動場所:白浜台集会所(舞鶴市白浜台68-173)
◦活動者数:34人
◦活動実績:ふ れあいサロンの利用は1回平均20人。コン
サートや祭などのイベント、自主防災部の結
成、地域支えあいサポーターと民生委員の協働
◦活動内容:ふれあいサロン 月1回 13:00 ~ 15:00
10
主な活動地域
舞鶴市
白浜台地域
「地域づくりサポート制度」を利用して
課題を共有できた時に、地域が大きく動
き始めました。人が徐々につながって
いき、地域全体の取り組みになっていま
す。
瀬野 千文さん
サロン活動
い
だんな
カフェ
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
さりげなく寄り添って
「だんないでぇ」
チームワークで細やかな支援
誰もが安心して暮らせる地域づくりに取り組む綾部市で始まった住民自らの力
で動かす
「だんないカフェ」
(初期認知症カフェ)
の取り組みが全国的に注目を集
めています。
やひとり暮らしのお宅に訪問し、日々の生活や悩みに耳を
相談の前倒し
“出会いの場”
を提供
傾け、気持ちを受け止めて聴くこととで、元気や自信、生
きる意欲を取り戻してもらうことを目指しているボラン
ティア活動です。その活動の中で多くのサポーターが「食
場に、タンクを積んだ社協の訪問入浴車が大量のお湯を
事をしていない」
「入浴もできていない」
「足の踏み場がな
運んできました。本日の目玉イベントは、
“足湯”の出前。
いほど家が散らかっている」
「心身状況に不安を抱えてい
「この日を楽しみにしてきた」というお年寄りも多く、90
る」等のお年寄りの暮らしぶりを目の当たりにして、
「傾聴
歳になる四方藤一さんは「まるで旅行にきた気分。心が晴
からあと一歩踏み込んだサポートができないものか」とい
れるようやねぇ」と目を細めます。
“だんない”とは、
綾部
うもどかしい思いを社協に報告。これが社協のホームヘル
の方言で「なんともない、大丈夫」の意味。初期の認知症
パーや各地域包括職員、他部門の職員等が気掛かりとして
が疑われる人から一人暮らしのお年寄り、誰とも繋がらず
いた問題意識と一致し、具体的な解決のための取り組みと
家に閉じこもりがちな人などを対象に、医療や介護の専門
して生まれたのが、この「だんないカフェ」なのです。
職と“できるだけ早期につながる”ことができる場として
ボランティアの底力
みんなが楽しむ
2014年1月よりスタートしました。開催は、
市内3地域で1
月に計4回。足湯の出前や音楽タイム、喫茶といったお楽
「足湯に浸かるとね、皆さん心もほぐれて舌も滑らかに
師による血圧測定や、認知症疾患医療センターによる相談
なる。傾聴もしやすいんですよ」と足湯ボランティアの林
等が行われます。参加者に「専門職は身近にいて気軽に相
ことりさん。参加者とほぼ同数のボランティアが「だんな
談できる相手」であることを知ってもらい、お互いが「顔
いカフェ」を切り盛りし、利用者が一人きりにならないよ
見知りの関係」となるよう工夫されています。
う常に目を配ります。また、古和田一二三さんは、
「一対
一で向き合う傾聴ボラもいいけど大勢で和気あいあいと
計画的なサポーターの養成
気づきから「カフェ」の誕生へ
触れ合えるのがだんないカフェのよさですね。私らも楽し
い」といいます。カフェを始めた当初は5人だった参加者
綾部市の「認知症サポーター」は8,322人。総人口に
が、
今では毎回平均で15人を超えているのもボランティア
占めるサポーター数の割合(市域のみ)は全国第3位を誇
の尽力があってこそ。日頃の傾聴ボラで信頼関係を築き上
り、さらに対人援助の基本などの独自カリキュラムを加え
げ、粘り強い声掛けで“地域の気になる人”の参加を促し
た「シルバーサポーター」は2,092人、
「ゴールドサポー
ています。
「初期認知症の方が専門機関につながる場」
「ボ
ター」は331人(2015年3月現在)
。サポーターの多くは、
ランティア自身が生きがいをもって社会参加する場」
「認
各地の「地域サロン」
「出前足湯」
「出前型サロン」などで
知症に対する正しい理解のための啓発の場」等と「だんな
ボランティアとして活躍していますが、最も活動している
いカフェ」の場の意味・意義はますます多様になっており、
のが
「傾聴ボランティア」
。家に閉じこもりがちになった方
活動の深まりをみせています。
こと
社協からひと市社協
綾部
団体DATA
◦活動場所:綾部市内の3会場(西部・東部・中部 ※月によりに変動)
◦活動者数:15 ~ 20人
◦利用者数:平均15人
◦活動実績:2014年3月時点の利用者数は延べ456人
◦活動内容:月1回約2時間、利用料100円。足湯の出前やコンサート、
調理実習などの他、血圧測定や介護保険サービスの利用
相談などを行う。
二 章
しみプログラムはもちろん、地域包括支援センターの保健
初期認知症カフェ「だんないカフェ」
一 章
沿道の雪どけ間もない1月中旬、
「だんないカフェ」の会
主な活動地域
綾部市全域
ボランティアさん達の意欲を維持するた
めに、年4回の勉強会を実施しています。
また、カフェ終了後、利用者の情報共有
に努めています。参加のたびに笑顔が増
える利用者の顕著な変化も活動の励みに
なっているようです。
長岡 博子さん
11
サロン活動
御蔵く山
ら
わ
ぶ
蔵
輪
ゆう
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
ありがとうの気持ちの交換
会員相互の助け合いの活動
宇治市木幡の御蔵山学区では、住みやすくて安心して暮らせる地域づくりを目的
に、会員相互が
「蔵」
と呼ばれる
「切符」
を介して、助けたり助けられたりしながら生
活上の困り事を解決する活動が展開されています。
いわい倶楽部」という交流会で、この日は他にも「かるた
助け合い活動の潤滑油
“ありがとう”切符「蔵」
大会」や参加者同士が自由に会話できる「おしゃべりタイ
ム」
、鍼灸師の会員によるマッサージコーナーもあり、約2
御蔵山学区の地域住民による助け合い組織「ゆう輪蔵
一 章
ぶ」が結成されたのは2003年。代表で発起人の淵田紀代
子さんが、一人暮らしのお年寄りの買い物に付き添うボラ
時間をそれぞれが楽しんでいました。交流会も「蔵」1枚
で参加できる仕組みです。
「わいわい倶楽部」は依頼を「する」
「受ける」だけの関
ンティア活動の際に、恐縮された相手の方からお礼の品を
係でなく相互に交流できる場として2014年から始めた新
差し出されたことがきっかけとなったそうです。
「助けたり
たな試みです。
「皆さんの楽しそうな顔を見ると、
会を運営
助けられたりはごく自然なこと。遠慮や必要以上の気遣い
する苦労は吹き飛びます」と世話人の皆さん。わいわい倶
をせずに助け合えるような活動を作れないか」と社協や知
楽部が、気軽になんでも相談ごとを持ち込めるような“よ
人たちに相談を重ね、自然と生まれる“ありがとう”とい
ろず相談の場”になればと願っているそうです。
う感謝の気持ちを「切符」
(
「蔵」
)で表現する仕組みにす
活動の周知や会員を増やすために毎月1回「ゆう輪蔵ぶ
ることで気兼ねない助け合いの「ゆう輪蔵ぶ」が生まれま
ニュース」も発行し、配布は会員の見守りを兼ねた活動
した。
になっています。しばらく顔を見せない会員には一言メッ
この会は、入会金1000円で年会費などはなし。入会後、
二 章
会員証と「蔵」のお試し券1枚が付きます。
「蔵」は1枚100
セージを添えるなど心配りと温かさをあわせた丁寧な活
動がすすめられています。
円。利用者が依頼し5人の世話人が援助者の調整を行いま
す。依頼内容は、室内建具の修理、庭の手入れ、洋裁、買
い物、ピアノレッスンなど多種多様。会員はある時は依頼
ありがとう切符“蔵”の利用の仕方
者になり、ある時は自分の時間や技術・特技を活かして助
④
ける側になる。歳をとった時のためにと、
「蔵」を貯める
ことを楽しみにしている人もいます。
利用者
顔を合わせて地域の縁を広げる
“よろず相談 ”の場づくり
①
御蔵山南集会所を訪ねると、元気な笑い声が聞こえてき
ました。室内では、地域の介護事業所の男性スタッフが講
援助者
⑤
③
援助の依頼
①
援助できる会員をリストの中から探し依頼
②
援助者を紹介
③
依頼内容に基づき活動する
④
“蔵”
を渡す。
活動が終わるとありがとうの気持ちを込めて切符
⑤
師となり、いすに座ったままでできる健康体操が行われて
います。
「では、その体勢のまま10数えましょう」と声が
かかると、26人の参加者から「1・2・3…」と元気な声が
上がります。これは、
「ゆう輪蔵ぶ」が月1回開催する「わ
こと
社協からひと市社協
宇治
団体DATA
御蔵山ゆう輪蔵ぶ
主な活動地域
御蔵山
学区域
◦活動場所:御蔵山学区域内及び御蔵山南集会所
◦活動者数:194人
◦活動実績:2003 ~ 14年の間に2,498件の助け合い活動
を実施。交換された“蔵”は3,799枚。利用者
数は延べ3,406人。
◦活動内容:地域通貨「蔵」を利用した助け合い活動、月1回
の交流会「わいわい倶楽部」の開催、月1回の広
報紙発行。
12
宇治市
②
調整役
手作りで「蔵」切符を作られていて、様々
な工夫を凝らして活動されています。地
域の介護事業所も会員になっておられ、
住民同士だけでなく、介護事業所とのつ
ながりも生まれています。
土橋 剣和さん
サロン活動
の
暮らし
橋
かけ
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
「かけはしさん」
が広げる
助け合いの輪
「誰かにちょっと手伝ってもらえたら…」
。そんな日常の困りごとを地域の住民同
士で助け合い、解決する仕組みが宮津市にあります。
国の高齢社会の問題を先取りしている地域と言われます。
同じ地域住民の立場から
ご近所さんを手助け
利用者への聞き取りを通じて、宮津の福祉における地域課
題やサービスのあり方を考えるヒントを見付けたいと言
「足元、
気を付けてくださいね。ゆっくりでいいですよ」
、
います。
登録者は54人
さまざまな関わり方が
原映子さんに、協力者の水谷佳子さんが声をかけます。
介助するのではなく、水谷さんは階段の下から藤原さん
をじっと見守ります。藤原さんが降りて来たちょうどその
依頼の大半はお年寄りからで、冒頭の藤原さんもその一
時に送迎サービスさんの車が到着、2人はそれに乗り込ん
人。買い物や通院の付き添いのほか、ゴミ出しやテレビを
で病院へと向かいました。水谷さんは、足の悪い藤原さん
設置する手伝いも依頼したことがあるそうです。
「転倒す
の通院に付き添う「かけはしさん」です。
るのが恐くて、一人での外出を不安に思っていたところ、
水谷さんが参加しているのは、宮津市社協が2013年2
月から行っている住民参加型在宅福祉サービス事業「暮ら
チラシを見て社協に電話しました。一人暮らしなので、誰
かと話せるのも楽しみです」と藤原さん。
現在「かけはしさん」の登録者は54人。60代が多く、
しのかけ橋」
。参加している協力者は「かけはしさん」と呼
中には活動できる時だけでも手伝いたいという30~40代
存のサービスなどでは対応できない「小さな困りごと」を
の人も。無理なく関われる人が多いほど、地域のつながり
抱えている住民と、それを手伝うかけはしさんをつなぎ、
が広がりそうです。
「一緒に」解決するというもの。重要なのは、
「かけはしさ
ん」はあくまで「ご近所さんを手伝う地域住民」という立
場であり、
「特殊な技能を持つサービスの提供者」ではな
利用者
い点です。
困り事を
“一緒”に解決
④
(困っている人)
宮津市に住んでる
人ならだれでも
丁寧なヒアリングで
地域の課題を収集
①
「暮らしのかけ橋」の利用を電話で社協に申し込むと、
社
協職員が依頼者宅を事前に訪問してヒアリングを行いま
「困っている人と社協のつながりをつくることと、多様
利用料300円
+
社協支援200円
員の上辻孝太さん。高齢化率が約35%という宮津市は、
全
※利用料は1時間あたり
団体DATA
◦活動者数:登録協力員54人
◦活動実績:2014年11月時点の利用者数は延べ122人。うち82人
は独居高齢者または高齢者夫婦世帯。依頼件数は月50
件程度。
◦活動内容:庭の掃除や家具の移動など、「日常生活における小さ
な困りごと」を、市民の協力者と一緒に行う。
③
宮津市社会福祉協議会
な声をきめ細かく拾うこともこの事業の目的です」と専門
◦活動場所:
(事務局)
宮津市社会福祉協議会
(宮津市字鶴賀2085)
社協に登録した
お手伝いの協力者
活動費500円
訪問・集金
機会でもあり大切にしているそうです。
(かけはしさん)
依 頼
② ⑤
す。自宅を訪ねることは、依頼内容以外の課題にも気付く
協力者
1時間程度のお手伝い
(利用料300円)
相 談
二 章
ばれています。
「暮らしのかけ橋」は、介護保険制度や既
暮らしのかけ橋
一 章
階段の手すりにつかまりアパートの2階から降りてくる藤
主な活動地域
宮津市全域
こと
社協からひと市社協
宮津
「暮らしのかけ橋」という名前には
「地域
の人と人とをつなぎたい」
といった思い
が込められています。宮津の
“橋”
といえ
ば天橋立が有名ですが、この取り組みも、
いつか宮津を代表する存在に成長すれば
と願っています。
上辻 孝太さん
13
サロン活動
い
ふれあ
ン
サロ
交流会
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
地域サロンの活性化を支えている
手作りのサロン交流会
みやざき
亀岡市内でも山間部に位置する宮前町。町内4区の地域サロン担当者が集まり、
取り組みの紹介とサロン運営について話し合う交流会が、住民の発案と企画に
より年1回開催されています。
地域住民による
“歩いていける居場所”
づくり
熱心なグループ討論は
サロン担当者の成長の場
一 章
鬱蒼と茂る山の緑と共に暮らしを営む亀岡市宮前町。神
「参加者がいつも同じ顔ぶれ。声がけの努力がまだ足り
前、宮川、猪倉、湯の花平の4つの地区で構成され、それ
ていないのでは?」
、
「男性の参加が少ないのは、活動内容
ぞれ地区が“歩いて行ける居場所づくり”のために創意を
が女性好みになっているからでは?」…。交流会を締めく
凝らしたサロンを開催しています。
くるワークショップでは、4つのグループに分かれて熱心
最高齢の88歳を筆頭に150世帯が居住する神前地区で
なディスカッションが行われました。担当者が日々直面す
は、ラジオ体操だけでなく、認知症予防のための体操や
るサロンの運営がテーマだけに、討議にも熱がこもりま
ボーリング大会など、体を動かす内容を積極的に取り入れ
す。住民自身がサロンや地域の課題について熱心に語る姿
ています。これは運動機能の維持はもちろん、
「細かい作
はまさに専門職顔負けの勢いがあります。
業をあまりしたくない」という参加者の声を反映したのだ
そうです。
一年の集大成として各サロンのがんばりを交流会で発
表し、さらなる切磋琢磨でよりよいサロンの姿を模索す
湯ノ花平は40年前に誕生した住宅街で、他の地域から
転居してきた住民が多数を占める地区ですが、年間40 ~
る。地区全体で活動を盛り立てていく取組となっていま
す。
二 章
45回、ほぼ毎週精力的にサロンを開催しています。男性
の参加者を増やすため、お花見やバーベキュー、居酒屋カ
宮前町地区社会福祉協議会
フェなどお酒を飲めるイベントも取り入れています。区長
住民参加による地域福祉活動を通じて、誰もが安心して暮らす
ことができるまちづくりを実践するために結成された組織
の高原建文さんは、
「何よりも大切なのは、ちょっとした
ことでいいので参加者にお手伝いをお願いし、自然に輪の
中に入ってもらうこと。自分の役割が有る方が、人はいき
ふれあいサロン
担当者交流会(年1回実施)
いきとするものです」と言います。
一年間のサロン活動を紹介し
お互いに学び合う交流会
宮前町は自治意識が高く住民主体の取り組みが活発な
地域ですが、4地区の更なる連携で住民力の向上を図ろう
神前仲良し
サロン
宮川ふれあい
サロン
猪倉ふれあい
サロン
湯の花平
ゆずり葉会
月2回開催
8∼31人参加
認知症体操も
月1回開催
12∼53人参加
月1回開催
12∼21人参加
週1回開催
8∼30人参加
親子参加の
七夕会や園児
との世代間
交流も
コスモス園の
見学も
お茶会、
料理教室も
と、民生委員が中心となり、2010年11月に「宮前町地区
社会福祉協議会」を設立。翌年から年1回、4地区のサロ
ン担当者が一堂に会しての交流会を自主的に催すように
なりました。
手作り作品/誕生会/お花見、七夕、新年会/
ちぎり絵、書道、音楽会、しめ縄づくりなど地域の人材が講師
主な活動地域
◦活動場所:神前ふれあいセンター
(亀岡市宮前町神前上段川46-2)
宮前町全域
◦活動内容:2月の第1土曜日。活動報告の他、市社協によ
る研修会など
14
市社
会 福祉協
議
市社協では各サロンで参考にしていただ
けるような研修会や助成金による支援を
◦活動者数:23人
◦活動実績:宮前町内の神前・宮川・猪倉・湯の花平地区
で小地域のサロン活動が中心。年1回の交流会
で活動報告を行う。
岡
亀
宮前町ふれあいサロン交流会
会
くかめちゃん
ふ
こと
社協からひと市社協
亀岡
団体DATA
行っています。各区に分かれて実施され
亀岡市
ている活動者による交流会や研修会は地
域活動の活性につながっています。
濵中 一美さん
メンズ ア
ィ
ボランテ 隊」
け
「手助
サロン活動
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
ちょっとした困りごと、ありませんか。
男手、貸します!
メンバーは全員男性。主に高齢者や障がい者からの依頼に応え、植木の伐採や草刈り、
電球の取替えや包丁研ぎなど公的な支援サービス等の対象にはならず、また専門の業者
に依頼するほどでもない補修や作業を手伝うボランティアグループが城陽市にあります。
大切にしているのは、新規の依頼があった時の主旨説
誠実な仕事ぶりに
リピーターも多数
明。依頼者に「専門的な技術を持たない者が行うこと」
、
「同居する家族など、他に手伝える人がいる場合には依頼
を受けられない」などを説明し、
「無料の便利屋」ではな
男性たちが庭木の剪定を行っています。脚立に上って高
い旨を伝え、ボランティア活動であることを理解してもら
い枝を刈る人、足元の植え込みを刈る人、落ちた枝葉を
うようにしているそうです。
片付けていく人など、各自が手際よく作業を進めていま
男性同士、気さくに
相談し合える雰囲気
す。彼らはメンズボランティア「手助け隊」
。作業を依頼
した伊藤澄枝さんが、
「寒い中ありがとう。お怪我のない
一 章
城陽市の住宅街、お揃いの帽子と作業服に身を包んだ
上山さんは、手助け隊が結成された2001年6月から活
ように気を付けてくださいね」と声をかけています。
動しているメンバーの一人。
「メンズボランティア」とし
て立ち上げた理由は、
「当時のボランティア活動は女性主
は仕事ぶりが丁寧で、これまでに何度もお願いしている
体のものが多く、そこに男性が加わると女性のパワーに圧
んですよ。年金暮らしの身には、無料で頼める点もあり
倒されそうで…(笑)
」とのこと。そこで、活動内容を力
がたくて。
」と言います。近所の植木屋さんが高齢で引退
仕事や日曜大工仕事などに絞り、これまでにないスタイル
し、頼める人がいなくなり困っていたころ、手助け隊を
を目指したと振り返ります。チームワークの秘けつは、月
利用する知人から紹介を受けたそうです。
2回の例会。世間話も大切にし、何でも言い合える雰囲気
を大切にしています。
無償の便利屋ではない。
あくまで「人助け」の
ボランティア活動
道具代や交通費などの手助け隊の活動費は、メンバーの
手助け隊
メンズボランティアの活動
最終報告書を社協へ
す。担当する人数は依頼内容によってさまざまで、2時間
活動︵実作業︶
活動の依頼は、
市社協が窓口になっています。月2回(第
1・第3金曜日)の例会で作業にあたる担当者を割り振りま
依頼者宅訪問︵下見︶
上山正二さん。
依 頼 者
な時には寄付をいただいています」と手助け隊事務局長の
受 付︵市社協︶
らの寄付金で賄われています。
「利用料は無料です。でも、
定例会議︵依頼内容の検討︶
会費(年額1000円)
、社協等からの活動助成金、依頼者か
なかには『それでは申し訳ない』とおっしゃる方も。
「そん
二 章
この家で一人暮らしをしているという伊藤さん。
「男手
がないので、とても助かっています。手助け隊の皆さん
以内に作業を完了できることを目安に考えるそうです。
団体DATA
メンズボランティア
「手助け隊」
主な活動地域
こと
社協からひと市社協
陽
城
◦活動者数:13人
どの依頼にも
「僕が行くわ!」
と積極的に
◦活動内容:
「業者に頼むほどではないが、自分ではできない」と
いった困りごとを持つ高齢者世帯や障がい者世帯を
訪ね、手助けを行う。
めのアイデアが提案されることも。メン
◦活動実績:年間利用者数は延べ100人。うち6割がリピーター。
手が挙がり、依頼者の要望に応えるた
バー同士も仲が良く、積極性、柔軟性、団
城陽市全域
結力。どれを取っても意識の高い活動を
されています。
明山 忍さん
15
サロン活動
ご近所
動
福祉活
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
「地域でつくる福祉」
を実践
合言葉は “
ご近所福祉”
向日市社協では、2012年度から地域福祉推進の重要なテーマとして
“ご近所福
祉”
を掲げ、地域住民と協働の取り組みを推進しています。
はなく、
「支えられ上手」
「つながり上手」な人が増えるこ
ご近所で
顔の見える絆づくりを
とに期待を寄せています。
“ご近所福祉”とは、昔でいう「向こう三軒両隣」の現
一 章
代版です。昔のような「お味噌を借りる」
、
「留守を頼む」
のようにはいかなくとも、この時代にあったご近所付き合
ゴミ出し、
ラジオ体操、
サロン活動
多様な実践の拡がり
お年寄り宅の朝の「ゴミ出し」をご近所住民が担う取り
いを考え、敬遠しがちな地域の「しがらみ」を、ちょっと
組みは、
5分程度の“ついで感覚”でできる“ご近所福祉”
した気遣いができて顔が見える関係(=絆)に再構築しよ
活動の一例です。現在、向日市全域で31件のマッチング
うとしています。
“ご近所福祉”という「コンセプト」を明
に成功しています。他にも、朝の「ラジオ体操」は、一人
確に打ち出すことで、
「地域でつくる福祉」のイメージの
暮らしの方の安否確認へと繋がり、近所づきあいも広がる
共有化を目指しています。
と好評で、11町内会で取り組まれています。お年寄りや町
放っておけへんやん!
力強い “世話焼きさん”
の存在
内の催しには関心が薄いといわれる男性たちの積極的な
参加がみられるのも特徴の一つです。
また「ふれあいサロン」には、近所の“世話焼きさん”
二 章
市社協が地域の懇談会などで参加者に身近な助け合い
たちが“放っておけない”人たちを誘い、交流を図りなが
を尋ねると、
「何か困ったことが起きた時に地域の人に『助
ら見守りを実施しています。地域包括支援センターの担当
けて!と言える』人」は5%、
「助けて、と言われたら『助け
者等の参加もあり、健康教室等が人気です。専門職にとっ
る』人」は95%。このことから、
「困り事があっても助け
ては地域の現状やニーズをキャッチする場にもなってい
て!とはなかなか言いづらい」こと、その一方で、
「ちょっと
るようです。
したことなら助けられると考えている人が多い」ことがわ
かりました。確かに、地域住民の中には、福祉の肩書き等
が何もなくても、困った人がいたら「放っておけない」と
向日市全域(行政・社協)
目配り、気配りし、何かしらのお世話をしている人達(=
区・自治連合会(大・中エリア)
いわゆる“世話焼きさん”
)がいて、その方たちに支えら
れて生活している人がいるのです。
“ご近所福祉”の推進には“世話焼きさん”の存在が欠
かせません。かつて、ある「ゴミ屋敷」で起こった緊急事
態を発見し、専門職に繋げた奥島惠子さんは自他ともに認
める“世話焼きさん”
。
「困っているのに、誰に相談したら
いいか分からない人が多い。自分から“助けて”と言える
環境も広げていきたい」と話し、
「支え上手」な人だけで
団体DATA
ご近所福祉活動
主な活動地域
21,500 世帯
絆のビジョンと基盤づくり
1,000 ∼ 10,000 世帯
仕組みづくりの絆
区・自治連合会(小エリア)
自治会・町内会(地区社協:向日区
西向日・向日台)200 ∼ 600 世帯
自治会・町内会(班・組)
50 ∼ 100 世帯
支え合える絆
地区社協の活動
・ご近所福祉クラブの担い手づくり
・各種団体との連携による交流事業等
・専門職との連携(研修・福祉懇談会)
ご近所福祉(会)クラブ
隣近所「向こう三軒両隣」
困り事
向日市社協の地域支援
・推進・ご近所福祉の人材育成
・養成・福祉活動団体の育成支援
・専門職との地域支援体制構築
アクション
・井戸端会議等(見守りの情報共有)
・気軽な交流の場づくり(サロン)
・ちょっとした支え合い(ゴミ出しなど)
こと
社協からひと市社協
向日
実践をもとに土壌を作っている段階です
◦活動場所:
(事務局)向日市社会福祉協議会
(向日市寺戸町西野辺1-7)
が、徐々に広がりを見せ、手応えを感じ
◦活動実績:ゴミ出し支援
(31件)
、ラジオ体操
(12か所)
、
サロン(27箇所)、災害時に備えた避難訓練等
ています。
“世話焼きさん”
だけで対応が
難しいケースには、社協の
「地域サポー
向日市全域
(町内会単位)
16
ご近所福祉の推進と活動エリア
ター」や専門職による支援体制も整えて
います。
木下 博史さん
サロン活動
ビス
配食サー さん)
さん
燦燦(
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
「食」
をテーマに高齢者の
生活に密着した配食・会食活動
住み慣れた地域で、高齢者が暮らし続けるために欠かせないのが、食の手配。
喫茶店の事業活動を財政的な支えにした、配食サービスに取り組むボランティ
アグループがあります。
喫茶店の営業後に
配食サービスがスタート
他の配食ボランティアとの
交流で活動がより豊かに
「定年後に何か役に立つことをしたい」と、旧知のメン
燦燦では、他にも「会食のつどい」や「うたごえ喫茶」
などの活動も行っています。いずれも高齢者の憩いの場と
の中川美智子さんの「食べ物は人を笑顔にする」との信念
なっており、
「ここに来るために元気でいたい」と話す利
から、誰もが利用できる喫茶と配食サービスなど、
「食」に
用者も。喫茶利用したお客さんが、その味と取り組みに惚
関わる活動を始め、2015年で13年目を迎えます。
れ込み、定年後のボランティア活動の問い合わせする人も
喫茶「燦燦」は、市役所前のスーパーの裏という立ち寄
いるそうです。現在のメンバーは、配達のみのスタッフを
りやすい場所にあります。14時で営業が終わると、テー
含めて16人に増加。総会や理事会を開いて、より住みや
ブルを並べ替え、そのまま配食サービスの準備へとスイッ
すい地域にするための意見交換を行っています。
チ。スタッフが彩りよく盛り付けたお弁当は一個ずつ袋に
また、市の配食サービス協働プラットホームや社協主催
詰められ、ルート毎に配達メンバーが徒歩、自転車、車で
の配食シンポジウムにも積極的に参加。配食に関わる他の
出来たての味を届けに行きます。
一 章
バー 7人で結成した「燦燦」
。母親の介護を経験した代表
団体と互いの活動を報告し合い、配食先のマップ作りなど
を通して地域との連携を模索しています。
配食サービスの対象は、65歳以上の一人暮らしや高齢
者世帯で自分では調理が難しい人。利用者の健康を考え、
二 章
家庭の味と笑顔を届け、
見守り活動も実施
配 食
燦 燦(さんさん)
自家製味噌や低農薬の野菜、米などを使用。マリネは油を
使わずレモンと酢で仕上げ、春巻きやトンカツも焼いて脂
質を控える工夫を施しています。栄養バランスに優れ、1
食600キロカロリー前後に抑えたメニューは大好評。中川
さんは、
「仕入れも自分たちで行うし、調理は立ちっぱな
しだからハード。でも、みんな喜んでくれるから、私たち
自身が楽しんで取り組んでいます」と力強く話します。
配達時の声かけやアンケートなど、きめ細かな見守りを
行っているのも特徴です。利用者の女性は、
「本当に美味
夕 食 週4回・平均30食/日
喫茶店事業
昼 食 月1回・平均30食/月
うたごえ喫茶
調理ボランティア
配達ボランティア
配食・会食サービス
しいお弁当。玄関先まで届けてくれて助かるし、ちょっと
した会話やボランティアさんの笑顔に、元気をもらうんで
すよ」と嬉しそうに話してくれました。
団体DATA
配食・会食サービス 燦燦
主な活動地域
◦活動場所:喫茶燦燦
(長岡京市開田2-1-22)
初からしっかりと持って取り組まれて
◦利用者数:配食サービス60人、会食のつどい28人
◦活動内容:配 食サービス 週4回
(火~金)
、会食のつどい 月1回
(日曜の昼食)
こと
社協からひと市社協
京
岡
長
「“食”で笑顔を届ける」という理念を、当
◦活動者数:16人
◦活動実績:家庭の手づくりの味を届ける配食サービス、会食
のつどい、うたごえ喫茶
長岡京市配食サービス協同プラットホーム事業
います。現場のスタッフの声や利用者の
長岡京市全域
変化にすぐに対応できるように連携を
密にし、社協のサポート体制を整えてい
ます。
西野 寛子さん
17
サロン活動
くらしの愛
ト
サポー ん
ちゃ
(まな)
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
日常生活の困りごとを助け合う
住民参加型在宅福祉サービス
「困ったときはお互いさま」
の気持ちで、家事や通院など日常活動の困難を解決
するのが
「くらしのサポート愛ちゃん」
です。サポートする人もサポートを受ける
人も同じ会員同士というのが特徴です。
関わりを望んでいた」ことから、
「愛ちゃん」の協力会員に
会員制による助け合い事業
実践を積み重ねて13年
登録しました。
「その時の状況によって、30分の予定が45
分になってもOK。介護保険とは違って柔軟だから、お相
日常生活で困りごと抱える人に、調理や掃除などの家事
一 章
援助サポート、食事や買い物などの簡単な身の回りの介
手(利用会員さん)ときちんと向き合えるのがいい」と、
この事業ならではのメリットを話してくれました。
助などを提供しているのが「くらしのサポート愛(まな)
活動を通じて温かい人間関係を構築
安心して暮らせるまちづくり
ちゃん」
、2002年にスタートし13年目を迎えました。
サポートを受けたい「利用会員」
、サポートをするボラ
ンティアは「協力会員」
、取り組みの趣旨を理解する人は
利用会員と協力会員のマッチングは市社協がコーディ
「賛助会員」と、お互いが会員となって支え合い、誰もが
ネート。地域で気兼ねなく話せる人を増やし安心して暮ら
安心して暮らせるまちづくりを進めています。現在、利用
すことを支えるという視点から、会員同士の相性等を丁寧
会員は50人、協力会員には20人が登録しています。
に見極めます。また、当日の急な時間延長等は両者で話し
あい、後に社協に報告します。ビッシリと日程が詰まって
「支えられて生きている」
きちんと向き合えるのがいい
いない「愛ちゃん」だからこそできる特徴です。柔軟な対
応もできるこの仕組みが、地域における「お互いさまによ
二 章
「木本さんが買い物と掃除をしてくれるようになって、
る支え合い活動」の創出を実現しています。
本当に助かった」と話すのは、
利用会員の梁瀬恵利子さん。
脳梗塞を患い入院しましたが、退院後も体力が回復せず買
い物にも行けない「寝たきり」状態になっていました。食
べるものもなくなり、切羽詰って電話した民生委員さんか
登
録
らの支援でことなきを得ましたが、継続的なサポートを受
登
けたいと考えていたときに、
「愛ちゃん」を紹介されたと言
協力会員
は、
「最初から気が合った」と言い、少しずつお友達のよ
話を重ねるうちに、気持ちに余裕ができ体調も回復、
「い
かったです」と実感を込めて話します。
木本さんは福祉の専門職を退職後、
ケアマネや介護福祉
サポートの
提供
賛助会員
利用会員
実費
サポート
ろんな人に支えられて生きている。つながりができて、良
録
録
います。社協から依頼を受けた協力会員の木本美代さんと
うな感覚で、来てくれる日が楽しみになったそうです。会
登
地域の人々
金品の援助
弁償
提供依頼
八幡市
社会福祉
協議会
士の資格を活かした活動に興味を持っていたと言います。
利用申込
利用料の支払
「空き時間を利用でき、介護だけではない、ゆとりのある
こと
社協からひと市社協
幡
八
団体DATA
住民参加型在宅福祉サービス
主な活動地域
くらしのサポート愛ちゃん
利用会員と協力会員が友達同士のような
関係で関わり、画一的なサービスではな
◦活動場所:八幡市社会福祉協議会(八幡市八幡東浦5)
いところが魅力です。周知活動を続け、
今
◦利用者数:利用会員50人、協力会員20人、賛助会員0人
以上に
「利用したい人」
と
「支えたい人」
の
◦活動実績:活動回数847回(26年度実績)
◦活動内容:8:00 ~ 18:00
家事援助、簡易な介助等のサポート
18
八幡市全域
仲を取り持っていきたいです。
寶﨑 正睦さん
ィア
ボランテ プ
グルー ん」
~
「ぴんぽ
サロン活動
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
活気あふれる例会がカギ
15年以上続く訪問活動
訪問活動を通じて利用者の状況を継続的に把握し、さまざまな依頼に応える活
動を展開しています。
の状況を継続的に把握していることもわかります。例会に
活気あふれる月1の定例会
きめ細やかな情報共有
は社協の担当者も必ず同席して、情報を共有しています。
1999年4月結成のボランティアグループ「ぴんぽ~ん」
重な顔合わせと交流の場となっており、
「ぴんぽ~ん」の
終始にぎやかな例会は、普段は活動で忙しいメンバーの貴
活動が15年以上も活発に続いている秘訣のようです。
「こ
座」の受講者が立ち上げた団体です。現在は、個人宅への
のグループの特徴はメンバー間のゆるやかで温かなつな
訪問ボランティアに留まらず、お年寄りや障がいをもつ人
がり」と代表の服部卯之輔さんは言います。
が、暮らしの中で困っていても公的なサービスの対象とな
一 章
は、同年に京田辺市社協が開催した「ボランティア入門講
多岐にわたる依頼
メンバーの特技や経験を
生かして調整
らないような困りごとに応える活動をしています。
毎月第1火曜日に例会を開催。最初に各メンバーが、前
月の活動を報告しあいます。
「老人会の遠足に男性2名で付
き添いました。トイレ介助の必要そうな女性がおられたた
「ぴんぽ~ん」への活動依頼は、
市社協が窓口となって内
め、男女ペアで行ったほうが良かったかも」など報告内容
容を聞き取りますが、実際にその依頼を受けるかどうか、
誰が担当するのかは、メンバーが例会で話し合って決定し
足が弱ってきたから、車の乗り降りのときも最後まで目を
ます。依頼の中にはプロの業者でないと難しい屋根の修繕
離さないで」といったアドバイスもあり、支援している方
など、ボランティアで行うのは適切ではないものもあるた
めです。話し合いの上、できないと判断した場合は、社協
の担当者が他の機関やサービスに繋ぐといった対応をし
二 章
は具体的で、
次に活かせるものばかりです。
「あの方は最近
ているそうです。
2014年度の活動は、
「家庭訪問による話し相手」
、
「囲碁・
将棋の相手」
、
「通院介助」
、
「施設行事(ショッピング・カ
ラオケ)への参加」等、多岐に及んでいます。例年12月
には「クリスマス会にサンタの格好で来てほしい」といっ
た子育てサークルからの依頼もあり、対象を限定せず幅広
く依頼を引き受けています。
「ぴんぽ~ん」に10年以上活
動を依頼している高齢者施設「洛南寮」のスタッフに感想
を聞いてみると、
「現場は常に忙しく、利用者さんが誰か
と話したそうにしていても、職員にはゆっくり話を聞く余
裕がほとんどない。ぴんぽ~んの皆さんに助けられていま
す」と、施設のスタッフにも喜ばれていることが伝わって
きました。
団体DATA
ボランティアグループ
「ぴんぽ~ん」
主な活動地域
◦活動者数:21人(男性14人・女性7人)
新たな方の加入もあり、メンバーの固定
◦活動実績:2014年度の依頼件数は延べ139件、延べ291
人が活動。
◦活動内容:公的なサービスの対象とならないような困りご
と。(例)
大型ごみの運び出し、車いす清掃、囲
碁・将棋の相手、通院介助、施設行事
(ショッ
ピング・カラオケ)への参加等
こと
社協からひと市社協
辺
田
京
化・高齢化等が大きな課題となっていな
い力強いグループです。新加入のメン
バーへは慣れるまではメンバーが活動に
京田辺市全域
付き添うなど、
グループ内でフォロー体制
もしっかりされています。 笹山 典孝さん
19
サロン活動
通院
診療所
ス
支援バ
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
交通の不便な山間部を
高齢者の足となり走るバス
「おめでとうさん、お正月はどうしてた?」
、
「大雪で往生したなぁ」
。4人の女性たちがお
しゃべりに花を咲かせているのは、
9人乗りのワンボックスカーの中。野間連合区では市
社協より貸与された車を活用し、
「診療所通所支援バス
(福祉バス)
」
を走らせています。
「乗らへんかえ~」
の気配りを
事業として実施
ら、車を運転している人が『乗らへんかえ~』と自然に声
をかけ乗せていく習慣が昔からありました。そこで、それ
を“乗らへんカー運動”として広めようとしましたが事業
一 章
野間連合区は、丹後半島中央の山間部に位置し、世帯数
(仕組み)として実施するとなると事故等へ対応の難しさ
は81戸。人口は約170人で、
1/3の世帯が独居。高齢化率
が予想され、なかなか広がりませんでした。そんな折、社
は6割を超えています。地区内の医療機関は、毎週火曜日
協から“地域住民支えあい活動支援事業”のモデル地域指
に開所される診療所のみ。
「診療所まで歩いたら1時間か
定を受けないかとの声がかかり、
地区と社協で協議を重ね
かる。山あいで坂道も多くて、特に雪が積もる冬は危険。
た結果、地区住民の合意を得て、地区が社協から車を借
だから、
『福祉バス』様様、本当に助かってます。
」とバス
り、車の整備費・保険費等は社協、燃料費は連合区が負
を利用している大江貞子さん。
「福祉バス」は、診療所へ
担するという形で、バスを走らせることが実現しました。
」
の通院支援以外にも、地域の福祉的事業である敬老会等
と語ります。
の地区行事、老人会の遠足や買い物ツアー、高齢者サロ
暮らしてきて良かったといえる
野間を目指して
ンへの送迎に活用しています。
2012年に「福祉バス」が誕生するまで、高齢者の多く
二 章
は、遠くの集落から徒歩や自転車で通院しており、
“足の
連合区では2013年に「野間地域づくり計画書」を策定
確保”は切実な課題でした。野間連合区代表で自らも運
し「野間地域にある全ての社会資源と住民の力を活かし、
転ボランティアをしている藤原利昭さんは、
「坂道だらけ
『暮らしてきて良かった』といえる地域、
『暮らし続けられ
の野間では、
自転車や徒歩のお年寄りや子どもを見かけた
る』地域を作り上げる」という地域ビジョンを掲げていま
す。
「福祉バス」もこうした連合区の力強い取り組みの一
地域連携組織「渓里野間(かわざとのま)」
産業部会
福祉部会
環境・観光部会
若者グループ
つですが、今や地区に暮らす高齢者にとって「無くてはな
らないもの」となっています。
「
『暮らしてよかった』と思
えるように、自主防災組織の立ち上げや地区行事(区民運
動会・文化祭・伝統芸能・納涼祭等)の活性化、人と人の
暮らし・文化・伝統・防災
つながりを実感できる場をつくることや、暮らしや自然を
住民が支えあい住み続けられる野間をつくる事業
記録に残す(カレンダーやDVD制作)などの取り組みもあ
花火大会
運動会
秋まつり
り、毎日忙しくさせてもらっています。
」といきいきと話す
ふるさと
レスキュー
運転
ボランティア
サロン活動
福祉バス
住民VTR
藤原さん。このリーダーの支えとなっているのは、73歳に
なる最高齢の運転ボランティアが「いずれ自分も世話にな
京丹後市社協
らんなんので、お互いさまだ」と話してくれたこと。この
地域住民支えあい活動支援事業
ような地域の人の思いがたくさん込められて「福祉バス」
は走っています。
こと
社協からひと市社協
後
丹
京
団体DATA
野間連合地区における
「診療所通院支援バス」 主な活動地域
◦活動者数:9人(運転ボランティア)
◦活動実績:年間利用者数は延べ425人
◦活動内容:野間連合地区在住の高齢者の通院送迎、
高齢者のサロン送迎、老人会の買い物ツ
アーなど。
京丹後市
野間連合地区
野間地区の住民には「野間を住みよい地
域にしたい」という熱意と、自分達で自
分達の暮らしを良くしていこうという
パワーがあります。成功の要因はそうし
た点にあるのではないでしょうか。
20
吉岡 公平さん
サロン活動
い
ふれあ
カフェ
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
地域住民の声から生まれた
みんなが交流できる場づくり
南丹市美山町平屋地区では、行政窓口を担う平屋振興会の呼びかけで2010年
に平屋地区地域福祉推進協議会を結成、住民の助け合いの輪を広げ、みんな
が安心して生活できる地域づくりを進めています。
昔は田植えなどを通して地域の交流があったけど、今は
住民が主体となった
地域づくり
こういう場に出て来ないと、つながりが持てないので」と
いった声が聞かれます。
「毎回好評で、夫婦や友達同士で誘い合わせて来られる
生児童委員や地域の見守りなどを行う「ふれあい委員」な
方が多いです。思いきり歌って楽しむことが、健康づくり
ど、地域活動を行う12団体36人で構成されています。平
やストレス解消の一助になればと思います」と平屋地区推
屋地区推進協では、2011年に地域が独自に行った暮らし
進協会長の菅井正己さん。ふれあいカフェは、推進協のボ
の実態調査の結果を踏まえ、地域課題について話し合いを
ランティアさんたちによる運営や工夫を凝らしたプログ
重ねてきました。その中で、平屋地区の高齢化率が40%
ラムや手作りおやつも用意しています。地域住民から提供
超えていることから、
「孤立を防ぐため交流の場づくりを
していただいたもち米でついた餅入りぜんざいなど、でき
進めよう」という目標を定め、多様な取り組みを進めてい
る範囲でみんながやれることを持ち寄ることでふれあい
くこととなりました。
「オープンランチ」や「ふれあいカ
カフェを盛り上げています。ふれあい委員の大澤久代さん
フェ」
、絵画や手芸などを持ち寄っての「ありがとう作品
は、カフェ(サロン)の運営に携わるとともに、同じ集落
の一人暮らしのお年寄り宅を月1回訪問しており、
「お年寄
りの笑顔がやりがいのもと」と言います。その他にも自発
現在では、10集落のすべてでサロンが開催されています。
的に活動に取り組むメンバーが多く、交流活動の場は着実
2013年、2014年度は市社協の地域福祉推進モデル事業
に地域に根付いてきています。
の指定も受け、積極的にあらたな交流づくりに取り組んで
二 章
展」などを企画・運営し、交流の場を作っています。最
も力を入れているのは身近な集落ごとのサロンづくりで、
一 章
平屋地区地域福祉推進協議会(以下、推進協)は、民
います。
住民の積極性が
会を盛り上げてきた
「雪が降ってきましたね!次は、冬の歌にしましょうか?歌
集の『スキー』を歌いましょう」
。進行役の女性の言葉に
続き軽快なバンド演奏が始まると、会場に集まったお年寄
り約50人が、
「やーまは、しろが~ね~」と歌いだしまし
た。外の寒さとは対照的に、会場は明るい歌声と熱気に満
ち溢れています。
ここは、美山保健福祉センターの一室。平屋地区推進
協が2013年から企画し、6回目を迎える「ふれあいカフェ
(サロン)
」の真っ最中です。参加者からは、
「毎回楽しみ。
こと
社協からひと市社協
南丹
団体DATA
平屋地区 地域福祉推進協議会
主な活動地域
◦活動場所:美山保健福祉センター、
高れい者コミュニティ
センター
地区独自で策定されている「住民福祉活
◦利用者数:平均50人
を大切に活動が展開されています。今後
動計画」をもとに、地区住民の声や思い
◦活動者数:36人
◦活動内容:
「ふれあいカフェ」
「ひらやオープンランチ」な
ど、地域の高齢者の交流をはかる活動を実施。
◦活動実績:福祉懇談会の開催、暮らしと地域福祉の実態調
査、オープンランチ、ありがとう作品展など
南丹市
も「つながる」「支え合う」地域を推進協
美山町平屋地区
とともにつくっていきたいです。
坂本 暁人さん
21
サロン活動
市
木津川
ビス
配食サー
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
見守り活動にもつながる
訪問型の配食サービス
木津川市からの委託で木津川市社協が実施している
「配食サービス」
。おおむね
65歳以上の在宅高齢者に、週一回、お弁当を届けています。
1回300円で月に4回、
夕食の配達サービスを実施
「配食」
は見守り、
ふれあい活動!
一 章
木津川市で行っている「配食サービス」は、調理が困難
2014年8月には、自宅で熱中症のために倒れていた高
な在宅の高齢者に対して、月に4回の夕食をお弁当として
齢者を救ったこともありました。玄関先に配食が置いたま
届けています。対象は在宅の高齢者で、介護保険の認定を
まになっており、不審に思った福祉委員が発見し救出され
受けているなどの条件は特に必要なく、本人からの申し出
ました。これは民間業者の配食サービスを受けていた方の
があれば市が訪問調査を行い、実態に応じて配食サービス
例ですが、配食サービスは単にお弁当を作って配達するだ
を受けられます。費用は1食あたり600円。そのうち300円
けにとどまらず、見守りを兼ねたふれあい活動としての大
が市からの補助金で賄われ、残りの300円を自己負担する
きな役割を担っていると言えるでしょう。
という仕組みです。調理場所は、市の保健センター等3 ヵ
今後の課題は高齢化。各支部福祉委員も高齢化が進み、
所を利用し、毎回10 ~ 14人程のボランティアが調理を行
将来的に活動の継続への不安が出ています。そこで兜台区
います。そこで作られたお弁当が各地域に運ばれて、社協
では公団住宅や民間マンションの協力を得て、住民向けの
支部の福祉委員、民生委員、ボランティアの手で配達され
掲示板で配達員を募集したところ、4人の応募者がありま
ます。
した。活動への協力者を広く求めることによって、課題の
二 章
解決方法が見えてきています。
作る人・運ぶ人・食べる人
それぞれに嬉しい効果が
木津川市
配食サービスを利用する高齢者は、毎週届くお弁当はも
受 託
ちろんのこと、配達員との会話を楽しみにしています。一
木津川市社協
方の配達員は、受け取っていただいた時の「ありがとう」
配食サービス(月4回の夕食)
という笑顔を見ることが大きな喜びになっています。
ている社協の支部役員がいます。阪神淡路大震災を機に
兜台区に引っ越して来た方で、住み慣れた土地を離れ、特
に高齢のお義母様は寂しい思いをされたとのことです。そ
ういった「高齢の方々に少しでも温かな支えを」という気
持ちからボランティア活動をはじめられましたが、活動を
通して「仲間が増え、逆に支えられる」ことも多いそうで
す。活動の担い手、受け手の区別なく、それぞれの立場で
申 請
兜台区には13年ほど前から調理ボランティアに参加し
保健センター
調理
保健センター
配達
支部
ふれあいセンター
各センターにボランティアが10∼14人
社協ボランティア
支部
支部
配達・見守り 福祉委員・民生委員・ボランティア
高齢者宅
高齢者宅
高齢者宅
高齢者宅
この配食サービスに希望を感じていることが分かります。
団体DATA
配食サービス
主な活動地域
◦活動場所:木津川市社会福祉協議会(事務局)
(木津川市木津川端19)
配食を通して、サービスを受ける人が何
◦活動者数:調理ボランティア154人、配達員87人
か困ったことがあった時に、配達員に言
◦利用者数:市内全域では270人
◦活動実績:市内3 ヵ所の保健センター等で、多い時には120
食以上を調理。配達まで含め、すべてボランティ
アによる活動。
◦活動内容:月4回 15:00頃から配達
22
こと
社協からひと市社協
川
津
木
いやすい関係性ができていると思いま
す。配食サービスよって実際に救われた
木津川市全域
命もありました。とても大事な取り組み
だと実感しています。
中尾 和恵さん
いきいき
おはなし
ティア
ボラン
~ん」
「ぴんぽ
サロン活動
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
おしゃべりで笑いながら
楽しく相手を見守る活動
70歳以上の高齢者のお宅を訪ねて、話し相手となるボランティア活動が、大山
崎町で10年以上も続いて行われています。
や情報交換、ボランティアの予定の調整や交流などを行っ
思い出話、趣味の話
楽しく話して過ごそう
ています。
性が白い息を吐きながら、自転車で住宅街を走っていき
ます。彼女たちは、大山崎町社協のボランティアグルー
「ぴんぽ~ん」のボランティアは、現役のボランティア
プ、おはなしいきいきボランティア「ぴんぽ~ん」のメ
メンバーに誘われて加わった人や、大山崎町の広報紙を見
ンバーで、これから利用者宅を訪ねるところです。
てきた人などさまざまです。しかし、加入した時に社協に
グループ名よろしくピンポーンと玄関のチャイムを押
よる説明を受け、初めての活動には、社協の担当者が同行
すと、「さぁ、中へどうぞ!」と岩元妙子さんが扉をあけ
します。
「最初の説明では、傾聴だけではなく、不在時や
ます。20代で故郷の九州を離れ関西の企業に就職して以
緊急時の対応方法などについてもお話しします。また、異
来、岩元さんは大山崎で一人暮らしをしているそうです。
変を感じたら報告するよう頼んでいます」と話すのは、ボ
「長年親しんできた大山崎で、これからも暮らしたい。兄
一 章
利用者の異変を感じたら
すぐに社協に報告
12月のある月曜日の午前10時半より少し前、2人の女
ランティア担当の上田洋子さん。
現在の利用者は5人。多くはケアマネージャーを通じて
弟は遠く離れた九州にいるから、いざというときのため、
の依頼ですが、本人や遠方の家族が「何らかの見守り方法
てくれました。昔から書きためている短歌や、会社員時
はないか」と社協に問い合わせ、利用に至っているケース
代の思い出話を披露するなど岩元さんの豊富な話題に、
もあるそうです。
ボランティア代表の柿木アツ子さんも楽しそうに耳を傾
けています。
訪問日誌
直接会って話ができる
相手の喜ぶ顔がやりがい
ボランティア
二 章
地元の知り合いを増やしたくて」と、依頼の動機を話し
利 用者
カード
町社協開催の研修を受講
偶数月に全体会議
二人一組で訪問
1時間程
“おしゃべり”
「ぴんぽ~ん」
の活動が始まったのは2004年。前身は電
話で傾聴活動を行うテレホンボランティア「さくら」
、
そこ
から「直接会ってお話しができる団体もつくろう」と「ぴ
んぽ~ん」が生まれました。
「私は、相手の喜ぶ顔が見えることにやりがいを感じて
いますが、依頼する人にとってはそれぞれにメリットがあ
利用者
大山崎町
社会福祉協議会
大山崎町に住んでる
70歳以上の一人暮ら
し、ご夫婦二人住ま
い、日中お一人の方
ると思います」とボランティアの一人である深井忠義さん
は言います。
「ぴんぽ~ん」は偶数月に大山崎町社協で「全
利用料無料
体会議」を開催し、ボランティア全員で利用者の状況確認
こと
社協からひと 社協
町
崎
大山
団体DATA
おはなしいきいきボランティア ぴんぽ~ん
主な活動地域
◦活動場所:
(事務局)
大山崎町社会福祉協議会
(大山崎町円明寺百々 10-2)
活動者の人数の動きはありますが、10年
◦活動者数:12人
間活動を継続してこられたのは初期の
◦活動実績:依頼者数は延べ1,063人(2015年3月時点)。
依頼件数は、現在月6 ~ 8件程度。
◦活動内容:70歳以上の独居、夫婦のみ世帯、日中一人で過ごして
いる人などの自宅を訪問し、1時間程度のおしゃべりを
楽しむ。利用料は無料。
メンバーの方々の熱心さのおかげです。
いつまでも活動が続くように応援した
大山崎町全域
いと思います。
西村 典子さん
23
サロン活動
丁目
栄3・4 会
祉
地域福
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
「さりげない見守り」から
「おせっかいな見守り」活動へ
久御山町の
「地域見守りネットワーク事業」
の一環として、栄3・4丁目の地域福
祉会では、年25回に及ぶサロンの開催と声かけ訪問活動が行なわれています。
一人ひとりの健康に留意した、
地域福祉会のサロン
地域住民と協力員とが
近所の人を見守る活動
栄3・4丁目自治会に地域福祉活動の拠点となる地域福
も来てもらえるよう、声かけしていきましょう」
。栄3・4
祉会が立ち上がったのは、1997年の11月。町や校区の平
丁目地域福祉会の10人の協力員と社協職員が、
「いきいき
均より高い37.8%の高齢化率に対応し、2000年から「ふ
サロン」の終了後に、会場となった集会所に残って反省会
れあいサロン」
、
2002年からは「いきいきサロン」を開催。
を開いていました。ここには、血圧測定を行った看護師さ
地域の居場所づくりとしての「誰でもサロン」も2013年
んも出席、
「○○さんの血圧が上がっていました」という
から開催しています。サロンと見守り活動が地域福祉会に
報告には、
「見守りの回数を増やして、注意するようにし
よって結びつき、2014年には京都府社協の「訪問見守り
ましょう」と協力員が話し合います。
ボランティア強化支援事業」の助成を受け、よりきめ細か
このサロンは65歳以上の住民を対象に毎月開催し、町
な見守り活動を行っています。
から派遣された看護師さんが参加者の血圧測定と健康状
「ここは、50年程前にできた住宅街。住民の高齢化、独
二 章
態を聞き取り、町役場で交付される健康手帳に記録しま
居高齢者の増加は重要な地域課題で、サロンを欠席された
す。健康手帳は医療機関への通院にも持って行き、かかり
方には、近所に住む協力員がふくろう隊員活動をかねて見
つけ医師とも情報共有できる仕組みとなっています。
守りを行っています。
」と支部長の田井由美さんは紹介し
サロン活動と結び
地域ぐるみのさりげない見守り
てくれました。
地域見守りネットワーク事業イメージ
京都府の「絆ネット構築支援事業」を実施し、久御山
久御山町社会福祉協議会
町は「地域見守りネットワーク事業」を進めています。こ
れは、社協が民生委員さんや自治会長などの協力機関と
ともに、地域を訪問する業者やお店、地域住民にお願いし
て、一人暮らしのお年寄りや高齢者世帯を地域ぐるみでさ
ま」
、
「新聞がポストに溜まっている」など、いつもと違う
異変に気付いたら町社協に連絡、社協が速やかに状況確認
を行う仕組みです。
地域見守り協力業者
訪問する業者
新聞配達・牛乳配達・配食・ヤ
クルト・生協・郵便局・配達洗
濯・プロパンガス
で、サロン活動と一体に進められています。
(情報誌ai掲載店)協賛企業
地域見守り協力隊
通
報 主な活動地域
東角校区
栄3・4丁目自治会
◦活動者数:福祉協力員10人
◦活動内容:サロン活動、地域の見守り活動
絡
独居・高齢者世帯等
見 守 り 対 象 者
即時対応
連絡・連携
緊急
緊急通報
消防署
「ふくろう隊」という名前には「昼も夜も
目を配る」という意味が込められていま
す。栄3・4丁目地域福祉会のふくろう隊
久御山町
員の皆さんは、揃いのジャンパー姿で独
居高齢者宅の訪問や、小学校周辺の見回
りをしています。
24
出動
こと
社協からひと 社協
町
山
久御
団体DATA
◦活動実績:ふれあいサロン年2回、いきいきサロン年12
回、誰でもサロン年11回。各回20 ~ 30人が
参加
連
社会福祉協議会
075-631-0022
◦活動場所:栄3・4丁目集会所
守り
い見
な
福祉あんしんサポート店
ふくろう隊、その他
栄3・4丁目地域福祉会の見守りもこの取り組みの一環
栄3・4丁目地域福祉会
嘱
行政・地域包括支援セ
ンター・民生児童委員・
消防署・自治会長
行 政
地域包括支援センター
民 生 児 童 委 員・ 自 治 会 長
りげない見守りを行う取り組みです。
「洗濯物が干したま
委
協力機関
協力依頼
さり
げ
一 章
「今日は、いつもより参加者が多かったね」
、
「また次回
大槻 渉さん
サロン活動
リー
フレンド ト
サポー
事業
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
「困ったときはお互いさま」
で支え合う
住民参加型在宅福祉サービス事業
日常生活に支障があって支援を希望する利用会員さんに、同じ地域の住民であ
る協力会員さんがサービスを提供し、その生活を支える
「フレンドリーサポート
事業」
が喜ばれています。
「いざ活動」となるとなかなか集まりません。町社協では
“きめ細かな住民ニーズ”に
応えるサービスを提供
チラシ配布を強化したり、先輩協力会員が養成講座で体験
談を話す機会を設けたりするなどPRを続けました。その甲
斐あって、
「何か役に立ちたい」と考える人たちに徐々に
階に持ってあがるのは大変…。そんな日常の“ちょっとし
浸透し始め、問い合わせも増え、登録者数は14人にまで
た困りごと”を、同じ住民がお手伝いする所がこの事業の
増加しました。
最大の特徴です。公的な制度では利用できないお年寄りや
協力会員の吉川俊治さんは、病院の送迎ボランティアが
障がいをもつ人、産前産後の方、ケガなどにより日常生活
縁で協力会員に登録しました。鉄工所勤務時代の先輩だっ
が困難な方など、何らかの援助を必要とする住民に、同じ
た横田勝夫さんを誘い、
「地域に恩返しを」と、ともに精
地域の協力会員が家事援助や外出の付き添い、庭の草引
力的に活動されています。
一 章
庭の手入れが一人でできにくくなってきた、洗濯物を二
き、掃除や洗濯といったきめ細かな住民ニーズに応える仕
組みです。
住民同士が会員になり
社協がこれをサポート
ん。活動後に協力会員さんには、実費弁償費が支払われま
利用会員
ます」と笑顔で話してくれました。
協力会員は約3倍に
「地域への恩返し」の心で
サ ー ビ ス 依 頼・ 実 費 弁 償 の 支 払
員さんが柔軟に対応してくれるし、一人暮らしには助かり
会 員 登 録・ 活 動 報 告
の担当者が聞き取りに来てくれるので安心。当日は協力会
利 用 券 の 発 行
利用会員の瀬越そよ子さんは、
「依頼する時はまず社協
会員登録・利用申込・利用券の購入
間帯」などを予め登録しておくので、希望する範囲で活動
者が事前に訪問して、お話を伺うようにしています。
協力会員
サービス提供
す。協力会員さんは、
「協力できる内容」
、
「都合のよい時
することができます。また、利用にあたっては社協の担当
サービス利用券を渡す
二 章
協力会員になるためには、特別な資格は必要ありませ
井手町社協
初年度に開催した協力会員養成講座には17人の参加が
ありましたが、登録者は元民生委員や送迎ボランティア経
験者など4人に留まりました。活動に関心はあるものの、
こと
社協からひと 社協
井手町
団体DATA
フレンドリーサポート事業
主な活動地域
◦活動場所:
(事務局)井手町社会福祉協議会
(綴喜郡井手町井手東前田23)
利用会員さんの依頼に、フレキシブル
◦利用者数:利用会員14人
です。幅広い年代の住民への浸透など、
◦活動者数:協力会員14人
に対応できるのがこのサービスの魅力
◦活動実績:家事援助
(掃除・買い物・洗濯など)、外出の付き
添い、草引きなど簡単な庭の手入れ、家具の移動
など
困っている人にきちんと情報が届くよ
◦活動内容:月曜~金曜
(祝祭日・年末年始を除く)
、8:30 ~ 17:00
井手町全域
うに努力していきたいです。
坂井 弥生さん
25
サロン活動
ィア
ランテ
喫 茶ボ
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
笑顔と交流深まる
自由な語りあいの場
っと
てぃ♡ぽ
高齢者が気軽に立ち寄れる場所として、老人福祉センターのロビーで週1回開
かれる
「喫茶店」
(喫茶やすらぎ)
。一緒にお茶を飲みながら、話して笑って、つ
ながりの輪が広がります。
新たな仲間づくりの
きっかけに
にぎやかな笑い声 弾む会話
顔なじみの関係が広がる
一 章
「こんにちは~」
、
「いらっしゃい、ようこそ!」
。火曜日の
オープンから通い続ける70代の男性は、
「男性が気軽に
昼下がり、近所の人たちが続々と集まってきます。訪れた
集まれる貴重な場。昔話から社会の動き、家のことなどみ
「お客さん」たちは、自由にソファーに腰掛け、飲み物やお
なさんの話題が豊富で楽しい」と話してくれます。
「話を
菓子を手に、談笑を始めていきます。ここは町の老人福祉
きっかけに、体操教室や教養講座に参加する仲間ができ
センター、
やすらぎ荘。60歳以上の住民や施設利用者の交
て楽しみが増えた」と話す参加者も。毎月各戸に届く社協
流を深め、憩いの場として、
「喫茶店」が週1回開かれてい
の「ボランティアセンターだより」で喫茶の情報発信も続
ます。設置された「心持ち箱」に100円程度を入れ、コー
け、される方も徐々に増えてきました。光島さんは、
「み
ヒーやオレンジジュースなどの飲み物を一人3杯まで注文
なさんとお話をしながら動いていると自分自身が元気に
できる仕組みです。コーヒーはスタッフが丁寧にドリップ
なるんです」
。帰りの際の「また来週も来るわな!」の一言
して淹れた本格派。専門店にも負けないその美味しさも、
が、ボランティアを継続する大きな原動力になっているよ
人気の秘訣です。
うです。
リーディングや要約筆記のボランティアを行っていた
二 章
リーダーの光島冨美子さんが、
「気軽に集まれる場所を作
りたい」と社協に打診したのが、2011年10月のこと。大
参
加
100円程度(心持ち箱)で3杯
町内在住の60歳以上
者
阪の知人の活動にヒントを得たと言います。社協もこの提
案に共感し、声かけや広報誌でボランティアを募集して打
ち合わせ会を開催し、喫茶ボランティア「てぃ♡ぽっと」
が結成されました。心持ち金でも運営できるよう、社協が
ボランティア
喫茶ボランティア結成
4班編成(4 ~ 5人)
毎月火曜(第5を除く)
喫茶係・厨房係など分担
社
ボランティアグループへ声か
け、ボランティア募集、場所の
提供、備品貸出
管理する老人福祉センターの一角を提供、備品等を貸し出
すなど工夫し、発案から2か月後にはオープンとなりまし
た。社協が主催したボランティア入門講座で活動報告をし
たことをきっかけに7人が新規スタッフに加わり、現在は
18人に増え、4班交代で運営しています。
最近は、近くの障害者福祉施設に通う人々も立ち寄る場
に。老人福祉センターは主に高齢者が施設の利用対象で
すが、障害のある人たちが地域で憩う場が少ないといった
声があることを知り、この「喫茶店」をその場にできない
協
か、と声をかけています。
こと
社協からひと 社協
町
原
田
宇治
団体DATA
宇治田原町喫茶ボランティア
「てぃ♡ぽっと」 主な活動地域
◦活動場所:宇治田原町老人福祉センターやすらぎ荘
(綴喜郡宇治田原町荒木天皇2)
活動者同士をつなぎ、発足のお手伝いを
◦活動者数:18人
す。活動しやすい環境づくりをボラン
することで新たに取り組まれた一例で
◦活動時間:毎週火曜日(第5を除く)13:30 ~ 16:00
◦利用者数:10人前後
◦活動実績:社協福祉まつりへの出店、クリスマス会など
のイベント開催や町事業へ出前喫茶、冬季は
薪ストーブを使ったピザ焼きにも挑戦。
26
ティアさんとともに考えていきたいで
宇治田原町全域
す。
塩見 智歳さん
サロン活動
軽度
助
生活援
ス
サービ
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
ちょっとした手助けが
ありがたい
足腰が弱くなって
「庭木の手入れができない」
「高いところに手が届かず電球が
替えられない」
等の高齢者が抱えるちょっとした困りごとの解消を手伝うサービ
スがあります。
安心して
暮らし続けるために
活動参加のきっかけは
“
恩返し”
の想い
協力会員の一人である辰己照夫さんは、4年前からこの
跡に恵まれた町ですが、若者の町外流出、少子・高齢化の
活動に参加しています。きっかけは、まだ会社勤めをして
加速により耕作放棄地や空き家の増加など暮らしを取り
いた頃、実のお母さんがご近所にお世話になっていたか
巻く状況は、年々厳しさを増しています。この町で高齢者
ら。
「その時の感謝の気持ちから、
少しでも地域のみなさん
が安心して住み続けられるよう取り組んでいることの一
に恩返しをしたい」と辰己さん。自分にできそうにもない
つが「軽度生活援助事業」です。町より事業受託した町社
ことを無理に引き受けないそうですが、できることを少し
協が、協力会員と呼ばれる有償ボランティアとともに実施
ずつ広げる努力もされているそうです。例えば剪定作業。
しています。
一 章
京都府で一番人口の少ない町・笠置町。美しい自然と史
「先日の依頼は月下美人の剪定。不要に見える葉でも来年
サービスの利用ができるのは、町在住の65歳以上のひ
の花のことまで考えながら切らないといけないらしく、素
とり暮らしまたは高齢者世帯。日常生活上の簡易な支援を
人なりに本などで草木のお世話の仕方を勉強しています」
と楽しそう。この活動を通して様々な人と出会い、勉強に
なることもたくさんあったそうです。また、継続して支援
買い物、外出時の援助、朗読・代筆など様々です。また、
している方の体調の変化にも気づくようになり、
「活動の
庭木の剪定作業などで生じた不用品の回収や処理も引き
積み重ねが自然と『見守りの目』も身につけることにつな
受けます。
がっている」とも。最後に「困った時はお互い様。少しで
二 章
行っています。具体的には、草刈や植木の剪定、植木鉢の
土の入れ替え及び育成、屋根のゴミ落とし、食材・食事の
も長く皆様のお役に立つ活動をしていきたい」と力強く話
されました。
軽度生活援助サービスのしくみ
4 サポートへ
利用者
2 訪問
1 申し込み
作業内容・
必要な道具
確認
協力会員
社 協
団体DATA
軽度生活援助サービス
主な活動地域
◦活動場所:笠置町内
こと
社協からひと 社協
笠置町
高齢者の生活を支えるには公的サービ
◦協力会員:8人(男性4人、女性4人)
スの範囲ではできないことがたくさん
◦利用者数:12人(単身世帯11件、高齢者世帯1件)
あります。困りごとを「お互いさま」の気
◦活動実績:2013年度は45回。
◦活動内容:9:00 ~ 17:00。1回2時間以内。必要に応じ
て複数人数で対応。1時間に300円。協力会員に
は1時間700円が実費弁償として。
3 サポート要請
笠置町全域
持ちで住民が助け合う事業です。今後、
さらに協力会員を増やす取り組みを続
けます。
二滝 久美さん
27
サロン活動
高齢者
り
見まわ ル
パトロー
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
企業のCSR活動の一環で
地域の安心と安全を守る!
地域の見守りが必要な高齢者などのお宅を訪問し、声かけを行う。地域の企業
が社協と連携して行っている活動で、これまでにない新たな取り組みの成果を
紹介します。
ゴミ収集車でパトロール
生活サポートとゴミ出しも支援
企業の社会的イメージアップと
従業員の士気向上の効果
一 章
企業のCSR(社会的責任)活動に関する取り組みが広が
「この取り組みを初めて6年目。当初は挨拶もぎこちな
る中で、和束町では一般廃棄物の収集運搬とリサイクルを
かった従業員が、利用者との会話でちょっとした変化にも
行う株式会社大北リサイクルが、町社協と連携してお年寄
気づくようになりました」と、大北リサイクルの前出一也
りの見まわりパトロールを実施しています。
さん。利用者に「いつもご苦労さん、
あんたも気をつけや」
家庭ごみの収集がある毎週木曜日に、大北リサイクルの
と逆に励まされて元気をもらうことも多く、従業員のやる
従業員が「見まわり巡回員」として、事前に申請した高齢
気と責任感が高まっているそうです。
者や障がいのある方のお宅を訪問し、玄関先での声かけや
大北リサイクルは、町内の清掃活動など、見まわりパト
ゴミ出しなど暮らしをサポートする活動です。活動後は町
ロール以外でも社協と情報交換する機会を持つようにし
社協に報告書を提出し、利用者の様子を知らせています。
ているとのこと。
「他にも地域福祉に携わりたいと考えて
利用者の異変に気付いた場合や相談を受けた場合には、す
いる企業はあるはず。社協の働きかけが増えれば、別の新
みやかに町社協に報告し、社協が本人に確認する仕組みに
しい取り組みが広がると思う」と、前出さんは実感を込め
なっています。
て話しています。
二 章
見守りで広がる
暮らしの安心と地域のつながり
毎週1回訪問
安否確認
利 用 者
和束町では家庭ゴミを集積場まで持っていく必要があ
訪問カレンダー
り、山間部に住む高齢者にとっては暮らしの不安の一つと
◦75歳以上の一人暮らしの
高齢者
なっています。こうした背景の中で、
地域展開型のCSR活動
を模索していた大北リサイクルが、
町社協に相談してゴミ出
しを兼ねた見守り活動の実践を決定。活動をはじめるにあ
暮らしの軽度援助
◦75歳以上の高齢者世帯
◦日常生活に介助、介護を必
要とする障がい者世帯
毎月1回訪問
たって、従業員は地域の特性や高齢者との接し方、言葉づ
事前登録
かいなどを学び、2009年3月に活動をスタートさせました。
利用を申請された方には、事前に社協職員と大北リサイ
和 束 町
社 会 福 祉
協 議 会
クルの従業員が訪問し、活動内容を説明します。社協はパ
トロールカレンダーを配布、その際に住民のニーズを聞き
取っています。また、ケアマネージャーや地域包括支援セ
報 告 書
誓 約 書
(株)大北リサイクル
高齢者見回り
パトロール勉強会
◦高齢者見回りパトロール
◦利用者との接し方、心がけ
ておきたいこと
◦声かけの仕方
◦緊急時の対応
など
ンターとも連携して、利用希望者の掘り起こしも行っていま
す。
こと
社協からひと 社協
和束町
団体DATA
(株)
大北リサイクル 「高齢者見まわりパトロール」
主な活動地域
◦活動場所:和束町全域・笠置町の一部
資源も企業も少ない地域。だからこそ、
◦利用者数:10軒
ともに手を取り合い、福祉に取り組むこ
◦活動時間:毎週木曜日(和束町)、毎週金曜日(笠置町)の午前9時45
分ごろ
◦活動実績:75歳以上の一人暮らし高齢者および高齢者世帯、日常生
活に介助や介護を必要とする障がい者世帯を対象にし
た、見まわり巡回員による安否確認と暮らしのサポート
28
とが大事だと考えています。この取り組
みを前例とし、さらに発展させていきた
和束町全域・
笠置町の一部
いと思っています。
山下 貴志さん
サロン活動
地域
馬渕小 会
員
福祉委
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
地域で取り組む
住民主体の助け合い活動
多様な世代や地域の各団体が参加できる活動をひろげ、ともに助け合えるつな
がりづくりがすすめられています。
地域コミュニティと連携した
助け合いの地域づくり
関西文化学術研究都市として新興住宅地の開発が進み、
馬渕小地域福祉委員会活動で今、最も力を入れている
のが高齢者の見守り活動。見守り活動をしようと話し合っ
た際、何も用がないのにわざわざ「見守る」ことはないだ
ろうと委員会の中で意見が出たそうです。そこで着目した
のが年5回もある大型ごみの収集です。高齢者にとって捨
を下回り、高齢化を迎えるにはまだ時間的なゆとりがある
てたい家電や家具があっても収集場まで出しに行くのは
と言えます。その中で、馬渕地区は、昭和40年代以降の
一苦労。大型ごみの収集日の前には一人暮らしや高齢者世
住宅開発コミュニティであり、精華町の中では高齢化率は
帯の各家を回り、
「大型ごみで出しにくいものはないです
31.4%と高めです。
か」
「我々が協力して出しますよ」と訪問します。その際
少子高齢化、核家族化の進む地域で住民同士のふれあ
い、助け合いをテーマに取り組みを始めています。
に、
「最近、お体どうですか」
「困りごとはないですか」と
聞きながら回る見守りと生活支援をあわせた活動です。
その中心となっているのが、住民主体の馬渕小地域福祉
委員会。自治会長が代表となり、老人会、子育てサロン、
一 章
流入人口が増えた精華町。高齢化率は20.3%と全国平均
馬渕小地域福祉委員会は、住み慣れた地域で、これから
も安心して住み続けていける地域をめざしています。
高齢者サロン、民生委員、消防団など、既存の各団体を
ネットワークで結び、世代間交流などで地域の活性化と助
す。
二 章
け合いの風土を地域に根付かせることを目的としていま
老人
クラブ
親睦を目的とした活動から
地域の安心と安全を高める活動へ
子育て
サロン
子ども会
馬渕小地域福祉委員会の活動は、地域のイベントを利用
地区福祉
推進委員
した、世代間交流、高齢者の昼食会、見守り活動とコラボ
した生活支援です。代表の白川さんが「馬渕は約190世帯
が集まる非常に仲の良い地域です」と言われるように地域
の夏祭りやクリスマス会などのイベントには子どもから
各種サークル、
ゴルフ、
グラウンド・ゴルフ、
囲碁、
将棋など
自治会
高齢者までたくさんの人が集まり、顔の見える関係作りの
場となっています。独居高齢者を中心とした昼食会は年に
高齢者
サロン
1回実施され、住み慣れた地域で安心した生活を送ること
ができるように、高齢者と小地域福祉委員会との交流の場
消防団
小地域
福祉委員会
民生委員
となり、お互いの近況を話したり、困りごとの相談をした
りと、和気あいあいとした雰囲気の中行われます。
こと
社協からひと 社協
町
華
精
団体DATA
馬渕小地域福祉委員会
主な活動地域
◦活動場所:精華町菅井馬渕
見守り活動などこの取り組みを
「見える
◦活動者数:小地域福祉委員19人
化」
することで、子どもから高齢者まで浸
◦利用者数:約500人
透しており、住人のニーズを住人が把握
◦活動内容:喫茶や見守り活動、生活支援、高齢者の昼食会、
世代間交流
するようになりました。しっかり継続でき
精華町
馬渕
るよう、社協もサポートしていきます。
服部 亜紀子さん
29
サロン活動
援
外出支
ス
ビ
サー
絆
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
ボランティア活動から始まる
地域活動と絆
京都府で唯一の村である南山城村。村社協の
「外出支援サービス事業」
は運転ボ
ランティアに支えられ実施しています。
は支部長が高齢者宅を直接訪問して調整。運転は運転ボ
山間地ならではの
困りごとに応える
ランティアが務め、社協は公用車を貸し出すという仕組み
です。車の定員の関係上、1回につき参加できるのは5人
一 章
南山城村は、約4分の3が山林で占められており、軽自
まで。運転手と付き添いの介助ボランティアを含め総勢8
動車がかろうじて通れる山道が多い山間地。商店や病院も
人での「買い物ツアー」は、往きの車中からお互いの近況
少なく、隣接する三重県や奈良県まで足を伸ばす人が多い
報告等に花が咲き、大変賑やか。事前に買い物リストを作
地域です。しかし、電車やバス等の公共交通機関も十分で
るほど楽しみにしている方も。何気ない会話の中でポロっ
はないため、足腰が弱まり歩行が困難になっている方や車
と本音が出ることもありお互いの生活の困りごとを共有
を運転しない高齢者にとっては、
“移動手段がなく、通院
する場にもなりつつあります。初回の取り組みが大変好評
さえままならない”ということが大きな困りごとでした。
で、要望に応えるかたちで2014年10月からは毎月1回の
そうした背景から、病院への送迎等を主とした「外出支援
開催を継続しています。この高尾地区の「買い物ツアー」
サービス」が誕生し、現在15名の協力会員(通称:運転ボ
は、外出支援サービスが基盤となって、そこから一歩先の
ランティア)が活躍しています。運転者講習会を欠かさず
活動につながった事例ですが、村では、他地区でも「買い
二 章
交通安全に努めていることはもとより、運転ボランティア
物ツアー」が必要かもしれない、
村外への「買い物ツアー」
と社協が「送迎会議」
(月1回)で活動内容を確認・協議
によって村内の商店に影響はないだろうか、地元商店の
し、より良い活動になるようにと地道な取り組みをすすめ
活性化につながることはできないだろうか…といった面
ています。年間送迎回数1076回、活動時間2178時間、延
からの新たな検討も始まっています。今後の展開に注目で
利用者数375名。送迎車両はほぼフル回転状況が続いてい
す。
ます。利用されている方からは「外出が気分転換になる」
「家族には負担をかけらないから助かる」という感想が多
高尾支部
く寄せられ、大変喜ばれています。
定期的なサロン活動
年2回の外出行事
外出支援のその先に
「外出したい」という
お年寄りの希望に
活発な外出支援サービスの現状を見聞きして、高尾地
区より「買い物に行けなくて困っている人がいる」という
高尾ふれあいサロン
買い物ツアー
SOSが入りました。高尾地区は茶畑が広がる急斜面の土地
に家が散在し、バス路線からも離れているという特に交通
アクセスが不便な地区。そこで、運転ボランティアと社協
高尾支部と村社協の3者がアイデアを持ち寄り「買い物ツ
応えるサービス
外出支援サービス
社会福祉協議会
絆
運転ボランティア
月1回の送迎会議
年1回の安全運転者講習
車輌の貸出
アー」を企画することになりました。参加者のとりまとめ
団体DATA
外出支援サービス 絆
主な活動地域
◦活動場所:南山城村社会福祉協議会
(南山城村北大河原大稲場4)
同じ地域に暮らす住民同士の
「お互いさ
◦利用者数:登録者132人
活動です。ボランティアをはじめとする
んやで」という温かい気持ちが行き交う
◦活動者数:15人
住民のみなさんと一緒に、ここからまた
◦活動実績:2013年度は1,378時間
◦活動内容:一般交通機関の利用が困難な高齢者に対する
病院送迎・院内介助。
30
こと
社協からひと 社協
村
城
南山
南山城村全域
新しい活動にもつなげていきたいです
ね。
サロン活動
ロン
竹野サ
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
地域のつながりが財産
多世代による地域のつどいの場
発足からわずか1年で延べ2600人以上も来場したサロン、このあらたな地域の
拠点が、住民をつなぐ大きな役割を担っています。
夢を叶える合言葉は、
「とりあえずやろかいな!」
ること」と言います。
週1回の参加者は平均56人。男性の参加も多く、囲碁や
将棋、農作業の話など情報交換の場にもなっています。ち
ぎり絵や写真などの作品展示、隣接する広場でのグラウン
の全校児童は30人程にまで減少し、着実に過疎化と少子
ド・ゴルフ、会報誌「竹野サロン」の発行など、魅力ある
化、高齢化が進む中で、2013年6月に竹野地区の9つの集
サロンを目指して徳岡さんやほほえみの会のメンバーが
落が手を結び、
「竹野活性化委員会」が設立されました。
この住民自治組織は、体育部会・文化部会・産業部会・
サロン部会の4部門で構成され、体育部会では小学校の子
工夫を凝らしています。ちぎり絵講師の山本愛子さんは、
「サロンに作品を展示することが、みなさんの励みになっ
ているようです」と話します。
どもたちと地域住民による合同の運動会の実施、また、会
子どもたちによる「盛り上げ隊」
サロンで世代間交流
員の得意分野を活かし、地域の子どもたちの様子やイベン
トをショートムービーにして地元のケーブルテレビで発
信するなど、多様な取り組みを行っています。サロン部会
竹野小学校の児童たちによる出前発表の日のサロンは、
一段と賑やかになります。合唱やリコーダーの演奏、手遊
びが披露され、子どももお年寄りも笑顔が絶えない時間が
地域で活動していたボランティア組織「ほほえみの会」の
流れます。子どもたちは「竹野サロン盛り上げ隊」を結成
メンバーが中心となり、喫茶室を備えたサロンが運営され
し、
「サロンの一日店長」といった企画や展示を考えるな
ど運営の一役も担っています。世代を超えた交流の場とな
二 章
では2013年10月に、
「みんなで気軽に集まって、おしゃべ
りできる場所を」と「竹野サロン」を開設。もともとこの
ることになりました。
一 章
京丹波町内でも高齢化率が高い竹野地区。竹野小学校
り、子どもたちにとっても大切な場所として根付いてきて
ゆっくり過ごせる喫茶は
日常の情報交換の場
います。
徳岡さんは、
「この地域は、産業も観光もない。だけど、
「こんにちは!」と受付で声をかけるのは、サロン部会長
の徳岡信男さん。
「毎週この日を楽しみにしています」と
人のつながり、交流がある」と、人と人がつながって地域
が着実に変わりつつあることを実感しています。
にっこり笑う参加者は、飲み物を手にゆったりとおしゃべ
りを楽しんでいます。
体 育 部 会
喫茶室で提供するのは、コーヒーと紅茶、それに特産の
黒豆茶。お茶を冷めにくくするためにカップを煮沸して提
供するなど細やかな気配りも。喫茶長の滝村咲子さんは、
「農閑期には家にこもりがちになるお年寄りも多く、サロ
竹野活性化委員会
ンに通うことが家から出るきっかけづくりになればと思
こと
社協からひと 社協
町
波
京丹
団体DATA
主な活動地域
◦活動場所:京都・丹波食彩の工房
(京丹波町高岡島田23)
これまで集落ごとに実施されているふれ
◦活動者数:27人
◦利用者数:平均56人、
2014年11月時点の利用者数は延べ2600人
◦活動内容:喫茶を中心に、展示や囲碁・将棋、グラウン
ド・ゴルフ、会報誌「竹野サロン」の発行など
◦活動時間:毎週木曜日 10:00 ~ 15:00
産 業 部 会
サロン部会
います。私たちの目的は、いつまでも元気で通ってもらえ
竹野活性化委員会
「竹野サロン」
文 化 部 会
あいサロンも大切にしながら、広域的な
京丹波町
竹野地区
「竹野サロン」
とつなぐパイプ役でありた
いと考えています。
山崎 由樹さん
31
サロン活動
ロン
男性サ
教室
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
独居高齢男性の孤立を防ぐ
地域の居場所づくり
高齢化率が府内で最も高い伊根町。その中で独居男性の閉じこもりを防ぎ、仲
間づくりを進めようと、一人暮らしの高齢男性のためのサロンが開かれています。
芸士、公務員など様々で、昼食の後にはそれぞれの趣味や
食卓を囲む幸せを
再確認できる昼食づくり
得意分野の「先生」となり、率先してモノづくりやスポー
ツに取り組みます。ポイントは、班単位の作業を多く取り
「ちょっと薄味すぎたか?」
、
「こっちでネギ切ってるで」
。
入れ、自分がやらないと結果がでない仕組みがあること。
一 章
伊根町老人福祉センター「泊泉苑」の栄養指導室から聞こ
一人ひとりの役割と居場所を作ることで、心に張りが出る
える賑やかな声。ピンクやオレンジのエプロンと三角巾を
と言います。
身につけた男性たちが、コンロや調理台に向かいます。
地域ぐるみで支え合って
多彩な活動を実現
彼らは伊根町社協の事業、
「男性サロン」の参加者たち。
サロン活動の一つ、昼食づくりに取り組んでいます。調理
から盛り付け、片付けまでを自分たちで行うので、自然と
「参加する方はほとんど外食することがないので、たま
身体を動かす量が増え、会話も弾みます。
「以前は台所に
にナイフとフォークを使った洋食にも挑戦します」と話す
立つことはなかったけど、今では習った料理を家でも作る
のは、メニューを考案する栄養士の小西二美子さん。地
ようになったよ」
、参加者の一人が、自身の変化について
元の小学校に掛け合って、食器類を貸出してもらっていま
す。また、保健センターの協力で保健師による健康チェッ
教えてくれました。
クや、駐在所による犯罪予防講演会、年に1回は役場のマ
二 章
参加者の元気を生み出す
役割分担の工夫
イクロバスで遠足も実施。年に一度男性サロンをされてい
る他町との交流会も行い、ハンドベル等の練習の成果も披
伊根町は65歳以上のお年寄りが1,021人と43.4%を超
露しています。地域の多様な機関と積極的に連携すること
え、そのうち一人暮らしが224人(2014年4月現在)の
で、より充実した活動を実現しています。
「超超高齢社会」
。中でも一人暮らしの男性は多く、地域で
孤立しないようにという社協の働きかけで、65歳以上の
独居男性が気軽に集まれる男性サロンが2009年に設立
されました。
もともと顔見知りが多い地区。社協職員の呼びかけに、
元民生委員や栄養教諭ら3人のボランティアスタッフが集
結。これまで培ってきたネットワークを活かして、地域に
声をかけるとすぐに反応があったと言います。サロンの前
日に社協の職員が電話で参加を確認、当日は職員とスタッ
フが協力して声かけをするなど、利用者の些細な変化も見
逃さないようなフォロー体制を作っています。
参加した人たちのかつての職業は、漁師、農家、伝統工
団体DATA
ふれあいサロン
「男性サロン教室」
◦活動場所:伊根町老人福祉センター 泊泉苑
(与謝郡伊根町字泊1)
◦利用者数:ボランティア3人、社協職員
◦活動時間:月1回(第3木曜日)10:00 ~ 15:00ごろ
◦活動実績:健康チェックや調理実習、レクリエーションなど。
特技を活かした趣味創作活動も実施
主な活動地域
伊根町全域
こと
社協からひと 社協
町
根
伊
誰もが
「楽しみ」
と口を揃えるのが、セン
ター併設の温泉に入ること。健康のためだ
けではなく、
互いの独居生活の悩みや知恵
を出しあう機会にもなっています。まさに
裸の付き合いを通して仲間意識が芽生え
ています。
32
奥野 みどりさん
サロン活動
耳みに
サロン
見守り活動
配食サービス
生活支援ボランティア
生活支援サービス
その他
孤立しがちな難聴者の自信と
笑顔を取り戻すふれあいサロン
かつては丹後ちりめんで栄えた与謝野町旧加悦町エリア
(地域)
。その中心に建
つ町立加悦社会福祉センターの一室で、
「耳みにサロン」
は開かれています。参
加者からは
「居場所ができた」
と感謝の言葉が寄せられています。
難聴者の切実なニーズを拾い、
スタッフの養成からスタート
京都府北部の丹後地域は、長年、織り機の大きな音の中
「このサロンでは何度聞き返しても大丈夫だから、安心し
て本当に楽しく過ごせる」
、
「今までは話すのが苦手だった
けれど、ここに来るようになって自信がついた」といった
参加者からは喜びの声が聞かれます。
らいお年寄りが多いのではないかと言われてきたそうで
ボランティアスタッフの大江京子さんは、
「私たちは普
す。10数年前に社協(旧加悦町社協)が開催した「耳の
段、ヘルパーや塾講師など仕事をしています。日程調整が
ことなんでも相談会」では、聞こえづらいために、
「会話
大変で、当初はうまく進行もできず、慣れるのに3年かかっ
が一方通行になってしまうことが苦痛で外出しなくなっ
た」と振り返ります。スタッフ仲間は、全員が仕事を持っ
た」
、
「家族にも“どうせ話しても分からない”と無視され
て働いている女性です。有給休暇やシフトのやりくりなど
てしまい辛い」
、
「障害者手帳は持っていないので、支援が
をして、ボランティアで毎月サロンを開催しています。
「み
受けられない」
――。そうした悩みが多数寄せられました。
なさんが私たちに期待や信頼を寄せてくださるので、続け
「同じ悩みを持つ者同士が集まれる場が欲しい!」という切
実な訴えに応える形で、耳みにサロンは始まりました。
一 章
で仕事をしてきたことが影響しているのか、耳が聞こえづ
方には、話した内容や状況を要約筆記で伝えていきます。
られています」
。笑顔の背景には、
参加者とボランティア仲
間との深い絆があるようです。
とはいえ、当初は要約筆記ができる人も少なく、実施で
二 章
きたのは年3回のみと限られていました。それでも、利用
される方からの要望が高く、開催回数を増やすことができ
ないか、と社協がスタッフ養成を兼ねた要約筆記講座を開
催したところ、受講修了者7人全員がボランティアスタッ
フとなることを表明。以降、毎月1回、ボランティアスタッ
フの自主的な運営による開催が実現できています。2月の
この日のお楽しみプログラム(バルーンアートの体験)で
は、ボランティアスタッフが講師、ホワイトボードでの記
録係、要約筆記に分かれ、抜群のチームワークで参加者の
笑顔を引き出し、終始にぎやかな時間が流れていました。
壁を乗り越え12年
参加者との絆が継続の糧に
聞こえづらいといっても、人によって聞こえる状態はさ
まざま。サロン内では、参加者の補聴器を補助する専用マ
イクを使用して進行していますが、それでも聞こえづらい
こと
社協からひと 社協
町
野
与謝
団体DATA
与謝野町 耳みにサロン
主な活動地域
◦活動場所:町立加悦社会福祉センター
(与謝野町字加悦715番地2)
◦活動時間:毎月第2水曜日の10時~ 11時半
◦活動者数:8人
(ボランティアスタッフ7人、運転
ボランティア1人)
◦利用者数:15人
加悦地域
与謝野町
◦活動実績:年に2回は町の協力を得て、町のバスを使って花見や遠
足を実施。この日を心待ちにする人が多い。
耳の聞こえづらい高齢者は外でも家でも
孤立しがちです。そんな心のすき間を、
こ
のサロンでサポートしています。活動者と
社協が互いに協力しながら、キラリと光る
活動を長く続けていきたいです。
安枝 尚美さん
33
おわりに
本会では、平成 24 ~ 25 年度に「京都地域包括ケア推進団
体交付金」を受け、
「住民による地域福祉活動の実践」と「地
域包括支援センターや市町村社協等の専門職による実践」の
充実・強化を図るため、地域での活動実践をもとにした啓発
冊子「地域の力」の作成と専門職と住民の協働に関する研修
会を実施してきました。
このような中、今回は「暮らし続けたいと思う地域づくり」
の具体実践である住民主体の福祉活動を 25 事例を掲載する
冊子を作成することとしました。あらためて、取材に御協力
くださった皆様方に感謝申し上げます。取材させていただい
た多彩な地域住民による自発的で開拓的な活動は、その地域
で暮らすという人々のエネルギーを強く感じることのできる
ものばかりでした。
平成 27 年度より介護保険制度改正や生活困窮者自立支援
の施行等福祉制度が大きく変化する中で、地域の活動、地域
住民の力に大きな期待が寄せられています。地域福祉を推進
する中核として位置づけられている社会福祉協議会
(社会福
祉法 109 条)はどのような役割を果たしていくのか。あらた
めてこれまで大切にしてきた地域づくりの大原則である“住
民主体”ということに立ち返る機会ともとらえています。本
冊子では、既存の住民福祉活動が安易にサービスとして位置
づけられることがないようなメッセージを発信し、
『
「住民を
活用」した地域包括ケアシステム』ではなく『
「住民主体」の
地域包括ケアシステム』の構築についてともに考えていける
きっかけになるようにとの視点も盛り込みました。
本冊子がお読みくださった皆さまの実践の糧になれば幸い
です。
社会福祉法人 京都府社会福祉協議会
34
地域の力Part2
~つながり・支えあう地域づくり~
平成27年3月 発行
発 行
社会福祉法人 京都府社会福祉協議会
〒604 0874
京都市中京区竹屋町通烏丸東入ル清水町375
ハートピア京都 5 F
TEL.(075)252 6294/FAX.(075)252 6310
HP http://www.kyoshakyo.or.jp/
編集・印刷
株式会社 きかんしコム
地域の力 ~つながり・支えあう地域づくり~
力
地域の
Part 2
~つながり・支えあう地域づくり~
〒604–0874
京都市中京区竹屋町通烏丸東入ル清水町375
ハートピア京都内
TEL(075)252–6294 FAX(075)252–6310
社会福祉法人 京都府社会福祉協議会
社会福祉法人 京都府社会福祉協議会
社会福祉法人 京都府社会福祉協議会