<御所> 旧名柄郵便局 市民の力でカフェに 地元産品ランチやケーキ 手紙の投函も 毎日新聞 2015 年 5 月 2 日 奈良版 御所市名柄(ながら)にある築約100年の「旧名柄郵便局」の建物が市民らの力で生まれ変わり、喫茶店「郵便名 柄館 Tegami Cafe」として3日にオープンする。改修や運営に携わった市民らは「町の活気を取り戻すき っかけに」と意気込む。 【塩路佳子】 あすオープン 旧名柄郵便局は1912年ごろに建設された洋風建築で、現存する木造の郵便局舎では最古級とされる。75年まで 現役で利用されていたが、その後は放置されて老朽化が進んでいた。 2013年に「貴重な建築物を残そう」と御所市や市民有志が再生に乗り出した。市民ら約20人がイタリア語で郵 便局という意味の「名柄ポスターレ」を組織し、毎月会議を重ねて改修方法や運営のアイデアを議論した。メンバーの 一人、高村るり子さん(42)は「名柄の良い所をどう知ってもらうか考えた」と振り返る。 局舎の改修は、国の補助金、地元ゆかりの作家・堺屋太一さんの寄付も得て市が実施。土台の石や壁の一部は残し、 往時の姿を再現するため外壁は桜色にした。大正時代の「ハイカラ」な雰囲気をイメージした喫茶店として息を吹き返 した。 局舎には郵便物を運んだ荷車「人車」や木製ポスト、大正時代の絵はがきなどが雑然と残されていた。市民らが整理 や修復、展示を担い、資料館として郵便の歴史も学べるようにした。建物の前にはレトロな赤い丸形ポストを設置した。 運営は地元の市民グループ「吐田郷(はんだごう)地域ネット」が委託を受けて行う。カフェでは地元の米や野菜を 使ったランチや手作りケーキを提供。コーヒーには旧名柄郵便局の外観をあしらったオリジナル切手が付く。はがきと 筆記用具が机に備えられており、来店者がその場で手紙を書き、切手を貼れば店の前のポストから投函(とうかん)で きる仕組みだ。 地域の昔話を住民に語ってもらう企画なども検討中といい、同ネットの米田巧さん(45)は「郵便局は昔、人の集 まる拠点だった。ここが、地域の人や観光客、老若男女が交流する場になってくれれば」と期待した。 午前11時〜午後4時。火、水曜休。電話0745・60・8386。3日は午後1時から、堺屋さんも招いて市主 催のオープン記念式典がある。
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