2015年7月1日 「長期エネルギー需給見通し(案) 」についての意見 いばらきコープ生活協同組合 理事長 佐藤 洋一 いばらきコープ生活協同組合は、2013年6月の総代会において、日本原子力発電「東海第 二原子力発電所の再稼動に反対する特別決議」を採択しました。東海第二原子力発電所は、稼動 37年を迎える老朽化した原子力発電所で、半径30キロ圏内には96万人もの人が暮らしてい ます。津波が、あと70センチ高かったら全電源を喪失し「福島第一原子力発電所と同じような 事故が起こっていた。」とされる原子力発電所です。本年4月、 「長期エネルギー需給見通し(エ ネルギーミックス)に対する意見書」を経済産業省資源エネルギー庁に提出しました。その中で、 原子力発電の数値化の見送り、再生可能エネルギーの導入の最大限加速と省エネルギー推進の取 り組みを求めました。しかしながら、今回の見通し(案)で示された2030年度のエネルギー 需給構造では、原子力発電の構成比を現在の0%から20~22%と数値化されました。一方で、 再生可能エネルギーは22%~24%と示されました。 「COOP ともにはぐくむ くらしと未来」いばらきコープ生活協同組合の理念のもと、持 続可能な社会の実現のために「長期エネルギー需給見通し(案)」について以下の意見を提出し ます。 1.原子力発電は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の原因究明や総括もされず、今後の見 通しすら示されていないことからも、改めて電源構成の数値化は見送ることが現実的です。今 回示された電源構成比20%~22%は既存の原子力発電所の寿命の大幅延長と再稼動が前 提であると考えます。原子炉規制法で定められている40年を遵守すべきです。運転延長や新 設は認めず、安全基準、適切な避難計画、周辺地域住民の了解が得られないものについては廃 炉の決定をするなどの明確な方向性を示すべきと考えます。 2.再生可能エネルギーは、欧米の先進国や地域では、40%以上の目標を掲げています。日本 も2030年度の目標を22%~24%ではなく、積極的な導入を推進し少なくとも30%以 上にするべきであると考えます。日本は、太陽光、風力、地熱、バイオマス、小水力など豊か な自然エネルギーに恵まれています。地球温暖化対策としても安全なエネルギー社会を作る上 でも最大限導入の加速は必要不可欠です。 3.電源構成の内容を公開すべきです。「安定供給・コスト・環境負荷・安全性」の、いわゆる 「3E+S」を基本とした、エネルギー需給構造を実現していくためには、国民の理解と行動 が不可欠です。そのためには、消費者が電力会社・電力メニューを選択する際に、電源構成に 関わる情報を容易に得られ、比較できるようにすべきです。具体的な発電名や比率など電源構 成の表示のルールを標準化すること、消費者への情報提供をすべての電力小売業者に義務付け ることが必要です。
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