ホスト・リーダーシップ---マーク・マカーゴウ

Leader as Host, Host as Leader
ホスト役のリーダー、リーダー役のホスト
Towards a new yet ancient metaphor:
古くて新しいメタファーを確立する試み
Working paper 2.2
Mark McKergow PhD MBA
Director, sfwork - The Centre for Solutions Focus at Work
15 St George’s Avenue, London N7 0HB, UK
08453 707145, [email protected], www.sfwork.com, www.hostleadership.com
要
旨
リーダーをヒーローに喩えるあり方に基づく現代のリーダーシップの欠点は徐々に
明らかになってきている。また、それに対する反省から生まれたサーバント(奉仕
者)リーダー(Robert Greenleaf 提唱) という考え方も、誤解を招きやすく現実味に
乏しい。本稿はホストとしてのリーダーという新しい選択肢にについて 2009 年に初
めて書いた論文*の延長線上にある。
ホストというものはゲストを受け入れ、も
てなす人を指している。ホストは時にヒー
ローの役割を演じる必要がある。つまり、
前面に出て、計画をし、人々を招待して、
様々な物を提供するする必要がある。一方
で、ホストは奉仕役を演じる必要もある。
つまり、後ろに下がって、その場を盛り上
げて、皆の輪に入ることも求められる。したがってホストはヒーローとサーバント
の両者を含んでおり、また、両者の間を行ったり来たりするとも言える。ホストを
するという考え方は、古代から全ての文化に認められている。そして我々は皆、良
いホストというものがどんなものであるかを本能的に知っている。
.
このテキストは、リーダーシップの実践において関連があり、ホストというものを
構成している 6 つの点について検討したものである。
私が考えるホスト(そしてリーダー)とは、




物理的にも心理的にもすばらしい空間を作り出し、自分もその中で活動的に
なる。
強制という「ハードパワー」でなく、招待という「ソフトパワー」を用いる
「責任・対応する能力」を持っている (イベント内容を決定する責任を負う
と同時にそこで起きる事態に対応する)。
共同参加を活用する(人々をもてなす側に回ることと自分も一緒に参加して楽
しむことのバランスをとる)。
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

扉の開き方を正しく調整する (境界を守りながらも、新しい関係を築く)。
表舞台でも活躍し、2 階席から俯瞰もし、そして舞台裏で自分の能力向上を
図りながら過ごすこともする。
このテキストは最近執筆した小論をまとめただけでなく、現在執筆中の著書で今回
のトピックスに関連した経験例と物語など、さらに新しいアイデアを盛り込んでい
る。このテキストは是非、周囲の人々とも共有して頂き、[email protected] までご
意見ご感想をお聞かせ頂ければ幸いである。
*Mark McKergow, Leader as Host, Host as Leader: Towards a new yet ancient metaphor International Journal for
Leadership in Public Services Vol 5 No 1 pp 19-24 (2009)
はじめに
ホスト・リーダーは何千回ものワークを元にして生まれた、新しくそしてタイム
リーなリーダーシップ像のメタファー(喩え)である。
私はこのようなメタファーがとても重要と考えている。なぜなら、ホスト・リー
ダーという例えを用いることで、それぞれ立場が異なる実社会でのリーダーシップ
に関して、意義深くまた多様な考え方ができるようになるからである。ホストリー
ダーシップというメタファーを持つことで、「リーダーはかく行動すべし」という
具体的あるべき論よりも効果的に異なる状況においてすぐにその場に適した考え方
をとることが可能になる。昨今、様々なバックグラウンドを持つ人々がこの考え方
に似たアイデアを提供するようになってきた。それらの視点も本稿にできるだけ反
映させたつもりである。そして、現在のヒーロー的リーダーシップやサーバント的
リーダーシップの考え方からさらに発展する形で、ホスト・リーダーシップのメタ
ファーや実際のホストのふるまいを通じて実践的なインスピレーションを得ていた
だけるものと期待している。
Leader as hero ヒーローとしてのリーダー
ヒーローとしてのリーダー像は、我々の社会に深く浸透している。 通常、勇敢な男
性で、素早く行動して、全てを知っていて、事態を収拾し、状況を好転させ、危険
を回避するという像が浮かぶ。これらは、テレビドラマの「ローン・レンジャー」
のようなイメージで、クライスラー社のリー・アイアコッカや、100 年戦争の英雄で
あるジャンヌ・ダルクなどが頭に浮かんでくる。さらにリーダーシップに関連した
物語においては、リーダーの元型というものが存在する。「王」と「兵士」はユン
グの研究に基づくリーダーの元型であり、羊飼いは古い聖書によるリーダーの原型
である。いずれの場合も、リーダーというものは様々な困難を乗り越え、信頼にた
る存在であると信じられている。
ハーバードビジネススクールのリーダーシップに関する著者である Sharon Daloz
Parks はその状況を下記のようにうまく表現している。
「リーダーシップ研究の専門家の間では、指揮管理型でヒーロー的なリーダーシ
ップのモデルが成り立たないことは議論の余地がないほどになっているが、ヒーロ
ー的なリーダーシップのイメージは従来からの考えとして広く浸透しており、単な
るモデルというよりは人々の間に深く信じられている神話となっている。(Parks
2005, p 201)」
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大衆のイメージの中でこのような神話が存続するとことは、最も明らかである。
我々は困難な時に頼るべきある種の人物を必要とすると思わされている。しかしこ
のポストモダン社会では、ますますものごとの連続性が強まり、視点の多様性が増
し、相互に連結して乱雑でテクニカルに分析してもしつくせない泥どろとした問題
が満ちあふれていて、指揮命令でコントロールしようとするヒーローは、かつてな
いほど場違いな存在になってしまった。
ヒーロー・リーダーの神話には下記のような欠点が見つけられた:
1.ヒーロー・リーダーはすべてを熟知していると思われ、フォロワーはヒーロー
に完全に依存してしまう:フォロワーは自らの力では事態を解決できずに、ただ、
ヒーローの登場を待ち望むようになってしまう。
2.コントロールすることの錯覚:ヒーロー・リーダーは自分の努力、すなわち全
てを熟知し、力強く勇敢に振る舞うことによって危機を独力で回避できるとしてい
る。ところが、複雑に相互依存性の高まった現代社会はこのような態度によって変
化させることは難しい。
3.フォロワーの均質なイメージ:王は多数の国民を持ち、羊飼いは多数の羊を持
っている。これは大衆の均質さを示している表現だ。すべてのフォロワーは同一で、
個の集まりというより、全体として一つのものとされてしまっている。
4.群れを助けている最中に死にたいというヒーロー(勇士、王、羊飼いでさえ)の意
欲:実際にあるいは比喩的にであれ、破壊されることを覚悟する、あるいは破壊す
るということがヒーローの義務である。
Sharon Daloz Parks のコメント:
「ヒーローの例えはある場においては肯定的な面があるものの、それは限定的で、
日常生活の場においてはむしろ危険でさえもあると、ますます多くの人々は直観的
に認識するであろう」(Parks 2005, p204)

Leader as Servant 奉仕するリーダー
ヒーローだけがリーダーシップではないことは明らかである。しかし、いったいそ
れは何であろうか?ヒーローに相対するひとつの考え方は、1970 年に Robert K
Greenleaf により提唱されたサーバント・リーダーシップである。この考え方は多く
のマネージメント専門家に受け入れられた(例えば 1995 年 Spears など) 。ヘルマ
ンヘッセの東方巡礼 The Journey To The East という小説に刺激を受けて Greenleaf は、
偉大なリーダーという者はまずは他者へ奉仕するべきで、このことがリーダーの真
の偉大さを示すとの考えに至った。その小説は、あるグループが巡礼の旅に出ると
いうストーリーであった。その旅の召使いであるレオはグループの面倒を見、やり
やすい様にしてやり、気配りをしてくれるので、彼らはレオについていくだけでよ
かった。彼らの旅レオがいる間はうまく行くのであるが、居なくなったとたんにば
らばらになり、レオなしではうまく対処もできず、彼らはやがてその旅を諦めなく
てはならなくなるのである。何年もの後、ナレーターはついレオに出会い、その旅
のスポンサーであった修道会に連れて行かれ、そこでレオがその修道会の指導者で
あることを知るのであった。それは、導きの聖霊ともいうべきものであろう。
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この考えは、現在広く広まっているヒーロー的なリーダーに対抗するすばらしい考
え方であって、様々な領域に影響を与え、宗教的な活動や様々な関係構築を仲立ち
し、リーダーシップにおいても機能している(2005 年センゲ参照。)そしてリーダ
ーのニーズは、フォロワーに対応し、コミュニティを維持して、財産を管理し、次
世代に引き継ぐということが明らかとなったのである。サーバントはヒーローとは
同じスペクトラム上に位置すると見て取れるが、それはヒーローとは対局に位置す
るものである。
しかしながら、サーバント・リーダーシップという例えは、同時にいくつかの欠点
をはらんでいる。
1.例えに深みがない:21 世紀の我々において、サーバント(召使い)という考え
は日常からかけ離れており、サーバントというと反射的にウエイターなどを想像し
てしまう。ジーブスとウースター、レポレロとドンジョバンニ、サンチョパンサと
ドンキホーテなど、歴史的にもまた書籍でも、主人-召使いとの関係は、深みがあり
多面的な関係でもあり、ここでは召使いの反対が主人であるかというとそうともい
い切れない。したがって、責任をもって行動する能力であるとか、権力などにおい
ても混乱しがちである。(もちろん、サーバントリーダーシップの書籍においては、
これらについては慎重に考慮されている。)サーバントリーダーシップに関する偏
見や誤解の例は McCrimmon のサイト (http://www.leadersdirect.com/servant.html) を参
照のこと。
2.女性や少数民族など歴史的にサーバント役を強制された人々にとって、サーバ
ントのイメージは、受け入れがたい:彼らはむしろ前向きなイメージを好むと思わ
れる。サーバントリーダーシップを支持する人々は、サーバントリーダーシップを
詳細に学ぶことでサーバントの新しい役割を見いだすことができると主張するが、
最初のイメージに魅力がないとうまくいかないであろう。
3. サーバントしてのリーダーは、逆の立場からみると、ヒーローを頂点とする階
層的な問題を抱えている:多くの人々は、サーバントはご主人の気まぐれにされる
がままと考えている。そのため、責任という難しい問題が生じてくる。ご主人があ
る方法を望んだときに、サーバントはどんな役目を果たすべきであろうか?もちろ
ん、この問題はサーバント・リーダーシップの根本をなすもののひとつであり、サ
ーバント・リーダーシップを学ぶ人々がこの問題を辛抱強く学習するにつれて、そ
の奥深さに気づくことになるのである。さらに、上述したヘッセの物語では、自分
たちのサーバントが実はリーダーシップを発揮していることに巡礼の参加者達が最
後まで全く気がつかない点は興味深く、また特筆すべき点である。この物語は、寓
話としてはもちろん、リーダーシップの実践としても機能している。
他のリーダーシップの例えとしては、近年、劇場ディレクター、ミュージシャン、
即興演奏者(DePree, 1992)や芸術家(Parks 2005).などが提唱され、検討されている。こ
れらは皆、価値ある要素が含まれている。しかし、これらとは異なってより説得力
のあるリーダーシップの例えの模索が続いている。説得力があるという点では、メ
タファーというものは、ヒーローなどと同様に手軽にわかりやすい手法であり、学
習者の注目を引くことができる。同時に、サーバントなどは複雑で絶えず変化して
困難な時代においても示唆に富んでいる。
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Leader as Host, Host as Leader
のホスト
ホストとしてのリーダー、リーダーとして
このテキストでは、古くて新しい例えである、ホスト役リーダーというものを提唱
したい。私の最初の論文(McKergow, 2009)だけでなく、Berkana 研究所のマーガレッ
ト・ホイートリーらも同様の方向で検討しており(論文参照)、この 5 年もの間に
この考えは様々な形で表に出てくるようになった。またホスティング会話によるリ
ーダーシップの取り方にフォーカスした、すばらしいホスティング行動の技のウェ
ブサイトも開設されている。
私は、リーダー役ホストというメタファーを考えて詳細に検討した。ここでは完
璧な解説を試みるというよりは、良いホストであるということの意味に関するキー
要素を見ていこうと思う。そして実際にどのようにリーダーシップを発揮したら良
いのか具体的にみていく。この探求により、役に立つことが見つかり続けることに
今でも驚き続けている。
ホストは、様々な文明や文化においてその役割を普遍的に果たしているにもかかわ
らず、リーダーシップ物語としてはあまり検討がなされていない。私は、ホストは
サーバントとは著しく異なるものだと考えている。
ヒーローとサーバントは階層的なリーダーシップの対極に存在するものと見なすこ
とができる。
Hero
Servant
私は、ホストはこのスペクトラム上に位置すると考えている。それは臨機応変に、
その場の流れに応じて役割が決まるものであって、時にはヒーローとしての振るま
いが必要なことがあり、また時にはサーバントとしての振るまいが必要となり、
様々な可能性によって決まるのである。この新しい例えは、ヘーゲルの弁証法の正
反合の合の視点として捉えることもできる。つまり、それは他の両者を含んでいる
だけでなく、多くの創造的な可能性を備えた新しい展望を提示しているのでる。
Host
Hero
Servant
我々はホスティングを行うことには慣れている。ディナーパーティを計画したこと
のない者がいるだろうか?飲みに誘ったり、誕生日を祝ってもらったことの無い者
がいるだろうか?つまり我々はホストの役割を自然と理解しているのである。さら
にゲストとしてパーティに参加したことのない者や、週末に誰かの家に泊まったこ
との無い者もいないであろう。すなわち我々はホストの反対の立場であるゲストを
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知っているのである。両者には役割があり、両者は規範と期待が存在することを
我々は知っているのである。
ホストとゲストは対をなして定義されるものである:陰と陽のように、片方のみで
は存在しえないものであり、一方が変われば他方は必然的に変わるべきものである。
実際、「ホスピタリティ」はギリシャ語でホストとゲストの両者を指すホスペス
(hospes)に由来している。この双対性はフランス語の hôte ,イタリア語の ospite にも認
められる。
What do hosts do?
ホストは何をするのか?
まずは、現実的で日常的な例えとして、パーティにおけるホストとゲストの役割に
ついて考えることとする。
1.はじめに:ホストはパーティを開催することを決める。そしてどんな種類のパ
ーティにするのか、どこで、いつなどのプランを練ることになる。そして誰をゲス
トに呼ぶかを考えて実際に招待する。料理、飲み物を調達して、エンターテイメン
トについても準備をする。開催場所を選択して、入念に準備をする。ここでは、ホ
ストは自ら進んで選択と計画を立てる。ここでは、ホストは何が必要で、企画のた
めに何を床に置くかを決定するなど、まるでヒーローのように振る舞うのである。
2.パーティの当夜:ここでは、ホストの役割はドラマチックに変化するのである。
ホストは、ゲストを迎え、まずは、軽い飲食物を振る舞い、各々を紹介し、全てが
首尾良く進行するようにして、基本的にゲストが心地良い時間を過ごすことに力を
注ぐのである。ここで注意をしたいのは、ホストがつねにスポットライトを浴び続
けたり、すべての会話を主導してはいないことである。ホストは、みんながちゃん
と参加しているかや、飲み物の時間から食事の時間へ移っていることを気づいてい
るか、だれもとり残されていないかなどを確認する役割である。更にホストは、ゲ
ストの要求に即座に対応しないといけない。どんなに完璧に準備をしても、思いど
おりにはいかないことも多い。この様な点においては、ホストはサーバントとして
振る舞うのである。しかしながらホストは、サーバントと違って、パーティーにフ
ルに参加もするのである。もちろん、どんな緊急事態がどのように起きるかは、そ
のホストの計画にある程度は関連するものであるが、それはあくまでもある程度で
ある。誰も何が起きるかは予想できないのである。例えば、テーブルビートの瓶が
真っ白いシャツの上にこぼれることもあるし、スフレの泡立ちに失敗するかもしれ
ないし、招かれざる客の突然の訪問を受けるかもしれない。この時ゲストは、まず
ホストの顔を見て、サーバント役でなくヒーロー役として迅速に対応するように求
めるであろうし、このパーティの人々のつながりを守ることを求められることもあ
る。いずれにしても何が求められるかは、ホストが意図しようが意図しまいが、何
が起きるかによって決まってしまう。
3.その後:ホストはゲストに別れを告げるが、ほとんどの場合、後片付けが残る
のである。そして再び、ホストはヒーロー役の要素とサーバント役の要素を駆使す
ることになる。この「最初」と「最後」の振る舞いは、サーバントリーダーの特徴
であり、例えば、沈み行く船で船長が乗員乗客が全て安全に退避したことを最後に
見届けることに似ている。
これは具体的で日常的な例えであるが、自分がリーダーシップをどのように考え、
またどのように実践したらいいかを考えるきっかけになっていただければと思う。
さらに、ホストの役割の長く豊かな歴史を調べることで、これがすべての社会に通
じるだけでなく、それが非常に深くしばしば精神的な人々のつながりを形成してい
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ることを知るだろう。ホストの習慣がどのようにして作り上げられてきたのかや、
異なる環境や文化でどのようにして機能しているのかなどに関する書籍や印刷物な
どは全くと言っていいほど存在しない。そこで、私がこの研究でこれらの点につい
て明らかにできればと思っている。
The host is both the first and the last – Arabic proverb
ホストは最初と最後を締める -アラブの格言Advantages of the host metaphor
ホストに例えることの利点
1.聞きなれた日常のイメージである:それは我々が本能的に理解でき、また、ホ
ストやゲストとして実際に関わった経験があるものである。人は皆、どこかでホス
トかゲストにはなっている。したがってホストへの例えは、現在人々にとっても理
解しやすく、また豊富で用途が広く、非常に深いレベルでの精神的なつながりの解
釈にも有能である。
2.ホストとゲストは対である:ゲストなしにホストを定義することは意味をなさ
ない。一方、ヒーローは人々を助けなくても、誰かへの奉仕を待っているサーバン
トがなくても定義することができる。
3.ホスティングとは活動であり、人の特徴を示すものではない:ある時はホスト
で、またある時はゲストでと、実際これらの立場は容易に変わりうるものである。
例えば、聖書のイエスに香油を注いだマグダラのマリアの物語などがある。(ある
女性がイエスに近づき高価な香油をイエスの足に注いだ。その場にいた人々は貧し
い人々のためにその金を使うことができたかもしれないと言って、彼女を叱った。
イエスは彼らをさえぎって、「彼女は私につくしてくれたのだ。あなた方はいつも
貧しい人々と一緒にいられるが、私とはいつも一緒ではないのだ」と言った。この
場面は、リーダーとしてのイエスがこの瞬間、ゲストとなっているとみることがで
き、ホストとゲストの関係に関して非常に重要で参考になる真実である。)この
「相互作用の視点」は私自身のソリューションフォーカスの仕事の重要な土台とな
っている(詳細は、Jackson & McKergow 2007, McKergow & Clarke 2007 を参照)。ま
た、精神的な「人を特性がつまった袋としてみるパラダイム(person-as-bag-of-traits
paradigm)」への新しい視点を提供するものでもある。
4. ホスティングはそのイベントを成功させるため、明確な責任を与える:イベン
トを行う上で外的な力というものは存在する。しかし、一方でホストはある種の権
力を持っており、その役割をきちんとこなすことで、その権力を新たに獲得したり
維持したり、行使したりするのである。また、コントロールや確実性、自由や参入
や不確実性などを計画したり即興で対応したりすることは全て役に立つのである。
5.ホストの役割は、完璧なヒーローとして振る舞うことと、無条件のサーバント
として振る舞うことの両者を含んでいる:それはその場での流れに依存するし、ま
た、合間の様々な可能性にも依存する。
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Key elements of Host Leadership
ホストリーダーシップの重要要素
この章では、リーダーシップに関するホスティングの6つの要素について考えてみ
たい。
ホストリーダとは、






スペースを作って、それを活かす
「ソフトパワー」を使って招待する
責任と対応する能力を持つ (イベント内容を責任をもって決定すると同時に
偶発事態に適応する)
一緒に参加する(皆をもてなすと同時に、他の人と同じように参加する)
門番を務める(境界線を守ると同時に新しい関係を築く)
表舞台、2 階席、舞台裏という違った役割を持つ場所で過ごす
1. Creating space – and being active in it スペースを作って、それを活かす
ホストの重要な役割の要素のひとつは、イベントを起こして開催することに適し
た空間を作る ことである。 ここでは、2つの考え方が存在する。リーダーシップに
関する新しい書物の多くは、重要な役割としてのスペースの作り方、およびスペー
ス内に現れる出来事を許して育てることの重要性を語っている。しかしながら、ホ
ストはスペースがどのように飾りつけられ、レイアウトされ、使用されるのかを最
前線で決定するのに中心的な役割を果たす。また、ヒーローの柔軟な役割について
の別の例として、ヒーローは 1 分間で勇敢で影響力のある決定をして、次の瞬間、
こぼれたミルクを拭き取るのである。
このスペースの考え方は、「場」の考えとして発展している。この日本語は、哲学
者である西田幾多郎により初めて提唱され、新たな関係性を創るために共有する空
間で、新しい意義が生まれる空間を意味する(例は、Nishida 1990, Nonaka and Nonno
1998 を参照)
したがって、ホストの役割は、ゲストだけでなく、スペースと切っても切り離せな
い関係にあると言えるかもしれない。どこかの場所なしにはホストは何もできない
(例えそのスペースがオンライン上であったにしても。フェースブックやマイスペ
ースなどのオンライン上で成功した企業の例をみても、彼らのゲストに有用で柔軟
なスペースを提供している)私の見解では、場をセッティングして手をかけること
は、あるいは全く手をかけない選択をすることを含めて、ホストの重要な役割であ
る。
リーダーシップの第一人者であるウォーレンベニスは、19 世紀のイギリスの有名な
首相であるグラッドストーンとディズレイリについての古い物語について詳しく述
べている。
もしあなたがウイリアム・グラッドトーンと食事をしたら、「グラッドストーンは
最もウィットに富んでいて、賢くて、最も魅力的な人だ」と思うであろう。しかし、
もしあなたがベンジャミン・ディズレイリと食事をしたら、「自分が最もウィット
に富んでいて、賢くて、最も魅力的な人だ」と思うであろう。つまり、グラッドス
トーンはその場で輝いていたが、ディズレイリは他の人を輝かせる場を作ったので
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ある。後者は、リーダーは他の人々の内なる宝を見つけ、かつそれをうまく利用す
る特権を持っているという冒険の形式である。それはリーダーシップにおいてはよ
り強力な形式である。(Bennis in the introduction to Parks 2005 p xi-xii).
ディズレイリはより優秀なホストであることは明白である。
あなたは、人々のベストを引き出すためにどのようにして場を創るのだろうか?
あなたの物理的なスペースは、どのくらいあなたの作業に貢献しているだろうか?
また、どのようにしてそれを改善させているだろうか?
あなたは、人々と彼らの仕事のために、どのような精神的環境(場)を創るのだろ
うか?
2. Using the ‘soft power’ of invitation
「ソフトパワー」を使って招待する
招待や歓迎などのソフトパワーは強制や脅しなどとのハードパワーとは異なる。実
はソフトパワーは、驚くほどパワフルで説得力のあるものである。ハーバード大学
のヨセフ・ニー教授はソフトパワーがいかに「軟弱」ではないかについて述べてい
る(Nye, 2008)。何かに参加するようにと個人的に招待された場合、招待にどれほど
の説得力があるかについて考えてみたい。
良い招待というものはしばしば、情報や期待、背景とともに、「あなたにこの活動
に参加して頂きたい」といった歓迎の合図が組み込まれている。これは、招待され
た人が、自分が受け入れられていると知っていることを、明らかに物語っている。
仮装服でパーティに出席したときに、他の人すべてが正装で参加していることを発
見したときの状況の気まずさを想像することは容易であろう。
招待というものは、招待された人が参加を拒否する可能性も含んでいる。NPO法人
パチャママ・アライアンスの共同設立者の一人、Lynne Twistは私に、「もし、ノー
という選択肢がなかったらそれは真の招待でなく、命令である。」と語った。実際、
招待は、両方のパーティに対して参加する選択を含んでいる。これはすべてが選択
と関係すると言うことではない。ただ、ホストリーダーはそのようなことを考える
ことが求められている。人々にソフトパワーを用いて参加を促す際、招待と選択は
ホストリーダーにとって重要なオプションとなるであろう。また、招待にはポーカ
ーのように、「先発者の優位性」というものも存在する。積極的に事に当たること
で、他の人々はあなたの投げかけに答えないといけなくなる。これはリーダーシッ
プにおいて、招待の力を明白に示している。
招待の受諾は、ゲスト・招待の受諾者にも影響をもたらすことになる。つまり、彼
らは、当事者意識を持つことになるのである。ホストとゲストの役割は、通常ホス
トから始まるが、我々は相互に定義されるべきものと考えている。古代では、ブー
ツの左右をはき違えた見知らぬ人がドアをノックしてかくまって欲しいということ
が珍しくなかった。このようなことは現代では極めて希なことと思われるが、ホス
トリーダーシップの考えで捕らえると、興味深い面がある。我々はこの見知らぬ招
かれざる客をどのように扱うべきであろうか?彼らは顧客や利害関係者かもしれな
い。我々は、見知らぬ人を中央に迎え入れるための確信と寛大さをもっているであ
ろうか?
あなたはどのように招待のパワーを使うのだろうか?
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あなたはどのようにして人々を自分と一緒に働くようにするのだろう?
あなたは他人からどんな説得力のある招待を受けたのだろう?
その中で説得力を持っていたのは何であろう?
Three balances for a host leader ホストリーダーのための3つのバランス
ホストリーダーシップの重大要素
まず最初に、ホスティングについて考える際、ホストにとっての3つのバランスに
ついて考えてみたい。ホスティングの際、みんなでどこに向かうのか、自分の役割
を果たすためにどの位置がバランスがとれるのか、あるスペクトラム上の一方から
他方へ移ることができるのか、などの視点がある。その選択は「前に出て」と「後
ろに下がって」の間の選択である。両者ともに正しい選択であるが、その場にふさ
わしい選択をすることが良いホスティングを行う上のポイントである。
3. Principle of Response-ability
責任(対応する能力)を持つ
「イベント内容を決定する」と「起きたことに対応する」
ホストはセッティングして物事が進むようにする役割がある。しかし、ホストは、
偶然の出来事や、予期せぬ出来事、幸運な出来事や不幸な出来事に対して常に警戒
しておく必要がある。これはホストの重要な責務でもある。ホストが最初に考えた
コンセプトや決定事項にしたがって物事が始まるが、予期しない変更を余儀なくさ
れる事態が必然的に生じるものである。そこで、優秀なホストは、事態に前向きに
対応するのである。
イベントを極度に制御する人はディレクターと呼ばれ、全ての出来事は計画通りに
む進むか、全てが台無しになるかのどちらかであると考える。
成り行き任せにしすぎる人は放任者と呼ばれ、火事が起きたのを見てゲストに
「我々は何をしたらいいのだろうか」と尋ねるのである。(私はこのタイプの振る
舞いを極めて多くの企業で見てきた。予想されるよりも決して珍しくはない。)
あなたは、責任を持って物事に対応することを求められる際に、どのようにしてそ
のパワーのバランスを取っているだろうか?
あなたは、準備できない物事に、どのような準備をしているのだろう?
4. Principle of Co-participation 一緒に参加する
「魅了して、もてなす」と「他のみんなと一緒に参加する」
ホストがゲストを魅了してもてなすことに驚きはない。しかし、ホストは常にみん
なと一緒に参加するのが良いのだろうか?逆に、ディナーパーティに行って、ホス
トが台所で食事をしていたらとても奇妙であろう。ホストは時には、2 階席から会場
を見渡すと同時に、ダンスフロアにも顔を出す必要があるのである(Ronald Heifitz
の例え、1994 年)。この参加の仕方の一連の行為は、上機嫌な挨拶から、精神的な
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面での寛容さや愛という次元までさまざまな形をとることができるのである。例え
ば、初期キリスト教の提唱者でベネディクト修道会の設立者が記したベネディクト
修道会の規範という書籍には、ホスピタリティの重要性が説かれている(Hay 2006
年を参照)。
手ほどきやもてなしをしすぎる人は「お母さん」と呼ばれたが、女性だけでなく男
性もそうなる可能性がある。
みんなと一緒に参加しすぎる人は「コースター」と呼ばれる。参加することはすば
らしく、ホストは常に状況変化に注意を向ける必要がある。ホストは何もやること
がなくても、常に何かをしている必要があるのである。
あなたの企業で、あなたはどんな方法で参加しているだろうか?
リーダーシップのスポットライトの中で、あなたはどのように参加方法を取り扱っ
ているだろうか?
5. Principle of Gate-opener
門番を務める
「境界線を守る」と「新しいつながりを後押しする」
パーティが招かれざる客に脅かされるような状況の時に、ホストが対応をリードす
ることが求められる。しかし、一方でホストは境界線の中であるいは境界線をまた
いで新しいつながりを後押しすることも必要である。これにはバランス感覚が必要
である種の矛盾があるが、ホストの判断を要求される。
ホストはそのグループの中にルーチン、パターン、儀式、キーとなる期待を確立し
て、それらはグループが発展するため、あるいはそのグループを特徴づけるのに役
立っている。そして、それらはグループの特徴をさらに強固なものにするように、
(しばしば比較的早いテンポで)働くのである。伝統というものは組織において、
その組織を定義するのにとてもパワフルな方法のひとつであり、ここでもホストは
重要な役割を演じるのである。
一方でホストは、新しい展開や、伝統を変更し発展させることへの対応をも行うの
である。さらにホストは、既存のグループを脅すことなく発展させる方法で、新た
なチャレンジや新しく物事を推進させることに対応するように思われなくてはいけ
ない。これは、いつ新しい人々やアイデアを招き入れるのかと、いつまでゲートを
閉め続けるのかを分かってるということを意味している。ここでは、ソーシャルメ
ディアの台頭との関係がある。つまり、公開することと友人間でのみシェアするこ
とを区別する決定を行わなければならないのである。
この種の考えの絶好の例は、南アフリカの大統領であったネルソンマンデラの大統
領就任時の頃にみることができる。ラグビーという競技は以前からずっと「白人」
の競技とされていた。そして、多くの黒人と反アパルトヘイト活動家に対して敵対
する文化の象徴であった。マンデラは、その忌み嫌ったスプリングブックのジャー
ジを着て決勝戦に登場し、我々の息子達(それは白人選手達を指す)は、優勝した
のだと誇らしげに語った。この物語は映画 「Invictus」中で感動的に語られている。
このゲートを開いた行為は、新しい南アフリカの発展に大きな影響を与えることに
なった。
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境界を過剰に守る人は「看守」と呼ばれるかもしれない(他によりよい言葉がある
だろうか?)
新しい関係を後押ししすぎる人は、「ギャンブラー」と呼ばれるかもしれない。彼
らは、すでにいる人々への思いやり無しに、できる限り多くの人を招待しようとす
るのである。
ウイスコンシン州マディソンの聖ベネディクト会のシスターであるメリー・デビッ
ド・ワルゲンバッハは、「ホスピタリティとは、家の敷居をまたがせることであり、
新たな境界線をイメージし直したり、自分たちのスペースを話し合うことであ
る。」と述べている。
あなたはどういう時にバリケードを強化する、あるいは新しい考えを受け入れよう
と思うのだろうか? その違いは何であろうか?
6. Host Leaders spend time front stage, on the balcony and back stage
ーは表舞台、2 階席、舞台裏で過ごす
ホストリーダ
リーダーとして、我々は大半を一緒に働いている皆から丸見えの表舞台で過ごすが、
もう 2 カ所、リーダーが時々いるべき場所がある。
一つは 2 階席である。この例えは Heifitz (1994)から来ているが、ホストリーダーの
コンセプトによくフィットしている。2 階席からの眺めは、ヘリコプターからの眺め
である。ホストは何が起こっているかを一目で把握でき、それらが地表で手に入れ
るのとは異なっている感覚を得ることができる。伝説のロンドン・レストラン店主
アントン・モシマンは、自分のレストランの 2 階席の最上端に小さなテーブルを構
えていて、階下のレストランで起きる出来事をこっそり見る優れたスポットとして
利用していた。
ホストリーダーが過ごすべき残りの場所は「舞台裏」である。この例えは、リーダ
ーシップ財団のサイモン・ウォーカーから聞いた(Walker 2005)が要約すると、我々
は折に触れて人々の前(表舞台で)活躍することを求められるが、同時に(舞台裏
では)自分自身の成長のために働いたり、親友から相談をされたりもする。これを
外部の仕事と内部の仕事として書いている本もあるが、私は、表舞台と舞台裏の例
えを好んでいる。
あなたは仕事でどのようにして「2 階席」を確保しているだろうか?
「舞台裏」では、どんな特別な活動が有用だろうか?
Leaders who host
ホストをするリーダー
私は、実際の世界におけるホスト・リーダーの例を挙げるように求められてきた。
ホスティングを個人に当てはめるよりも、国際的な活動、社会活動やその場の状況
として捉える方が興味深いかもしれない。私はゲストを見ずにホストを定義したく
はない。それではいくつか良いホストの例を示してみよう。
ダライラマは 2008 年 3 月には困難な状況におかれていた。チベットの追放された精
神的指導者である彼は、自国で中国政府当局に対する暴動および妨害に直面した。
彼が何をするのかを BBC のインタビューではっきりと答えた。
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「今からかなり時を溯る1987年、まさにこの部屋で、イギリスのジャーナリス
トが『もし事態が収拾できなくなり暴力が起きたときにあなたはどうするのか?』
と尋ねた。私はすかさず、『もし事態が収拾できなくなった時の、私の唯一の選択
は辞職である。ただそれは、既に手にいれているこの地位と全く同じだが。』」
(ダライラマ、 BBC News, http://tinyurl.com/4vjtxc, 2008)
これは、ホストリーダーシップの格好の例えである。ホストは、彼の人々(彼のゲス
ト)が暴力を継続すれば辞職すると脅すのである。ホストは彼らの振る舞いを受け入
れず、また彼らがヒーローを守ろうとする役割をも受け入れないのである。ホスト
は自分が暴力でなく何を欲しているかを決定し、人々に責任を持った行動を求めた
のである。彼らに対し、何をすべきかを語る代わりに、選択を与えたのである。
別の方法でホストとして振る舞ったリーダー達を考えてみよう。メディア・ホスト
であるアリアナ・ハフィントンは、彼女のハフィントン・ポストのウェブサイトを
使って、種々様々な貢献者のためにスペースを開設した。
エベレスト登山家クリス・ボニントン卿はホスト・リーダーとして多くの遠征をリ
ードした。自分自身は最終ゴールの頂上に立つことなく、人々を励ましサポートす
るのであった。TED 学芸員クリス・アンダーソンは世界中の無数の学者や思想的指
導者を結びつけた。故ロニー・スコットは自分自身も素晴らしいサックス奏者であ
ったが、ロンドンジャズクラブの歴史をつくることに貢献した。その努力がなかっ
たとしたらイギリスの音楽シーンは50年後に今のような輝きはなかったであろう。
身近なところでは、SOL 世界機構では、ホスティングの原則を取り入れ、企業にお
けるソリューションフォーカスの活動をシェアして実践してる (www.solworld.org)。
そこには議長、メンバー、役員、委員会あるいは銀行口座などはなく、ただ. 誰もが
参加できる運営グループがあるだけである。イベントを主催する準備が整えばイベ
ントが開催され、また、自分の意志に反するイベントを主催する義務はない。 誰で
も、運営グループの支援を受けられ、SOLWorld の旗の下でイベントを開催すること
を申し出ることができる。
ホストは参加者を招待するが、自分のリソースをリスクにさらして、どのような利
益があってもなくても何をどうするかを自分で決断する。 結果は、8つの国際カン
ファレンス、3つのサマースクール、北米、日本のイベント、無料のメーリングリ
ストやコミュニティとなって継続している。ここには、従来のヒーロー的リーダー
や、リーダーシップの構造は存在しない。SOLWorld の運営方法についての詳細は、
http://www.solworld.org/index.cfm?id=141 を参照されたい。
私はすばらしいホスティングの多くの例が存在することを確信している。と同時に、
ひどいホスティングの例が数多く存在しており、これらがどのくらい否定的な進行
に影響しているかも知っている。通りがかりに最高経営責任者が従業員に話しかけ
られなくていいように、駐車場から彼のオフィスまで特別なエレベーターを持って
いるという話を聞いたことがあるだろうか?ここでは彼の名誉のため名前を伏せる
が、ホスティングの条件としてこの問題を考えて欲しい。どんなホストがこの様な
ことをするのであろうか?彼のゲストはこのことに対して何を考えるだろうか?
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結語 ホストは最初と最後を締める
これは、私が最初にこの例えに興味を持つきっかけになったことわざである。ホス
トの務めは、全てのものが準備されていることを確認して、最初のゲストを迎え入
れ、(危険に直面して)前に出て、(ディナーに向けて)動きをリードして、同時
に(サーバントとなって)後ろに下がって、もしくは沈み行く船の最後の下船者と
なることである。最近のコスタ・コンコルディア観光船のイタリア沖合での事故に
ついて考えることは興味深い。スケッチノ船長は、船を座礁させたことでなく、乗
客を危険な状態で船に残し自分が逃げたことでマスコミに攻撃された。
ホストリーダーシップの例えは、シンプルかつパワフルな考え方だけでなく、我々
の豊かな伝統や多くの魅力的なつながりにおいて慣れ親しんでいるものを含んでい
る。是非それを試して、探求して、使ってみて、その経験を私や他の読者に知らせ
て頂きたい。この特別な考えから得られる多くのものがあると信じている。
是非、 メール [email protected] あるいは電話 08453 707145 (英国内) 、 +44 207 609
3466 (英国外)を頂きたい。
文献
Max DePree, Leadership Jazz, New York: Dell Publishing (1992)
Robert K Greenleaf, Servant Leadership, New York: Paulist Press (1977)
Robert K Greenleaf, The Servant as Leader, Robert K Greenleaf Center (1991)
Leslie A Hay, Hospitality: The heart of spiritual direction, New York: Morehouse
Publishing (2006)
Ronald A Heifitz, Leadership Without Easy Answers, Cambridge MA: Harvard
University Press (1994)
Herman Hesse, The Journey To The East, New York: The Noonday Press (1992)
Paul Z Jackson and Mark McKergow, The Solutions Focus: Making coaching and
change SIMPLE, Nicholas Brealey Publishing (2002, 2nd revised edition 2007)
Mark McKergow, Leader as Host, Host as Leader: Towards a new yet ancient
metaphor (International Journal for Leadership in Public Services Vol 5 No 1 pp 1924 (2009)
Mark McKergow and Jenny Clarke, Solutions Focus Working: 80 real-life lessons for
successful organisational change, Solutions Books (2007)
Kitaro Nishida, "An inquiry into the Good", translated by M Abe and C Ives (New
Haven, CT: Yale University Press (1990)
Ikujiro Nonaka and Noboru Konno, The concept of "Ba’: Building foundation for
Knowledge Creation. California Management Review Vol 40, No.3 Spring 1998
Henri JM Nouwen, Reaching Out, London: William Collins Sons & Co Ltd (1976)
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Joseph Nye Jr, The Powers to Lead: Soft, Hard and Smart, OUP USA (2008)
Sharon Daloz Parks, Leadership Can Be Taught: A bold approach for a complex
world, Boston: Harvard Business School Press (2005)
Larry C Spears (ed), Reflections on Leadership: How Robert K Greenleaf’s theory of
servant-leadership influenced today’s top management thinkers, New York: John
Wiley and Sons (1995)
Peter Senge, C Otto Scharmer, Joseph Jaworski, Betty Sue Flowers, Presence:
Exploring profound change in people, organizations and society, London: Nicholas
Brealey Publishing (2005)
Simon Walker, Subversive Leadership, Oxford: leadershipcommunity (2005)
Margaret Wheatley, From Hero to Host, intertview with Larry Spears and Roger
Noble of Greenleaf, http://www.margaretwheatley.com/articles/herotohost.html
(2001)
謝辞: My thanks to Matthias Varga von Kibéd for sparking my interest in this strand,
and to many people including Jenny Clarke, Anton Stellamans, Doug Hennessy,
Denise Wright, Paul Scheele, Steve Onyett, Stephen Josephs, Bob Marshall, :Lynne
Twist, Jeddah Mali, Marcia Martin, Jason Pascoe, Martin Rutte, Guy Stickney and
Robert MacPhee for helpful discussions.
著者について
マーク・マカゴウは、仕事におけるソリューションフォーカスセンター、sfwork の共同ディ
レクターである。彼は国際的にコンサルタント、講師、著者として活躍している。3 冊の著
書があり、数多くの文献を著作している。マークは SolWorld (Solutions in Organisations
Linkup)カンファレンスシリーズのの立ち上げを手伝い、SF コンサルタントの集まりの SFCT
のボードメンバーで、学術誌 InterAction のエディターでもある。アメリカ、アジア、ヨーロ
ッパ全体で定期的に仕事をし、Transformational Leadership Council のメンバーでもある。連絡
先は [email protected].
Initial reactions to the fist ‘Leader as Host, Host as Leader’ paper (2009):
"The complexity and diversity of leadership theory reflects the world we live in today.
But complex and diverse isn't necessarily good. Many of the challenges we face today
are because we have lost the sense of elegant simplicity in the lives we can lead as
human beings. In "Leader as Host, Host as Leader" Mark McKergow has done us all
a great favour in reminding us that good leaders are human beings first, and leaders
second. His revival of ancient wisdom is timely, as is the emerging dialogue around
virtue and character in public life. For leaders in the public sector, this concept is the
perfect antidote to the mechanistic and stifling rigor mortis of bureaucracy. I cannot
recall ever being asked by a host to complete a Health and Safety Risk Assessment
before entering their home. The concept of Leader as Host, Host as Leader provides
us with a simple relational model of leadership that has evolved and withstood the
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test of millenia. Good leaders as hosts invite followers. They care for their needs.
They are personally humble and self-disciplined, putting the needs of others before
their own. But they are also courageous and resilient if things go wrong and they will
confront and address the often brutal realities that gate-crash our lives. I commend
Mark's paper unreservedly and thank him for his valuable insight."
Professor Roger Steare BA FRSA FREC
Visiting Professor of Organizational Ethics, Cass Business School, City University,
London
I welcome and am excited by Mark McKergow’s thought-provoking article on host
leadership for a variety of reasons.
My experience is that, although many people are relieved to hear about the
shortcomings of the heroic leadership models, they often struggle with understanding
the notion of leadership as servanthood, particularly if it is the first occasion on
which they have encountered the metaphor. It is extremely useful that this article
articulates some of the tensions that exist, and offers a new, related metaphor (leader
as host) to explore such a critical phenomenon as leadership. I am especially pleased
that the author refers to the discomfort that might be particularly acute for women
and people from minority ethnic backgrounds, who (with a few exceptions) have
conspicuously been excluded from most previous studies of leadership, and some
would argue, from full participation in society.
The relationship described between hero, host, and servant offers, as Mark
McKergow states, ‘a new perspective with many creative possibilities’, and expands
the exquisite commentaries of Margaret Wheatley, which celebrate the essential
humanity of leadership in looking for the good in others and having an ‘unshakable
faith’ in people, by drawing our attention to leadership as the creation of spaces and
opportunities when people come together.
I would hope that our own empirical research on engaging leadership – which,
in essence, gave voice to people about their experiences of receiving leadership,
identified overriding themes of openness and connectedness, and emphasized the
desire for partnership and co-ownership of human aspiration and effort – contributes
another aspect of the richness of the new kaleidoscope of leadership thinking.
In summary, Mark McKergow presents a different, exciting perspective for
those of us seeking meaning in a world of colossal complexity and unbounded
possibilities.
Professor Beverly Alimo-Metcalfe
Chief Executive, Real World Group
This is a very interesting alternative leadership concept and fits in well with
developing ideas regarding the need for leadership qualities throughout an
organisation. It is a great concept that will stimulate much thought. It would be
interesting to apply the metaphor to some recent leadership examples in practice,
such as national government initiatives, large corporations such as British Airways,
Rolls Royce and Tesco, as well as smaller entities; and also in a military context.
Each could be quite revealing, and thought provoking. It would also be interesting to
consider the metaphor with respect to the more traditional leadership styles necessary
to manage accountability and responsibility. In addition it would also be worth
thinking about how you would use the metaphor to stimulate a whole new framework
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for considering risks and rewards. I wonder also how one might explore the
sustainability of leadership using the metaphor, and what happens in times of crisis
and disasters and where there is a sudden loss of host. Will the guests be equipped
and know what to do next, and how would you seek out a new host? Which begs the
question – are hosts born or made?
Frederick Psyk
Director, FSP Solutions and Non-Executive Director on the board of the Avon and
Wiltshire Mental Health Partnership NHS Trust, UK
“As a Faculty member at Ashridge teaching managers and executives from all around
the world, I am confronted with many metaphors for leadership. I`ve never been very
happy with the Hero metaphor nor the Servant one, although many managers
definitely cling to belief in the Hero! Mark`s idea of the Host as a metaphor brings
several advantages over other ones. As a teacher and facilitator I want metaphors to
help managers explore aspects of their own management and leadership, I want it to
be useful as a practical tool both in the classroom and in their organisations. This
metaphor gives me many options - for example, the idea of invitation implied in the
metaphor. This can lead to conversations around whom the leader invites , who is
included and who isn’t, and especially around how the leader invites… As a tool for
reflection and exploring the meaning of leadership, I think this is a very worthwhile
and useful metaphor.”
Mike Brent
Client and Programme Director. Ashridge Business School
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