修 士 論 文 の 和 文 要 旨 情報ネットワーク学 角田昌芳 SMPクラスタ上

修 士 論 文 の 和 文 要 旨
大学院情報システム学研究科
氏
論
要
名
文
題
目
博士前期課程
情報ネットワーク学
角田 昌芳
学籍番号
専攻
0451022
SMP クラスタ上でのタスク粒度を考慮した
階層型粗粒度並列処理
旨
従来からのループ並列化に加え,サブルーチンや基本ブロックと
いった粗粒度タスク (マクロタスク) の並列性を利用する粗粒度並列
処理が,ループ並列化に代わる並列処理技術として注目されている.
近年,並列計算環境として SMP クラスタが普及するようになり,
この上での効率的な並列処理の実現が望まれている.SMP クラスタ
の性能を発揮させるためには,プログラムのもつ階層的な並列性と
SMP クラスタのもつハードウェアの階層的な並列性を適切にマッ
ピングして並列処理をおこなう必要がある.
プログラムのもつ階層的な並列性を利用する並列処理として,プ
ログラムの各階層で粗粒度並列処理を用いる階層型粗粒度並列処理
が,従来より共有メモリ型並列計算機上で実現されている.しかし,
この階層型粗粒度並列処理では,プログラムの並列性のみを考慮し
て生成するマクロタスクを対象としており,SMP クラスタのよう
なハードウェアのもつ階層的な並列性は考慮されていない.
本研究では,SMP クラスタの階層的な並列性を考慮した階層型
粗粒度並列処理を実現して,SMP クラスタ上での効率的な並列処
理を目指す.SMP クラスタ上で階層型粗粒度並列処理をする場合,
SMP ノードに割り当てるマクロタスクのタスク粒度を調整するこ
とで,効率的な並列処理が可能となる.そこで,従来の階層型粗粒
度並列処理で利用するプログラムのもつ階層的な並列性に加えて,
SMP クラスタのもつハードウェアの階層的な並列性を考慮したマ
クロタスク生成手法を提案し,新たなタスク粒度の調整手法の導入
を可能にした.本論文では,
「SMP クラスタの CPU を同時に多く使
用する」という指標を用いて,マクロタスクのタスク粒度の調整を
する手法を提案した.そして,これを用いて階層型粗粒度並列処理
を SMP クラスタ上に実現した.
実際に SMP クラスタ上で提案手法を実行した結果,階層型粗粒
度並列処理が SMP クラスタ上での並列処理として有効であること
がわかった.しかしながら,本論文で提案したタスク粒度調整手法
の大きな有用性を得るにはいたらなかった.