2015年4月14日のテキスト

2015年4月14日(火)15:00­ 16:15
在家仏教こころの研究所
仏教セミナー
資料(新井一光)
大乗仏教の先達伝1.
新井一光
[1]「如来十号」
①如来「真如から来たもの」「真如に達したもの」「真如を理解したもの」
お う ぐ
②応供「阿羅漢」「供養に値するもの」
しょうとうがくしゃ
③正等覚者 「正徧知」「正しく完全に覚ったもの」
みょうぎょうそく
④ 明 行 足 「明知と行動が完備したもの」
ぜんぜい
⑤善逝「善く逝ったもの」
せ け ん げ
⑥世間解「世間を知るもの」
むじょうし
⑦無上士「この上なきもの」
ちょうごじょうぶ
⑧調御丈夫「人を調御するもの」
てんにんし
⑨天人師「神々や人々の教主」
⑩仏 「覚ったもの」
⑪世尊 「栄光あるもの」
もんついげ
ぶっしょうかびら
じょうどうまかだ
せ っ ぽ う は ら な
にゅうめつくちら
[2] 聞槌偈「仏生迦毘羅、成道摩掲陀、説法波羅奈、入滅拘絺羅。」
[3] 四大霊地(1)誕生したカピラヴァス
トゥ、
(2)悟りを得て成道したマガダ、
(3)
初めて教えの法輪を転じて説法したヴァ
ーラーナシー、(4)入滅という形で逝去
したクシナガラ
[4] 仏陀なき仏伝図〈託胎霊夢〉:図版参
照。
[5] 仏教徒の見解 世親(ヴァスバンド
ゥ)『阿毘達磨 舎論』
「〔問〕それでは、菩薩の母が夢の中で、
胎内に白象の子が脇より入ってくるの
を見たのはどうしてか。
〔答〕それはただの兆相である。とい
うのは、久しい以前に畜生から離れて
しまっているからである。(中略)
〔問〕それでは、どうして「法善現説」
において、
六牙あり、妙なる四肢を有し、白象
としての姿を取り、住処を知る仙人
のように、母体の横臥中に入った者
となった。
と導かれるのか。
〔答〕これは、必ずしも導かれるもの
ではない。というのは、これは経でも
なく、律でもなく、論でもないから。
これはカーヴィヤである。」
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2015年4月14日(火)15:00­ 16:15
在家仏教こころの研究所
仏教セミナー
資料(新井一光)
[6] 世親が依拠したと考えられる説一切有部の見解:『大毘婆沙論』
「問、菩薩の中有にして若し是の如くんば、法善現の頌を當に云何が通ずべきや。説くが如し、
白象の相、端嚴にして六牙四足を具し、正知して母腹に入り寢ること仙の林に隱るゝが
如し。
答、此は通ずるを須ひず。三藏に非ざるが故に。文頌の所説は或は然るあり、然らざるあり。
諸文頌者は、言多くして實に過ぐればなり。」
[7]「十二支縁起説」
(『律蔵』
「大品」
:訳=松本史朗『仏教思想論 上』大蔵出版、2004、pp.27-28)
:
「そのとき、仏陀世尊はウルヴェーラーに住して、ネーランジャラー川の岸辺、菩提樹の根も
とにおいて、はじめて悟りをひらいた。そして世尊は、菩提樹の根もとにおいて、七日間、結
跏趺坐して坐わり解脱の楽を感受していた。そのとき、世尊は夜の最初の部分に、この縁起な
るものを、順逆に思惟した。
すなわち「無明という縁から、諸行が生じる。諸行という縁から、識が生じる。識という縁
から、名色が生じる。名色という縁から、六処が生じる。六処という縁から、触が生じる。触
という縁から、受が生じる。受という縁から、渇愛が生じる。渇愛という縁から、取が生じる。
取という縁から、有が生じる。有という縁から、生が生じる。生という縁から、老死と、愁・
悲・苦・憂・悩が〔一緒に〕生じる。このようにして、この純粋な苦の蘊りの集起がある。し
かし、ほかならぬその無明の、残りなき、離貪の滅から、諸行の滅がある。諸行の滅から、識
の滅がある。……有の滅から、生の滅がある。生の滅から、老死と、愁・悲・苦・憂・悩が滅
する。このようにして、この純粋な苦の蘊りの滅がある」と。」
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