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山辺町地域コミュニティ推進計画
きら
~ やまのべ煌めきプラン ~
1.はじめに
平成19年度から、新しい山辺町のむこう10年間の計画を示した第4次山辺町総合計画によるまちづくりに着手し
ました。策定時には、住民アンケートはじめ住民委員会、グループヒアリングで町民の皆さんからいろいろな意見を
いただき、基本理念に『きらりと輝き続ける、協働のまちづくり』を掲げました。それを具現化するための基本目標で
は、「自立した生活圏を創る」地域コミュニティに根ざし自立・持続する生活圏の構築を第1番に設定し、地域コミュニ
ティ活動に育まれた町民と行政によるパートナーシップに基づく協働のまちづくりを推進するとしています。若者から
お年寄りまで多くの町民の皆さんが、地域に愛着を持ち、快適でやすらぎを感じられる生活満足度の高い町にした
いという同じ願いを持っています。それは、いつまでも住み続けたいという願いがかなえられる町であり、基本となる
のが安心して安全に暮らせることです。今、全国では考えもつかないような事件・事故が多発していますが、原因の
一つに考えられるのが『地域コミュニティ』の問題です。人と人とのつながりが希薄になり、ストレスが溜まった“ゆが
み”が影響しているのではないかと推測されます。地域住民の信頼関係や心の結び付きが希薄になってきていない
だろうかということをこの機会に振り返り、地域から取り組むことが課題になります。
2.背景
地域コミュニティが取り上げられるようになった要因は、人々の暮らし方や社会環境・社会保障が大きく変わっ
てきたことがあげられます。その一つが老人の医療・介護の問題です。行政の規模はこれまでと変わりがないため、
多様なニーズに応えるには優先順位付けが必要となり、その中で社会保障や命に関わる項目が最優先とされ、ウエ
イトが大きくなってきました。また、これまで身近にはそれほど重要視されなかった課題への対応にも力を注がなけれ
ばなりません。例えば危機管理ですが、町にも山形盆地断層帯が通っていて、山形盆地断層帯北部については、3
0年以内にマグニチュード7.3程度の地震が発生する確率は、最大8%、南部については、最大1%の確率と想定
されており、全国的にも発生率が高い地域とされています。「もし、災害が起きたら…」への備えが当面の大きな課題
になっているのが現状です。また、確実に進む少子高齢化の問題もあります。平成8年と19年の比較では、寝たきり
のお年寄りが77人から141人、一人暮らしのお年寄りは134人から283人、老人夫婦だけの世帯は245戸から427
戸になり、いずれも約2倍に増えています。ここ10数年で65歳以上の老年人口の割合が大きく変わり、確実に高齢
化が進んでいます。そうした状況で、もし万が一、災害が起きたらだれが助けるのかを考えてみることが求められてい
ます。役場が町民の皆さんの生命・財産を守るのは第一義的であり、何かあったらすぐ行動を起こします。消防も、
警察もすぐに行動するのは当然ですが、そこに必ずタイムラグ(時間差)が生じてしまいます。その時間差を埋めるた
めに、日ごろのコミュニケーションによる安否確認等の行動を町内会をはじめとする地域コミュニティ活動の中で話し
合うことが必要です。
国は地方分権の推進によって「地方すなわち地域は地方で生きなさい」と言い、その替わりとして三位一体の改
革で税金も移譲するとしています。これは、担税力つまり納税者や会社が多いところには有利ですが、少なければ
行政経営の根幹を揺るがす大問題であり、地域間格差や担税力の格差を是正する方向性の一つとして『ふるさと納
税』を創設しましたが、どれくらいの寄附金額になるのかは未知数です。そうした状況で平成23年度、国には国民一
人あたり750万円に及ぶ借金があり、山辺町も町民一人あたり67万円の借金を抱えています。情報化や少子高齢
化などの社会情勢の変化もあり、地域を取り巻く状況が大きく変わってきています。
3.地域コミュニティの現状
近年、ライフスタイルが都市的な生活意識や生活様式へと変化する中で、地域コミュニティでは相互扶助意識・連
帯感・参加意識等が希薄化しつつあるように感じます。平成19年度から山形県が取り組んでいる地域コミュニティ再
生促進事業でも、中山間モデル地域での住民参加型ワークショップや都市地域を対象に実施したアンケート調査か
ら地域コミュニティが抱える課題を分析していますが、その一つに地域のつながりの希薄化と地域活動の硬直化が
あげられています。全体的には弱体化の方向性にあるものの、地域には長い歴史の中でお互いの地縁関係を主体
に、自主的に組織された住民組織があり、それぞれ活動してきました。各地区における町内会等の組織現況は次の
とおりです。
①山辺地区
・51町内会(緑ケ丘1丁目は、町内会がないために含まない)
・地区委員=町内会長で、ほとんどが1年交替の輪番制
・地区委員会議は町主催の開催のみ → 従来、4月開催の年1回
②大寺地区
・14町内会
・地区委員=町内会長が多数で、1年交替の輪番制
・西之表のみ、地区委員と町内会長が別で、町内会長は複数年任期
・大寺地区委員会議を組織し、委員長・副委員長・会計を選任(任期1年)
・地区委員会議は町主催のほか、自主開催 → 従来、4月・9月・3月の年3回
③中地区
・7町内会
・地区委員=町内会長で、複数年任期
・中地区長連絡協議会を組織し、会長・副会長・会計を選任(任期2年)
・協議会(地区委員会議)は町主催のほか、自主開催 → 従来、4月・6月・9月・3月の年4回
④作谷沢地区
・15町内会
・簗沢区、北作区、畑谷区の区制で、区長・副区長・会計を選出(複数年任期)
・簗沢区、北作区の地区委員は、配達や集金等の業務のみで、1年交替の輪番制
・畑谷区の地区委員は区役員でもあり、複数年任期
・作谷沢地区振興会は区三役、育英会三役、町議会議員、公民館長、JA支店長、婦人会、老人会、まんだら
塾、消防団、ママさんバレー、PTA、青壮年会代表など、コミュニティや各種団体等で組織し、会長・副会長・
会計を選出(複数年任期)
・地区委員会議は町主催の開催のみ → 従来、4月開催の年1回
⑤相模地区
・15町内会
・根際、大塚、要害は総代制で、大字総代・副総代・会計・評議員もしくは協議員がそれぞれのコミュニティを運営
・地区委員は配達や集金等の業務のみで、1年交替の輪番制
・地区委員会議は町主催の開催のみ → 従来、4月開催の年1回
・下原地区は大字の総代制には属していない
⑥近江地区
・9町内会
・地区委員=町内会長で、ほとんどが1年交替の輪番制
・近江自治会は町内会長、公民館長、各種団体で組織し、会長・副会長等を選任(任期1年)
4.話し合いが第一のステップ
地域社会は新たな課題に次々と直面する中で、町は町民の皆さんと共に生き残りを賭けて競争しなければならな
い時代に入っています。町民一人ひとりがコミュニティの一員であるという使命感を持ち、自立にむけて地域が行動
するためには『ビジョン』が必要であると思います。ビジョンとは『理想像・展望・見通し』と訳されますが、国には国の
ビジョンがあり、県には県のビジョンがあります。当然、町には町のビジョンがあります。地域のビジョン、家族のビジョ
ン、町内会のビジョンなど、それぞれで話し合いながら、ビジョンを持つことが課題になります。ビジョンを考えることが
求められますが、その基礎として重要なことは“何に困っているのか”を知ることです。何が問題になっていて、その
問題を解決するためには何をしなければならないのかを話し合うことがビジョンに結び付きます。地域であれば、地
域で何に困っているのか、町内会であれば町内会で何が問題になっているのかを探ることが必要です。例えば、お
年寄り世帯の出入り口の除雪とか、ごみ分別が徹底されていないとか、災害発生時の備えはどうしておくべきかとい
った問題点を出し合うことが地域コミュニティ再生の第一歩になります。その中から課題を洗い出し、隣近所や町内
会などの地域コミュニティでできること、役場といっしょにやればできること、町民・企業・役場がそれぞれ持っている
力を出し合えばできることに分類し、解決策を見い出していく取り組みによって、地域力を高めることが求められてい
ます。近年、地域コミュニティでは自発的なコミュニティ活動の普及・活性化が課題であり、快適で住みやすく、生き
がいを感じることのできる地域社会を創り上げていくために、地域の皆さんがさまざまなコミュニティ活動を展開して
いく必要があります。地域を維持するための活動と考えると義務感もあるかもしれませんが、「やらされている」のでは
なく「自分たちがやる」という意識を持ち、みんなで楽しむことが大事です。『住んでいて良かった!』と高い満足度が
実感できるよう、子どもからお年寄りまで楽しむことができるのは何かを話し合い、工夫しながら実現していく取り組み
も重要です。
5.地域コミュニティの役割
町では、地域コミュニティを基本としたまちづくりを推進するため、町民の皆さんの話し合いの環境として3段階の
地域コミュニティ組織の設置を提案します。
①町内会(区・大字)…既存組織
地域コミュニティの基礎単位となる町内会は、地域の身近な問題を解決し、互いに助け合い、安心して安全
に暮らしたいという願いの支えになることから、地域の担い手として重要な役割があります。現状でも清掃・祭
典・親睦活動など、さまざまな活動に取り組んでいますが、多くの町内会は地区委員が1年交替の輪番制であ
り、町内会長の役割も務めているため、配達や集金等の業務をこなすのが精一杯というのが実態です。地区委
員は町政の正しい理解と浸透を図るとともに、町と地区相互間の行政事務連絡を目的としてきましたが、任務が
明確に規定されていないことや地域コミュニティの組織化との関連で、地区によって役割に違いがみられるよう
になったようです。
しかし、これから地域コミュニティの再生を課題として取り組むにあたっては、地区のまとめ役つまり町内会代
表の位置づけを明確化することが重要です。さらに、継続的なリーダーシップによりコミュニティ活動の充実・発
展が期待され、より自主的な町内会運営を目指すことになります。組織化のモデルとなるのが作谷沢地区や相
模地区のコミュニティ組織で、地区住民の総意で選ばれた区長及び総代をリーダーとして地域づくり活動に取
り組んでいます。このように、いくつかの町内会が連携して取り組む事例も参考にしながら、地域コミュニティの
体制づくりを進め、それぞれの町内会等の活性化を図っていただくようになります。
町では、地域コミュニティ組織のリーダーやサポーターの育成、コミュニティ組織運営に関する研修会の支援
策により、地域コミュニティを基本とした協働のまちづくりを推進します。
②ブロック協議会…新規組織
町内会等の基礎単位を地区公民館を核としてくくることによって、ブロック内でのコミュニケーションを生み出
し、意見交換、課題抽出及び課題解決策の話し合いを行います。具体的なブロックのエリアは、山辺地区が中
央・東部・南部・北部・緑ケ丘の5つ、大寺・中・作谷沢・相模・近江の5つを合わせて10で、ブロック内の町内会
長等で組織します。
ブロック協議会での話し合いや活動テーマとして想定されるのは、次のような項目です。
・防災活動(自主防災組織の設立促進、活動強化、連絡体制整備)
・福祉活動(高齢者支援・援助、敬老会)
・環境美化活動(ごみ減量化対策、草刈り、清掃、公園管理、花いっぱい運動)
・防犯活動(パトロール)
・公民館活動(管理運営、教室・講座)
・計画策定活動(地区計画策定)
・その他(親睦会、運動会、盆踊り、文化祭)
それぞれのブロックで課題や目指すべき将来像を明らかにした『地区計画』を策定し、基礎単位では解決で
きない課題への対応やその地域特有の行事に取り組むことにより、特色ある地域づくりを推進します。民間と行
政がお互いの情報や知識、知恵を出し合いながら地域の課題解決や、地域にとって必要な成果を追求するこ
とが“協働”であり、まちづくりをともに考え、ともに取り組みを進めていく協力体制を整備します。すでに、作谷
沢地区には振興会、近江地区には自治会があり、地区内の話し合いによって地区運営が行われていることか
ら、ブロック協議会組織化のモデルになります。
町では、ブロック協議会への職員担当制導入により、町施策の説明責任を遂行し、町民の皆さんとのさらなる
信頼関係の構築に取り組みます。また、コミュニティ活動の実践例の提示等、協働のまちづくりに必要な情報提
供と活動提案することで、町と地域とのパートナーシップの推進を図ります。
③まちづくり委員会…新規組織
「協働のまちづくり」を実現するためには、行政に携わるすべての者が町民の皆さんとの協働の関係づくりに
力を注ぎ、より納得できる行政運営を実現していかなければなりません。そのためには、行政サービスの顧客で
ある町民との話し合いを重視した行政運営を発展させていく必要があります。アウトプット志向の行政(どのよう
な施策を実施したか)にとどまることなく、アウトカム志向の行政(顧客である町民にどのような成果をもたらした
か)に重点を置き、暮らしやすい、やすらぎを感じるまちづくりを目指すことから、町民の皆さんの“参加”を制度
化するため、ブロック協議会の代表で構成する『まちづくり委員会』で各ブロックの連絡・調整を図り、共通する
課題について協議します。住民組織ができることによって、町民・議会・役場がともに協力し合いながら協働の
まちづくりを推進する体制が構築されます。また、町全体としての組織形態の一本化により、危機管理等にも対
応できる組織になります。
6.新たな地域コミュニティ組織の構築
地域コミュニティの役割を踏まえ、新たに構築を目指そうとする組織体系は次のとおりです。
中央
ブロック協議会
東部
ブロック協議会
南部
ブロック協議会
北部
ま
ブロック協議会
本町・駅前・仲町・大手町・弾正淵・下裏小路・東館・上裏小路・前小路・
西館・前ノ内・西町・北ノ宿・上野・上宿・上田小路
大門町1丁目・大門町2丁目・大門町3丁目・大門町4丁目・
大門町5丁目・大門町6丁目・大門町7丁目・大門東光台
長嶋1丁目・長嶋2丁目・長嶋3丁目・沢寺・田中・南町1丁目・南町2丁
目・南町3丁目・田小路・鍛冶町・鍛冶町2丁目・新町1丁目・新町2丁目・
新町3丁目・清水町・三河尻
東町・東高楯・高楯1丁目・高楯2丁目・西高楯・芦沢
ち
づ
く
り
委
緑ケ丘
ブロック協議会
大寺
ブロック協議会
緑ケ丘1丁目・緑ケ丘2丁目・緑ケ丘3丁目・緑ケ丘4丁目・緑ケ丘5丁目・
緑ケ丘6丁目
地区
委員会
西之表・天神・橋本・学校前・久保・南組・北組・鬼ノ目・蓮
台寺・熊沢・宿・上道・荒宿・杉下
連絡
協議会
東・中丸・前方・荒谷・相ノ沢・湯舟・面白遅根
振興会
区
員
会
中
ブロック協議会
作谷沢
ブロック協議会
町
相模
ブロック協議会
近江
ブロック協議会
大杉向・森向・沢下・館野・小針生・上芦沢・簗
沢東部・簗沢中部・簗沢西部・畑谷東部・
畑谷中部・畑谷西部・畑谷南部・摂待・馬牽
大字
根際1・根際2・根際3・根際4・根際5・根際6・根際
7・根際8・大塚1・大塚2・大塚3・大塚4・要害1・要
害2・要害3・下原
自治会
近江1丁目・近江2丁目・近江3丁目・近江4丁目・近江5丁
目・近江6丁目・近江7丁目・近江8丁目・近江9丁目
7.地域コミュニティ支援の課題
町の基本理念である「きらりと輝き続ける、協働のまちづくり」を実現するために、もっとも重要かつ先導的な施策
展開の方向性であり、地域経営のあり方を性格づける施策群として、基本計画に位置づける施策体系全体の先駆
けとなるリーディングプランに地域コミュニティ活性化プラン《町民との協働》及び協働のまちづくり行政推進プラン
《町職員の実践と協働》を設定し、推進します。次の①~④により、町民の皆さんと行政による信頼関係に基づく協
働の新しい関係づくり、パートナーシップの推進に取り組みます。
①地域担当制の導入
協働のまちづくりを推進するため、町職員が地域住民による自主的なまちづくりの発展や地域づくりの課題
解決の支援を目的として、地域担当制を導入し、職員を配置します。職務は、地域コミュニティ組織の組織化と
自立化についての支援、地域における課題・問題点の把握と解決策の検討、コミュニティ活動の実践例の提示
等です。担当地域区分は、ブロック協議会のエリアである10ブロック(中央・東部・南部・北部・緑ケ丘・大寺・
中・作谷沢・相模・近江)で、原則として居住あるいは出身地区のブロックを担当し、管理職を責任者にします。
②自主防災組織の設立促進
平成24年7月末時点で50組織、組織率70.6%の自主防災組織を、できるだけ早期に組織率100%達成
を目標に掲げ、ブロック協議会において未結成町内会等への積極的な働きかけを行います。また、組織の育
成指導についても、研修会への参加、各組織での訓練の支援等を行います。
③公民館の運営管理
公民館については、行政主体の公民館から地域の方々に幅広く参画いただく公民館への移行に取り組み、
地域の特性を活かしながら、町民の皆さんが創意と連携を基本とする公民館の運営及び活動への転換を促進
することとしています。そのため、公民館への町職員の配置を見直し、ブロックごとに公民館運営への参画団体
を組織していただき、可能な限り運営業務の委託を推進します。(ただし、中央公民館・中公民館・作谷沢公民
館は除く。)
委託後は、町職員が受託団体の支援や公民館職員の指導に当たるとともに、地域の実情、地域ニーズに対
応した社会教育事業の提供に努めます。
④交付金制度の創設
地域振興発展及び住民相互間の交流を図るための事業を行うための資金である現行の地域振興報奨金を
見直し、使途対象の明確化などにより、地域コミュニティ活動の取り組みに応じたパートナーシップ交付金制度
の創設を検討します。
8.スケジュール
アクションプランを定めて、それに基づき推進スケジュールを設定する。