ヴァレオ IAAプレスキット (PDF 1.37MB)

1
IAA フランクフルト モーターショー
ヴァレオ プレスキット
I – イノベーション – ヴァレオの成長の源
I.I –
CO2 排出量削減と直観的ドライビングに注力したイノベーション戦略
I.II – イノベーション志向の会社
3
6
II – ヴァレオ、2015 年フランクフルトモーターショー(IAA)で最新技術を披露
II.I – よりスマートに、より安全に、より接続された直観的な車へのイノベーション

世界初公開 – リモート Clean4U™
遠隔操作によるフロントガラスの霜取り・虫汚れ除去システム
8
8

ヴァレオ Mobius 2: 安全性を高めた第 2 世代が登場
10

ヴァレオ SCALA: 自動運転を可能にするレーザースキャナー
12

Sightstream®: カメラがミラーの代わりに
13

Valeo InBlue®: さらなる接続性を備えた第 2 世代
14

360Vue® 3D テクノロジー: 車両のすぐ近くでも、死角のない視野
16

インテリアライティング: 直観的なライティングのための将来へのソリューション
17

自動車用レーザーライティング: 将来のヘッドランプ
18

自動運転車のカメラ用スマートワイパー
19

車室内空気の最適化のためのヴァレオのソリューション
20
2
II.II – より高性能に、より燃料効率を高めるためのイノベーション
22

燃料消費を増やさずに、エンジン性能を高める電動スーパーチャージャー
22

レンジエクステンダージェネレーター
23

EG 高効率オルタネーター:PACE アワード受賞のイノベーション
23

EV とハイブリッド車向け高効率車載充電器
24

ドライデュアルクラッチ向け F910 乾式摩擦材
25

ヴァレオの革新的なエアコンサイクル用水冷コンデンサー
26

ヴァレオ、サーマルマネージメントを改革
27

バッテリーのサーマルマネージメント: 革新的なソリューションをフルラインナップ
29
参考資料

ヴァレオグループ
31

主な数字
31

ヴァレオの 4 つのビジネスグループ
32
I – イノベーション – ヴァレオの成長の源
ヴァレオの成長戦略は、アジアを中心とする新興市場での国際展開とイノベーションに基づいてい
ます。ヴァレオは、明日の自動車をより安全に、よりスマートに、より燃費が良く、よりドライビングの
楽しさを堪能できるものにすることを目指しています。
ヴァレオの目標の一つは、2014 年に 127 億ユーロである売上高を 2020 年までに 200 億ユーロ
以上に増やすことです。この達成に向けて、ヴァレオはグローバル展開、特にアジアでの活動を強
化するとともに、イノベーションによって明日の車を創出する開発力を高めることに注力しています。
ヴァレオは OEM 売上の 10%以上を研究開発に投資しています。4 つのビジネスグループ合計で、
10,400 名の研究者を擁し、50 カ所の研究開発センターを構えています。2014 年には前年比 40%
増となる 1,100 件を超える特許を出願しました。また、2014 年の受注高は、前年より 18%増の
175 億ユーロに達しましたが、このうち 35%が発売から 3 年以内の新技術を搭載した製品です。
I.I CO2 排出量削減と直観的ドライビングに注力したイノベーション戦略

CO2 排出量の削減と燃費の向上
地球温暖化などによる様々な問題や、石油消費量を減らす必要性についての認知度は地域によっ
て異なりますが、輸送業界が CO2 排出量全体の 4 分の 1 を占めており、石油消費量を減らすため
の廉価なソリューションを見出す必要があることは紛れもない事実です。世界中で厳しい規制が課
せられるようになってきたのはこのためです。欧州では、自動車メーカーは、新車の CO2 排出量を
2021 年までに平均で 1 キロメートル当たり 95 グラム以下に減らすよう義務付けられています。技
術革新によって CO2 と汚染物質の排出量を減らすことが、ヴァレオが掲げる 2 つのイノベーション
戦略のうちの1つです。
燃費向上に向けたヴァレオグループの技術開発は、主にエンジン効率の向上、パワートレインの電
動化、車両の様々な機能のエネルギー効率向上と軽量化などに関連しています。ヴァレオの
Hybrid4All®システムでは、燃費性能を 15%近く向上させるのに現在のハイブリッドソリューションの
半分程度しかかかりません。ヴァレオはまた、エンジン効率を高めつつ車室内の快適性を保つため
に必要なエネルギーを低減する、車両のサーマルマネージメントを最適化する統合的なソリューショ
ンを提供しています。ターボエンジンをよりコンパクトでよりクリーンにする水冷インタークーラーなど
がその一例です。
燃費の削減だけが車両の環境への影響を減らす方法ではありません。ヴァレオはエコデザインを
R&D の優先課題の一つに掲げています。
Innovation – fueling growth at Valeo
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
もっとスマートで、接続された、ドライビングの歓びを堪能できる車にするために、ヴァレオ
の直観的なドライビングというコンセプト
燃費効率に加えて、ドライバーはより接続され、自動化され、使いやすくなり、ドライビングの歓びを
堪能できる車を求めています。ヴァレオはこうした期待に応えるために、「直観的なドライビング」と
いうビジョンを掲げています。これは、市街地で車の運転を簡単にし、さまざまな運転状況でドライバ
ーを支援し、他のドライバーや周辺環境とより簡単に情報交換できるようにすることを目指していま
す。
ヴァレオの運転支援システムは、運転中の安全性と快適性を向上させる一連のスマートテクノロジ
ーを提供しています。毎年、市街地でのドライビングの安全性と快適性を高めるための洗練された
機能が付け加えられています。Park4U® リモートの拡張バージョンであるコネクティド・ヴァレット
Park4U®はその一例です。コネクティド・ヴァレット Park4U®を使うと、ドライバーが自動駐車の様子
をスマートフォンでモニターすることができます。このシステムを使うと、ドライバーは駐車場の入り
口で車から降りて、駐車可能なスペースを探すように指示を出すことができます。また、ドライバー
はスマートフォンを使って、車を駐車場の出口に呼び出すことができます。ヴァレオ InBlue®スマート
フォン互換スマートキーと、ミラーをカメラに置き換える Sightstream®スマートミラーは、インテリジェ
ントなモビリティと燃費削減に貢献するイノベーションの例です。
未来は今日から始まるからこそ、グループは将来を見据えてさまざまな技術を研究しています。こ
れによりドライバーは、インテリジェントな車に任せることができるようなるでしょう。ここでは、マン・
マシン・インターフェース(HMI)が非常に重要になります。ドライバーは何が起きているかを明確に
理解できるようになり、事故のリスクを減らすことができます。この目標は、システム全体が連動して
機能し、ドライビングの複雑な操作を減らし、たとえば渋滞時の自動追従や高速道路での自動運転
など、いくつかの状況においては自動的に機能するスマートなシステムを提供することです。これら
の新システムは、自動化が進んでいく車に対応した、新しい、完全にデジタル化され、接続されたイ
ンターフェースによって管理されます。接続されたサービスや自動運転システムにより、交通の流れ
が改善されるでしょう。
Innovation – fueling growth at Valeo
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ヴァレオの専門分野
2 つのキートレンドに牽引される 7 つのコアビジネス
Innovation – fueling growth at Valeo
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I.II イノベーション志向の会社
ヴァレオの使命は、イノベーションとテクノロジー全般への理解と技術の先進性を確保することで、
明日の車を考えだし、市場の要求に効果的に応え、顧客とドライバーのニーズを先取りして活性化
しすることです。これらの使命を果たすために、ヴァレオはイノベーションを自らの DNA の組み入れ
ています。
ヴァレオのイノベーションへのポリシーと開発メソッドは広く知られており、顧客からも新技術の開発
への期待を寄せられています。これを反映して、ヴァレオの新技術関連の受注は全体の 35%を占
めています。
研究開発の推進に向けて、ヴァレオは R&D に 11 億ユーロを費やし、2013 年より 40%増の
1,108 件の特許を出願しています。グループは世界中で合計 2,000 名のエンジニアを 2014 年に
採用し、このうちフランス、ドイツ、中国、インド、北米では数百名規模に達しています。新規採用は
主に、電子や電気機械分野で行っています。
学生との関係強化の一環として、グループは世界中の理工
系学生に向けてグローバルは発明コンテスト「第 2 回ヴァレ
オイノベーションチャレンジ」を 2014 年に開催しました。最終
選考に残ったチームは、パリで自分たちのプロジェクトを審
査員たちの前でプレゼンテーションします。トップ 3 のチーム
は 2015 年 9 月 29 日に発表される予定です。審査員には、
ヴァレオのエキスパートに加えて、有識者もメンバーに入っ
ています。
クローディ・エニュレ氏は、フランス国立宇宙研究センターに
勤務の後、欧州宇宙機関で欧州および世界の宇宙研究プロ
ジェクトを率いました。彼女は国際宇宙ステーションに滞在し
た初めてのフランス人女性であり、後に欧州問題と研究・新
技術の大臣を務めました。
セドリック・ヴィラニ氏はフランスの高名な数学者であり、
2010 年にフィールズ賞を授与されました。アンリ・ポアンカレ研究所の所長であり、2013 年にフラン
ス科学アカデミーのメンバーに選ばれました。
ヨタム・コーエン氏は、テキストベースのニュースから短い動画を自動的に生成するアプリケーション
「Wibbitz」の共同設立者です。
審査員団の議長はヴァレオの最高経営責任者であるジャック・アシェンブロワが務めます。優勝チ
ームには賞金 10 万ユーロが授与されます。
Innovation – fueling growth at Valeo
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ヴァレオは、顧客である自動車メーカーと緊密であるとともに、エンドユーザーの国によって異なる
ニーズにも精通していなければなりません。そのため、R&D 施設を全ての大陸に設立しています。
現在、グループはアジアに 3 カ所の研究センターと 12 カ所の開発センターを置いています。
グループはまた、全世界のイノベーションを注視しており、新興企業が自社の発明を迅速に自動車
業界に投入できるようにしています。今日、イノベーティブであるということは、新しいアプローチを取
ることであり、異業種の新しいパートナーと協業することです。そこで、ヴァレオはオープン・イノベー
ション・アプローチを取っています。たとえば、この 3 年間でグループは以下の取り組みを始めまし
た。

市街地での緊急ブレーキなど、アクティブセーフティ関連でレーダーテックと技術協力に合
意(2013 年 7 月)

航空・防衛機器を製造しているサフランと運転支援システムの分野で技術提携に合意
(2013 年 9 月)

パイカーと車載テレマティクスと接続性のソリューションについて技術協力に合意(2015 年
2 月)

モービルアイと運転支援システムについて技術協力に合意(2015 年 3 月)
II – ヴァレオ、2015 年フランクフルトモーターショー( IAA)で
最新技術を披露
II.I よりスマートに、より安全に、より接続された直観的な車へのイノベーション
世界初公開 – リモート Clean4U™
ヴァレオのデモゾーン F10.0 – ブース F1056 にお越しください
ヴァレオは、遠隔操作によるフロントガラスの霜取り・虫汚れ除去シ
ステム、リモート Clean4U™を初公開します。
快適さの向上と車の消費エネルギー低減は、ヴァレオのイノベーションにおける戦略的な優先課題
です。 このたびヴァレオは、スマートフォンのアプリケーションを用いた遠隔操作によるフロントガラ
スの霜取り・虫汚れ除去システム、リモート Clean4U™を世界初公開します。比類ない使いやすさ
を誇るこのシステムにより、ドライビングの安全性が高まります。このシステムは、現在のフロントガ
ラス洗浄方法に満足していないエンドユーザーからの期待に応えるために開発されました。ヴァレ
オ独自の市場調査によれば、現在最も一般的な霜取り方法は、エンジンをかけて空調によりフロン
トガラスを温めながら、スクレーバーを使って手で霜を削り取るものです。 この方法は時間の無駄
であるばかりでなく、環境や安全面からも不都合が多く、新技術が望まれています。
リモート Clean4U™システムは、スマートフォンを使って遠隔
操作できる 2 つの新機能を備えています。霜取りは、90 秒以
内でフロントガラスの霜を自動的に溶かすシステムです。虫汚
れ除去は、一定時間ごとにフロントガラスに貼りついた虫汚れ
を取り除くシステムです。
霜取り機能は、気温がマイナス 20℃で 90 秒以内にフロントガラスについた霜を自動的に除去しま
す。
リモート Clean4U™ は、環境に優しい解凍液をヴァレオ独自の革新的な AquaBlade® ウインドシ
ールドワイパーシステムによって供給します。 このシステムはブレード自体の中に洗浄機能を組み
込んだもので、ウォッシャー液は、従来のノズルに代わり、ブレード上に配置された穴からフロントガ
ラス全体にむらなく吹きつけられられます。 この方法による霜取りはエンジン起動を必要とせず、フ
ロントガラス自体を暖める電動解凍システムに比べ、エネルギーの消費量は 28 分の 1 に抑えられ
ます。 さらに、遠隔操作により、ドライバーは快適な室内からフロントガラスの霜取りができ、利便
性も向上します。。
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虫汚れ除去機能により、クリアな視界を提供します。
スマートフォンのアプリケーションを使って、ドライバーは遠隔でリモート Clean4U™'の虫汚れ除去
機 能 を 起 動 し 、 必 要 に 応 じ て フ ロ ン ト ガ ラ ス に 付 着 し た 虫 汚 れ を 除 去す る こ と が で き ま す 。
AquaBlade® ウインドシールドワイパーシステムを通じて、特別に調合された洗浄液を吹き付ける
ことで、液の使用量とエネルギーの消費量を減らしながらクリアな視界を提供します。
AquaBlade® を使用すると、フロントガラスを洗浄する時に使用するウォッシャー液の量を低減する
ことができるため、車両を 2 キロ軽量化することができます。これにより、CO2 の排出量 0.2 グラム
減少します。
ヴァレオ Mobius 2: 安全性を高めた第 2 世代が登場
IAA のデモゾーン F10 とブース F1056 で展示
ヴァレオは、Mobius コクピットの第 2 世代を開発しました。これは、2015 年 CES ショーで展示した
モデルへの来場者からのフィードバックと消費者からのヒアリング調査の結果に応えたものです。ヴ
ァレオ Mobius 2 は、ダッシュボード周りのさまざまなイノベーションを組み合わせたテクノロジーの
結晶であり、ドライバーは安全性を保ちながら自動運転からマニュアル運転モードにスムーズに移
行することができます。また、車が自動走行をしている時にドライバーが使用できる新しいサービス
も搭載されています。
マニュアル運転から自動モードへのスムーズな移行
車が市街地や高速道路で渋滞にはまった時など、ヴァレオ Mobius 2 が自動運転に適した条件に
あると検知した時には、ステアリングにあるオートパイロットボタンを押してハンズオフモードに切り
替えるようにドライバーに勧めます。ドライバーが制御する必要があるとシステムが予見すると、す
ぐに画面と音によって運転を再開するように警告を出します。
デジタルダッシュボードのモニター上にカスタマイズ可能な画像を表示
自動運転をしている間は、ヴァレオ
Mobius 2 は、デジタルダッシュボード
にユーザーのスマートフォンやタブレッ
トの拡張機能を表示します。これは、ハ
ンズオフモードでは、GPS、速度計、燃
料計など運転に必要な情報が側面に
移動し、ドライバーのアプリケーション
画面をスクリーン上に表示できるように
なるからです。(WiFi 経由で)Miracast、
Chromecast や Airplay などの標準的
なコンシューマーエレクトロニクスの技
術により、ドライバーはスマートフォン
やタブレットのすべての情報を(あるい
は HDMI 経由で)見ることができます。つまり、車が自動で走行している時には、ドライバーはインタ
ーネット経由で e メールを読んだり、ビデオを視聴したり、お気に入りの曲を選んだり、さまざまなこ
とができるのです。ドライバーがマニュアルドライブモードに戻った時には、メインディスプレー上に
は再び運転に関連した情報が表示されるようになります。
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拡張された安全性
自動モードからマニュアル運転モードへの切り替えが迅速かつ安全になりました。

手はハンドルに、視線は道路に: ステアリングホイールの両サイドにあるスマートウォッチ
のような 2 つのタッチスクリーンを使用し、ドライバーはハンドルから手を離すことなく、すべ
てのアプリケーションにアクセスすることができるので、スムーズかつ迅速にマニュアル運転
モードに戻ることができます。

リアルタイムで運転状況に関する情報を: インターフェース上に新たに設けられた専用スペ
ースで、ドライバーはリアルタイムで周辺の情報を得ることができます。これにより自動運転
システムへの信頼感を高めつつ、車の周辺情報へのドライバーの認知を維持することがで
きます。

注意散漫時の検知システム: ヴァレオ Mobius 2 テクノロジーは、手がステアリングホイー
ルの上に置かれているかを検知するとともに、ダッシュボードの高さに設置されたカメラによ
りドライバーを観察しています。これにより、不注意や疲れ、気が散っているなどの状況をリ
アルタイムで検知し、ドライバーに警告を発します。この技術は、自動運転からマニュアル運
転モードに切り替える時に特に重要で、ドライバーが運転を再開できる準備が整った状態に
します。
マーケットの期待に応えて
ヴァレオは毎年、エンドユーザー調査を実施しています。自動運転に向けて、ヴァレオはさまざまな
地域(米国、欧州、中国、日本)でフォーカスグループインタビューを行い、エンドユーザーの受容度
と期待について調査しています。
今年は初めて、新しいインターフェースのコンセプトが米国、ドイツ、フランスのエンドユーザー調査
でテストされました。
たとえば、シュトゥットガルトのフラウンホーファーIAO 研究機構は、スマートフォンの代わりにヴァレ
オ Mobius 2 を使用すると緊急ブレーキを踏むまでの反応時間が 0.5 秒短縮される(制動距離が時
速 60 キロで 8.33 メートル手前で停止する)ことを示しました。また、これらの調査によるとヴァレオ
Mobius 2 を使うと、ドライバーがより安全でストレスを感じることなく、自動運転とマニュアル運転の
以降がスムーズに行われることが明らかになりました。
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ヴァレオ SCALA: 自動運転を可能にするレーザースキャナー
IAA のデモゾーン F10 とブース F1056 で展示
ヴァレオはフランクフルトモーターショー(IAA)で SCALA レーザースキャナーを展示します。この技
術は、長距離で広角度の検知範囲と正確さを兼ね備えていることから、高度な自動運転を可能にす
るキーデバイスとなります。
ヴァレオSCALA レーザースキャナーは、車の前方をスキャンし、
車両やバイク、歩行者や、木、駐車している車、ガードレールなど
静止している障害物を非常に高い精度で検知します。日中も夜間
も、高速でも低速走行時も機能します。検知されたデータを使用し
て、スキャナーは周辺のマップを生成し、これを分析することで車
の周辺で起きうることを予測します。
この技術により、歩行者が車の前に急に飛び出した場合などに回避操作を行ったり緊急ブレーキを
かけたりすることができ、アクティブセーフティが向上します。レーザースキャナーはまた、高度な自
動運転システムや自動駐車に必要な情報も収集します。
自動運転のキーデバイスとなるヴァレオ SCALA レーザースキャナー
ヴァレオSCALAは高度な自動運転Drive4U®ソリューションに使われており、実際の道路状況の中
でデモンストレーションを行います。自動モードにおいては、システムはステアリング動作、加速とブ
レーキングを自動で行います。
ヴァレオSCALAを搭載したDrive4U®イノベーションは、アクティブセーフティを強化し、マニュアル運
転時にも自動運転時にも運転の安全性を高めるとともに、車での移動の効率を向上させます。
さらに、ヴァレオSCALAレーザースキャナーは、自動駐車システムValet Park4U®のプロトタイプに
おける主要技術です。Valet Park4U®は、ドライバーが乗車していなくても、車が駐車可能なスペー
スを見つけて自動で駐車するシステムです。
車の周辺環境を分析するソリューションをフルレンジで取り揃え
ヴァレオのSCALAテクノロジーは、レーダー、超音波、赤外線、ビジョンセンサーシステムなどのシ
ステムを補完するものです。ヴァレオは運転支援システムにおけるマーケットリーダーですが、レー
ザースキャナーによりさらに先進的にアクティブセーフティと自動運転を進めていきます。
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Sightstream®: カメラがミラーの代わりに
IAA のデモゾーン F10 とブース F1056 で展示
Sightstream®は、従来のミラーの代わりとなる新しいカ
メラシステムです。ドライバーが運転状況を確認しやす
くなり安全性が高まるのみならず、車両の空力が改善さ
れるため燃費が向上します。同時に、この革新的なテク
ノロジーによって、車のデザインの自由度が高まります。
カメラがミラーの代わりに
カメラは従来サイドミラーが設置されている場所に搭載されます。これにより、天候によらず視界が
改善されます。
自動運転に一歩近づくテクノロジー
Sightstream® システムには、死角検知や、ドアを開けようとした時に通過する車やバイクがいない
かの検知など、運転支援の機能を搭載することができます。Sightstream®は、ドライバーの視線上
にあるダッシュボードに車線変更や追い越しに関する情報を表示し、運転をサポートします
空力の改善と燃費効率の向上
燃費に関する EU 規制では 2020 年までに 100km 走行するために必要な燃料を 4 リッターにする
ことを目標にしており、車の空力改善に貢献する技術はこの達成に向けて重点課題になります。ヴ
ァレオは、Sightstream®により 1km あたりの CO2 排出量を 1.3 グラム削減することができると試算
しています。同時に、従来のミラーで生じていたノイズを低減することもできます。
新たなデザインの可能性
®
Sightstream は、車室内のバックミラーと外のサイドミラーをカメラに置き換えるものです。たとえば、
バックミラーをなくすことで、車のリア部分のデザインをより空力が良くなるように再検討することも可
能になります。
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Valeo InBlue®: さらなる接続性を備えた第 2 世代
IAA のデモゾーン F10 とブース F1056 で展示
ヴァレオは第 2 世代の InBlue® 車両エントリー・
スタートシステムを提案します。ドライバーは、自分
のスマートフォンやスマートウォッチを使って車をロ
ックしたり、開錠したり、エンジンをかけたり、アプリ
ケーションを操作したり、離れた場所から車の情報
にアクセスすることができます。第 2 世代のシステ
ムは、接続性が高まり、Bluetooth®とセルラーネッ
トワークを通して、距離にかかわらず遠隔操作で車
を操作することができます。


30 メートル以内の場合: ヴァレオ InBlue® は Bluetooth® スマートテクノロジーを使って、
車を ロッ クしたり 、開錠 したり 、エンジ ンを かけ たり 、車両のデー タと同 期したり 、
Park4U® リモートや Valet Park4U®などの自動駐車システムによって車を操作すること
ができます。
30 メートル以上離れている場合: ヴァレオ InBlue® はセルラーネットワークを使用しま
す。ドライバーは遠隔操作によってリモート Clean4U や車両位置検出機能、バーチャ
ルキー共有デバイスやドアロックなどさまざまな機能を操作できます。
シームレスなデジタル体験を提供するヴァレオ InBlue®により、ドライバーは自分のスマートフォンか
らマイカーのさまざまな情報を得たり制御したりすることができます。このテクノロジーはスマートフォ
ンによる支払システムと同等の安全性を備えています。
ヴァレオ InBlue®を使うと、ドライバーはマイカーを期限付きあるいは無期限で使える キーをどこか
らでもリモートで送信することができます。必要なことは、車を貸す相手にスマートフォンを使ってデ
ジタルキーを送信するだけです。デジタルキーを受信した人は、自分のスマートフォンを使って車の
ロックを開けたり、施錠したり、エンジンをかけることができるようになります。
ヴァレオとキャップジェミニ・コンサルティングが実施した調査によると、カーディーラーや、レンタカー
やカーシェアなど車両を管理している企業において、バーチャルキーへの関心が顕著に高まってい
ます。ヴァレオ InBlue®システムにより、自社の車の鍵の管理が簡単になるからです。カーシェアリ
ング市場は 7 万台の車両を擁する 10 億ユーロの市場となっており、毎年 25%の高成長を遂げて
います。
ヴァレオ InBlue®は欧州の「DEWI(Dependable Embedded Wireless Infrastructure)」プロジェク
トの一環です。
ヴァレオ、テレマティクスに注力
直観的なドライビングの向上に貢献するという戦略に則って、ヴァレオは革新的なテレマティクス技術
に取り組んでいます。:



11 月には、ヴァレオは自社初のテレマティクス端末を発売します。これは緊急通話システム
を搭載したもので、中国の自動車メーカー吉利汽車と開発したもので、ロシアで事故が起きた
場合に緊急サービスに直接連絡するというシステムです。2015 年からロシアで発売されるす
べての新車に、この“ERA-GLONASS”と呼ばれるサービスを搭載することが義務付けられ
ています。ヴァレオはまた、欧州市場で 2018 年以降に導入が予定されている同様の規格で
ある“eCall”についても対応を進めています。
ヴァレオは 2016 年末に発売される予定の BMW ATM1 の端末の生産を開始しました。これ
は、共用4G LTE プラットフォーム向けに開発されています。これらの 2 つのマイルストーン
は、車載テレマティクスと接続性についての主要企業であるパイカーとの技術協力の賜物で
す。
ヴァレオはまた、中国・北京の清華大学と車両同士や道路沿いのインフラ設備と通信できる
車載コミュニケーション技術について初期実験を行っています。
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360Vue® 3D テクノロジー: 車両のすぐ近くでも、死角のない視野
IAA のデモゾーン F10 とブース F1056 で展示
直観的で人間工学上も優れた 360Vue® 3D システムは、ドライバーがより正確な運転をできるよう
にサポートします。自動車メーカーにとっても高度な自動運転車を発売に一歩近づけることができる
技術です。360Vue® 3D は、ダッシュボード上のモニターに鳥瞰図を表示するシステムです。3D で
360 度見せることにより、車両のすぐ近くであっても死角のない視野をドライバーに提供することが
できます。
この技術によりドライバーは通常死角になる場所も見通せて、車両の近くにある障害物も発見でき
るため、車を安全に操作し駐車することができます。
このシステムは 4 つの小型デジタルカメ
ラと画像処理ソフトウエアで構成されます。
カメラは両側のサイドミラーと、前方のバ
ンパー、後方のテールゲートに取り付け
られます。画像は車載の多目的ディスプ
レイ上に表示され、ドライバーは車の上を
浮遊しているような感覚で周囲を確認で
きます。このシステムでは一つあるいは
複数の画像を画面を分割して表示するこ
とができます。ドライバーは特定のイメー
ジを選択して拡大して見ることもできます。
360Vue® 3D システムはすでに、フォルクスワーゲン・パサートと、ボルボの新型 XC90 に搭載され
ています。また、360Vue® システムはアウディ、BMW、シトロエン、ランドローバー、メルセデスやフ
ォルクスワーゲンの別モデルなどさまざまな車に採用されています。
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インテリアライティング: 直観的なライティングのための将来へのソリ
ューション
ヴァレオブースで展示
先進的なインテリアライティングは、この数年のトレンドであり、自動車メーカーはこの大変競争が厳
しいマーケットから一歩抜けだそうとしのぎを削っています。ヴァレオは、ドライバーと車の相互作用
の改善と自動運転の導入が進んでいく状況に合う革新的なインテリアライティングのソリューション
を取り揃えています。インテリアライティングは直観的になり、明らかに変わってきています。
近年の変化に対応して、ヴァレオはインテリアライティングがより直観的で、安全なドライビングに貢
献するものになるように、以下の 3 つの分野に取り組んでいます。

快適性: ドライバーと同乗者は車が自宅の延長のような場所であってほしいと考えていま
す。そんな乗り心地について期待される水準を満たす快適性を追求しています。光による癒
しや、ドライバーや同乗者の知覚に働きかけるさまざまなインテリアライティングが使われて
います。たとえば、飾り気のない冷たい白いライトがドライバーを覚醒させ疲労を防ぐ効果が
ある一方、暖かみのあるライティングは車室内を快適にし調和を生みだします。

運転支援: 安全性を高める運転支援です。ドライバーが注意を払うべきものがあった時に
車室内の光によって車からの警告を伝えるものです。外部のセンサーがドライバーに車外
に何らかのリスクがある時、たとえば後続車が追い越そうと近づいてきていることなどを、光
によってドライバーに伝えます。

インフォテインメント: Li-Fi システムのようにインテリアライティングを幅広い種類の情報を伝
達するために使おうとするものです。
インドアイルミネーション: 車の個性化に向けた可能性が広がります
今年のフランクフルトモーターショーで、ヴァレオは
インドアイルミネーションを展示します。この技術は、
車のインテリアライティングの個性化を可能にしま
す。半透明やスクリーン印刷されたものの後ろから
など、車室内の予期していない場所から光が発せら
れます。インドアイルミネーションにより、キャビンデ
ザインの個性化に向けた可能性が大きく広がります。
より進んだブランディングが可能になる車室内のデ
ザインやスペース、材質などへの関心を高めるから
です。たとえば、車に乗り降りする際に、ブランド独
自のデザインを光を使って創り出すことができます。
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自動車用レーザーライティング: 将来のヘッドランプ
ヴァレオは、運転の安全性と快適性を高めるというコミットメントの下、あらゆる状況でドライバーの
視認性を改善するライティングシステムを開発しています。
夜の視認性を高めるハイブリッドレーザー/LED ライティングシステム
ヴァレオはレーザービームと LED ライティングシステムを組み合わせた新しいライティングシステム
を提供します。これによりドライバーは夜間に 2 倍遠くまで見ることができるため、運転の安全性と
快適性が高まります。
車の 300m 先まで照射する従来の LED ワイドスプレッドロー
ドビームと組み合わせて、車が加速する時にレーザースポット
ライティングを起動させるようにします。レーザーライティング
は、高速走行や比較的まっすぐな道路向けに設計されており、
照射距離が 2 倍になるため、ドライバーは直線距離で 600m
先の障害物も見つけることができます。
このシステムは、レーザーダイオードを使用して車の前方の
ハイビームスポットに集中させる一方、従来のロードビームのライトが道路と周辺環境を照らし出し
ます。一定のスピードを超えると、より明るいビームによってさらに遠くまで見えるようになるので、ド
ライバーは遠方の歩行者、動物、落下物や障害物などを発見して、適切な行動をとることができま
す。
機能面では、レーザーはよりコンパクトだというメリットがあり、自動車メーカーにとってデザインの自
由度が広がります。レーザーと LED を組み合わせた発のハイブリッドシステムは 2016 年末に発売
予定であり、ヴァレオにとって最大の顧客であるメーカーのうちの一社のプレミアムカーに搭載され
る予定です。
マトリックスレーザー: レーザーの正確さを備えた防眩ヘッドランプ
ヴァレオは BeamAtic®プレミアムシステムの新世代であるマトリックスレーザーを開発しました。対
向車を来るとその部分だけ自動的に光を消すので、ドライバーは他のドライバーに眩しい思いをさ
せることなくハイビームを使い続けることができます。
マトリックスレーザーは、車両が近づいてくるのを検知すると数十個の LED を個別に点灯したり消
灯したりする、マトリックスビーム技術に基づいています。LED をレーザーダイオードに置き換えるこ
とで、マトリックスレーザーシステムヘッドランプはさらに正確かつコンパクトになり、道路でのライテ
ィングを改善するとともに自動車メーカーのデザインと機能への要求に応えるものです。
マトリックスレーザーテクノロジーは 2018 年に製品化される予定です。
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18
自動運転車のカメラ用スマートワイパー
ヴァレオは、フロントガラス全体の拭き取りと、運転支援や自動運転車のカメラが十分に性能を発
揮するようにカメラ前方のエリアを重点的に洗浄する機能を兼ね備えた特製のワイパーを開発しま
した。
自動運転車の開発では、カメラが妥協のないレベルで機能し、視認性を確保することが必要です。
そこで、カメラをいつもきれいな状態を保つために、自動的に洗浄しなければなりません。現在の洗
浄液をフロントガラスに吹き付けるシステムでは、ドライバーの視野を一時的に遮ることになります
が、ドライバーが起動させるのではない自動運転の場合はさらに妨げになる恐れがあります。
AquaBlade®システムを使うと、カメラのみを洗浄することができます。これによりドライバーの妨げ
にならず、洗浄液の使用量が少なくて済むので、洗浄頻度を高めることができます。AquaBlade®
システムと組み合わせたカメラクリーニングは、カメラの視認性を保つための最適なソリューション
です。カメラはすでに、防眩ヘッドランプや歩行者検知と緊急ブレーキなどさまざまな運転支援シス
テムで活用されています。来る数年でこれらのカメラは人の目よりも広い視野でより正確なビジョン
を提供するようになり、あらゆる状況でドライバーをサポートするようになるでしょう。この新しいワイ
パーシステムにより、カメラの視野はいつもクリアに保たれます。
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19
車室内空気の最適化のためのヴァレオのソリューション
ドライバーと同乗者の健康を守り、乗り心地を改善して疲れを防ぐために、ヴァレオは、車室内のア
レルゲンや埃、微粒子をほぼ1 除去するキャビンフィルターを開発し、特許を取得しました。
抗アレルゲン作用のあるキャビンフィルター
ヴァレオは欧州で初の抗アレルゲン作用のある特
許取得済みキャビンフィルターを提供しています。
この新しいフィルターは、空気中に浮遊するさまざ
まなアレルゲンを捕集し、不活化させます。
工業国においては、花粉症に悩む人々がこの 30
年で倍増しています。現在の推計では、2040 年
には欧州の 40%の人々がアレルギーを持つよう
になると予測されています。くしゃみ、涙目やかゆ
みなどのアレルギー症状は、単に不快なだけではなく、ドライバーの集中力にも影響します。時速
80 キロで走行している車の場合、ドライバーがくしゃみをして目を閉じている間に、車は約 25 メート
ル進みます。
ヴァレオは、96%のアレルゲンを除去し、車内でのアレルギー反応によるリスクを減らすフィルター
を開発しました。このフィルターはを粉塵、有害ガスや不快な臭いを吸着するとともに、アレルゲンで
ある花粉も捕らえます。
アティ・ド・ロルヌにあるヴァレオの拠点で開発・生産されているこのフィルターは、従来のフィルター
機能を維持しつつ、ポリフェノールによる添着処理を行うことで抗アレルゲン作用を追加しました。ポ
リフェノールはいくつかの植物や果物に含まれていますが、花粉のようなアレルゲンを抑制する機
能があります。
1
0.3µm の微粒子を 93%除去
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20
ヴァレオの高効率 PM2.5 フィルター
ヴァレオは、車室内に汚染物質が溜まるのを防ぐために、ほぼ
100%微小粒子状物質を除去できる高効率の PM2.5 フィルターを
開発しました。
密度の高い強化ファイバーからできている高効率 PM2.5 フィルタ
ーは、中国の大都市では微小粒子状物質が 900 µg/m3 に達する
中で、車室内の水準を世界保健機関(WHO)が定める空気質ガイ
ドライン(一日当たり 25 µg/m3 )に適合させるレベルまで除去する
ことができます。
エアコンやヒーターが効率よく稼働し、車室内の人が快適に過ごせるように、ヴァレオはフィルターを
定期的に(少なくとも年に一度、大気汚染が厳しい地域では年に 2 度)交換することを推奨していま
す。
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21
II.II より高性能に、より燃料効率を高めるためのイノベーション
燃料消費を増やさずに、エンジン性能を高める電動スーパーチャー
ジャー
欧州(2021 年)と米国(2025 年)で求められている車両からの CO2 排出量削減を達成するために、
自動車メーカーはダウンサイジングの取り組みを強化しています。
ダウンサイジングは自動車メーカーが燃費を低減する
ために行う主な方法の一つです。ダウンサイジングをし
ながら、同レベルのエンジン性能を保つため、ターボジ
ャージャーがよく使われます。この欠点はターボラグと
呼ばれるレスポンスの遅れです。
ヴァレオは、電動スーパーチャージャーを開発すること
により、この問題を過去のものにしました。排気ガスで
動くターボチャージャーとは異なり、電動スーパーチャ
ージャーはスイッチリラクタンス技術を使った電動モー
ターで動くため、0.25 秒という瞬時のレスポンスをドラ
イバーにもたらします。
12V システム仕様と 48V システム仕様のバージョンが
あり、このシステムにより約 10%燃費を改善することができます。ターボチャージャーとの置き換え
でも併用でも使用でき、燃料消費を増やすことなく、運転の快適さを保ちながら加速性能を 27%改
善します。
ヴァレオのエネルギー回収システムと組み合わせることにより、電動スーパーチャージャーはコスト
競争力の高いハイブリッドソリューションとなり、15%から 20%の燃費削減効果をもたらします。
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22
レンジエクステンダージェネレーター
電気自動車の走行可能距離は、非常に重要な課題であり、ドライバーが
懸念している点でもあります。この問題への答えとして、ヴァレオは EV
の走行距離を伸ばすことができるように、650cc の二気筒小型エンジン
と組み合わせる高電圧(300V)の発電機を開発しました。
このシステムはすでに BMW i3 のオプションとして発売されていますが、
バッテリーの充電レベルが低くなりすぎた時にはすぐに発電を開始しま
す。
車両の 9 リッターのガソリンタンクは車の走行距離を 50%近く伸ばすのに十分な量です。レンジエ
クステンダーを搭載すると、ベーシックモデルでの走行可能距離 160km から、240km から 300km
まで伸びる一方、CO2 のキロ当たり排出量は 13g に留まっています。
EG 高効率オルタネーター:PACE アワード受賞のイノベーション
ヴァレオは EG 高効率オルタネーターにより、2015 年 PACE アワード
を受賞しました。この賞は、技術の先進性とビジネスパフォーマンスの
分野で優れた自動車サプライヤーのイノベーションを表彰するものです。
EG 高効率オルタネーターは、ダイオードの代わりに、MOSFET(金属
酸化膜半導体電界効果トランジスタ)による同期整流を使用するもので
す。MOSFET はそのマイクロ電子構造により、整流時の電圧低下をほ
ぼ防ぐことができます。これにより、オルタネーターの効率が約 10%向
上します。
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23
EV とハイブリッド車向け高効率車載充電器
ヴァレオは 2015 年 IAA フランクフルトモーターショーにエネ
ルギーロスを最低限に抑えた 8 時間充電の 3.5kW の車載
充電器を展示します。
ヴァレオの車載充電器は電気自動車とハイブリッド車向けに
最適のシステムです。電力変換効率 96%という高い効率を
実現し、エネルギーロスはほとんどなく、業界の新たなスタンダードになりつつあります。
現在、法規作成が進んでいますが、自動車メーカーは CO2 排出量について開示しているのと同様
に、電力変換効率に関する情報を提供しなければならなくなる見通しです。数年後にはラベル表示
が導入されることになるでしょう。
充電器には、さまざまなバッテリー技術に対応し、可能な限りシンプルな設計が採用されています。
大幅な小型化を図って、コンパクトなサイズと形状にしたことにより、この充電器は EV やプラグイン
ハイブリッド車内のさまざまなスペースに搭載しやすくなっています。これは EV で特に重要な軽量
化にもつながっています。
ヴァレオの高効率車載充電器は現在 Volvo V60H で使用されています。
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24
ドライデュアルクラッチ向け F910 乾式摩擦材
2015 年 PACE アワードのファイナリストだった F910 乾式摩擦材は、ヴァレオのドライデュアルクラ
ッチに使われています。これは従来の撚糸の代わりに圧縮粉末を素材に使用したものです。
F910 乾式摩擦材は運転の快適性を改善し、車の発進時の振動を抑え、シフトチェンジのクオリティ
を高めます。
この製品は特に一方のクラッチが偶数ギアに、他方のクラッチが奇数ギアに連結されたドライデュア
ルクラッチ用に開発されました。ドライデュアルクラッチは、燃費を改善し、従来の AT に比べて CO2
の排出量を 6%から 10%低減します。
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ヴァレオの革新的なエアコンサイクル用水冷コンデンサー
ヴァレオのエアコンサイクル用水冷コンデンサーは、専用のホットループとコールドループのサーマ
ルマネージメント構造で使用されます。エアコンサイクル用水冷コンデンサーは、水冷インタークー
ラーとともにこの構造を補完し、エンジン冷却ループをエアコンシステムに結合します。
この革新的なコンデンサーは、エアコンの冷媒を蒸気から液化するための冷却方式を、空冷から水
冷式に改良したものです。ヴァレオの水冷コンデンサーは、従来のコンデンサーに比べて燃費削減
に貢献します。
水冷コンデンサーは、エアコンシステムの過渡期における冷媒の圧力上昇を抑えます。
また、水冷コンデンサーは、ラジエーターの前に設置する必要がありません。これにより:

ハイブリッド車のフロントエンドのスペースをより有効に活用できるようになります。

空気の流れを最適化することにより、ラジエーターファンの電力消費を減らすことができ
ます。
このコンデンサーは新型 BMW 3 シリーズ用に量産されています。
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26
ヴァレオ、サーマルマネージメントを改革
自動運転や CO2 排出量削減と並んで、自動車業界の長期的なトレンドとして、自動車メーカーはサ
ーマルマネージメント戦略を再考しています。この一環として、HVAC マネージメントにおいて競争
力を高め、より革新的にするための試みが行われており、ヴァレオも自社のロードマップの中で新た
な優先課題に入れています。
革新的な技術
サーマルマネージメントは CO2 排出量を減らしていくための重点の一つとして注目されています。そ
こで、ヴァレオは新車にさまざまな革新的な技術を搭載するように提案しています。たとえば:

さまざまな冷却機能を一つの低温サーキットに組み合わせたマルチ温度ハイブリッドパ
ワートレイン冷却構造

蓄熱と回収システムを組み合わせて電動バルブで制御することにより、エンジンを迅速
に適正な温度にするためのスマートエンジン冷却水マネージメント

低温ループで水冷インタークーラーと組み合わせることで、レスポンスタイムと吸気の安
定性を改善

エアコンサーキットから直接供給される冷媒によるバッテリー冷却システムにより、バッ
テリーの効率と寿命を最適化

アクティブエアグリルシャッターでフロントエンドからの空気の取り込みを調整し、乱気流
とヒートロスを低減

デュアルフローエアコンディショニングシステムにより、車室内の換気や暖房の必要性を
減らし、窓の結露を防止
将来への課題
電気自動車: 冬季や市街地での運転では、電気のみでの走行モードでは、走行に使われるのと同
程度のエネルギーが暖房のために消費されます。この状況で航続距離を許容できるレベルに保つ
ことがサーマルマネージメントにおける課題です。ヴァレオは革新的な構造のヒートポンプやスマー
トキャビンエアマネージメントによってこの課題に取り組んでいます。
ハイブリッドカー: 将来の車は、新しいエンジンと洗練されたハイブリッド機能により、市街地走行が
すべて電動モーターでできるようになり、燃費効率がさらに高まるでしょう。ハイブリッドカーでの課
題は、将来の自動運転に対応した新しい車室内温度管理を行いながら、サーマルシステムを非常
に複雑なパワートレインに合わせて最適な効率を達成することです。
この課題に応えるために、ヴァレオは自動車向けに新しいサーマルマネージメントモデルを開発しま
した。

エンジンと電気駆動システム、バッテリーパックと HVAC を組み合わせて、エネルギー
ロスを最低限に抑える統合的なサーマルマネージメントシステムを導入。この「スマート
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27
28
サーマルネットワーク」は、サブシステムがエネルギーを転送し、蓄積し、回収するのを
モニターし、 エネルギー効率を最適化するために車のさまざまな運転モードに対応する
ものです。

車室内全体の快適性という概念から、一人ひとりの快適さへシフト。乗員の快適さを犠
牲にすることなく、エネルギーの必要量を減らすために、より細やかにエリアごとに調整
していきます。このためには、人間の体温管理に関して理解を深めることが必要です。
サーマルマネージメントを改善するためのオープンイノベーション
オープンイノベーションもまた、サーマルマネージメントを改善するためのソリューションを創出しま
す。これに向けてヴァレオは、大学や研究機関、自動車メーカーの R&D チームとビジョンを共有し、
「スマートサーマルネットワーク」を現実のものとするために必要なシステムと部品を開発するために
緊密に協力しています。屋外エリアに展示されている VEGA/THOP デモカーは、包括的なサーマ
ルマネージメントによるメリットを調査するために実施された共同研究の一例です。これにより、年間
のエアコン関連のエネルギー消費量を 50%低減することができます。
バッテリーのサーマルマネージメント: 革新的なソリューションをフル
ラインナップ
ハイブリッドカーやプラグインハイブリッド、電気自動車用のバッテリーパックの寿命と性能を最適化
するには、電池を約 25℃に保つように温度を適切に管理する必要があります。
それぞれの車の構造に適したソリューション
ヴァレオは、高出力のバッテリーを搭載したプラグインハイブリッドと電気自動車を急速充電する自
動車メーカーからのニーズの高まりを受けて、技術的なソリューションを開発しました。ヴァレオは空
冷、水冷、冷媒などあらゆるサーマルマネージメントに対応した革新的なソリューションを提供します。
1. 空冷システム
ヴァレオは初期のイノベーションであるブラシレスモーターブロワ
ーによる空冷のバッテリークーリングシステムを最適化し、より静
かで、軽量小型化したモデルを開発しました。改良バージョンは
2016 年より 48V リチウムイオンバッテリーに使用されます。
2002 年にホンダ向けに開発され、現在はルノー・フルエンスとフ
ォードフュージョンハイブリッドに使用されています。.
2. 水冷システム
グリコールベースの冷却水を用いたバッテリー用の第二回路は、
バッテリーパック内にチラーとクーリングプレートを備えています。
当初は SmartEV 向けに開発され、2014 年後半からメルセデス
S クラスに搭載されています。
3. 冷媒による冷却システム
この第3の非常に軽量で小型化されたバッテリーサーマルマネー
ジメントシステムでは、A/C ループからつなげたパイプから来る冷
媒と直接熱交換を行います。これは多段式押し出しチューブの熱
交換器とバッテリーパックを冷却する革新的な回路からなります。
これは 2015 年秋にドイツメーカーのプラグインハイブリッドに搭
載されます。
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29
統合的なサーマルマネージメントソリューション
CO2 排出量の削減に貢献するテクノロジーを開発することにコミットしているヴァレオは、全体的に
エネルギー効率を高めるためにエネルギーの再利用と回収システムを提供しています。ヴァレオは
ヒーティングに関しても高電圧 PTC エアヒーター、クーラントヒーター、エレクトリックコンタクトヒータ
ーなどの電気的ソリューションを取り揃えていますが、サーマルマネージメントシステムによるバッテ
リー冷却機能はヒーティング機能と合わせて開発しています。ヒートポンプや熱回収、蓄熱システム
など高効率なソリューションも提供しています。自動車メーカーの世界展開を支えるためにこれらの
技術は、アジア、欧州、北米など世界各地で発売されています。
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30
参考資料
ヴァレオグループ
ヴァレオは世界の自動車産業におけるグローバルプレーヤーの一社であり、世界トップ 10 の自動
車部品メーカーの一角を占めています。技術志向の会社であるヴァレオは、新車装着用と補修用
の乗用車とトラックの部品、統合システムとモジュールの設計、生産と販売に注力しています。
直観的なドライビングというコンセプトに沿って、ヴァレオは最適化された安全性、ドライビングのさら
なる快適さとエネルギー効率の向上に向けて、革新的な技術を開発しています。グループは、ガソ
リン車、ハイブリッド車、電気自動車向けのエネルギー消費の低減と、部品の軽量化と省エネルギ
ーに貢献するソリューションを提供しています。
主な顧客は次の通りです(アルファベット順)。
BMW, BYD Auto, Chery, DAF, Daimler, Fiat/Chrysler, FAW, Ford Motor Company,
Geely/Volvo Cars, General Motors, Great Wall, Honda, Hyundai/Kia, JAC, Mazda, Mitsubishi,
PSA Peugeot Citroën, Renault-Nissan, SAIC, Suzuki, Tata Motors/Jaguar/Land Rover,
Toyota, Volkswagen Group/Porsche/Scania/MAN, Volvo Trucks.
主な数字

2014 年度の売り上げは前年比 9%増の 127 億ユーロ

OEM 向け売り上げの 10%以上を研究開発に投資。2014 年は 11 億ユーロと 2009 年に
比べて 55%増

2014 年には、前年比 40%増の 1,108 件の特許を出願

81,800 名の従業員

29 カ国で事業を展開

15 カ所の物流センター

16 カ所の研究センター

34 カ所の開発センター

136 カ所の生産拠点
APPENDIX
31
 ヴァレオの 4 つのビジネスグループ
ヴァレオの世界でのポジション
パワートレインシステム
パワートレインシステム ビジネスグループは、車両のパワートレイン関連を全般的に扱っています。
ドライビングの楽しさとパフォーマンスを損なうことなく、燃費を改善し CO2 排出量を削減することを
目指して、革新的なパワートレインのソリューションを開発しています。これらのイノベーションは、ガ
ソリンエンジンの最適化と、アイドリングストップから電気自動車に至るまでのさまざまな段階の電動
化まで、あらゆるレンジの製品をカバーしています。
これはグループの機会が、技術的な選択と、特に新興市場を中心としたグローバル市場の成長に
密接に無ズ美ついていることを意味しています。欧州、北米、南米、日本、中国、韓国、インドと世界
の全地域で事業を展開していることが、このビジネスグループの強みとなっています。
ヴァレオのパワートレインビジネスグループは、エレクトリカルシステムとトランスミッションシステム
で世界のリーダーとなっています。
2014 年の主な数字:
 33 億ユーロの売上高
 18,412 名の従業員
 37 カ所の生産拠点
 5 カ所の研究センターと 16 カ所の開発センター
APPENDIX
32
サーマルシステム
サーマルシステムビジネスグループは、車の使用におけるあらゆる段階での、パワートレインシステ
ムの冷却システムの管理と、乗用車の車室内で全ての乗員が快適に過ごせるクライメートコントロ
ールを行うシステム、モジュールと部品を開発・生産しています。
これらのシステムは、燃費の向上と車両からの CO2 とそのほかの汚染物質の排出量削減に大きく
貢献しています。さらに、サーマルシステム ビジネスグループは、ハイブリッド車と電気自動車のバ
ッテリー性能を改善し、長寿命化するシステムも設計しています。
サーマルシステムビジネスグループは、新興市場で最も力強い成長を遂げています。
2014 年の主な数字:
 36 億ユーロの売上高
 19,359 名の従業員
 44 カ所の生産拠点
 3 カ所の研究センターと 8 カ所の開発センター
コンフォート&ドライビングアシスタンスシステム
コンフォート&ドライビングアシスタンスシステムビジネスグループは、明日のより自動化され接続さ
れた車の発展に向けて不可欠な、革新的で直観的なドライバー/車両/環境のインターフェースシス
テムを開発しています。このビジネスグループは、直観的なドライビングに注力しつつ、快適性と安
全性の向上に貢献しています。
市場と技術面でのリーダーシップを背景に、コンフォート&ドライビングアシスタンスシステムは、こ
の分野での主要なプレーヤーとなっており、新興市場での展開にも備えができています。
2014 年の主な数字:
 23 億ユーロの売上高
 14,195 名の従業員
 25 カ所の生産拠点
 9 カ所の研究センターと 8 カ所の開発センター
APPENDIX
33
34
ビジビリティ システム ビジネスグループは、厳しい条件下におけるドライビングの安全性を高めるた
めに、革新的なライティングとワイパーシステムを開発・生産しています。これらのソリューションは、
あらゆる天候で、昼も夜も完全な視認性を提供します。
このビジネスグループは、最新のテクノロジーを取り入れたワイパーとライティングのあらゆる製品
レンジのソリューションをそろえています。
ヴァレオは、このセグメントにおける世界的なプレーヤーの一社です。急成長市場におけるビジビリ
ティシステムのプレゼンスはビジネスグループの成功の鍵であり、アジア市場でのポジション強化を
図っています。
2014 年の主な数字:
 36 億ユーロの売上高
 24,912 名の従業員
 36 カ所の生産拠点
 5 カ所の研究センターと 15 カ所の開発センター
APPENDIX
ビジビリティシステム