感性に響くライフスタイルを提案 テーブルウェアに新機軸拓く。 感性に響く

スローなコーヒータイムが生む
心地よい、
こだわりのライフスタイル
大道●先日、大阪のおしゃれな雑貨店で
キント ー
﹁ K INTO ﹂ブランドのコ ーヒ ー ウェ
アを見かけました。
コーヒードリッパー
やポット、
マグカップなどのガラス器や
竹村●器にこだわる 人は以前より 増え
ブメントを起こせると考えたからです。
インや洗練性﹂
を吹き込めば、
新たなムー
ランドの持ち味である﹁感度の高いデザ
で保守的︶
なものが多く、﹁KINTO﹂
ブ
テー ブルウェアにない﹁ライフスタイル
分ける識別眼にすぐれています。既存の
や芸術にも関心があり、良質なものを見
す。この層は知的好奇心が旺盛で、文化
イルを志向する人たち﹂だと考えていま
ず、﹁スマートでアクティブなライフスタ
小出■ルーツは1908 年に彦 根 市 内
ていますね。
先ブランド製造︶商品も多く手掛けられ
メーカーの生活雑貨向けにOEM︵相手
い ライ フ ス タイ ルショップ や アパレル
として製造・販売されています。
感度の高
やガラス器を自社ブランド
﹁KINTO﹂
する価値創造企業で、
さまざまな陶磁器
ているのでしょうか?
提案力﹂
のある 商 品に対しては、必ず敏
年で
﹁心地よい生活を楽しも
のこだわりが比較的高まっていましたが、
失われた
法 人 化した 時の販 売エリアは滋 賀と 京
都の一部が中心だったのですが、さらに
貨 店 を 開 拓し 販 路 を 拡 大 。大 阪の 船 場
広 げよ うと 大 手 総 合スーパーや有 力 百
大道●ご紹介が遅れましたが、
キントー
にもショールームを開設しました。当時
う﹂
という意欲が衰えてしまい、
今では約
さんは 洗 練 された デザインのテー ブル
の事業モデルは、
シーズンごとの商品を
%の 人 は 食 器 に 対 し てさ ほ ど こ だ
わっていないというデータがあります。
ウェアやキッチンウェアをプロデュース
業﹂
に変わる転機になったのです。
いまのような﹁ライフスタイル提案型企
が私たちの商品に着目しました。
それが
いう 形 態を 生み出した 東 京の有 名 企 業
期で、生活雑貨とティールームの複合と
活雑貨﹂
というカテゴリーが生まれた時
した。
ファッションアイテムとしての﹁生
気を 添えるテー ブルウェアを 目 指し ま
答品ではなく、日常の食卓に瀟洒な雰囲
しょうしゃ
小出■ 年代初めでしょうか。高級な贈
ら手掛けるようになったのですか?
大 道 ● 自 社オリジナル商 品 はいつ頃か
ものでした。
仕入れて企画提案し、販売するといった
私 た ち が 想 定 す るユ ー ザ ー 層 は 残 り
感度の高い生活雑貨店と共に
﹁新しい価値﹂を生み出す
小出■必ずしもそうではありません。
バ
%の〝こだわり層〟。
世代や性別を問わ
1950年生まれ。75年、株式会社キントー入社。78年、代表取締役に就任。2004年、代表取
締役会長に就任。2013年から彦根商工会議所会頭を務める。
で創業した陶磁器の小売商です。 年に
「贅沢にコーヒーを楽しむライフスタイル」
に話が弾む
感に反応していただけると思います。
25
ブル期には器を含めたライフスタイルへ
アはまだまだコンサバティブ
︵ベーシック
小出 英樹(こいで・ひでき)氏
株式会社キントー 代表取締役会長兼CEO
72
陶磁器です。どれもフォルムがやわらか
く 、シンプルな デザイン。心 地 よいコ ー
ヒータイムが生まれそうです。
SLOW
スロー
小 出 ■ 頭 取 が ご 覧 に なったの は 、私 た
ス タイ ル
ち が 今 、特 に 力 を 注 いでい る﹁
コーヒー
﹂
のコーヒーウェアで
COFFEE STYLE
す ね 。ほ っと ひ と 息 つ き た い 時 、コ ー
ヒ ーの 香 り を 感 じ な がらハンド ドリッ
い
プでゆっくりと丁寧に淹れる。そういっ
たシーンを 想 定し 、﹁ デザインと 機 能 性
を 兼 ね 備 え た コ ー ヒ ー ウェア ﹂と し て
うつわ
創り上げました。
大道●器を使って
﹁贅沢にコーヒーを楽
しむライフスタイル﹂を 提 案されている
わけですね 。な ぜ 今 、コ ーヒ ー ウェアに
注力されるのですか?
年で国内外を含めさ
小出■日 本でもコーヒー 文 化は浸 透し
ていますが、今後
らに伸びると考えています。
最近では、
自
ひ
宅で自分で豆を いて淹れるという、ま
るで茶道のように
﹁コーヒー道﹂
を楽しむ
80
代表取締役会長兼CEO
人も増えています。
一方で、
コーヒーウェ
20
03
2015.4 かけはし
04 かけはし 2015.4
彦根支店長
竹村 雅人
頭取
大道 良夫
しむライフスタイル提案」
で世界の暮らしを彩る日を夢見る。
▶interviewer
アをプロデュースするキントーの小出英樹会長は、
「心地よい、豊かな生活を楽
小出 英樹 氏
食卓をクリエイティブに楽しめるキャンバスにしたい。高い感性のテーブルウェ
株式会社キントー
テーブルウェアに新機軸拓く。
10
75
感性に響くライフスタイルを提案
小出■クリエイティブなものづくりを追
販売チャネルを獲得されたわけですね。
が、進めていれば食器需要の縮小ととも
て事 業 拡 大を 考えたこともありました
ています。一時期は百貨店の販路を広げ
自社ブランド、 %がOEM事業になっ
求できるこのチャネルを重視して、生活
に頭打ちになっていたことでしょう。
大道●量 販 店や百 貨 店とは違 う 新しい
雑貨店向けの商品を開発する別会社を
大道●
年 代に2800 億円だった 食
設立しました。
それによって人気雑貨店
20
おしゃれなお店には必ずあったほどです。
トレンド〟になりました。
代官山や青山の
提供したティーウェアは一時期の〝先端
やアパレルメーカーとの取引が広がり、
幅な減少が要因の一つだそうですが、早
大きな市場を形成していた贈答需要の大
億円に落ち込んでいるそうですね。
かつて
器のマーケット が 昨 年には 約1000
期から
﹁ライフスタイル提案﹂
という価値
難しい決断でしたが、﹁当社のスタイルを
が、利 益 率は逆に増 加していきました 。
たことで売り 上 げは年々減 少しました
いきました。量販店向けを徐々に減らし
上 質な 自 社オリジナル商 品を 増やして
トを縮小して、OEM商品やユニークで
ます。
大量に商品を供給する量販店ルー
プやアパレルへのOEMは今も続けてい
小出■感度の高いライフスタイルショッ
者のお一人だったとは。OEM事業もそ
類をファッションアイテムに変えた立役
大 道 ● 驚 き まし た 。小 出 会 長 が 洋 食 器
しにくく、開 発に苦 労します。長 崎 県の
小出■薄くしようとすると 強 度を 確 保
しくはありませんか?
竹 村 ● 機 能 性と デザイン性の両立は 難
供を目指しています。
着が生まれる美しいデザイン﹂
の商 品 提
全な素材で、衝撃に強い機能を備え、﹁愛
る 贅 沢 ﹂という 価 格 帯を 設 定 。安 心・安
ではなく 、﹁ちょっと 手を 伸 ばせ ば 買え
ト体制の強化も進めています。高価格品
やカフェな どの 業 務ルートでのサポ ー
さまにお届けするとともに、
レストラン
小出■﹁心地よい、
豊かな食事時間﹂
を皆
ドの目指すところをご紹介ください。
と思います。改めて
﹁KINTO﹂ブラン
さんの選択は、
業界再生へのヒントになる
な風合いに仕上げています。
にこだわり、手づくり感のあるやわらか
販 売も 意 識して土の質や職 人の手 仕 事
く 、すっきりした 器になりますね 。海 外
小出■日 本 製はやっぱり 仕 上 がり が良
ンド﹁ atelier tete
﹂は、日本製であるこ
とがセールスポイントだそうですね。
大道 ●2013 年に立ち上げた新ブラ
です。今では %以上が中国を中心とし
すというのが 当 社の商 品づくりの流れ
品と 同じ 品 質をつくれるメーカ ーを 探
で企画した商品を波佐見で試作し、
試作
ターを構えていて、東京オフィスや本社
の商品化に取り組んでこられたキントー
貫き、自分たちらしいクリエイティブな
波 佐 見 町 に 産 地 商 社 機 能 を 持 つセン
自社のスタイルを貫き
﹁価値﹂を商品化
仕事をする﹂
ための正しい判断だったと
の頃始められたのですね。
%が
古生物のフィギュアが並べられた展示コーナーで、
左から小出英樹会長、
大道頭取、
竹村支店長
た海外で生産しています。
展示会へ積極的に出展
﹁KINTO﹂を欧米で広めたい
した。
イタリアのエスプレッソのカップは
比較的小さなカップで飲むようになりま
小出■カフェ文化の浸透でアメリカ人も
海 洋 生 物 な ど を テーマにし たフィギュ
思いを込めて恐竜などの古生物や動物、
して〝大人〟
になってもらいたい。そんな
切ですし、子供たちには
﹁知る喜び﹂
を通
幼い日 の〝 子 供 心 〟は大 人にとっても 大
い﹂
という私の〝子供心〟
が出発点でした。
それ 以 上 に﹁ 好 き な こ と を 事 業 にし た
小 出 ■ 多 角 化の 意 図 も あ り まし た が 、
でしょうか。
いま す 。彦 根 は 歴 史 や 産 業 な どの 資 源
とし て 、地 域 活 性 化 に も 取 り 組 ま れて
大道●小出会長は彦根商工会議所会頭
です。
幅 広い人々の 胸を と き めかせ たいもの
も 、子 供から 映 画ファンや研 究 者 まで、
直立型のティラノサウルスも再現。今後
えて
恐竜フィギュアを生み出しています。あ
し て 、世 界 中 の ファンの 期 待 に 応 え る
テテ
㏄、
フランスのカフェなら ㏄ と国に
アを製作しています。
に恵まれていると思うのですが、
いかが
アトリエ
くっておけば世界中で通用します。
最近、
大道●東京の国立科学博物館や福井県
ですか?
を描いておられるそうですが、さらなる
販路開拓に動かれているのですか?
小出■欧米市場を重視して、
フランクフ
ルトや パリ 、シカ ゴ 、ニュー ヨ ー クで開
催 されるインテリア関 連の 展 示 会には
毎 年 必 ず 出 展し 、現 地で販 売 代 理 店 を
探したり、百貨店へ直接売り込んだりと
よって違いはありますが、 ㏄ 程度につ
作を委託いただきました。
■ URL/http://www.kinto.co.jp/
営業活動を続けています。同時にオラン
恐竜や古生物のフィギュアで
■ 本社所在地/彦根市小泉町34-11
世界中のファンをときめかせたい
K
INTOブランドの輸出を開始
40
品のOEM供給、プレミアム商品の製造販売
ダとロサンゼルスには 商 品のストック
提供してまいります。
70
チンウェアの企画開発販売、得意先ブランド商
拠点を構え、欧州と北米でのクイックデ
■ 事業内容/ドリンクウェア、
テーブルウェア、キッ
60
%にまで高める 構 想
アメリカで人気のコーヒーショップから、
立 恐 竜 博 物 館 等のミュー ジアムショッ
小出■残念ながら、
まだまだ生かし切れ
■ 従業員数/77名
2 0 2 0 年には
日本出店にともなってコーヒーウェア製
プで販 売している ダイナソー︵ 恐 竜 ︶シ
「心地よい、豊かな時間」
と
「新たな価値」
を
年 代のアメリカ 映 画に登 場した
大 道 ● 御 社 が 提 案 さ れ る﹁ 心 地 よい豊
思います。現 在では、売り 上げの
80
リバリー体制を構築中です。商品デザイ
シカゴの海外展示会に出展
ていないのが現状です。﹁発信するべきも
2010年∼ フランクフルト、パリ、ニューヨーク、
リーズは、
原色の羽根を持つ羽毛恐竜が
小出美樹氏が代表取締役社長に就任
かな生活を楽しむライフスタイル﹂
に共
フェバリット部門を分離し新会社を設立
2004年
ンは あ え て 現 地 向 け に アレンジ せ ず 、
2004年
の﹂を 選りすぐり 、さらに磨きをかけて
波佐見
(長崎県)
オフィス開設
再現されています。最新の研究が反映さ
東京オフィス開設
2000年
感するユーザーは、国内外でまだまだ掘
■ 資本金/1,000万円
﹁日本のKINTO﹂商品をそのまま持
1992年
いかなくてはならないと考えています。
テーブルウェアの直輸入を開始
れた見事な作品ですね。
オリジナル商品開発を開始
1986年
り起こせるように思います。グループ企
株式会社キントー
ち込むつもりです。
1982年
大道●今回のお話で、私もテーブルウェ
大阪オフィス開設
小 出 ■ 古 生 物に 造 詣 が 深いアーティス
小出英樹氏が代表取締役に就任
1981年
業の 株 式 会 社フェバリットで恐 竜や 動
キッチン・ダイニングシーンに
35
会社概要
大 道 ● アメ リ カ 人 は 大 き な カ ッ プ で
1978年
アの魅 力と 可 能 性を 改めて実 感しまし
株式会社キントー
(食器卸売業)
を設立
トや 原 型 師 が 美 的 表 現 を 受 け 持 ち 、大
KINTOブランドの製品やサービス提供を通じ、
コーヒーを飲むので、日本のカップは小
彦根市で陶器小売商を創業
1972年
物などのフィギュアを手掛けているのは、
%の 海 外 売 り 上 げ を
90
1908年
た。
本日は、
ありがとうございました。
大道●現在約
▶沿 革
学の先 生な どの専 門 家に監 修をお 願い
80
デザインと機能性を備えた
「SLOW COFFEE STYLE」
手づくり感のあるやわらかな風合いが特長の
「atelier tete
(アトリエ テテ)
」
シリーズ
食 器 市 場 縮 小に備えた 多 角 化だったの
“くらし”
と
“きもち”
を感じとり、
05
2015.4 かけはし
06 かけはし 2015.4
40 20
私たちキントーは、世界の人々の
さすぎませんか?
経営理念