認定看護師だより – 第17号 – 平成27年5月発行 青い空に緑が映える清々しい季節になりました。田舎に帰る度に伸びゆく庭の雑草には閉口 させられますが、頬をなでる風の感触や田んぼで聞こえ始めたカエルの大合唱に心が癒やされ るこの頃です。 今回は『スキンテア』についてお話しします。 。 皆さん『スキンテア』という言葉を聞いたことがありますか? スキンテアとは、皮膚の脆弱な人に摩擦やズレなどの一時的な外 力が加わることで生じる創傷のことです。 「テープを剥がすときに一緒に皮膚が剥がれた」 「ベッド柵に擦れて皮膚が裂けた」 「体位変換時に体を支持していたら皮膚が裂けた」 など、日常の何気ない刺激が引き金になります。 高齢者の皮膚は、新陳代謝の衰えや弾力を保つコラーゲンの減少のため薄くなっています。 また、皮膚の各層の結合も脆いため、はがれやすい状態となります。 さらに、ステロイド剤や抗凝固剤、抗血小板薬を使 用している人は要注意です。ステロイド剤の長期使 Q : 緊張性水疱が破れた時にできる表皮 剥離はスキンテアですか? 用は皮膚が菲薄化し、抗凝固剤などでは皮下出血が 起きやすくなるため、スキンテアを生じやすくなり A: スキンテアではありません ます。 緊張性水疱はテープ貼付部 スキンテアは、患者の皮膚が脆弱であることを理 辺縁部に持続的に張力が加わ 解した上で、日々のケアを行い、患者の生活環境を る影響で生じます。 整えることで予防できます。 スキンテアは一時的な摩擦・ずれに 例えば、レッグウォーマーやアームカバーで四肢の よって発生した創傷ですので、緊張性 露出をさけたり、ベッド柵にカバーをするなどです。 水疱が破綻して表皮剥離した場合は、 もちろん、毎日のスキンケアで皮膚の清潔を保ち、 スキンテアには含まれません。 保湿することも大切です。 ひ と り ご と 1ヶ月くらい前のこと。病棟師長より褥瘡治療目的で転院した患者について、 転院先から電話があり「褥瘡がすぐに処置できる状況になっていた」と労いの言葉を いただいたと嬉しい報告がありました。 褥瘡感染による重症感染症で全身管理目的で入院された患者で、 創はポケットを伴う感染褥瘡で創底には骨も露出していました。 感染コントロールと低栄養状態の是正を目標に、NSTにも介入してもらい、 多職種が一丸となって治療・ケアを行った症例でした。 特に病棟看護師は毎日2回の創処置や体圧ケアなど頑張っていたので、 このような評価をもらえて本当によかったと思いました。 担当:皮膚・排泄ケア認定看護師 櫻木真理子 Kagoshima Medical Association Hospital
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