資料② 都留市農林産物直売所事業 農業技術向上講習会 第4回 ○野菜の種類、作付け計画、種・苗について 1.野菜の種類 野菜の種類は大変多く、現在日本で栽培されているものだけでも 150~200 種類も存在する。このうち日本古来の野菜は、フキ、セリ、ワラビなどの数種 類しか存在しない。 また、海外からの新品目導入や品種改良がどんどん進んでいるため、新しい 野菜や珍しい野菜も増えている。 これらの野菜を、その利用部分から大まかに分けると果菜類、葉菜類、根菜 類となる。 さらに植物としての学術的な類縁関係からみるとアブラナ科、ユリ科、ナス 科、ウリ科、マメ科などに分類される。 (1)果菜類 ①ナス科 ナス、トマト、ピーマン、トウガラシなど ②ウリ科 キュウリ、シロウリ、カボチャ、メロン、スイカ、ズッキーニなど ③イネ科 スイートコーン(未成熟とうもろこし) ④アオイ科 オクラ ⑤マメ科 インゲン、えだまめ(未成熟ダイズ)、ソラマメ、エンドウ、ラッカセイ、 ナタマメなど ⑥バラ科 イチゴ (2)葉菜類 ①アブラナ科 キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワー、コマツナ、チンゲン サイ、タアサイ、タカナ、メキャベツ、クレソン ②アカザ科 ホウレンソウ、フダンソウ(スイスチャード)、オカヒジキ ③セリ科 セロリ、パセリ、ミツバ、フェンネル、セリ、アシタバ - 1 - ④ユリ科 ネギ、ワケギ、アサツキ、ニラ、ニンニク(芽)、アスパラガス ⑤キク科 シュンギク、レタス、フキ、アーティチョーク ⑥シソ科 シソ、タイム、セイジ ⑦ショウガ科 ミョウガ ⑧タデ科 タデ、ルバーブ ⑨ウコギ科 ウド (3)根菜類 ①アブラナ科 カブ、ダイコン、ラディッシュ、ワサビ ②ナス科 ジャガイモ ③ヒルガオ科 サツマイモ ④ヤマノイモ科 ヤマノイモ ⑤サトイモ科 サトイモ ⑥キク科 ゴボウ ⑦セリ科 ニンジン ⑧ショウガ科 ショウガ ⑨ユリ科 タマネギ、ニンニク、ラッキョウ ⑩オモダカ科 クワイ ⑪アカザ科 ビーツ、テンサイ - 2 - 2.菜園の作付け計画 畑を無駄なく活かし質の良い作物を作るためには、事前の作付け計画が大切 である。 そのためには畑を計画的にいくつかに区分し、栽培する作目の性質をよく知 り、それに合った作り方を行うことが必要となる。 毎年同じ場所に同じ作物を作る(連作する)と、年々生育が悪くなり、つい には収穫ができなくなってしまうことがある。これを連作障害という。 この連作障害を防ぐために、一度栽培した場所では同じ作目や同じ仲間(科) の野菜を続けて作付けずに縁の遠い作目を栽培する「輪作」が必要であり、こ の「輪作」が多品目を安定的に作付ける秘訣となる。 ○連作障害の出にくい作目と主な作目の輪作年限 連作障害が出にくい作目 サツマイモ、カボチャ、ニンジン、タマネギ、ネギ ニンニク、ミョウガ、フキなど 1年休耕する作目 コカブ、ホウレンソウ、ミツバ、タカナ、ニラなど 2年休耕する作目 インゲン、レタス、パセリ、ハクサイ、セロリ、イ チゴ、キュウリ、ブロッコリー、ジャガイモなど 3年休耕する作目 4年休耕する作目 ナス、トマト、ピーマン、メロン、ソラマメ、カリ フラワー、トウガラシなど エンドウマメ、スイカ、ゴボウ、サトイモなど ○菜園の作付け例(10 ㎡~) - 3 - 3.種子について (1)種子の寿命 新しい種子を購入する場合は別として、残った種子の取扱いについては寿命 を知っておくことが必要となる。 種子の寿命は貯蔵条件にもよるが、概ね下表のとおりとなっている。 種子の寿命 品 目 備 考 1 年 ネギ、タマネギ、スイートコーン、ラッカセイ 古い種子は 使用しない。 2 年 ニンジン、ゴボウ、インゲン、エンドウマメ、 シソ、ミツバ、ヘチマ、キャベツ、パセリ、セ ロリ、ホウレンソウ、ニラ 3 年 ハクサイ、レタス、ダイコン、カブ、トマト、 残りの種子 ピーマン、カボチャ、ダイズ(エダマメ)、カリ を貯蔵し、翌 フラワー、ナス 年使用する ことも可能。 スイカ、シロウリ、マクワウリ、ソラマメ、キ ュウリ、シュンギク、つけな類 4 年 ※種子の貯蔵方法 種子の寿命には、保管時の温度と湿度が関係している。一般に温度・湿度 ともに低いほうが長持ちする。 保管の際には茶筒やビンを利用し、容器の底に紙袋に包んだ乾燥剤(シリ カゲルまたは生石灰)を入れ、その上に種子を乗せて完全密封し、冷蔵庫ま たは冷暗所に置いて保管する。 - 4 - (2)は種のしかた ①すじ播き 一定の間隔に浅い溝をつけ、その溝に播く。 すじ播きに適するもの:ホウレンソウ、コマツナ、シュンギクなど ②ばら播き 畝の全面に平均にばら播く。 ばら播きに適するもの:コマツナ、ホウレンソウ、ハツカダイコンなど ③点播き 一定の間隔に1粒~3粒ずつ置いて、軽く押しこむ。 点播きに適するもの:トウモロコシ、インゲン、ダイズ(エダマメ)など - 5 - ④株播き 一定の間隔をおいて、数粒ずつまとめて播く。 株播きに適するもの:ハクサイ、ダイコン、キャベツ、カブ、ニンジンなど (3)種子の発芽条件 種子は温度、水分、光線、酸素の4つの条件を適度に整えてやれば順調に発 芽するが、種類によって異なった性質を持っているので注意が必要である。 ①温度 種子には種類によってそれぞれ発芽しやすい温度があるため、は種の時期 には注意する。 最適温度(℃) 低温性 高温性 品 目 15~20 ホウレンソウ、シュンギク、ミツバ、セロリ、 ニラ、シソ 15~25 ネギ、タマネギ、エンドウ、ソラマメ 15~30 アブラナ科、ニンジン、ナス 20~30 トマト、ゴボウ、インゲン、トウガラシ、 ウリ類 ②水分 種子を水に浸して吸収させると発芽が早くなり生育が揃う。 ・吸水量が多い品目 ニンジン、ゴボウ、マメ類など ・吸水量が尐ない品目 キュウリ、ダイコン、ハクサイなど - 6 - ③光線 種子の発芽には光線が必要なものと、光が当たらないほうがよいものがあ る。 ・好光性種子(覆土が尐なくてよい品目) レタス、ゴボウ、シュンギク、ニンジン、セロリ、ミツバ、シソなど ・嫌光性種子(覆土をやや多めにする品目) ウリ科、ダイコンなど ④皮 種子が発芽するときには水分を吸収するが、種子の種類によっては皮が硬 く容易に水分を吸収できないものがあり、硬実種子と呼ばれる。 処理は温水に漬けるか、砂と種子を混ぜてすり鉢などですりわせて傷を付 けるとよい。 ・硬実種子 オクラ、ゴボウ、ニンジン、アスパラガス、トウモロコシ、マメ科(小 粒のもの) 4.苗について (1)苗づくりの意味 「苗半作」という言葉があるように、多くの作物は苗の良否によって作柄 が大きく左右される。 苗づくりのメリットは、①ほ場での生育期間を短縮できる、②幼苗期を気 象災害や病害虫から守れる、③生育の揃った良い株を作れる、などである。 - 7 - (2)苗づくりが必要な品目 ①果菜類:生育期間が長かったり、発芽や生育に高温を要する。 ナス科、ウリ科、オクラ、イチゴなど ②茎葉菜類:病害虫を防ぐ キャベツ、カリフラワー、ハクサイ、ブロッコリー、レタス、ネギなど (3)苗の選び方 苗を購入する場合、信頼できる種苗店から購入するのが無難であるが、よ い苗を判断できる基準を知っておくことが重要。 ①茎が太く、がっちりとしたもの。 ②葉が大きく厚いもの。 ③節間(葉と葉の間の間隔)が詰まって短いもの。 ④葉の色がよく、いきいきとして艶があるもの。 ⑤根の張りがよいもの。 ⑥虫食い跡、病気の葉、枯れ葉などがないもの。 などがよい苗選びの基準となる。 - 8 - ○よい苗の実例 オクラ ナス ハクサイ キュウリ キャベツ ピーマン (4)苗を植え付けるときの注意点 ①根に付着している土は、できるだけ落とさないようにする。 ②購入後は、なるべく早く植え付ける。 ③極端な浅植え、深植えはしない。 ④植え付ける畑には、2週間以前に堆肥を施しておく。 ⑤果菜類は、植え付け後に仮支柱を設置する。 (トマトの例) - 9 -
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