Lugano, Switzerland, June 17-20, 2015 第13回 国際悪性リンパ腫会議 CLINICOPATHOLOGICAL CORRELATIONS #024 濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブ治療と腫瘍浸潤性T細胞の 予後的価値 Rituximab Treatment in Follicular Lymphoma Circumvents the Prognostic Value of Tumor Infiltrating T-cells Luc Xerri, et al., Institut Paoli-Calmettes, Marseille, France Quick Review しかし、 免疫組織染色 (IHC) を用いた研究では、 濾胞性リンパ腫 (FL) 患者の予後は、 腫瘍浸潤性の免疫細胞の影響を受けることが知られている1)。 腫瘍浸潤性の制御性T細胞(Treg)およびPD1陽性の濾胞ヘルパーT細胞 (Tfh)と予後との関連について結果は一貫しておらず、論議の的に なっている。原因として、腫瘍サンプルを採取した臨床試験が小規模で、試験方法に統一性がないことなどが考えられたため、今回、 ランダム化 試験であるPRIMA試験の参加者から採取した多数のサンプルを用いて、 T細胞サブセットの予後的価値を検討した (図1) 。 ● PRIMA試験 (全例がリツキシマブの投与歴あり) に参加したFL患者の腫瘍サンプルを用いてIHCを行い、 コンピュータによる自動画像解析 を行った (図1)。 ● PRIMA試験の全コホートにおいて各因子の発現別に検討した結果、 腫瘍浸潤性T細胞のCD3高発現およびPD1高発現は、それぞれの低 発現と比較し、有意に無増悪生存期間 (PFS) が良好であった (それぞれp=0.006, p=0.044) (図2) 。 setを用いた解析では、いずれのT細胞サブセットもPFSまたは全生存期間 (OS) と有意な関連は認められな かった (図3)。 ● さらにCD3高発現に注目すると、 training setにおいてはPFSおよびOSと有意な関連を認めたが (それぞれp=0.024, p=0.03) 、 validation setでは有意な関連は認めなかった (図3) 。 ● 一方で、 training/validation 結論:リツキシマブ療法を行ったFL患者の予後予測マーカーとして、腫瘍浸潤性T細胞を日常臨床で使用するには、十分なエビデンスは得られ ていない。腫瘍中のCD3発現T細胞数は細胞学的見地から重要であると考えられ、 さらなる研究に値する。 1) Dave SS, et al. N Engl J Med 2004; 351: 2159-2169 図1 IHCの結果の不一致は試験方法の不均一が原因か 以前の試験 今回の試験 手動での細胞計数 小規模、フォローアップ法が異なる 治療法が異なる(リツキシマブの有無) 統計解析が厳格ではない(training/validation set がない) 患者選択 両群でリツキシマブを使用 ランダム化試験 (PRIMA 試験) サンプル数 417 418 287 406 379 IHC CD8 CD4 PD1 ICOS FoxP3 CD3 369 病理医間の 再現性が低い PD-1 コンピュータによる 自動画像解析 全コホートおよび training/validation set に 厳格な統計解析を使用 再現性が高い ・PRIMA試験はリツキシマブ併用化学療法による寛解導入療法が奏効したFL患者をリツキシマブ維持療法群または経過観察群に割り付けて比較したランダム化試験である。 ・FL患者の腫瘍サンプルを用いて、CD3(417例)、CD8(418例)、CD4(287例)、PD1(406例)、ICOS(379例)、FoxP3(369例)について、IHCを行った。 図2 PRIMA試験の全コホート解析 PFS PFS n=417 n=395 CD3高発現 p=0.006 PD1高発現 159 202 142 183 130 174 122 166 116 163 108 149 18 24 30 36 42 48 104 139 90 132 82 125 62 99 43 73 54 60 66 72 78 期間 PD1低発現 p=0.044 CD3低発現 PFS (月) 310 291 263 252 242 21 221 18 24 30 36 42 48 20 209 19 189 18 178 13 135 5 98 54 60 66 72 78 期間 PFS n=417 n=406 FoxP3低発現 PD1高発現Tfh NS FoxP3高発現 p=0.050 PD1低発現Tfh 35 33 33 32 32 30 28 27 24 17 10 155 140 130 122 118 109 102 90 85 65 40 18 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78 期間 (月) (月) 期間 (月) ・腫瘍浸潤性のCD3高発現およびPD1高発現はPFSと有意に関連したが、 PD1陽性Tfhには関連は認められなかった。 なお、 各T細胞表面マーカーの至適カットオフ値はX-tile 法を用いて決定した。 提供: この資材は学会の最新情報を掲載しています。掲載されている薬剤の使用に あたっては各薬剤の添付文書を参照ください。 Lugano, Switzerland, June 17-20, 2015 第13回 国際悪性リンパ腫会議 CLINICOPATHOLOGICAL CORRELATIONS #024 濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブ治療と腫瘍浸潤性T細胞の予後的価値 Rituximab Treatment in Follicular Lymphoma Circumvents the Prognostic Value of Tumor Infiltrating T-Cells Luc Xerri, et al., 図3 Institut Paoli-Calmettes, Marseille, France Training/validation setを用いた解析 PFS:PRIMA試験 training set training set / validation set CD3 n=417 Trend CD8 n=418 NS CD4 n=287 NS PD1 Tfh n=406 NS ICOS n=379 NS FoxP3 n=369 NS PD1 n=395 NS PFS:PRIMA試験 validation set n=208 n=209 CD3高発現 CD3高発現 NS p=0.024 77 75 69 64 56 50 47 43 38 37 32 29 21 16 131 130 122 117 103 100 96 96 91 86 81 71 57 45 0 6 12 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78 - 130 122 114 106 97 93 90 80 74 69 58 53 37 (月) 期間 0 6 OS:PRIMA試験 training set 12 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78 期間 OS:PRIMA試験 validation set CD3高発現 CD3高発現 NS p=0.03 0 6 (月) 12 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78 期間 (月) 11 11 0 6 12 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78 (月) 期間 ・Training/validation setを用いた解析では、いずれのT細胞サブセットもPFSまたはOSと有意な関連を認めなかった。 ・Training setではCD3高発現はPFSとOSと有意に関連し、CD3低発現と比較して有意にPFSとOSが良好であることが確認されたが、validation setでは有意な関連はみられなかった。 提供: この資材は学会の最新情報を掲載しています。掲載されている薬剤の使用に あたっては各薬剤の添付文書を参照ください。
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