おわりに||誰のための電力白山化か 縮小市場の中での市場開放 占領

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おわりに||誰のための電力白山化か
縮小市場の中での市場開放
占領期に成立した地域独占に基づく﹁九電力体制﹂は、六五年を経て終意を迎えようとしてい
るように見えます。かたちの上では発電部門と小売部門は完全に自由競争となり、送配電部門も
一一O年までには分社化︵法的分離︶される予定です。しかし、経営は切り離されるとは言え、持ち
株会社の一OO%子会社としてその傘下にぶら下がる以上、完全に自主独立した会社とは言えな
いでしょう。しかも、総括原価方式で守られる送配電会社の利益は持ち株会社のものとなります。
次頁の図で見るように既存電力会社の販売電力量は二000年代になって頭打ちになりました
が、その後増加しています。これは各電力会社がエコキュ lトをはじめとする﹁オlル電化住
宅﹂を推進していた時期にあたります。しかし、その後リ17ンショックによる景気後退で減少、
さらに東日本大震災と福島原発事故後でその傾向が明確になりました。
すでに日本は人口減少局面に入り、今後は世帯数も減っていきます。また都市に人口が集中す
ると、二戸あたりのエネルギー消費量は減る傾向にある︵床面積が少なくまた集合住宅が多い︶ので、
それも電力需要が減る要因になるでしょう o エネルギー多消費型の産業も国内から撤退していき
ます。﹁長期エネルギー需給見通し﹂では二O一二O年の電力需要を二O二二年並みと予測してい
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年
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既存電力会社の販売電力量の推移
出典電気事業連合会資料
業の集積地でしょう。これらの地域は、 Qロで述べた
して関西圏、中部圏の都市部といった人口密集地・企
主戦場は東京や神奈川、埼玉、千葉などの首都圏、そ
域で顧客の争奪戦が激化するのか自ずと予想できます。
こうした状況から考えると、全面自由化後にどの地
力のシェアが高いのは首都圏と関西です。
ています︵資源工、不ルギl庁調べ︶。わずかとは言え新電
%、神奈川県が七%、千葉、埼玉、大阪が五%となっ
%にすぎませんが、都道府県別に見ると東京都が一O
ット以上の範囲で、新電力会社のシェアは平均で約五
上に達します。またこれまで自由化された五0キロワ
関西電力が一六%、中部電力が一五%と三社で六割以
先の販売電力量に占めるシェアは東京電力が一一一一%、
新電力の主戦場は人口密集地域
ような意味があるのか、考えてみたいと思います。
忠われます。その中で、電力小完全面自由化にはどの
要が拡大する要素はなく、電力市場は縮小していくと
ますが、人口減少と低成長の中で省エネルギーも同時に推進していくとなれば、この先も電力需
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