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日本貿易学会東部部会研究報告会 報告要旨フォーム
タ
イ
ト
ル
(和文)
メガ FTA の形成と日本の国際的な取り組み
(フリガナ)
マツオ ヒトシ
名前
松尾 仁
所属
神奈川大学・非常勤講師
Eメール
[email protected]
(和文報告概要 40 字×30 行 1,200 字程度)
GATT・WTO により貿易の自由化が進められてきた。しかし、多角間での自由化は非
常に難航し時間がかかるため、二国間あるいは特定地域間での自由貿易を進める FTA・
EPA が 1990 年代に増加した。FTA については、WTO との整合性が懸念されたが、将来
的に FTA が広がり世界全体の自由化の促進に繋がるため WTO の補完的なものであると
の考え方が優勢であった。そして、FTA は広がりをみせ、新たな段階に入り、TPP など
のメガ FTA という形で交渉が始まった。
日本は貿易交渉において、農業問題などにより貿易自由化に慎重な姿勢をみせる場合が
多い。しかし、日本にとって自由貿易の進展は、輸出の促進や国際的な生産ネットワーク
の構築などから必要不可欠である。したがって、日本はメガ FTA に積極的な交渉が求め
られる。そこで、日本がメガ FTA を推進するにあたって、どのような取り組みをしてい
く必要があるのかについて検討したい。
確かに、日本は 14 の国・地域との FTA・EPA を既に発効させている。そのため、常
に危惧されている農業問題は FTA・EPA 交渉において回避できるといえるかもしれない。
しかし、FTA・EPA 交渉において関税撤廃が重要課題であり、いずれは、日本の農林水
産物の重要 5 品目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)も対象となり得る。
そのため、これらの生産の存続には輸入制限以外の方法が必要である。
さらに、農業問題を理由にメガ FTA に参加しなかった場合、日本経済にとって不利益
となる。なぜなら、日本経済の活性化において、自動車産業や電気機械産業などの輸出産
業の役割が重要であり、これらの産業は、直接投資を通じて、世界各国に生産拠点を構築
している。グローバルな企業活動の円滑化には、二国間よりも広域での自由貿易であるメ
ガ FTA が必要となる。貿易の拡大には関税撤廃のみならず、知的財産や各種の基準など
の国際的なルールの形成も必要となる。これらの構築について、日本が不利な立場になら
ないようにメガ FTA への交渉参加が求められる。TPP では、21 の交渉分野でルールが
構築されようとしている。日本政府は、『「日本再興戦略」改訂 2014-未来への挑戦-』
の中で、国際展開戦略として、TPP の早期妥結や貿易・投資ルールづくりについて言及
しており、メガ FTA を推進していく考えである。
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つまり、日本の経済活性化のためには貿易が重要な役割を果たすため、日本が貿易の利
益を享受できるメガ FTA を構築していく必要がある。
過去類似した発表(論文等を含む)がある場合、その研究との関連性および相違点につい
て明記してください。
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