会報55号 - 女の空間NPO

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第55号
2016年10月
発行 特定非営利活動法人 女の空間NPO
〒153‐0061 東京都目黒区中目黒1-4-18-401
TEL&FAX 03-3711-5054
発行人 長沖曉子
定例会
● 11月13日(日)13時半∼16時
● 12月23日(金)12時∼13時半
● 1月9日(月・休)11時∼13時
✴日時が変更となることもあります
ので、ご出席の方は直前にお確
かめください。
おしゃべり会
● 10月30日(日)13時半∼16時
ドキュメンタリー映画『孤独の
輪郭』上映と監督のトーク
話し手:三浦淳子さん
● 11月(休会)
● 12月23日(金・休)13時半∼
今年1年を振り返り、
来年に望む、望年会
●1月9日(月・休)13時半∼16時
『行動する女たちが未来を拓く』
を観る・語る
女の空間カフェ
第2&第4 月曜日 14時∼21時
● 10月10日、24日
● 11月14日、28日
● 12月12日、26日
●
1月9日(16時∼)、23日
総会&懇親会
● 11月27日(日)13時半∼
✴すべての会場は、女の空間NPO
事務所です。
✴予約は必要ありませんが、初めて
いらっしゃる方はメールでご連絡
願います。
[email protected]
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両親の介護を終えて
位高 美代子
「おねえさん、お母さんのことどうするんですか。私は面倒みませんから」と
突然義妹から電話があり、東京に戻って始まった介護が昨年終わりました。3月
に母が、6月に父が他界したのです。特養に約9年間お世話になりました。83歳
の母が89歳の父より先に逝くとは・・。父よりも、母への心残りがいろいろあり
ます。母と祖母は「女三界に家なし」の中で生きた典型だったように思います。
長い介護中に、両親について他者に言われるまで気づかなかったことがたくさん
ありました。母は認知症だったのですが、施設長の方に「お母様はとても頭のい
い方でしたでしょう」といわれたことがあります。母が子育てや家族の世話に本
当にいろいろと頑張っていた姿は見ていました。けれども「父親は賢い人」と認
識していたのに、母をそういう角度から見たことはありませんでした。家庭内で
常に母が父を立てていたからに他なりません。母の「頭の良さ」に気づきません
でした。長男である弟は今でもそんなことは思いもしないことでしょう。それば
かりかむしろ「父親は稼ぐ偉い人」「母親は一人では生きられない人」と刷り込
まれたまま、固定観念になっているかのように見えます。
さて、実は介護についてお喋り会で語りあいたいと予定していた2011年の3月
に東日本大震災が起きて、中止になってしまいました。今も介護に奮闘している
友人が私の周りには何人もいます。私にもまだサ高住(サービス付き高齢者住
宅)に義母がいます。介護者のストレスを解消するためにお喋りは有効です。ま
た「介護される者の人権」についてもテーマとして取り上げなければなりませ
ん。私は両親が入院した病院や介護施設でクレーマーとみられるのを恐れて本音
を言えないことが多々ありました。是非オープンした「女の空間カフェ」で話し
ましょう。
「介護」に関わった経験は、老人ホームの実態やヘルパーさんの賃金の問題、
看取りの問題、そして「死」についても深く考えさせられました。また、改めて
「遺言」の大切さを感じます。もし、母が早くに遺言を書いていたら、夫婦とし
ての二人の生き方はどんなに変わったでしょう。母は「パパが死んだら○○す
る」と冗談のように私に話すことがありました。それは長期間の旅行がしたいな
どということもありましたが、「自分に自由になるお金があったなら」「夫の束
縛がなかったなら」ということだったのだろうと思います。皮肉なことに、ほぼ
寝たきりだったにもかかわらず、父は「妻のことは自分が最期まで見守らなけれ
ば」と考えていたようで、母の死を知った2日後に安心したかのように亡くなり
ました。
母が90歳になるまで続くと信じていた介護が、入院によって突然終わってしま
いましたが、私の中では大きなテーマとして思考は続いています。
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女 の 空 間 N P O 会 報 № 5 5 p1
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おしゃべり会報告
9月22日(木・休)
「その時どう行動する?
防災対策ワークショップ」
ファシリテーター 長沖暁子さん
おひとりさま体質を再認識した日
自然地理学が専門ではないものの地理をメシの
種にしている身としては、防災に関心がないわけ
ではない。けれども一般論ではなくて自分自身
が、地震が起きたらどう行動するか時間を取って
考えたことは実はあまりない。今回はホンネを口
走っても安全な場で、他の参加者の経験や考えを
聞き、自分の考えとの違いを発見したことが新鮮
だった。
今回私に与えられた場所は渋谷駅。横浜駅だっ
たら授業のために調査したから、1m単位で海抜
高度や危険個所、出口など構造もだいたい頭に入
っている。しかし渋谷駅は全くわからない。たし
か暗渠の川が流れていたはず。水は怖い。とにか
く地上へ出ねば。出たら、一番近い緑地はどこ
だ?明治神宮?代々木公園?そこを目指すつも
り。
他の参加者はどうやって自宅に帰ろうかと考え
たという。私の意識の中に自宅に帰ろうという発
想が全くないことを発見して驚いた。3.11の時も
東急東横線が動き始めたという情報を得て、深夜
にもかかわらず職場の同僚たちが帰宅を急ぐ姿を
見て不思議に思った。何で帰るの?職場の方が安
全なのに。ここならストーブもあるし、毛布もあ
る。翌朝明るくなってから行動した方がいいと思
うのだけれど。旅先で真夜中に空港や駅に到着し
た時も、朝まで待合室の片隅で過ごしてきた。で
きれば家族連れの傍らで。それが一番安全だと思
ったから。
ある参加者は自宅に戻ろうとしてタクシー乗り
場の長い列に並んだ。けれども3時間待ってもや
ってくるタクシーは少なく、ほどなく列の中から
「千葉に向かう人はいませんか?」と声があがっ
た。彼女を含む5人が手を挙げて一団となった。
しかしタクシーはやってこず、避難場所になった
体育館で一緒に一夜を過ごしたという。その話を
聴いて『災害ユートピア(レベッカ・ソルニット 亜紀書房)』を思い起こした。非常時には被災者
の間で特別なコミュニティができるそうだ。一人
より信頼できる誰かと一緒にいた方が安心だ。
その一方で、人の流れには盲従しない。自分
自身で状況を判断して動くという意見も出され
た。関東大震災のときに本所の陸軍被服廠跡で避
難した3万8015人が焼死したことを踏まえて
の考えだ。そうか、自分が住んでいる地域を、そ
ういう視点で見たことがなかったと、また発見。
今の住まいに引っ越してきて早17年。涼しくなっ
てきたから、防災地図(区役所で配付してくれる
と聞いた)を片手にご近所を散歩してみようと思
う。
(木下礼子)
女 の 空 間 N P O 会 報 № 5 5 p2
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福祉っぽくない名前、募集します
女の空間Caféが出来て、嬉しい。テーマがな
く、好きな時に来て、好きな時に帰ることができ
るのは、最高だ。たまにはボーッと過ごすのもい
いけれど、ヒト、空間、時間の三拍子が揃うこの
チャンスに、何かを始めよう。とりあえずIさん
と私で、とっくに消えた家父長制と戦う女たち
の、相続サポートをしたい。きょうだいにナメら
れてんじゃないか、と思う人は、お越しあれ。
Caféでは、よろず相談もできる。いったい誰が
何時に来るかわからないので、本当にその場限り
なのが、また良い。先日、久しぶりにKさんに会
い、「ガーデンさん、その後伊豆の家はどう?」
と訊かれた。
蛇泉(じゃせん)の家は、すこぶる好調だ。源
泉目当てに、出不精な旧知の友たちもやってき
て、エンドレスなおしゃべりの花が咲く。呑んで
も泊まっていけるのが、魅力らしい。田舎の光熱
費がやたらと高いのを除けば、想像していたより
ずっと楽しく、快適な場所となった。実家を失っ
た女性がくつろげる家、とばかり、女の空間とも
う一つのグループで話をしたら、なぜかやって来
たのは高校生。一宿一飯の恩と、庭の草むしりを
してくれた。重労働、お疲れさま。そして、お雛
さまと差し入れを持って、日帰りで激励に来て下
さったMさん。本当に、ありがとうございまし
た。川沿いの遊歩道を共に歩きながら、大先輩の
信念と、宇宙のように広い心を感じた。異なる年
代の、貴重な友達が増えた。
旧知の知り合い以外を招くことは、素敵な出会
いもあるが、リスクもある。よく知らない人が、
手土産も持たずにやって来て、食べるだけ食べ、
寝るだけ寝、温泉にも入るだけ入って散らかし放
題。「ここって本当に天国、まるで夢のよう。ま
た来ますね!」と、募金もせずに帰って行く。い
ったい、どうしたものか? そんな愚痴をCaféでこぼしたら、「それは福
祉を利用し慣れた人に違いない、けっこう多い
よ」とKさん。何かをしてもらうこと、お返しせ
ずに済ませることが、フツーになっていて「次
は、私の番ね。」という、お互い様の発想がな
い。援助されるのが当たり前で、相手の負担に想
いを馳せる習慣がない。そういう人は、友だちと
しては成立しないから、普段の生活で出会うこと
はないけれど、往々にして向こうからはやってく
る。なぜなら、彼(女)らは「支援してもらえそ
うな場所・人」を探して、常にアンテナを張って
いるから。
Kさんは続ける。「名前が紛らわしい!名前を
変えなさい。」OOの家、△△ホーム、といった
福祉っぽい名称が、思いがけない勘違いを引き起
こす。な~るほど、さっそく別の名前を考えよ
う。
「蛇泉ハイツ、がいいんじゃない?」とは、同
席していたIさん。ハイツ、って一軒家には向か
ない気もするが、そんな事を云っている場合では
ない。伊豆の「自己責任ハイツ」とか、「対等コ
ーポ」なんてどうだろう。一緒にやろう、とか、
後を引き受ける、と言ってくれる人が現れるま
で、何とか持ちこたえたい。Kさん,Iさん、
Caféでのアドバイスありがとう。
我が(第二の)祖国アメリカは、大統領選のま
っさかり。もはや、強くてClassyな人が候補者に
なるとは限らない。全てが、変わったのだ。
故・ケネディ大統領は言った。”Askwhatyou
candoforyourcountry”
女の空間でも、それぞれが出来る事を考え、実行
すべきではないだろうか。
ガーデン住香
∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼催し物お知らせ∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼
★音を紡ぐ女たち
★第14回特別展 地獄の戦場
-女性作曲家を知り、聴くPart2-
ビルマの日本軍慰安所
文玉珠さんの足跡をたどって
2016年11月12日(土)11:00~12:40
ウイメンズプラザ・ホール
参加費1000円
2016年7月6日~2017年6月25日
女たちの戦争と平和資料館
小林緑さんのお話とハープ演奏
入館料 500円
申し込み先03-3331-4010
問い合わせ先 03-3202-4634 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※小林緑さんの講演&ハープの演奏は12月6日矯風会館ホールでもあります。
詳しくは矯風会のサイトでhttp://kyofukai.jp/archives/2708
女 の 空 間 N P O 会 報 № 5 5 p3
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☆女の空間総会&懇親会☆
11月27日(日)
総会 13:30~
懇親会 14:30~
会員の方には11月初めにお知らせをお送りします。
会員外の方も含め、ぜひおいでください。
☆おしゃべり会の予定☆
女たちに遺す私の財産=女の知恵や思いを伝え
るおしゃべり会。ゲストのお話をきっかけにいろ
いろなことを話し合います。会員でない方の参加
も大歓迎です。予約は必要ありませんが、始めて
いらっしゃる方は[email protected]
までご連絡ください。
場所 :女の空間NPO
参加費:200円
♀ 1月9日(月)13時半~16時
『行動する女が未来を拓くー行動する女たち
の会20年の記録』を観る・語る
1975年から96年まで活動していた「行動する女
たちの会」の資料集成(全8巻)の出版記念集会
の発言を記録した映像ができました。当事の活動
家たちが次々に語ります。70年代の女たちが何を
考え、何と戦ってきたのかを皆で観て、考えて、
おしゃべりします。
<なお、この日は女の空間カフェの日ですが、お
しゃべり会終了後は引き続きカフェになります>
☆女の空間カフェ☆
第2・第4月曜日14時~21時です。
皆さんおいでください。
♀10月30日(日)13時半~16時
「ドキュメンタリー映画『孤独の輪郭』上映
と監督のトーク」
話し手 三浦淳子さん
一人暮らしをする92歳の祖母が不思議なことを
口にするようになりました。どうしちゃったんだ
ろうという思いから、祖母の家に泊まりに行く
と、祖母は放送局の局長になったという幻想を抱
いて、毎朝7時半になると、ひとりで、放送をし
ていました。生涯、放送という仕事に関わったこ
とのない祖母が放送している姿を見て、人間の孤
独と神秘、その生命に圧倒され、ひと夏、祖母の
家に通い、撮影した作品です。
放送によって自分の世界を他人に伝えようとす
る彼女の孤独は、さびしいという情緒ではなく、
他人とつながろうとする人間存在の抱える孤独で
す。(作品紹介より 1996年作品)
※2017年1月9日のみ16時〜21時
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[編集後記]
会員の秋山洋子さんが8月26日に亡くなられま
した。昨年の望年会にもいらしてくださって、遺
言の話をした記憶があります。おしゃべり会にも
顔を出してくださって感想も書いていただきまし
た。こんなに早くお会いできなくなるとは思って
いなかったので、ショックでした。最後まで今年
10月に出版される本の校正をなさっていたそうで
す。他にも若い知り合いがつい最近亡くなり、悲
しい夏の終わりになりました。
10月22日18時から文京区民センターで秋山洋子
さんを偲ぶ会が開かれるそうです。出版ほやほや
の秋山さんの本が2冊ついて、会費は6000円、
申し込みはインパクト出版会
または[email protected]まで。 (さとこ)
♀ 12月23日(金・休)13時半~
「今年1年を振り返り、来年に望む、望年会」
持ち込み大歓迎。新しい年のために勇気と英気
を手に入れましょう。
会費納入よろしくお願いします
年会費 6000円(入会金6000円)
郵便振替 口座名:女の空間NPO
口座番号:00170-0-561307
女 の 空 間 N P O 会 報 № 5 5 p4