2014年 度地域 医療実習 レポー ト 学籍番号 :M10009 学生氏名 :上 野 山郁 人 出身都道府 県 :和 歌 山県 実習期 間 :平 成 26年 8月 25日 ∼平成 26年 9月 5日 実習施設 :① 高野町立高野山総合診療所 (8月 25日 、26日 、9月 1日 ∼5日 ) 住所 :和 歌山県伊都郡高野町大字高野山 631番 地 TEL:0737-56‐ 2911 ②紀美野町国民健康保険国吉診療所 (8月 26日 ∼28日 ) 住所 :和 歌山県紀美野町田 63番 地 TEL:073‐ 498‐ 0002 ③紀美野町国民健康保険長谷毛原診療所 (8月 26日 ∼28日 ) 住所 :和 歌山県海草郡紀美野町毛原宮 254 TEL:073‐ 499-0300 指導医 氏名 :蒸 野寿樹 先 生 (30期 卒 町 立 高野 山総合診療所 ) 岡地英 紀 先 生 (19期 卒 国保 国吉 ・長谷 毛原診療所 ) 臨床教員氏名 :廣 内幸雄 先 生 (1期 卒 町立高野 山総合診療所 ) 宿 泊 :無 量光院 (8月 24日 、25日 、31日 、9月 1日 ∼ 4日 か じカゴ整 (8月 26日 ∼28日 1.実 習 施 設 ) ) とそ の 地 域 の 概 要 ① 高野町 立 高野 山総合診療所 高野 山は、和歌 山県北部 、周 囲 を 1,000m級 の 山々 に囲まれ た標 高約 800mの 平坦地 に位 置す る。真言宗 の 宗祖 であ る空海 (弘 法大師 )が 宗教活動 の拠 点 とした地域 であ り、真言密 教 の聖地、 また、弘法大師信仰 の 地 として 、21世 紀 の今 日も多 くの参詣者 を集 めてい る。 世界遺産 に登録 され た後 、2009年 に ミシ ュ ラ ン・ グ リー ンガ イ ド・ ジ ャパ ンで三つ 星 を獲 得 した こ とか ら、海外 か ら訪れ る客 も後 を絶 たず 、高野 山総合診療所 には地元 の方だけでな く、遠方 か ら来た旅行者 の 患者 も多 く受診 され る。 へ き地 医療 支援 、地域 医療 を実践 し、小 規模 なが ら医療 機器 を整備 した地 域密 着型 の診療所 で 、も とも とは高野 山病院 として経営 さ れ て い たが 、 2010年 4月 か ら経営形態 が変更 され た。現在 常勤 医師数 は 3名 で 、外来診療 科 として内科 ・ 外科 ・ 眼科 。(小 児科 )が 存在す るc ②紀美野町国民健 康保 険国吉 。長 谷毛原診療所 紀美 野町 は 、和歌 山県 中部 の海 草郡 にあ る町で、 2006年 に野 上町 と美里町が合併 して誕 生 した。紀美野町 の 町名 は公 募 に よるもので、紀州 の 「紀」と美里町 の 「美 」、野上町 の 「野」 -402- を取 り、「君 の 町 Jの 意 味 とか けた もので ある。 国吉 。長谷 毛原診療所 が位置す る町東 部 は 非常 に 自然 が 豊か な地域 で あ り、様 々 な種類 の野生動物 を見か け る こ とができるほか、夜 に は満天 の星 空 を観 察す る こ とがで き、夏場 はキャンプな どに訪れ る利用 客 で賑 わ い を見せ て い る。国吉 ・長谷 毛原診療所 ともに常勤 医師は岡地先生 1人 で あ り、午前 。午後 な どにわ け て 2つ の診療所 を行 き来 してい るほか 、診療所 まで来 られ な い住 民 の ために時間 を決 めての 往 診 な ども積極 的 に行 われ て い る。 2. 実 習 内容 ① 高野町 立 高野 山総合診療所 〇実習 ス ケ ジュール 8月 25日 (月 ) 午前 午後 救急 処 置見学 訪 問看護 見学 オ リエ ンテー シ ョン 外 来見学 施設見学 8月 26日 (ノ て) 放射線 ・ 検 査室見学 乳幼児健診 外来見学 外科処置 外 来 見学 9月 1日 外来見学 (月 ) 9月 2日 (火 ) 訪問看護見学 外来見学 外来見学 外来見学 エ コー 見学 講演会 検 査室実習 9月 3日 (水 ) 9月 4日 (木 ) 9月 5日 (金 ) 院長先 生 講和 院長先 生講和 保健安全委員会 デイサービスセンター実習 往診 外 来見学 外来見学 地 域 見学 地域見学 ○各項 目の詳 細 と自己評価 <自 己評価 ・ 救急 処置 見学 D> 実習初 日朝 、診療所 に到着す る と救急患者 が搬送 され ていた。何 かお手伝 い できる こ とが あれ ば と思 つ たが 、 一 歩 引 いて しまい 、積極 的 に動 く こ とがで きなか つた。 。訪 問看護 見学 <自 己評価 C> 看護 師 さん に付 き、訪 間看護 を見学 させ て頂い た。看護 師 さんや患者 さん とのお話 を通 じ、診療所 の あ り方や 高野 山の地域性 につい て 学 ぶ こ とがで きた。また、様 々 な介護 の 仕方 を見学 させ てい ただ い た。 <自 ・ 外来見学 己評価 B> 実習 を通 して 、院長 である廣 内先生 の外来診察 をた くさん 見せ て い ただ くこ とがで -403- きた ほか 、他病院 か ら来 られ た眼科 の 先生 の外来 も見学 させ て い ただいた。院長先 生 は診療 の合 間 に空いた時間で過 去の様 々 な症例 を紹介 して くれ 、とて も勉強 にな つた。手技 も何度 か させ ていただ けたが、緊張 の為 か思 うよ うにいか な い こと もあ っ た。 <自 ・放射線 。検 査室見学 己評 価 B> 外 来患者 さん の採 血 や 、そ の採 取 した血 液 の検査 な どを させ ていただいた。 また 、 直腸 造影 な ど病 院 で はあま り見 る機会 の な い 手技 を見学 させ てい ただ くこ とがで きた。 <自 己評価 ・ 乳幼児健診 C> 見学 のほか、成長 に伴 う様 々な発達課題 、反射 な どについて教 えて頂いた。 。外科処置 <自 己評価 B> 外傷で受診 された外来患者 さんの縫合処 置 を手伝わせていただい た。 <自 己評価 ・ エ コ‐ 見学 B> 検 査 技師 さん に心 エ コー につい て教 わ った。一 度 は学 習 した こ とで も忘れ て しまっ て い る もの もあ り、復習 の 大切 さを感 じた。 <自 己評 価 ・ 講演会 C> デイサ ー ビスセ ンターにて弁護 士の先生 か ら高齢者虐待 の話 を伺 つた。 <自 己評価 ・ 院長 先生講 和 A> 高 野 山 の 歴 史や 地域 性 、診 療所 の 現状 な どに つ い て様 々 な こ とを教 わ つた 。 とて も 興 味深 い お話 で 、学 生 が ど うあ るべ きか な どもお話 して い た だ き、非 常 にた めにな っ た。 <自 己評価 ・保健 安全委員 会 C> 高野 山中学校 にて学生 に関す る保健安全委員会 に参加 させ ていただいた。中学生 の 生活や健 康状態 の現状 を知 るこ とがで きた ほか 、気 を付 けるべ き疾患な どについ て も教 わ る ことがで きた。 。デイ サ ー ビスセ ン ター 実習 <自 己評 価 C> 診療所 の近 くにあるデイサー ビスセ ンター 内の診療室で担 当の先生 のお話 を伺 っ た。 また、利用者 の入浴介助な どを見学 させて頂 い た。 <自 ・往診 己評価 B> 患者 さん のお宅にお邪魔 し、お話 を聞い た り、手技 を見せて頂 いた りした。 ②国吉 。長谷毛原診療所 ○実習スケジュール 午後 外 来実習 外 来実習 訪 問看護 訪 問看護 8月 28日 C∼ ) 福祉 セ ン ター 実習 福祉 セ ン ター 実習 8月 29日 ←金) 小 中学校 見学 保 育所 。デイサ ー ビスセ ン ター 見学 外 来実習 8月 ″‘ 9“ 午前 日 (水 ) -404- 往診 ○各項 目の詳細 と自己評 価 ・ 外来実習 <自 己評価 A> 先 生 の 代 わ りに受診 した患者 さんの対応 を させ ていただ き、バ イ タル チ ェ ック の他 、 先生 ・看護師 さん にサポー トして い ただ き、 自治 医大 の病棟 BSLで は出来 ない よ うな様 々 で手技 を経験 させ て い ただ く ことがで きた。 ・訪 問看護 <自 己評価 B> 看護師 さんたちと様 々なお宅を訪問 した。訪間 の過程 でい ろい ろなお話 を聞 くこ と が 出来 たほか 、地域 の案内な どもしていただいた。患者 さん のバ イタルな ども取 ら せ てい ただい た。 。福祉 セ ン ター 実習 <自 己評 価 C> 福祉 セ ンターの保健師 さん と共にお宅を訪問 し、介護認定作業 を見学 させていただ い た。今 まで保健 師 さん と関わる機会がなか ったの で、とて もいい経験 になった と 思 う。 。小 中学校 見学 <自 己評 価 B> 地元 の 中学生 と運動 を通 じて 交流 した。地域 の人 た ち と直接 関わ る機会 を作 つてい ただ き、 とて も貴重 な時間 を過 ごす こ とがで きた。 ・ 保 育所 。デ イサ ー ビスセ ン ター 見学 <自 己評価 B> 地域 の 方 々 とお話 しす る こ とが出来た ほか 、「頑 張 つ て くだ さい 」な ど温 かい 言葉 をか けて いただ き、 とて も励 み になつた。 。往診 <自 己評 価 B> 先生 。看護 師 さん と共 に様 々 な患者 さん の お宅 を訪れ た。自分 の普段 の生活 か らは 考 え られ ない よ うな山奥 に住 んで らつ しゃ る方 もい て 、往診 の重要性 を感 じること が 出来 た 。 3.考 察 地域 医療実習 が 始 ま る前 、私 は とて も実習 に対す る不安 な気持 ちを抑 えるこ とがで きなか っ た 。将来 は地域 医療 に従事 して社会 のため に役 立 ちた い と志 し、この 自治 医科 大学 に入 学 した も のの 、い ざ実際 に地 域 の病院や診療所 に出てみ る と、そ この診療所 ス タ ッフの みな さんや 地 域 の 方 々 に受 け入 れ て頂 くこ とがで きるのかが怖 くて仕 方 なか ったのだ。今 まで に も何度か、 毎年行 われ てい る県 の 主催す る夏季研修 にて地域 の病 院や診 療所 のお 世話 にな つた こ とはあ るが、今や私 は 5年 生 にな り、2週 間 とい う今 までの地 域 実習 よ りもず つ と長 い期間 を前 にす る と同時 に 、自分 は も うす ぐ卒業 し一 線 に出て働 かなけれ ばな らな い とい うこ とを 自覚 して く る と、ど うして も気持 ちが萎縮 し、一 歩 引 いて しま うところが あ つた。 しか し実際 に実習場所 に着 い てみ る と、診療所 ス タ ッフの方 々 は 、高野 山総合診療所 、国吉 。長谷 毛原診療 所共 に、 とて も明 る く私 を迎 え入れ て 下 さつた。それ だけでな く、診療 所 を受診 した患者 さんや地域 で 働 かれ てい る方 々 に も、私 が 実習生 で あるこ とを説 明す る と、「ど うか頑 張 つてね 」 と温 かい お言葉 を何度 もか けて い ただ く こ とがで き、今 まで感 じていた不 安 な気持 ちが とて も楽 にな っ たの を覚 えて い る。 高野 山総合診療 所 では 、基本 的 に院長 である 1期 生の 廣 内先生 の外来診察 を見学 させ ていた だいた。患者 さん の気持 ちを汲 み取 り、思 い や りを持 つて温 か く接す る姿 は、さす が 自治医大 -405- の 大先輩 で あ る と深 く敬服 した。それ だけでな く、外来 の合 間 には過去 に ご 自身 が担 当 され た 様 々 な興 味深 い 症例 を私 に紹介 して 下 さ り、医師 と してだ けでな く、教育者 として も尊敬 の念 を抱 いた。廣 内先生 に付 かせ て い ただいてい る とき とて も印象 的だ ったのは 、平L幼 児検診 でお 子 さん を連れ て こ られ た母親 に 、小 さい ころか らここで廣 内先生 にお 世話 にな って い る とい う お話 を聞 かせ て い ただ い た ときだ。廣 内先生 は も う 30年 以 上 この 高野 山の 地 で地 域 医療 に従 事 され てお り、住民 と世代 にわた つて深い 関 わ りを持 ち町 とともに歩んで い くとい う、地域 医 療 の道 をま っす ぐに進 まれ てい る方 な のだ とい うこ とを改 めて感 じさせ られ た。廣 内先生だけ で な く、 30期 生 の 蒸野先生や研修 医 の方 々 、看護師や検査技 師 さん をは じめ とす る多 くのス タ ッフの方 々 に も多 くを学 ばせ ていただ く ことがで きた。 国吉 。長谷 毛原診療 所 では 19期 生の岡地 先 生に指導 していただ き、3日 間 の 実習 を行 つた。 短 い 期 間 では あ つたが とて も充実 した 実習 で 、診療所 を受診 され た患者 さんは基本 的 に私 が全 て 対応 し、先 生や 看 護師 の方 々 にサポ ー トして いただ きな が ら手技 もほ とん ど私 にや らせ てい た だ くこ とがで きた。この よ うな ことは大 学 の病棟 BSLで は絶対 に体験 で きる ことで はな く、 も し受 け入れ て 下 さるの な ら、是非 また ここで 実習 させ て ほ しい と心 の底 か ら感 じた。国吉 ・ 長 谷 毛原診療所 で何度 も思 つ た ことは 、とて も診療所 ス タ ッフの雰 囲気 がいい とい うこ とだ っ た 。職種 に関係 な くお 互いがお互い を尊敬 しあいなが らも、他愛 もない 会話 な どで 自然 な笑顔 が 絶 えず 、ス タ ッフ全 員 が地 域 を愛 し仕事 に従事 してい る の を見て、自分 も将来は この よ うな 職 場 で働 きた い と強 く思 った 。 高野 山診療所 、国吉 。長谷 毛原診療所 ともに、実習 中、医師 一 人 に対す る負担 の大 き さにつ い て考 え させ られ る場 面 が 何度 かあった。2つ の診療所 を掛 け持 ち され てい る岡地先生 は もち ろん、高野 山診療所 も現在 は基本 的 に廣 内先生 と蒸 野先生 が 2人 で 、観 光地 であ り患者数 も多 い 高野 山地 区 をカ バ ー しな けれ ばな らな い状態 にな つ て い る。実習 させ て頂 いた 地域 とは異 な るが、私 の 出身 であ る有 田市 の市 民病院 も現在 内科 医 が 1人 しかお らず 、人 口 3万 人 の市 の 中 核 病院 にあるま じき事態 で あ る。最近地方 の公 立 医科 大学 も受 け入れ人数 が増 え、医師 の絶対 数 は増加 してい くだ ろ うと予想 され るが、だか らと言 つて それ が 直接 医師不足 の解決 に繋 が る とは限 らない 。今 よ りもつ と多 くの人 が地 域 医療 に対 して熱意 を持 ち、実際 に取 り組 まなけれ ば この 問題 が解決 され るこ とは難 しいだろ うと思 う。 しか し何 よ りも、まず私 自らが卒業 し力 に な りた い と、 この 実習 を通 して強 く思 えるよ うにな つ た。 4.謝 辞 本 実習 を行 うにあた り、高野 山総合診療所 の廣 内先 生 、蒸 野先生 をは じめ とす る診療 所 ス タ ッフの方 々 、また国吉 。長谷 毛 原診療所 の 岡地先生 をは じめ とす る診療 所 ス タ ッフの方 々 には 大変 お世話 にな りま した。この 2週 間 は私 の人生 の 中 で も これ か らおそ らく絶対 に忘れ られ る こ との な い とて も大切 な経験 とな りま した。 この実習 で学 んだ こ とを将来 に活 かせ るよ う、ま ず は医師 にな るこ とを 目標 に努 力 を重ねて い きたい と思 い ます 。この度 は本 当にあ りが とうご ざい ま した。 -406-
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