西宮渡辺心臓・血管センターに導入された最新型 2 管球 CT 「SOMATOM Force」 。民間病院では初となる同CTは、0.25 秒/回転から得られる高時間分解能に加え、新型のX線管や X線検出器、逐次近似再構成法「ADMIRE」による低被ばく かつ高速な撮影で鮮明な画像が取得可能でより低侵襲な CT 検査が実践可能なシーメンスのフラッグ・シップ CT である ◉ 西 宮 渡 辺 心 臓 ・ 血 管 センター 社会医療法人 渡邊高記念会 兵庫県 西宮渡辺心臓・血管センター 兵庫・西宮の心臓と血管を守る専門病院が、 さらなる同領域の診療の深化のために、 厳選した装置が最新鋭2管球CTだった 兵庫県西宮市の西宮渡辺病院は、半世紀にわたり地域住民から信頼を寄せられてきた施設であるが、 同院が地域の心臓血管医療の充実を図るべく至近の地に開設した施設が、西宮渡辺心臓・血管センターである。 近隣には、現在、大学病院を含む大規模病院が複数あり、その環境下、高度な心臓血管領域での“競争”は熾烈であろう。 しかし、民間病院の枠を超えた厚く、緻密な診療体制により、同センターへの評価は極めて高いと聞く。 当然、機器の整備についても積極的であり、昨今、話題になっている最新の2管球CTもいち早く導入を果たした。 その積極果敢な診療体制をリードする佐々木理事長、山室院長他、キーパーソンの方々に話を聞く機会を得た。 新 医 療 2015年9月号 ( 8 ) I n t e r v i e w 社会医療法人 渡邊高記念会 理事長 本院である西宮渡辺病院は、整形外科領 域や消化器疾患を中心に、質の高い医療を 提供し続けることが重要です。中でも、高 齢社会の進展に伴い在宅医療との連携が重 要になると考え、当法人でも力を入れてい 利益にもつながっています。 上とともに医療の安全の担保など具体的な ムを 年に立ち上げました。心不全という ために循環器内科が中心となり心不全チー 当センターでは、慢性心不全の患者さんの るところです。具体的な取り組みとして、 ︱︱最新かつ高性能な医療機器の導入は、 籍しています。今後、慢性心不全の疾病管 士といった人材が当センターには豊富に在 医師・看護師・栄養士・薬剤師・臨床心理 病気の管理には、多面的な支援・介入が必 地 域 住 民 の 皆 さ ん に 理 解 し て い た だ き、 た2管球CTは、より短時間での撮影や被 急性期医療については、 年2月に前述 した最新の2管球CT﹁ SOMATOM Force ばく線量の低減など、多くの長所を備えて います。そのメリットを開業医の先生方や、 ︵シーメンス︶ ﹂の導入に加え、7月に最新 病院経営にとって負担にはなりませんか。 負担となることは事実ですが、それをプ とした循環器領域、脳卒中を中心とした脳 ラスにしていくことは可能です。最新の医 救急医療の7∼8割を占める心疾患を中心 療機器を揃えることは、先ほど述べた通り、 理にチーム医療の考えを導入し、地域にお 提供し続けています。一方、当センターは 神経外科領域において、質の高い医療を提 医師の確保やスタッフのモチベーション維 氏に聞く 供することを目指しており、 〝この病院に 持に留まらず、患者さんの増加に貢献でき 佐々木恭子 ︱︱渡邊高記念会の沿革と西宮渡辺心臓・ 行けば助けてもらえる〟と地域の皆さんに 加えて必要なのが、そのチームの一人ひと トータルな意味での病院の評価を上げるこ 要ですが、そうした疾病管理をするための 血管センター開設の経緯からお聞きします。 思っていただければと考えています。 ける心不全治療に貢献したいと思います。 りが存分に力を発揮できる医療環境を整備 院﹂を嚆矢としています。2010年には、 そのような医療機関になるための一番の 核となるのは、志が高く熱意のある医療 することです。この医療機器を含めた医療 て現在に至っています。 る充実度については〝オンリーワン〟であ ワン〟とは言いませんが、専門領域におけ かせください。 ︱︱今後の病院の予定、展望についてお聞 益につながっていくと考えています。 して精一杯努力を続けていきます。 み、地域の皆さんに信頼される医療機関と び最先端の高度脳神経外科治療に取り組 の血管撮影装置﹁ Artis ︵ ﹂を導入し Q同︶ て脳卒中センターをオープンしました。 ると自負しています。 境整備の一環ですね。 療機器が充実していますが、これも医療環 ︱︱最先端の2管球CTを始め、最新の医 今後も患者さんに対して質の高い医療を チームを揃えることは自明ですが、それに 当法人は、開設以来急性期医療に力を注 いできましたが、西宮市および周辺地域に 環境の整備という点に関しては、〝ナンバー その際に法人名を﹁渡邊高記念会﹂と改め は、心臓血管疾患に対する救急施設が少な 兵庫県初となる社会医療法人の認可を得、 当法人は、1965年 月1日に故渡邊 高 前理事長によって開設された﹁渡辺病 ると考えています。例えば、新しく導入し 14 とによって、患者数増、ひいては病院の収 今後は循環器だけでなく、本邦の死亡原 因第3位である脳卒中の超急性期治療およ いことから、当法人の 周年事業として 年6月に﹁西宮渡辺心臓・血管センター﹂ を開設しました。 圏にしていますが、心臓血管疾患に対する 当センターは、西宮市西部を中心に芦屋 市を含めて人口約 ∼ 万人の地域を診療 高い医療を提供していかねばならないとい う〝志〟を伝えることができます。実際、 当センターの医師、スタッフは、充実した 医療機器にふさわしい心意気を持っている なお、最新の医療機器は、医療の質の向 と思います。 1981年日本大学医学部卒。1981年神戸大学医学 部精神科入局、1983年医療法人高明会西宮渡 辺病院勤務。2010 年法人名を医療法人高明会 から社会医療法人渡邊高記念会に変更、同法 人理事長就任、現在に至る。 06 専門病院として地域からの期待に応えるべ そのとおりです。医療機器の充実など、 医療環境を整備すれば、スタッフにも質の く努力していますし、また信頼を寄せられ ているとも思います。 ︱︱西宮渡辺心臓・血管センターの診療の 特徴についてお聞きします。 当センターに限らず、社会医療法人とし て、当法人は質の高い医療を展開し続けて いかなければなりません。 ( 9 ) 新 医 療 2015年9月号 11 40 40 15 佐々木恭子(ささき・きょうこ)氏 30 西宮渡辺心臓・血管センター 2014年には心不全チームを立ち上げ るとともに、ラピッドレスポンスカー︵※ どに加え、心臓リハビリ1200件以上と、 急性心筋梗塞の虚血時間や心肺停止時間を 接救急患者のもとに送り込むことにより、 る体制を整備しているのが、当センターの 年に心不全チームを立ち上げるなど、早 超急性期から慢性期に至るまでチーム力を て、患者さんにとって最適な治療を選択し、 生かした診療を行っています。 同科は、急性期における対応だけでなく、 期から多職種が介入するチーム医療を実践 題です。心筋梗塞の緊急治療は、専門病院 し、回復期、維持期を含めた長期の疾病管 日本は急性期ばかり脚光が浴びやすいで すが、その後のフォローが少ないことが問 理や予防診療を行っている。 であれば %の施設で対応できますが、そ ﹁循環器に関連する疾患すべてに対応でき つぎのように話す。 2割程度の施設でしか対応できていませ の後の回復期における運動療法への対応は ん。当センターでは、看護師や栄養士、リ ハビリを行う理学療法士らと連携し、多職 種によるチームで心疾患の治療に対応して います。 また、 年には救急における院外での心 肺停止患者に対するラピッドレスポンス カーを導入しました。よく知られるドク ターカーは、救急車が医師をピックアップ するため、時間的なタイムラグが生じたり、 救急車を2台動かす必要があるなどの問題 新 医 療 2015年9月号 ( 10 ) ▼ 表紙写真参照︶を導入したと山室氏は話す。 心臓・血管領域に関する専門病院として、 ﹁ラピッドレスポンスカーでドクターを直 西宮渡辺心臓・血管センター院長の山室 短くしたり、低体温療法を施すなど、大学 最新・高性能な画像診断装置を多数揃えて、 大学病院と遜色ない高度、かつ先進的な心臓・血管治療を推進 淳氏ら、同センターの臨床を支える医師の 関西でもトップクラスの実績を挙げている。 循環器内科 病院でも対応が難しい高度な医療を 時間 方々に、同センターの診療の現況と、新た 365日提供できる環境を整えました﹂ いてつぎのように話す。 2012年より同センターに勤務する、 に導入した2管球CT等、最新画像診断装 院長の山室 淳氏は同センターの特徴につ ﹁当センターでは、急性期の患者さんは当 特徴です。当センターには循環器内科医と 心臓血管外科医、その他循環器医療に携わ センターの中核診療科として 高度で先進的な循環器診療を実施 いのが特徴でしょう。入院患者の傾向とし なくありません。 また、当センターでは質の高い医療を提 供し続けるために、最新の医療機器や治療 るスタッフ全員がカンファレンスに参加す るなど、センターのスタッフが一丸となっ 然として、慢性期の心不全の患者さんも多 2015年2月に導入した 2 管球 CT 「SOMATOM Force」 は、心臓 CT 検査を中心に稼働中。同 CT と、装置の 運用を担当する放射線科技師長の和氣利充氏㊧と同科 診療放射線技師の門田一真氏 てはカテーテル治療による短期入院の患者 同センターの中核診療科ともいえる循環 器内科は、常勤専門医 名を擁している。 さんと、心不全治療や外科的手術による長 期入院の患者さんに大きく分かれていま す。平均在院日数は約 日です。 外来患者は1日約100名を数えます。 地理的関係から西宮市西部と芦屋市の方が 10 同センターの副院長で循環器内科部長を も継続して当センターに通院される例も少 務める民田浩一氏は、同科の診療について 中心ですが、遠隔地に引っ越した患者さん 14 置の臨床における有用性について聞いた。 I n t e r v i e w 社会医療法人 渡邊高記念会 西宮渡辺心臓・血管センター 院長 24 1996 年滋賀医科大学卒。神戸市立医療センター 中央市民病院 循環器内科副医長・CCU 室長を 経て 2009 年西宮渡辺心臓・血管センター循環 器内科部長、2013 年同センター副院長兼務、 現在に至る 氏に聞く 法を積極的に導入したり、臨床研究への取 り組みを盛んに行っている点も大きな特徴 と言えるでしょう。 式バイプレーン血管撮影装置﹃ Artis ﹄ Q を導入して新しく脳卒中センターを開設 民田浩一(たみた・こういち)氏 山室 淳 地域に密着した高度で先進的な心臓・血管 疾患医療を提供し続けてきている。 CS︶150件、経皮的冠動脈形成術︵P し、脳卒中にも 時間対応できるようにし 年 2 月 に は、 最 新 の 2 管 球 C T ﹃ SOMATOM Force ﹄を民間病院では初め て導入しました。さらに同年7月には最新 CI︶400件、心臓血管外科の手術件数 24 95 12 ています﹂ 30 14 西宮渡辺心臓・血管センターは、循環器 内科、心臓血管外科、脳神経外科を中心に、 1991年久留米大学医学部卒。神戸市立医療セン ター中央市民病院 循環器内科医長・CCU室長・ 救急部副部長等を経て、2012 年西宮渡辺心臓・血 管センター副院長に就任、2013年同センター院長 に就任、現在に至る。 180件、脳神経外科の手術件数約 件な 15 山室 淳(やまむろ・あつし)氏 病床数は 床と小規模ながら、現在、医 師は非常勤も含めれば約 名が在籍してお 20 り、2014年度は急性冠動脈症候群︵A 92 2 管球CT「SOMATOM Force」の臨床画像 2 管球 CT「SOMATOM Force」による心臓 CT 画像。上段左よりストレート CPR 画像、ストレッチ CPR 画像、下段左 よりアンギオグラフィック画像、冠動脈 3D 画像。鮮明な心臓 CT 画像を低被ばくかつ高速撮影で描出することができる 点がありました。一方、ラピッドレスポン スカーは、傷病者搬送機能こそないものの、 緊急車両として、消防の司令本部からの要 請を受けて医師が直ちに現場に駆けつける ことによって、できる限り心肺停止の時間 を短くするなど、素早く医療処置を施すこ とを可能としています。 行政の理解を得るのに苦労しましたが、 今では患者の早期治療や院外心肺停止の救 命にも大きく貢献しています﹂ 循環器内科とともに、心疾患の治療に当 たるのが心臓血管外科である。同科部長の 吉田和則氏は、同科の診療についてつぎの ように話す。 ﹁心臓血管外科は、常勤医2名に加え、神 戸大学医学部附属病院心臓血管外科の大北 裕教授を含む同院心臓血管外科の協力体制 の下、非常勤医が当センターの医療に加 わっています。1日の平均外来患者数は約 名、入院患者数は約 名で、手術は年間 で開心術120例、非開心術 例で合計約 12 に伴い、高齢の患者さんが最近は多くなっ 200例を数えます。社会の高齢化の進展 80 吉田和則(よしだ・かずのり)氏 1997年神戸大学医学部卒。1997年神戸大学第二 外科入局、天理よろづ相談所病院心臓血管外 科医員、明石医療センター心臓血管外科医長 を経て 2008年西宮渡辺心臓・血管センター心 臓血管外科部長に就任、現在に至る ており、先日も 歳の方の大動脈解離破裂 ( 11 ) 新 医 療 2015年9月号 30 90 減が期待できるCTである。 CTの登場で、ある程度心臓CT画像は良 2010年に導入。 く、血管の境界まで鮮明に描出することが 田氏はつぎのように話す。 ﹂等3D画像も撮影可能である。 DynaCT ハイブリッド手術室の有用性について、民 て有用です。 TAVI︵経カテー 当センターとしては、 テル大動脈弁置換術︶などにも活用したい のですが、施設基準が厳しいため、まずは 構造的心疾患︵ structural heart disease ︶の 治療などにハイブリッド室を役立てたいと 考えています﹂ 前出の吉田氏は、心臓血管外科医の立場 からハイブリッド手術室の有用性について ﹁ハイブリッド手術室は、低侵襲手術の役 須の設備であると考えています。とりわけ ことについて有用です。現在は、ステント ニーズに合わせて、TAVIやMICSな どの低侵襲手術が主流になるでしょうか ら、ハイブリッド手術室の重要性は今後も 高まっていくでしょう﹂ 脳神経外科 脳卒中センターをオープンして、 時間対応のSCUを設立 ﹃ Artis zee TA ﹄は、手術中に造影検査や C T ラ イ ク な 画 像 を 撮 影 で き る 点 な ど、 たという。現在、同センターの副院長で脳 ど、当時から先端機器の導入に熱心であっ 新 医 療 2015年9月号 ( 12 ) 症例の診療に当たりました。また、高名な より高い時間分解能が要求されます。 列 器のため、質の高い画像を得るためには、 要です。しかし、心臓は常に動いている臓 ﹁循環器診療において画像診断は非常に重 同CTの有用性について、循環器内科の 大北教授が診療されていることから、九州、 民田氏はつぎのように話す。 中国地方、関東などから来院する患者さん も多いですね﹂ 最新式2管球CT ﹁ SOMATOM Force ﹂ 高い時間分解能と低被ばく技術を搭載、 心臓CT検査の質の向上に貢献 るCTは、不整脈等撮影しやすくなった疾 ことができますし、低被ばくで造影剤の量 も減らすことができるので、高齢の患者さ んには極めて優しい装置です。 同装置は、ダブルスライドCアームに よって柔軟なポジショニングを実現。低被 を実現した装置です。時間分解能の向上に シーメンスの血管撮影装置﹁ Artis zee グラフト治療、末梢血管の治療やMICS より、息止めをせずに高画質な画像を得る ﹂を設置しており、循環器領域・脳外 ︵低侵襲心臓外科手術︶などで使用してお TA り、年間で数十件程度ですが、今後は患者 科領域における診療に役立てている。 圧倒的な短時間撮影と大幅な被ばく量低減 つぎのように話す。 病はあるものの、空間分解能や時間分解能 ハイブリッド手術室 同センターでは 年2月、シーメンスの 最 新 式2 管 球C T﹁ SOMATOM Force ﹂ を導入して、診療に役立てている。 割が大きくなっていくことから、今後は必 間分解能に加え、高速スキャンを実現する Turbo Flash Spiral撮 影 に よ り、 秒 間 700㎜ を超える撮影速度が可能になって いる。また、最大管電流1300 の設定 が可能な新型X線管﹁ VECTRON ﹂と最高 分解能0・ ㎜ に向上したX線新型検出 できることに感心しています。また、低被 潔度を担保した環境に、高性能血管撮影装 ﹁ハイブリッド室は、外科手術室と同じ清 ばく技術﹁ CARE ﹂を搭載するほか、﹁ ばく撮影でも高水準の画質を維持できるの で、冠動脈疾患に関する診断のほとんどは 神経外科・脳卒中センターの責任者である 槌田昌平氏は、同科の概要について、つぎ 多くのメリットがあります。特に胸部・ のように話す。 腹部のステントグラフト術や、ペースメー カー留置術など異物を体内に挿入する治 療を進める上でたいへん有用です。心臓領 域におけるCTの決定版と言えるのではな いでしょうか﹂ 療において、ハイブリッド手術室は極め CTで確実にできるようになった点は、診 ようになっています。 置を装備してカテーテル診療を実施できる 同法人の脳神経外科の開設は、約 年前、 1974年に遡る。 年には、まだ開発さ で、短時間での全身撮影にも対応できます。 また、ハードウェアだけでなく、ソフト 器﹁ ﹂を2対装備し、 Stellar Infinity Detector ウェアも優れており、画像再構成処理が早 被写体体型に依存しない低電圧撮影によっ てさらなる被ばく低減、造影剤使用量の低 ハイブリッド手術室に設置された血管撮影装置 「Artis zee TA」 。循環器診療における低侵襲心臓手 術やカテーテル治療に不可欠な設備として、同セン ターでの診療を支えている 高度な血管内治療や 外科手術実施に不可欠 に劇的な向上は見られませんでした。しか 麻酔科、循環器科と連携して治療にあたる くなりましたが、以後登場した 列を超え 1983年岡山大学医学部卒。福山市民病院等を 経て、1999 年西宮渡辺病院脳神経外科勤務。 2015年西宮渡辺心臓・血管センター副院長 兼 脳卒中センター長に就任、現在に至る し、 今回導入した﹃ SOMATOM Force ﹄は、 同センターでは、カテーテル治療と外科 384スライス︵192スライス×2︶で、 的手術に対応可能なハイブリッド手術室を 槌田昌平(つちだ・しょうへい)氏 同CTはシーメンスのフラッグ・シップ 装置であり、 Dual Source ︵2管球︶シス テムと0・ 秒/回転から得られる高い時 15 64 ﹃ SOMATOM Force ﹄により、被ばく線量 をそれほど気にせず、プラークの形状まで 40 れたばかりのCTスキャナーを導入するな 76 mA 64 描出することができるようになったこと 24 25 24 たのは2013年で、私は 年4月に本院 ﹁当センターに脳血管センターが設けられ の退院やリハビリテーション病院への転院 テーションを組織的・計画的に行い、早期 会復帰にかかる期間の短縮や、予後改善を を図っています。これにより家庭復帰・社 すが、脳神経外科の入院患者は147名で、 促進することが望めます。 から異動してきました。 年度のデータで 疾患別でみると頭部外傷が約 %、脳血管 力を入れていきたいですね﹂ 置されたので、今後はステント治療などに また、最新式のバイプレーン型血管撮影 障害が約 %、痙攣・てんかん等その他の 装置﹃ Artis ﹄ 疾患が %という内容でした。入院患者の Qも導入しました。血管内 治療に不可欠な新型バイプレーン装置も設 るとともに、脳血管障害の患者さんが多く 平均年齢は 歳で、高齢者が多くなってい なってきています。 取り組んでいると院長の山室氏は話す。 ﹁最先端の装置が導入されたので、これら の装置を活用した研究を進めていきたいで すね。研究成果を発表することにより、全 国の医師からの注目を集め、結果、リクルー ト効果と院内のモチベーションを保つこと にも大きく貢献します。また、装置ばかり でなく、ラピッドレスポンスカーの導入効 果についても評価したいと考えています﹂ また、山室氏は、センターの今後につい てつぎのように話す。 断が可能で、立体的な血管画像も描出でき ます。おかげで脳血管撮影検査は大幅に減 レーション治療を本格化させていく予定で たが、循環器領域についても9月からアブ す。2管球CTの導入、カテーテル治療室 ﹁7月に脳卒中センターをオープンしまし にはナーバスになっていましたが、この装 り、CTに置き換わっています。福島県の 置であれば医療スタッフ側も安心してCT 原発事故以来、多くの患者さんがCT撮影 ンターベンションに必須の、コーンビーム 6万5536階調のデータ検出を実現。イ の3室体制、ラピッドレスポンスカーの導 技師、リハビリ療法士、医療ソーシャルワー 手も良い装置で、脳神経領域における血管 うメーカーですし、画質が良い上に使い勝 ﹁シーメンスは国内でもトップシェアを争 機器・スタッフの陣容を整えて 脳領域での医療の質の飛躍を目指す 医療の質向上と医師のモチベー 同院では、 ション維持もかねて、臨床研究に積極的に 入、 時間診療体制の構築等、装置やスタッ 検査を推奨できるようになりましたね﹂ カーなどの専門職が医療チームを構成し、 脳卒中センター オープン ﹂をはじめとした、 DynaCT 3Dイメージングにおけるさらなる画質の ついて、脳神経外科・脳卒中センター部長 ションの搭載を可能にしている。同装置に 向上や、新しいガイディングアプリケー CT﹁ Q このような脳血管障害の患者さんに対応 バイプレーン型血管撮影装置﹁ Artis ﹂ するため、当センターでは、7月に脳卒中 は、新しい﹁ Large HDR ディテクタ﹂を 採用。従来型フラットディテクタの4倍、 センターをオープンし、現在は常勤医3名 しています。卒中担当医が専用のホットラ で、 時間365日対応できる体制を構築 イン︵PHS︶を常時携帯し、救急隊や近 隣の開業医から直接患者さんの情報を得る ことができ、治療までの貴重な時間を短縮 することができています。 診療に当たっています。この医療チームを 内治療には欠かせません。 この ﹃ Artis﹄ は、 Q 微細な病変を描出できるほか、3次元CT フに関する陣容は十分整いましたので、今 後はこれらのリソースを活用し、心臓疾患・ 循環器領域・脳疾患における、関西を代表 する病院にすることを目指していきたいと 考えています﹂ 理事長:佐々木恭子 院 長:山室 淳 所在地:兵庫県西宮市池田町 3番 25 号 病床数:92 床(内 ICU 12 床) の大森一美氏はつぎのように話す。 支えるのが、脳卒中ケアユニット︵SCU︶ 24 社会医療法人 渡邊高記念会は、1965 年に創立された渡辺病院を嚆矢とする。 西宮渡辺心臓・血管センターは、大阪・ 神戸間における循環器と血管の唯一の 専 門 病 院 と し て 2006 年 6 月 に 開 設。 2010 年 に は ハ イ ブ リ ッ ド 手 術 室 を、 2012 年には脳神経外科を設置。2014 年には救急患者の救命率向上を目的と したラピッドレスポンスカーの運用を 開始し、2015 年には最新式 2 管球 CT とバイプレーン型血管撮影装置を導入 して脳卒中センターを開設するなど、 常に最新・最先端の医療を提供すべく 活動を続けている なお、当センターでは脳神経外科医・脳 血管内治療医だけでなく、看護師、放射線 です。SCUでは、発症直後から脳卒中急 撮影もでき、有用性の高い装置であると感 じています﹂ 性期の患者さんの適切な治療とリハビリ 脳神経外科では、2管球CTも診療に積 極的に活用していると大森氏は話す。 ﹁新しい﹃ SOMATOM Force ﹄は、被ばく 線量が大幅に低減されたことで、CT検査 がしやすくなりましたね。撮影時間だけで なく画像処理も速いため、迅速な検査と診 ( 13 ) 新 医 療 2015年9月号 1997年三重大学医学部卒。1997年大阪大学 脳神経外科入局、生長会府中病院脳神経 外科等を経て、2015 年 6月より西宮渡辺心 臓・血管センター脳神経外科 脳卒中セン ター部長に就任。 西宮渡辺心臓・血管センター 14 14 21 ハイブリッド手術室に設置されている 超 音 波 画 像 診 断 装 置「ACUSON SC2000」 。循環器用の超音波画像診断装 置として、3D 画像を瞬時に作成、左室 容量解析や心機能解析といった解析機 能も簡便に使用することができる 大森一美(おおもり・かずみ)氏 社会医療法人 渡邊高記念会 75 53 21 24
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