平成27年5月試験<実技・保険顧客資産相談業務>の解答と解説を見る

平成 27 年5月
3級FP技能検定/実技試験<保険顧客資産相談業務>
解答と解説
【第 1 問】
番号
問1
問2
問3
正解
1
1
3
配点
4点
3点
3点
<問1> 正解 1
1)の語句の組み合わせが正しい。
・設例のAさんの退職後の公的医療保険制度への加入方法としては、現在加入している健
康保険(全国健康保険協会管掌健康保険)に任意継続被保険者として加入する方法や国
民健康保険への加入などがある。
・任意継続被保険者になる場合には、原則として退職日の翌日から「20 日」以内に申し出
を行う必要がある。任意継続被保険者として健康保険に加入できる期間は,最長で「2 年」
で、保険料は全額自己負担となる。
・任意継続被保険者に対する保険給付は在職時の保険給付とほぼ同じだが,資格喪失後の
継続給付に該当する者を除き,任意継続被保険者には「傷病手当金」は支給されない。
傷病手当金とは、業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続
して 3 日間の後、4 日目以降の仕事に就けなかった日に対して最長 1 年 6 ヵ月間、療養中
の生活保障として 1 日につき標準報酬日額の 3 分の 2 を支給する制度である。
<問2> 正解 1
老齢基礎年金の年金額は、20 歳から 60 歳になるまでの 40 年間保険料を支払った場合に
満額の年金額がもらえるしくみで、未納期間等がある場合には、その分年金額が減額され
る。具体的な計算式は、下記の通りである。
保険料納付済月数(注 2)
満額の老齢基礎年金(注 1)× ――――――――――――――
480 月
(注 1)平成 26 年度価額では 772,800 円。平成 27 年度は、780,100 円。
(注 2)国民年金の保険料納付済期間、厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の加入期間
の合計(ただし、20 歳以上 60 歳未満の期間)
。また、保険料免除期間がある場合、
次の期間が分子に加算される。
・平成 21 年 3 月以前:全額免除月数×1/3+3/4 免除月数×1/2+半額免除月数×2/3+
1
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1/4 免除月数×5/6
・平成 21 年 4 月以降:全額免除月数×1/2+3/4 免除月数×5/8+半額免除月数×3/4+
1/4 免除月数×7/8
Aさんの場合、保険料納付済月数は、厚生年金保険の保険料納付済期間 146 月+国民年
金の保険料納付予定期間 298 月=444 月でる。なお、学生納付特例制度の期間は、追納が
なければ、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、年金額には反映されない。
年金額(平成 26 度価額)は、次のようになる。
444 月
772,800 円× ―――― ≒714,800 円
480 月
<問3> 正解 3
1) 適切。小規模企業共済とは、小規模企業の個人事業主が事業を廃止した場合や会社等の
役員が役員を退職した場合などに、それまで積み立ててきた掛金に応じた共済金を受
け取る共済制度である。小規模企業共済の掛金月額は,1,000 円から7万円までの範囲
内(500 円単位)で加入者が選択することができる。
2) 適切。小規模企業共済の共済金は,一括で受け取るほか,所定の要件を満たせば,分割
して受け取ることもできる。
3) 不適切。加入者が小規模企業共済から一括で受け取った共済金は,退職所得として所得
税の課税対象となる。なお、分割して受け取った場合は、公的年金と同様、雑所得(公
的年金等控除の対象)となる。
【第 2 問】
番号
問4
問5
問6
正解
2
1
3
配点
3点
4点
3点
<問4> 正解 2
ⅰ)仮に、Aさんが現時点でがんに罹患したことにより継続して 14 日間入院(手術なし)
した場合、Aさんが受け取ることになる入院給付金の額は、
「20 万円」となる。
A.疾病入院特約:日額 1 万円×(14 日-4 日)=10 万円
B.成人病入院特約:日額 1 万円×(14 日-4 日)=10 万円
A+B=20 万円
ⅱ)仮に、Aさんが現時点で不慮の事故により亡くなった場合、妻Bさんが受け取ること
になる死亡保険金の額は、
「3,000 万円」となる。
終身保険 1,000 万円+定期保険特約 1,000 万円+傷害特約 500 万円+災害割増特約 500
2
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万円=3,000 万円
ⅲ)仮に、妻Bさんが現時点で亡くなった場合、Aさんが契約者(=保険料負担者)であ
る生命保険契約の家族定期保険特約から給付される死亡保険金をAさん自身が受け取
るため、一時所得として「所得税の課税対象」となる。
<問5> 正解 1
1) 適切。保険金額を減額するとは、保険の一部を解約することであり、その分保険料負担
は軽くなる。
2) 不適切。契約転換制度とは、責任準備金等をもとにした転換価格を転換後契約の一部に
充当することで、新規に加入するよりも保険料は抑えられるが、保険料計算は転換時
点での年齢で行う。
3) 不適切。払済終身保険とは、保険料の払込を中止して、そのときの解約返戻金をもとに
元の契約の保険期間を変えないで、一時払の終身保険に変更するものである。保険金
は元の契約よりも小さくなり、付加されていた特約は消滅する。
<問6> 正解 3
1) 不適切。契約者貸付制度とは、申し込み時点における解約返戻金額の一定割合を限度に、
保険会社から貸し付けを受けることである。
2) 不適切。契約者貸付制度を利用しても、保険料に返済額が上乗せされることはない。
3) 適切。契約者貸付制度を利用している間に被保険者が死亡すると、死亡保険金等の金額
から未返済の貸付元利金を差し引いた金額が保険金受取人に支払われる。
【第 3 問】
番号
問7
問8
問9
正解
1
1
2
配点
3点
3点
4点
<問7> 正解 1
契約者・死亡保険金受取人・満期保険金受取人を法人とし、被保険者を役員・従業員と
する定期保険から死亡保険金を受け取った場合、死亡保険金は雑収入として処理する。
1) 適切。
2) 不適切。保険期間 10 年の定期保険の保険料は全額損金算入するが、保険料の 2 分の 1
を資産計上しているものとして処理している。
3) 不適切。保険料全額を保険料積立金として資産計上している。
3
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<問8> 正解 1
1) 不適切。X 社が支払う死亡退職金は、「A さんの最終役員報酬月額×役員在任年数×功
績倍率」の算式により計算した金額が、損金算入できる適正額となる。
2) 適切。死亡退職金は「500 万円×法定相続人の数」の算式により計算した金額まで非課
税となり、相続税の課税価格に算入されない。
3) 適切。死亡退職金とは別に、弔慰金については、業務外死亡の場合、普通給与の 6 ヵ月
分に相当する金額までは非課税となり、相続税の課税価格に算入されない。なお、業
務上死亡の場合は、3 年(36 ヵ月)分まで非課税である。
<問9> 正解 2
2)の語句の組み合わせが正しい。
・長期平準定期保険は、保険期間満了時における被保険者の年齢が「70 歳」を超え、かつ
当該保険加入時の被保険者の年齢に保険期間の 2 倍に相当する数を加えた数が 105 を超
えるものをいう。
・長期平準保険は、保険期間が契約から 60%に相当する期間を経過するまで、支払った保
険料の 2 分の 1 を損金算入し、残りの「2 分の 1」を前払保険料として資産計上する。
・法人契約は、保険業法に基づくクーリング・オフ制度の対象とは「なりません」。
【第 4 問】
番号
問 10
問 11
問 12
正解
3
3
1
配点
3点
3点
4点
<問 10> 正解 3
1) 適切。人間ドックの受診費用は、通常、医療費控除の対象にならないが、人間ドックを
受診した結果,重大な疾病が発見されたため,引き続きその疾病の治療をする場合に
は、医療費控除の対象となる。
2) 適切。加入している生命保険から受け取った入院給付金は,医療費控除の金額の計算上,
支払った医療費の金額から控除する必要がある。
医療費控除の対象となる金額は、次の式で計算した金額(最高で 200 万円)である。
(実際に支払った医療費の合計額-①の金額)-②の金額
①保険金などで補てんされる金額
(例)生命保険契約などで支給される入院給付金や健康保険などで支給される高額療
養費・家族療養費・出産育児一時金など。
②10 万円。ただし、その年の総所得金額等が 200 万円未満の人は、総所得金額等 5%
4
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の金額。
3) 不適切。医療費控除の適用を受けるためには、確定申告が必要である。年末調整等で適
用を受けることはできない。
<問 11> 正解 3
Aさんが加入している定期保険・医療保険は、
平成 24 年 1 月以後に契約したものなので、
生命保険料控除の控除額は、それぞれ設問に掲載された計算方法により算出する。
・一般の生命保険料控除:7 万 2,000 円×1/4+2 万円=3 万 8,000 円
・介護医療保険料控除:3 万 6,000 円×1/2+1 万円=2 万 8,000 円
*生命保険料控除の控除額合計:3 万 8,000 円+2 万 8,000 円=6 万 6,000 円
<問 12> 正解 1
・給与所得の金額
給与所得控除額
750 万円-(750 万円×10%+120 万円)=555 円
*Aさんには給与所得の他には所得がないので、総所得金額は 555 万円である。
【第 5 問】
番号
問 13
問 14
問 15
正解
1
1
2
配点
3点
4点
3点
<問 13> 正解 1
1)の語句の組み合わせが正しい。
ⅰ)相続の放棄または限定承認をする場合は,原則として,自己のために相続の開始があ
ったことを知った時から 3 ヵ月以内に,その旨を「家庭裁判所」に申述しなければな
らない。
ⅱ)所得税は、毎年 1 月 1 日から 12 月 31 日までの 1 年間に生じた所得について、翌年の
2 月 16 日から 3 月 15 日までの間に確定申告して納税することになっている。
しかし、
年の中途で死亡した人の場合は、相続人が、1 月 1 日から死亡した日までに確定した所
得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から「4 ヵ月」
以内に申告と納税をしなければならない。これを準確定申告という。
ⅲ)相続税の申告書の提出義務がある者は,原則として,相続の開始があったことを知っ
た日の翌日から「10 ヵ月」以内に,相続税の申告書を提出しなければならない。
5
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<問 14> 正解 1
1)が正しい。
設例の場合、相続人は配偶者と子で、養子も実子と同様に取り扱われるので、各人の法
定相続分は、次のようになる。
妻Bさん:1/2
長女Cさん:1/2×1/2=1/4
養子Dさん:1/2×1/2=1/4
<問 15> 正解 2
相続税は、
平成 27 年 1 月 1 日以後の相続より大幅に改正されているが、改正事項のうち、
基礎控除額については次のように改正されている。
<基礎控除額の改正>
改正前
改正後
(平成 27 年 1 月 1 日以後の相続に適用)
5,000 万円+1,000 万円×法定相続人の数
3,000 万円+600 万円×法定相続人の数
また、基礎控除額の計算上、次の点に留意する必要がある。
・養子の数の制限:,法定相続人の数に含めることができる養子の数は、相続税法上実子
とみなされる者(特別養子など)を除き,(イ)被相続人に実子がいる場合は 1 人、(ロ)実子
がいない場合は 2 人までである。
・相続放棄の取り扱い:相続人のうちに相続の放棄をした者がいる場合は,相続の放棄を
した者を法定相続人の数に含めて計算する。
設例のケースは、相続開始が平成平成 27 年 5 月で、相続人が妻Bさん、長女Cさん、養
子Dさんの 3 人なので、基礎控除額は次のようになる。
3,000 万円+600 万円×3 人=4,800 万円
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