NO.50 - 女の空間NPO

http://www.space-for-women.org
第50号
2015年7月
発行 特定非営利活動法人 女の空間NPO
〒153‐0061 東京都目黒区中目黒1-4-18-401
TEL&FAX 03-3711-5054
発行人 長沖暁子
[email protected]
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女性アスリートよモノ申せ! 秋谷楓
定例会
● 8月2日(日)13時半∼16時
● 9月6日(日)13時半∼16時
● 10月4日(日)13時半∼16時
✴日時が変更となることもあります
ので、ご出席の方は直前にお確
かめください。
おしゃべり会
● 7月24日(金)19時∼21時
【 女性の活躍→戦争への道?
ーわたしたちに何ができる?】
話し手:長沖暁子
● 8月(休会)
● 9月11日(金)19時∼21時
【 蛇口から温泉の出る家、
借りました!】
話し手:ガーデン住香さん
詳細は最終ページ、または
webサイトをご参照ください。
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✴定例会とおしゃべり会の会場は、
女の空間NPO事務所です。
✴予約は必要ありませんが、初めて
いらっしゃる方はメールでご連絡
願います。
[email protected]
去年の今頃は「サムライジャパン」の試合に国内が興奮状態でした。今年は「な
でしこジャパン」が活躍中です。宮間選手が「泥臭く点をとっていくのが自分たち
の戦い方」だと言っていました。 やまとなでしこ から 泥臭いなでしこ へ、「な
でしこ」のイメージをまさに自分たちで作り上げていこうとしている姿に好感がも
てます。
しかしながら、私たちは試合に現をぬかしてばかりはいられません。彼女たちの
活躍の一方で、国会ではまだまだ女性蔑視の風潮があります。先日、安倍総理が辻
元議員に「早く質問しろよ」と言ったことは記憶に新しいです。その時のテレビに
映った表情は、そこらのセクハラおじさんの顔と同じでした。これには唖然としま
した。そんな安倍総理率いる政権与党は「集団的自衛権は憲法違反である」との多
数の憲法学者の意見を無視し、独裁的に安全保障関連法案を押し通そうとしていま
す。これには怒りを覚えます。
更に、オリンピックに向けて建てなおされることになった国立競技場のことです
が、古いのは既に解体されました。新しい競技場の建設費はギリシャの借金より多
くなるといいます。これにも唖然とします。
さて、「スポーツ」という言葉には明確な定義はありません。語源は「遊び」や
「気晴らし、娯楽」なのです。遊びとは言いますが、「スポーツ」によって得るも
のは多岐にわたります。その効果を女性たちはものにしてきたでしょうか。活かし
てきたでしょうか。ジェンダーの視点から女性のアスリートたちを見ると、男性の
監督やコーチ、体育教師の影響で、マッサージという身体接触や指導という名の暴
言を、また見た目によるひいきを、仕方のないことと捉える傾向があります。「我
慢すること」に慣れて、引退した暁には「かわいいお嫁さんになる」ことを夢見て
いる者が一般の女性より多いという事実があります。 女子柔道強化選手による暴力告発問題によって明らかにされたことは、そんなア
スリートたちの実態の一部といえるかもしれません。活発に行動する選手たちは、
バリバリ仕事に打ち込むイメージがありますが、意外にも専業主婦志向が強いので
す。それは、スポーツの現場ですりこまれてしまうのです。
実際、私もテニスのミックスダブルスでは、パートナーの男性から指示されるば
かりで、意見を言わせてもらえないことがありました。その時に、しっかりと自分
の意見を述べることができたなら、と思うのです。また男子ダブルスの優勝賞品が
オーディオ製品で、女子は花瓶とポーチなどということにも正々堂々と問題提起す
るべきでした。当時、高校野球のスタジアムには女子更衣室がなく、チアリーダー
たちはトイレで着替えていることを知った時ももっとおかしいと声をあげなければ
なりませんでした。
国民栄誉賞受賞でなでしこジャパンへの副賞がメイク用のブラシなんて誰が考え
たのでしょう。「一番欲しいのは靴下よね」なんて、テニスの仲間うちで私たちは
よく言っていたものでした。宮間さん、澤さんワールドカップ2連覇して今度ははっ
きり希望を言ってくれないかしら。「副賞は現金とファーストクラス!」と。
女 の 空 間 N P O 会 報 № 5 0 p1
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おしゃべり会報告
2015年5月24日(日)
「乳房再建が終わって」
丸山則子さん
私の本棚に一冊の厚い本がある。『からだ・私
たち自身』(1988年 松香堂)「わたしのからだ
は わたしのもの」当時、そんなキャッチコピー
が目新しく、ええいと買い込んだものだ。あれか
ら4半世紀が経って、「私のからだのことは、私が
決める」と言い切った人の話を目の前で聞けた。
自分で決めることは潔い。
2年くらい前に丸山さんに乳癌が見つかっ
て、ご本人が「これから治療を開始します」と宣
言された時に、手術前の乳癌を思い切って触らせ
てもらった。他人サマの乳房を触ったのは多分初
めての経験だと思う。ぐりっと根をはった固いも
のだった。もしこの時点で転移していたら、治療
はしないと決めていたらしい。検査の結果、幸い
転移していないことが判り、治療が始まった。
手術が終わり、丸山さんは考えた。乳房をどう
する?そして再建することを決めた。
えぐられた乳房を見られたくない。当初は大好
きな温泉に行っても大浴場に入るのは抵抗があっ
たという。途中で一度は不適応を起こし、再建手
術のやり直しもあった。乳房を再建して、失われ
ていた自分のからだの一部を取り戻した感じがす
ると言った。
2年ぶりにその再建した乳房を見せてもらっ
た。こんなにきれいになるものですか!というの
が私の率直な感想だ。縫い跡はまだ生々しいが、
その下につるんとした雫型の乳房があった。
問題点がないわけではない。左側は人工物を入
れていない天然物だから、加齢とともに垂れてく
る。これから先、だんだんと左右で形がちがって
くるということだ。丸山さんのことだ。その時は
また自分で考えてこうしますって宣言するな、き
っと。 【参加者の感想】
昨日は、よい時間を過ごすことができて、楽し
かったです。
あとから、石内都の写真を思い出しました。き
ずあとを撮った写真がたくさんありますね。それ
だけをまとめた写真集も。どれもとても美しい写
真で、被写体も写真家も、きずを不安や苦痛の記
憶ではなく、よく生きている証と感じていること
が伝わります。 丸山さんのお話しも、私は同じよ
うに聞きました。
写真集が成立するほどの数の写真があるという
ことは、きずを記録したい、誰かに見てもらいた
いと思う人が、たくさんいるということです。
他者(に見せる、聞かせること)をとおして自
分を確認するのは、けっこう大切なことで、そう
したいという希望は多くの人がもつものなのでし
ょう。
それを見たり聞いたりして自分を確認すること
も、やっぱり多くの人が欲しているのだと思いま
した。
では、またお目にかかりましょう。(米)
米さんが、胸に一直線に並んだ傷跡を見せてく
れたとき、素人の私でもこれは大手術だったと判
りました。その傷跡を愛おしんでいるようにお見
受けしました。そうか、「よく生きている証」だ
ったんですね。参加してくださってありがとうご
ざいます。
【ちょっと気になる本をみつけました】
『乳房の文化論』(2014年 淡交社)
〈かくも饒舌なる、おっぱい〉
〈不思議のかたまり「乳房」とは何かに迫る〉
〈ゲラダヒヒから、こじはるまで〉
おっぱい、お乳、バスト、胸、時と場合によっ
てまことに変幻自在、さまざまの呼び名で親しま
れている乳房はまったくもって「不思議のかたま
り」。そして、その不思議の分だけ乳房の研究、
乳房の学問は奥が深い。20年以上にも及ぶ広範な
研究のなかか
ら精選された乳房論の数々。 ・・・
乳房文化研究会などという団体があることを初
めて知った。事務局がワコール本社内とある。な
るほど、さすが京都と思った。 (木下礼子)
女 の 空 間 N P O 会 報 № 5 0 p2
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2015年6月28日(日) 「女性監督の映画を観て話そう」
舞台はデンマークの学校である。少年は学校
でいじめにあっている。ここにCがロンドンから
転校してきた。Cは『やられたらやり返さなけれ
ばいじめは止まらない』といじめた生徒をナイ
フで脅し、こてんぱにやっつける。
弱い少年は自分に見方をしてくれたCと友達に
なり、元気を取り戻していく。悪い仲間であっ
ても友達はかけがえのないものだと分かる。
Rは自動車整備士だが、乱暴者で誰にでも絡み
暴力をふるう。少年やCの目の前で少年父が殴ら
れる。けれども彼は殴られるままである。彼は
子供たちに、殴るのは殴るしか能のないものが
することだ、と教える。私は『右の頬をぶたれ
たら左の頬も差し出せ』という聖書の言葉を思
いだした。聖人のような人が一般人のなかにい
るのは、世界中争いがあちこちで起こっている
さなか救われた思いがする。しかし、こんなこ
とは本当に通用するのだろうか。はたしてCは復
讐を企てる。CはRの車を爆破しようと思う。少
年も仲間となる。
少年の父親もCの父親も息子とそれなりにコミ
ュニケーションをとっていた。しかしその言葉
は息子の言いたいこととずれている。そのずれ
は子供たちの心に闇を生み、車を爆破する事件
へと発
外科医である少年の父親の目が、ややうつろ
だったのが印象的だった。生死の境の現場、自
分の心を落ち着かせるのも難しい仕事だ。とき
に家庭の話が 後回しになってしまうことがあ
る。その一瞬がじつはとっても大事だったの
に。
息子とその友だち、少年2人との対話に努め
る彼だが、医療提供先は言葉の通じない異国。
ラストシーンは彼の乗る車を大勢の子どもたち
が追いかける。邦題は意訳かもしれないが、血
縁も国境も人種も超えて、不完全ではあれ、こ
の世界で生きている子どもそれぞれに無言で何
かを託しているように思えた」。
(ガーネット)
展する。この事件の後、親と子は仮面を脱ぎ棄
て『本当の話』をし、しっかりと絆がつなが
る。
なるほど、『愛』と『復活』はかくのごとき
か、と納得した。そして私は、爆破で重傷を負
った少年の回復のあと別居している両親が再び
一緒になるのではないか、と思ったが、これは
違った。それぞれ新しい自分となり、自分の道
を進むのである。日本の映画なら、事件の後は
いろいろな心情を“水に流して”二人は同居
し、めでたしめでたし、となるのではないかと
思った。
クリミナルロマンのようなわくわく感もあ
り、感動した。2,3日たったら「え、これっ
て現代版聖書の物語?」と思ったのですが。
(太田達子)
女 の 空 間 N P O 会 報 № 5 0 p3
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大島かおりさんのこと
2015年元旦の午後、携帯電話が鳴った。表示をみると「大島かおり」と。
お正月早々なんだろう?と。出てみると、大島かおりさんのお連れ合いが出られた。かおりの携帯にあなた
の番号が入っていたので、かけました、実は昨日大晦日にかおりが・・・。
大島かおりさんは意識の戻らないままである、情報は広げないでほしい、見舞いも遠慮してほしいというご
家族の意向が伝えられた。でも、よかった、生きていてくれる。私たちには奇跡を信じる余地が残されている。
4月半ばに刊行された大島かおりさんが倒れられる直前まで校正をしていた翻訳書『くるみ割人形とねずみの
王様』(光文社文庫)にお連れ合い大島通義氏が、経緯と現状を公表され、さらに翻訳家としての大島かおりさ
んのことを記しておられる。社会的に公になったことで、女の空間NPOとしても、会員のみなさまに公表する
ことにいたしました。
大島かおりさ∼∼ん、まだ、私たちを置いていかないでください!
奇跡を祈っています。もう一度会いたいです。
(深澤純子)
☆☆☆おしゃべり会の予定☆☆☆
女たちに遺す私の財産=女の知恵や思いを伝える
おしゃべり会。ゲストのお話や映像をきっかけにい
ろいろなことを話し合います。会員でない方の参加
も大歓迎です。
予約は必要ありませんが、始めていらっしゃる方は
[email protected]までご連絡ください。
場 所:女の空間NPO
参加費:200円
♀ 7月24日 (金)19時~21時
【女性の活躍→戦争への道?
ーわたしたちに何ができる?】
話し手:長沖暁子
♀ 9月11日(金)19時~21時
「蛇口から温泉の出る家、借りました!」
話し手:ガーデン住香さん
『火山の国に生まれた、あの日の乙女たちよ
帰っておいで 海原を超えて
熱きいづみ湧く このIzanagiの地へ
やさしい父母はもういないけれど
ゆっくりお眠り
赤ん坊のように。。。』
という訳で始めた、南伊豆のシェアハウス兼
ゲストハウスについてお話します。
今国会では、安保関連法案が議論されている一方
で、女性の活躍法が審議されている。何か変だ。女
性の活用と戦争、どこかで聞いた話のような気がす
る。今、私たちに何かできないのか。皆で話せたら
よいなと思います。
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会費納入をよろしくお願いします
年会費 6000円(入会金6000円)
郵便振替 口座名:女の空間NPO
口座番号:00170-0-561307
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<8月のおしゃべり会はお休みします>
[編集後記] 上記のように、かおりさんがしばらくお休みしていま
す。あれだけ準備周到なかおりさんでも想定外の出来事
で、ご本人も忸怩たる思いをしていると思います。休ん
でいた間に活動が停滞していたと、後で叱られないよう
に私たちもがんばらないとね。 (さとこ)
女 の 空 間 N P O 会 報 № 5 0 p4