Y. Yamanaka 移流・拡散過程と水塊の形成 今週のポイント 水温や塩分は、 海面で極大値を獲得し、 混ざり拡がってゆく 各大洋における水温と塩分の南北-深度分布について 移流と拡散の特性について直感的に理解する 水塊の形成過程 今週のレポート問題 移流や拡散の特性に基づき、海洋の水温・塩分の分布を説明せよ。 Y. Yamanaka 水温と塩分の南北鉛直分布 60N 0 40N 20N 1 2 Eq 3 5 20S 40S 10 深さ(km) 60S 40S 20S Eq 20N 40N 0 1 2 3 4 5 0 1 2 3 4 5 20 ℃ 大西洋 塩分 0 1 2 3 4 5 34 34.3 34.5 34.7 35 60S 太平洋 深さ(km) 0 1 2 3 4 5 水温 深さ(km) 深さ(km) 大西洋 36 ‰ 太平洋 Y. Yamanaka 水温の式 ( ) ( ) ( ) ∂T ∂T ∂T ∂T ∂ AHH ∂T ∂ AHH ∂T ∂ AHV ∂T =−u −v −w + + + +S ∂t ∂x ∂y ∂z ∂x ∂x ∂y ∂y ∂z ∂z 水平移流 鉛直移流 水平拡散 鉛直拡散 加熱冷却 移流形式 連続の式 ∂u ∂v ∂w ∂(uT) ∂(vT) ∂(wT) でもよい + + =0 が成り立つとき、 − − − ∂x ∂y ∂z ∂x ∂y ∂z フラックス形式 性質(水温・塩分)が異なる 水塊・空気塊A・Bの振舞い 流れ A 流れがないときはそのまま 流れに沿って動く 移流 AもBも個々のトレーサーの性質を 保存する B A 流れがないときも広がる B 拡散 流れとは異なる方向にも広がる A AもBもトレーサーの性質を失って いくが、AとBを合わせた性質は保存する B Y. Yamanaka 水塊の形成 S A B B C C S T 深さ C 10 0 S 密度が比較的近い水が 互いに層状になりながら 混ざってゆく T 深さ T B 移流のみでは 固有水は保存 S S 拡散によって 水塊の形成 36 26 σt 27 15 5 A T A S T 深さ T 34 20 水温(℃) 海面で水温と塩分との組み合わせをもつ水(固有水) が生成され、海水中でいくつかの固有水が混ざる ことによって、特定の温度塩分分布をもつ水(水塊)が 形成される。 塩分(‰) 35 A 28 B c 固有水(元々の水塊) よく見られる水塊分布 ありえない水塊分布 Y. Yamanaka 全海洋における主要な水塊の温度・塩分分布 北大西洋 表層 中層 深層 南大西洋 地中海中層水 北大西洋深層水 南極海 南太平洋 南極中層水 北太平洋中層水 南極底層水 (太平洋深層水) 北太平洋 34 水温(℃) 亜熱帯域 10 300800m 5 北太平洋 中層水 亜寒帯域 0 36 20 26 σt 27 表層水 15 南大西洋 赤道域 28 1000m 3000m (太平洋深層水) 塩分(‰) 35 34 36 100m 表層水 15 水温(℃) 20 塩分(‰) 35 北太平洋 10 北大西洋 28 深層水 600m 5 3000m 南極 0 中層水 26 σt 27 南極底層水 Y. Yamanaka ある深さの水(T,S)は、 表層水(Ts,Ss) a[%] 中層水(Ti,Si) b[%] 深層水(Td,Sd) c[%] が混ざって出来たとすると 水温θ[℃] 0 測定番号: GEOSECS Sta.213 場所: 30.967N 168.475W 測定日: 22/09/1973 T = aTs + bTi + cTd S = aSs + bSi + cSd 100 = a + b + c の3つの式からa,b,cを決めれば良い 2000mでの水は、右の図から 表層水 13[%]x8[%]=1[%] 中層水 13[%]x92[%]=12[%] 深層水 87[%] であることが分かる 塩分S[psu] 0.9 2 1 表層水 3 5 6 0 10 20 30 34 35 36 033 0. 8 0.0 4 8 10 水温θ[℃] 深さ[km] 2 7 中層水 2000m 0.1 3 深層水 34 35 塩分S[psu] 36 Y. Yamanaka 水平方向と鉛直方向の混ざり具合 密度が同じ水が混ざりやすい (厳密には等密度面拡散) 塩分(‰) 35 34 20 水温(℃) 15 1000km水平方向に離れた水と 100m鉛直方向に離れた水とは 同じ程度混ざりやすい 10 5 36 A 28 B c 0 水平拡散と鉛直拡散が同程度に影響を与えるスケールの見積もり AH 水平拡散∼鉛直拡散 AH ∼ AV (Δx)2 (Δz)2 26 σt 27 水平拡散係数 (代表的な値1×103[m2/s]) AV 鉛直拡散係数 -4 (代表的な値1×10 [m2/s]) Δx 代表的鉛直スケール Δz 代表的水平スケール
© Copyright 2024 ExpyDoc