Association Between Body Composition and Pulmonary Function by

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Title
Author(s)
Association Between Body Composition and
Pulmonary Function by Measuring Resting
Metabolic Rate Using Indirect Calorimetry in
Chronic Respiratory Disease Patients
漆坂, 真弓
Citation
Issue Date
URL
2015-03-24
http://hdl.handle.net/10129/5613
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Text version
author
http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/
医共リポ様式1
機 関 リポジトリ登 録 用 論 文 の要 約
論文提出者氏名
病態制御学領域
呼吸病態内科学教育研究分野
氏名 漆坂真弓
( 論 文 題 目 ) Association between body composition and pulmonary function by
measuring resting metabolic rate using indirect calorimetry in chronic respiratory
disease patients
(慢性呼吸器疾患患者における簡易熱量計を用いて測定した安静時代謝量と体組成、
呼吸機能との関連)
【はじめに】
慢 性 呼 吸 器 疾 患 患 者 の 治 療 上 の 課 題 の 一 つ に 栄 養 不 良 が あ る 。特 に 、慢 性 閉 塞 性 肺 疾
患 (COPD)患 者 に お け る 栄 養 不 良 は 予 後 に 影 響 す る こ と が 知 ら れ て い る が 、慢 性 呼 吸 器 疾
患 患 者 の 安 静 時 代 謝 量 に 影 響 す る 因 子 に 関 す る 研 究 報 告 は 少 な い 。今 回 、間 接 熱 量 計 を
用いて 慢性呼 吸器 疾患 患者の 安静時 代謝 量を 測定し、体組 成、肺 機 能、息切 れと の関連
に つ い て 検 討 し た 。慢 性 呼 吸 器 疾 患 患 者 は 閉 塞 性 呼 吸 機 能 障 害 で あ る COPD と 拘 束 性 呼
吸 機 能 障 害 で あ る 間 質 性 肺 炎 (IP)の 2 群 に 分 け て 検 討 し た 。
【対象と方法】
2013 年 2 月 か ら 8 月 に 弘 前 中 央 病 院 外 来 で 治 療 さ れ て い た 慢 性 呼 吸 器 疾 患 患 者 44 名
(COPD 患 者 23 人 、IP 患 者 21 人 )を 対 象 と し た 。測 定 項 目 は 、体 重 、体 組 成 (脂 肪 量 FM、
除 脂 肪 量 FFM)、安 静 時 代 謝 量 、肺 機 能 、息 切 れ (mMRC ス ケ ー ル )で あ る 。体 重 及 び 体 組
成 の 測 定 は 生 体 電 気 イ ン ピ ー ダ ン ス 法 に よ る 体 組 成 計 (TBF-102, TANITA, Japan)で 行 っ
た 。 そ の 結 果 か ら %標 準 体 重 %IBW、 体 格 指 数 BMI、 脂 肪 指 数 FMI、 除 脂 肪 指 数 FFMI
を 算 出 し た 。安 静 時 代 謝 量 (RMRm)は 間 接 熱 量 計 (MedGem® Indirect Calorimeter, Microlife
Inc., USA)を 用 い て 測 定 し た 。 測 定 と は 別 に 、 安 静 時 代 謝 量 の 予 測 値 算 出 の た め に 用 い
ら れ て い る Harris-Benedict の 方 程 式 に よ り 基 礎 代 謝 量 を 算 出 し 、安 静 時 代 謝 量 の 予 測 値
(RMRe)と し た 。 安 静 時 代 謝 量 は 体 格 の 影 響 を 受 け FFM に 正 比 例 す る た め 、 体 格 の 補 正
と し て 、 RMRm を FFM で 除 し た 値 (RMR/FFM) を 算 出 し た 。 肺 機 能 検 査 は
CHESTAC-8900(CHEST, Japan)を 用 い た 。38 名 (COPD 患 者 19 名 、IP 患 者 19 名 )に つ い て %
1 秒 量 (%FEV 1 )、 %肺 活 量 (%VC)の 測 定 を 行 っ た 。 統 計 解 析 は SPSS ver.22 を 使 用 し て 行
い 、 有 意 差 水 準 は 5%未 満 と し た 。
【結果】
慢 性 呼 吸 器 疾 患 患 者 44 名 を 対 象 に 安 静 時 代 謝 量 を 測 定 し た が 、 咳 嗽 の た め 中 断 し た
COPD 患 者 1 名 を 除 き 、 問 題 な く 測 定 が 可 能 で あ っ た 。
体組成と安静時代謝量
BMI は 、 COPD 患 者 21.4±2.8、 IP 患 者 24.0±4.6 で あ っ た 。 両 群 に お け る 比 較 で
は 、%IBW、BMI、 FM、 FMI に 有 意 差 を 認 め 、COPD 患 者 は IP 患 者 よ り も 痩 せ て 脂 肪 量
が 少 な か っ た 。 COPD 患 者 の RMRm は 1245.5±316.9kcal/day 、 RMRe は 1158.7 ±
135.1kcal/day 、 RMR/FFM は 26.50 ± 6.16kcal/kg/day で あ っ た 。 IP 患 者 の RMRm は
1429.0±387.8kcal/day、RMRe は 1189.4±274.7kcal/day、RMR/FFM は 33.26±8.01kcal/kg/day
で あ っ た 。 COPD 患 者 と IP 患 者 の RMR/FFM の 比 較 で は 、 COPD 患 者 に お い て 有 意 に 低
か っ た (p<0.01)。 RMRm と RMRe の 比 較 で は 、 COPD 患 者 で は 有 意 差 が な く 、 IP 患 者 で
有 意 差 を 認 め た (p<0.01)。 RMRm は 、 COPD 患 者 で は 体 重 、 FFM に 正 の 相 関 を 認 め 、 IP
患 者 で は 年 齢 と は 負 の 相 関 、 体 重 、 %IBW、 BMI、 FM、 FMI、 FFM、 FFMI に 正 の 相 関 を
認 め た 。 RMR/FFM は COPD 患 者 で は 年 齢 、 体 重 、 体 組 成 と 相 関 を 認 め ず 、 IP 患 者 は 年
齢のみ負の相関を認めた。
安静時代謝量と息切れ
慢 性 呼 吸 器 疾 患 患 者 全 体 の 43 名 の mMRC の 平 均 は 1.72±1.14 で あ っ た 。 COPD 患 者
の mMRC の 平 均 は 1.68±1.13、IP 患 者 は 1.76±1.18 で 、両 群 で の 有 意 差 は な か っ た 。慢
性 呼 吸 器 疾 患 患 者 43 名 全 員 で の RMR/FFM と mMRC の 相 関 は な か っ た 。 COPD 患 者 22
名 、 IP 患 者 21 名 に つ い て も 検 討 し た が 、 相 関 は な か っ た 。
安静時代謝量と肺機能
COPD 患 者 で は 閉 塞 性 障 害 の 指 標 で あ る %FEV 1 と RMR/FFM の 相 関 を 、IP 患 者 で は 拘
束 性 障 害 の %VC と RER/FFM の 相 関 に つ い て 検 討 し た が 、 相 関 は 認 め ら れ な か っ た 。
【考察】
本 研 究 の COPD 患 者 の RMRm と RMRe に は 有 意 差 が な か っ た (RMRm/RMRe 比 107.3
±25.0%)。こ の こ と か ら 本 研 究 の COPD 患 者 の 安 静 時 代 謝 量 は 亢 進 し て い な い と 思 わ れ
る 。 今 回 対 象 の COPD 患 者 は 体 重 減 少 が み ら れ ず 、 筋 肉 量 も 保 た れ て い た 。 mMRC 平
均 値 も 1.68±1.13 で あ り 、日 常 生 活 動 作 に 伴 う 呼 吸 の 仕 事 量 の 増 大 及 び 体 重 や 筋 肉 量 の
減少がなかったことが、安静時代謝量の亢進になっていなかった理由と考えらえる。
IP 患 者 で は 、 RMRm と RMRe の 比 較 で は 有 意 に RMRm 値 が 高 く (RMRm/RMRe 比
120.0±18.6%)、 安 静 時 代 謝 量 が 亢 進 し て い る と 考 え ら れ た 。 安 静 時 代 謝 量 に 影 響 す る
因 子 の 一 つ に FM が 指 摘 さ れ て い る 。本 研 究 に お い て IP 患 者 の FM は COPD 患 者 よ り も
有 意 に 高 値 で あ り 、ま た IP 患 者 の RMRm は FM と 正 の 相 関 を 認 め た 。以 上 の こ と か ら 、
FM の 量 が 安 静 時 代 謝 量 の 値 に 影 響 し て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。
RMR/FFM は 、COPD 患 者 の 値 が 有 意 に 低 か っ た 。 FFM は 骨 組 織 、筋 組 織 、臓 器 組 織 、
水 分 等 か ら 構 成 さ れ る 。各 組 織 の 代 謝 率 は 異 な る こ と が 知 ら れ 、さ ら に 個 人 に よ っ て も
各 組 織 の 構 成 比 が 異 な る 。FFM の 構 成 比 及 び 代 謝 率 の 違 い が 安 静 時 代 謝 量 に 影 響 し て い
る可能性が考えられる。
本 研 究 に お け る COPD 患 者 は 体 重 や 筋 肉 量 の 減 少 が な く 、安 静 時 代 謝 量 の 亢 進 を 認 め
な か っ た が 、栄 養 障 害 を 引 き 起 こ す 前 の 早 期 介 入 が 必 要 と 考 え る 。安 静 時 代 謝 量 は FFM
と の 相 関 を 認 め た が 、先 行 研 究 と 比 較 し て 相 関 係 数 は 0.4~ 0.6 と 弱 い 関 係 で あ っ た 。そ
の た め MedGem®を 慢 性 呼 吸 器 疾 患 患 者 の 栄 養 状 態 の 評 価 と し て 用 い る 場 合 、 安 静 時 代
謝 量 の 他 に 体 組 成 等 の 指 標 と と も に 、総 合 的 に 栄 養 状 態 を 評 価 す る こ と が 望 ま し い と 考
える。
【結論】
体 重 お よ び 筋 肉 量 の 減 少 が 軽 度 の COPD 患 者 で は 、安 静 時 代 謝 は 亢 進 し て い な か っ た
が 、 IP 患 者 で は 、 安 静 時 代 謝 の 亢 進 を 認 め た 。安 静 時 代 謝 量 に FM も 影 響 す る 可 能 性 が
示 唆 さ れ た 。安 静 時 代 謝 量 と 息 切 れ 、肺 機 能 は 相 関 し な か っ た 。MedGem®に よ る 安 静 時
代 謝 量 の 測 定 は 臨 床 で も 簡 便 に 施 行 可 能 で あ り 、慢 性 呼 吸 器 疾 患 患 者 の 栄 養 状 態 の 評 価
が可能になり、栄養支援の有用なツールとなる可能性がある。