栄養療法を効かせるこつ

栄養療法を効かせるこつ
貴方のサプリが効かない理由
宮澤医院
宮澤賢史
摂るサプリ、
どうやって決めていますか?
自分の勘、宣伝、評判でサプリメントを決めることは
• 血糖値を測らないでインスリン注射をすること
• 血圧を測らずに、降圧剤を飲むこと
と同じ
私の栄養療法
①細胞の機能を修復する
・疲労はミトコンドリア機能低下
②脳は栄養の効果が出やすい
・カフェイン、アルコール
③目的によって量を使い分ける
・サプリメントは、欠乏症を補うためだけのものではない
④サプリメントが効かない場合
・邪魔している原因をさがす
①細胞の機能を修復する
普通の栄養学
全身や臓器を元気にする
・肝臓にウコン
・腸に乳酸菌
・目にブルーベリー
分子栄養学
細胞を元気にするアプローチ
37才女性 慢性疲労
とにかく疲れやすい
朝が起きられない、休みの日は1日中寝ている
不妊症
不妊治療中
強迫神経症
車を運転するたびにニュースを見てしまう
この3つに共通することは?
ミトコンドリア
細胞の中でエネルギーを作っている場所
ニュートン 細胞の仕組みビジュアル図解より
「疲れやすい」ということは、
「細胞のミトコンドリアの働きが悪い」ということ
ミトコンドリアは脳と筋肉に多い
脳下垂体の細胞内
働きが悪いと
うつ、発達障害、
強迫神経症
筋繊維の細胞内
働きが悪いと
筋緊張低下
つかれやすい
ニュートン 細胞の仕組みビジュアル図解より
不妊症はミトコンドリア病
女性の生殖細胞である卵子はとりわけミトコンドリア数が多く、
卵子ひとつあたり10万個ものミトコンドリアが含まれている。
排卵から受精まで、
健康に子宮内に着床するための多くのエネルギー源を、
すべて当初持ち込んだミトコンドリアでまかなう必要がある
ミトコンドリアの不調や老化によって活性酸素が増えてしまうと、
妊娠のエネルギー源が欠乏し、排卵障害や受精障害、着床障害
といった症状を引き起こす
37才女性 慢性疲労
とにかく疲れやすい
朝が起きられない、休みの日は1日中寝ている
不妊症
不妊治療中
強迫神経症
車を運転するたびにニュースを見てしまう
この患者さんはミトコンドリアの働きが落ちている
肝臓も脳も筋肉も卵細胞も基本構造は同じ
ミトコンドリアを持ち、栄養で動いている
細胞を元気にすることで、すべての臓器、全身が改善する
ミトコンドリアは
栄養療法の大きなターゲット
人間の3大アラーム
痛み 発熱 疲労
細胞の機能障害
健康診断の数値を
栄養状態の見方に応用する
•GOT(肝臓、心臓、筋肉)
•GPT(肝臓)
•臓器が破壊されると、血液中に出てくる
•臓器の破壊など、炎症で上昇
(脂肪肝、ウイルス肝炎)
機能低下、代謝低下で低下
(アミノ酸、ビタミンB6)
酵素、 補酵素の活性が低下している
酵素とは何か?
• 化学反応を触媒(スピードを速める)するもの
• 通常の炭
• 消し炭
→ 燃え
燃えにくい
にくい
→ 燃えやすい
燃えやすい
• 酸化カリウム、タバコの灰
酸化カリウム、タバコの灰
• アルコールランプ
• 白金カイロ
白金カイロ
→ 高熱で燃える
→ 低熱でも燃える
• 人体
→ 低熱(36.5度)でも燃える(血や肉になる)
度)でも燃える(血や肉になる)
低熱(
• タバコの灰、カリウム
タバコの灰、カリウム、体内の酵素
カリウム、体内の酵素は触媒として働いている。
、体内の酵素は触媒として働いている。
酵素の鍵穴理論
• 酵素は人により形が異なる
• 補酵素(ビタミン)の形は皆同じ
• 酵素と補酵素がうまく結合する人としない人がいる
• 結合しにくい人は、補酵素の量を増やせばよい
ミトコンドリアには
ビタミンBが不可欠
ビタミンB6は様々なアミノ基転移酵素の補酵素としてはたらくが、
その中でもGOT,GPTの活性が特に高い。
だから、これらの量を測定する事で、ビタミンBの過不足を推定す
る
GOT>GPTで、差が2以上開いていた場合、ビタミンB6が足りな
い
⇒ミトコンドリアの働きが悪いかもしれない
血液検査から栄養状態を読み取る
①たん白質不足
②脂肪肝
③鉄不足
④ビタミンB群不足
⑤血糖調節障害
⑥亜鉛、銅バランス
⑦カルシウム、マグネシウム
の過不足
⑧酸化ストレス
⑨抗酸化力
⑩交感神経の緊張状態
⑪筋肉量
治療
・ヘム鉄、ビタミンBコンプレックスによる貧血、ビタミンB不足の改善
・乳酸菌、グルタミンによる腸内環境改善
・ビタミンC点滴によるストレスの緩和
・キレーション治療による重金属の解毒
②脳は栄養の効果が出やすい
“他の臓器と比べて脳機能は組成している分子化合物や
その構造に深い依存傾向がある”
ライナス・ポーリング
Science, 1968;160:265-271
「精神疾患は精神障害ではなく、
精神面に症状として現れる生化学的障害である」
A・ホッファー
他に、栄養療法が得意なのは、
・ 慢性疲労
・ 栄養不足が原因の病気(壊血病、くる病、貧血)
・ 細胞の機能低下が原因の病気(パーキンソン病、心不全)
統合失調症の生化学的原因
Michael Lesser
神経細胞の中を信号が伝わり、脳が動く
神経細胞の軸索を伝わる信号がシナプスに伝わると、シナプスから神経伝達物
質が放出され、これが次の神経細胞を刺激する。
心の病気の時にはこの信号がうまく伝わらない
電気刺激
電気がちゃんと通るように絶縁がし
っかりしなくてはならない
⇒ 脳は脂質のかたまり DHA
+
神経伝達物質
様々な神経伝達物質は、アミノ酸
から生化学的につくられる
補酵素としてビタミンB群が重要
神経伝達物質の補因子
エピネフリン
SAMe 葉酸
ビタミンB
ノルエピネフリン
ビタミンC
B6 銅
ドーパミン
セロトニン
ビタミンB3
ビタミンC
5-HTP
ビタミンB6
L-ドーパ
葉酸 Mg
B6 亜鉛 SAMe
L-トリプトファン
GABA
ビタミンB6
亜鉛>銅
×水銀
グルタミン酸
ビタミンB6
B3 B12
L-グルタミン
L-チロシン
サプリメントで、神経伝達物質のバランスをとり遺伝的に弱い部分をカバーする
ドーパミン過剰に対する薬物治療と栄養療法
薬物
療法
統合失調症はドーパミンが過剰にでてしまう病気
しかし、薬でドーパミン作用を抑制しすぎると
薬剤性パーキンソン病を引き起こす
ノルエピネフリン
栄養
療法
ビタミンC
B6 銅
ドーパミン
症状とデータを見ながら補酵素を足していく
③目的によって量を使い分ける
そもそも、ビタミンの歴史は欠乏症の歴史であった
ビタミンA
眼球乾燥症(Retina →Retinol)
ビタミンB1 脚気(江戸患い)ウェルニッケ脳症
ビタミンC ascorbic acid
(anti-scorby-acid 壊血病に対抗する酸)
生存のために微量に必要な栄養素だから、欠乏症にならないよ
うに最低限摂ることが推奨されてきた
サプリメントは、
欠乏症を補うためだけのものではない
分子栄養学の栄養処方
今までのサプリメントの考え方
栄養の推奨量を食事で
満たせていない人が、
栄養欠乏を補うために
必要最低限の量を摂取する
細胞働きを正常化するために、
サプリメントを薬として使う
⇒個人差、使う目的によって
量が変わる
⇒欠乏量を補うよりも
はるかに多いこともある
ビタミンC その1 傷を治りやすくする
モルモットの腹につけた
傷あとが強くなった
モルモットの歯茎の
傷の治癒期間が短くなった
ビタミンC投与量
治癒期間
20mg/day
8days
2mg/day
12days
無投与
17days
1967、コリンズら
Barn,1946
ビタミンC その2 白血球の機能を上げる
• ビタミンCの摂取量を増やすと、自血球
の遊走性が亢進する
(アンダーソン 1981、1982。パヌシュら
1982)
• ビタミンC10gの経口摂取で不活化が実
証されているウイルス
ポリオウイルス、ヘルペスウイルス、インフ
ルエンザウイルス、コクサツキーウイル
ス、狂犬病ウイルス
風邪に対する処方
・治癒は不可能だが、症状は軽減できる。しかも量が多
いほど症状も軽い
30スタディのレビュー Douglasら(2000)
• Gortonら二重盲検試験(1999)
平常時から1日3回、1000mgのVCを摂取
風邪の症状がでたら速やかに1時間おきに6回1000
mgの摂取、その後は平常時と同じ量を続ける。
→ プラセボグループに比べて、85%症状減!
• 通常のVCのbowel toleranceは4-15g
これがmild coldでは 30-60g, severe coldでは60-120g
以上(Cathcort)
ビタミンCを頻回摂取すると
ビタミンCが排泄される4時間以内に次のビタミンCを摂取することで
血中濃度を上昇させることができる
ビタミンC1g 4時間おき
最高血中濃度 1.4mg/dl
ビタミンC1g 1時間おき
最高血中濃度 3.9mg/dl
Stieve Hickey
1
20
80
150
ビタミンC その3 副腎を癒す
副腎疲労症候群
「副腎が働きすぎて疲れ、ストレスを処理しきれなくなった状態」
食物から摂取
自分で作る
14g
7g
500mg
60mg
200mg
ビタミンCの至適量
•
•
•
•
傷を治りやすくする ⇒ 100mg
風邪 ⇒1-10g
副腎疲労 ⇒数10g
がん ⇒ 100g
• 目的と個体差によって使いわける
つまり、栄養療法を効かせるためには
① 検査をして足りない栄養を調べる
② 栄養療法が得意とする疾患を知る
③ 最適な量をつかう
但し、実際には理論どおりいかない場合が多い
④サプリメントが効かない場合
サプリメントは栄養の効率の道具である
不足している栄養を補えるように作られている
サプリメントを摂っても効かない場合、
邪魔している原因を探す必要がある
•
•
•
•
•
消費の亢進?
(子宮筋腫)
摂取量の不足?
(ビタミンC)
消化吸収の不備?
(胃腸障害)
他の栄養素との関係性は? (ブラザーイオン)
その他(感染、重金属、ストレスなど)
足りない栄養素≠摂るべき栄養素の事もしばしばある。
副腎疲労が治らない原因
その1 胃腸の問題
日本人の胃腸は、
・胃酸が出ていない(さらにピロリ菌、胃薬のはんらん)
胃酸が出ていない(さらにピロリ菌、胃薬のはんらん)
・消化酵素が少ない
タンパク分解酵素ペプシンは
タンパク分解酵素ペプシンは胃酸
ペプシンは胃酸によって活性化される
胃酸によって活性化される
ミネラルは胃酸
ミネラルは胃酸によってイオン化されてはじめて吸収される
胃酸によってイオン化されてはじめて吸収される
⇒プロテイン、
プロテイン、ミネラルサプリメントの吸収は悪い
ミネラルサプリメントの吸収は悪い
・腸が長い
⇒未消化のたんぱく質が長くとどまり、腸内腐敗を起こしやすい
しかも、
・ビタミンB群、K、セロトニンは腸内でつくられる
・腸内細菌は、うつや不安障害に関係している
⇒腸内環境の悪化にて栄養状態はかなり悪化する
⇒腸が悪い人は皮膚病、うつ病、慢性疲労に対する栄養療法の効果が悪い
腸内環境対策
•
•
•
•
•
悪玉菌の増加
⇒ 乳酸菌をとること
カンジタの過剰増殖 ⇒ 抗真菌薬
腸内の免疫状態
⇒ ラクトフェリン
炎症
⇒ ケルセチン
エネルギー低下
⇒ 食物繊維
これだけで、劇的によくなる人も多い
その2 重金属の問題
その中でも、最重要なのは水銀
理由①
理由②
理由③
理由④
曝露量が増えている
ミネラルの働きを弱くする
環境ホルモン指定物質である
細胞の働きを弱める力が強い
水銀の源は魚と歯
「厚生労働省:これからママになるあなたへ」より
邪魔をするものを考える
ビタミンCの邪魔をするのはストレス
ストレスを分析
副腎疲労を評価し、必要なビタミンCを摂取
ビタミンBの邪魔をするのは腸内環境
食物アレルギー検査
食事指導
腸内環境検査を評価し、治療する
ミネラルの邪魔をするのは重金属
重金属の蓄積度合いを評価
必要に応じてデトックス治療を行う
まとめ
①細胞に着目しましょう!
・疲労はミトコンドリア機能低下
・貧血やビタミンB不足をチェックしてみてください
②脳は栄養の効果が出やすい
・うつ、不安にはビタミンB、DHAを試してください
③サプリメントにしかできない治療
・サプリメントは効率化の道具です
・ビタミンCは特別なビタミン
④サプリメントが効かない場合
・邪魔している原因をさがしましょう
・自分の口の中もぜひ見てみてください
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