5.1,5.2 コンピュータ・CPU の動作原理 5 計算のモデル • 機械語 5.1,5.2 コンピュータ・CPU の動作原理 • レジスタ 5.3 計算の数学的モデル ストアードメモリ方式 : プログラムもデータとして格納 3 2 1 5.3.1 チューリング機械 5.3 計算の数学的モデル チューリング機械 (TM) : • 無限テープ • テープの記号と状態から動作を (非決定的に) 決める • チューリング機械 • 動作は、次の状態・テープに書き込む記号・ヘッドの移動 • レジスタ機械、 M = (Q, Σ, Γ, δ, q0) • Q: 状態の有限集合 • Σ: 入出力記号の有限集合 • λ 計算、 • Γ: テープ記号の有限集合 (Γ ⊇ Σ ∪ {B}) • 項書換え系、 • δ: 遷移関数 (δ : Q × Γ → Q × (Γ ∪ {L, R})) などなど • q0: 初期状態 (q0 ∈ Q) 4 5 6 5.3.2 帰納的関数 時点表示 : 状態が q でヘッドの位置が以下のとき、 例 : f (x, y) = x + y を満たす f : N2 → N を計算する チューリング機械 原始帰納的関数 : 自然数 N 上の関数のクラス 原始帰納的関数の定義 • 零関数、次者関数、射影関数 def zero: N0 → N ただし、zero() = 0 a1qa2 · · · an def suc: N → N ただし、suc(x) = x + 1 と書く def n n pn i : N → N ただし、pi (x1, . . . , xn) = xi • 合成関数、すなわち、g : Nm → N と gj : Nn → N が原 • 入力 1011 に対する動作 q01011 ⊢ 1q0011 ⊢ 1q1111 ⊢ 11q111 ⊢ 111q11 ⊢ 1111q1 ⊢ 111q21 ⊢ 111q2 ⊢ 11q31 ⊢ 1q311 ⊢ q3111 ⊢ q3B111 ⊢ q4111 チューリング機械が定義する自然数上の計算 : q01k1 01k2 0 · · · 01kn ⊢∗ q1m は f (k1, . . . , kn) = m 始帰納的関数のとき、 f (~ x) = g(g1(~ x), . . . , gm(~ x)) で定義される関数 f : Nn → N は原始帰納的関数 7 原始帰納的関数の例 (続き) ( · y = x − y if x >= y • x− 0 otherwise を計算する関数 sub(x, y) なぜなら 原始帰納的関数の例 def • one() = 1 なぜなら 1 = suc(zero()) 原始帰納的関数の定義 (続き) def • two() = 2 なぜなら 2 = suc(one()) • 原始帰納法で定義された関数、すなわち、 sub(x, 0) = x sub(x, y + 1) = prod(sub(x, y)) def g : Nn → N と h : nn+2 → N が原始帰納的関数のと き、 f (~ x, 0) = g(~ x) · 1 なぜなら • pred(x) = x − pred(0) = 0 (= zero()) pred(y + 1) = y (= p2 1(y, pred(y))) • x × y を計算する関数 mult(x, y) なぜなら mult(x, 0) = 0 mult(x, y + 1) = add(x, mult(x, y)) def • add(x, y) = x + y なぜなら f (~ x, y + 1) = h(~ x, y, f (~ x, y)) で定義される関数 f : Nn+1 → N は原始帰納的関数 add(x, 0) = x (= p1 1(x)) add(x, y + 1) = suc(add(x, y)) (= h(x, y, add(x, y))) 問 : 関数 exp(x, y) = xy 、fact(x) = x!、min(x, y) が原始帰納的であることを示せ。(ここで 00 の値は問わ ここで、h(x, y, z) = suc(p3 3(x, y, z)) は原始帰納的 10 9 8 11 ない) 12 補題 : 原始帰納的関数 f (~ x, y) を利用して次のように定義 される f ′(~ x, y) と f ′′(~ x, y) は原始帰納的関数である f ′(~ x, y) = f ′′(~ x, y) = X z<y Y f (~ x, z) = f (~ x, 0)+· · ·+f (~ x, y−1) z<y f (~ x, z) = f (~ x, 0)×· · ·×f (~ x, y−1) 証明 : f ′ のみ示し、f ′′ は省略 定理 原始帰納的関数はチューリング機械で計算できる 略証 (続き) 略証 : 原始帰納的関数の構成に関する帰納法 • zero(), suc(), pn i (x1, . . . , xn) はチューリング機械 で計算できる • 合成 g : Nm → N と gj : Nn → N を計算するチューリング f ′(~ x, 0) = 0 f ′(~ x, y + 1) = f ′(~ x, y) + f (~ x, y) 機械があると仮定し、g(g1(~ x), . . . , gm(~ x)) はチューリ ング機械で計算できることを示す 13 • 原始帰納法 g : Nn → N と h : Nn+2 → N を計算するチューリング 機械があると仮定し、以下で定義される f がチューリン グ機械で計算できることを示す f (~ x, 0) = g(~ x) f (~ x, y + 1) = h(~ x, y, f (~ x, y)) 15 14 補題 p(~ x), q(~ x), r(~ x, y) が原始帰納的述語なら、次の述 例 : 述語「=0」 (=0(x) を x = 0 と書くことにする) 原始帰納的述語 c=0(x) = 0 · · · x が 0 のとき 1 · · · x が 0 でないとき · · x) と書けるので、c c=0(x) = 1 − (1 − =0 は原始帰納 • (n 変数) 述語: p : Nn → { 真, 偽 } • 述語 p の特徴関数 cp : Nn → N 的関数である。よって「=0」は原始帰納的述語 x) = 真のとき cp(~ x) = 0 · · · p(~ 1 · · · p(~ x) = 偽のとき 例 : 述語「x = y 」、「x ≤ y 」は原始帰納的。なぜなら、 · y) + (y − · x)) c=(x, y) = c=0((x − def • 述語 p が原始帰納的 ⇐⇒ cp が原始帰納的 c≥(x, y) = c=0 語も原始帰納的 (1) ¬p(~ x) (2) p(~ x) ∨ q(~ x) (4) (∃z < y) r(~ x, z) (3) p(~ x) ∧ q(~ x) (5) (∀z < y) r(~ x, z) (6) p(f1(~ x), . . . , fn(~ x)) (ここで fi は原始帰納的) 証明 : (3),(5) はそれぞれ (2),(4) で表せる · c (~ (1) c¬p(~ x) = 1 − p x) (2) cp∨q (~ x) = cp(~ x) × cq (~ x) (4) 述語を s(~ x, y) とかく。cs(~ x, y) = · y) (x − (6) 述語を p′(~ x) とかく。 Y z<y cr (~ x, z) cp′ (~ x) = cp(f1(~ x), . . . , fn(~ x)) 16 17 18 p(~ x, y) の限定最小解関数 : y 未満で p(~ x, z) を満たす z ∈ N があればその最小の z を返し、そうでなければ y を返 例 : 次の述語は原始帰納的 す関数 µz<y p(~ x, z) def = min({z ∈ N | z < y, p(~ x, z)} ∪ {y}) •x<y • x×y =z (x > 1) ∧ (¬(∃u < x)(∃v < x) (u × v = x)) と書く。 Y z≤v cp(~ x, z) を g(~ x, v) def • pr(x) = x 番目の素数 • 合成関数 (帰納的関数の合成) ∵ (原始帰納的帰納関数は全域的だが、fM は一般には • 原始帰納法 (帰納的関数を用いた原始帰納法) 部分関数) • 原始帰納的述語の最小解関数 関数のクラスと一致する は原始帰納的。なぜなら pr(0) = 2 pr(x + 1) = µz<pr(x)!+2((pr(x) < z) ∧ prime(z)) • 部分関数 f と g は以下を満たすとき等価である (f = g) という - 同一の引数を与えたとき、一方が未定義なら他方も未 定義であり、そうでなければ結果が一致する 22 • 原始帰納的関数 M が存在 • 帰納的関数のクラスは、チューリング機械で計算できる (例:pr(0) = 2, pr(1) = 3) 21 帰納的関数の定義 • 原始帰納的でない関数 fM を計算するチューリング機械 x ÷ y = µz<x(x < (y × (z + 1))) ii) y 未満では p(~ x, z) を満たす z がないとき v 0 1 ··· y − 1 cp(~ x, v) 1 1 · · · 1 g(~ x, v) 1 1 · · · 1 X よって、 g(~ x, v) = y v<y 帰納的関数 • x ÷ y は原始帰納的。なぜなら g(~ x, v) = m 20 19 例: X v<y 始帰納的関数 証明 : (∃z ≤ v) p(~ x, z) の特徴関数 v 0 1 ··· m − 1 m m + 1 ··· y − 1 cp(~ x, v) 1 1 · · · 1 0 ∗ ··· ∗ 1 0 0 ··· 0 g(~ x, v) 1 1 · · · ここで ∗ は 0 または 1 よって、 補題 p(~ x, y) が原始帰納的述語ならば、µz<y p(~ x, z) は原 def • prime(x) ⇐⇒ i) p(~ x, z) を満たす最小の z が m (< y) のとき 23 述語 p の最小解関数 : µz p(~ x, z) · · · p(~ x, y) を満たす z ∈ N が存在するとき =z 未定義 · · · それ以外のとき 帰納的関数の例 : f (x) = µz (z 2 = x) x 0 1 2 3 4 5 ··· f (x) 0 1 未 未 2 未 · · · 24 5.3.3 計算モデルの同等性 アッカーマン関数 : 帰納的だが原始帰納的でない関数 定理 帰納的関数はチューリング機械で計算できる 証明 : 帰納的関数の構成に関する帰納法 • 14 ページの定理 [原始帰納的関数は TM で計算できる] • 原始的述語 p の最小解関数 µz p(~ x, z) がチューリング機 A(0, y) = y + 1 A(x + 1, 0) = A(x, 1) A(x + 1, y + 1) = A(x, A(x + 1, y)) 問 5.5 (text p.141) 急激に大きくなる関数で、限定最 小解関数では書けない 械で計算できることを示す • 上の定理の逆も成立する 25 26
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