『第 25 回 防災コミュニティ研究会』報告書 講師 株式会社 i-tec24 執行役員 佐藤直樹氏 日時 2015 年 7 月 17 日(金) 第一部:17:00~17:55「エレベーター閉じ込め救出訓練」 第二部:18:30~20:00「地震発生、エレベーターは?」 場所 千代田プラットホームスクエア 5F 今回は、災害時のエレベーターに焦点を当て、㈱i-tec24 の佐藤直樹が講師を務めました。 第一部は「エレベーター閉じ込め救出訓練」の概要説明と実演。 「まちみらい千代田」のご協力で、千代 田プラットホームスクエアのエレベーターで救出訓練を行い、多くの方に体験していただきました。 第二部は「地震発生、エレベーターは?」をテーマに、90 分の講演を行いました。 近年の首都圏で発生した震度 5 ないし 4 の地震によるエレベーター停止・閉じ込め被害について、その 内容とニュースでの取り上げられ方、弊社が取材協力した番組等の報告を通し、エレベーターが地震時 に対応する性能や、被害時に使われる用語の正しい理解を解説いたしました。 まず、 「地震が発生するとエレベーターが止まる」について、マスコミでは「緊急停止」という言葉で報 じられましたが、これは危険な状態の停止ではなく「地震時管制運転装置」が正常に作動して安全な状 態で休止しているので、その後の安全確認作業後に運転再開となります。 また、 「緊急停止=閉じ込め」と感じる人は多く、これも正しい知識のもと通報~待機~誘導指示を行え るよう、建物管理者への指導が必要とされます。 「地震時管制運転装置」についてでは、P 波センサー(初期微動)と S 波センサー(主要動)の 2 種類の 地震波の検知により急停止ではなく最寄り階に停止し、扉が開いたあとに休止となるようなプログラム であること、エレベーターの昇降中に起こってしまったドアスイッチの切れが原因で、階と階の間で急 停止してしまった状態が「閉じ込め」となることを解説いたしました。 自分が住んでいる、勤めているビルのエレベーターについて、最重要ポイントは、 「地震時管制運転装置」 が設置されているか? 地震波は P 波・S 波を検知するか? を各自が確認し、認識することです。 また、地震時を含む停電発生に有効な「停電時自動着床装置(停電時管制運転装置)」についてでは、停 電で急停止しその場で閉じ込めとならないための設備として、その役割を解説いたしました。 非常用バッテリーや自家発電の設置で、緊急停止後の電力切り替えが働き、最寄り階への移動・降客が 可能になります。この装置の設置有無確認も同様に重要なこととなります。 救出と復旧についてでは、救出の優先順位、複数台のあるビルであっても「1 ビル 1 台復旧」などの基本 や、復旧作業開始前の重要な確認作業について解説いたしました。 エレベーターの閉じ込め・停止の長期化に備えた、備蓄・訓練・状況共有・高齢者等弱者の把握などの 事前準備が、非常時の危険回避を大きく助ける手段となります。 講演後、一部・二部通しての質疑応答でも、熱心な声が多く寄せられました。
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