【冷凍空調設備と使用冷媒】

これだけは、知っておきたい
【冷凍空調設備と使用冷媒】
2015年10月19日(月)
福岡県冷凍設備保安協会
自主保安促進大会
1
[目次]
1. 冷媒使用状況(会員事業所)
2. 冷媒の歴史
3. 地球環境問題
4. 冷媒と地球温暖化と安全性
5. 冷媒の今後
6. 冷媒の特性
7. 高圧ガス保安法と冷媒
2
冷 媒 使 用 状 況:1 (会員事業所全体)
使用冷媒、事業所構成表
事業所
事業所数 構成比
NH3
25
6.8%
NH3-CO2
6
1.6%
CO2
2
0.5%
R12
2
0.5%
R502
1
0.3%
R22
236
64.3%
R134a
45
12.3%
R404
12
3.3%
R407C
36
9.8%
R410A
2
0.5%
367 100.0%
合計
冷媒
3
冷 媒 使 用 状 況:2 (会員事業所全体)
使用冷媒、冷凍能力構成表
冷凍能力
単位:RT 構成比
NH3
5,857
10.3%
NH3-CO2
631
1.1%
CO2
25
0.0%
R12
440
0.8%
R502
16
0.0%
R22
27,309
48.0%
R134a
17,785
31.3%
R404
1,481
2.6%
R407C
3,307
5.8%
R410A
60
0.1%
56,912 100.0%
合計
冷媒
4
冷
媒
の
歴
史
◎自然冷媒(NH3)~フロン冷媒~自然冷媒
➣19世紀頃、エーテル・アンモニア・二酸化硫黄・メチルクロライド等が使用
毒性・燃焼性が有るため、民生用の冷蔵庫や冷凍機は普及せず
➣1930年にふっ素化合物(R-12)を発見
毒性が弱く、燃焼性も低いため、安全な冷凍・空調装置が開発され、今日まで飛躍
的に普及
☆~1973年頃まで、冷蔵倉庫のアンモニア設備、ほぼ100%
➣1987年に「モントリオール議定書」が採択
塩素を含むふっ素系冷媒が規制
➣1997年に「京都議定書」が採択
塩素を含まないふっ素系冷媒(代替冷媒)を地球温暖化ガス類と分類、規制
➣2001年にフロン類回収破壊法が、2015年4月に「フロン排出抑制法」が施行
一部の冷凍冷蔵庫、ヒートポンプ給油器には、地球温暖化の影響が少ない
アンモニア・炭化水素類・二酸化炭素(自然冷媒)を使用
1987年
1997年
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地球環境問題
オ ゾ ン 層 の 破 壊
○オゾン層は、高度10~50kmの上空(成層圏)にあり、太陽光からの有害な紫外線を吸収し、
人の健康や生態系を保護。
○フロンは、安定性が高く大気中で分解しにくいため、地上で放出されたフロンは、ゆっくり上昇し
オゾン層に達する。そこで紫外線によって分解され、塩素原子が発生。この塩素原子が触媒
となって、非常にたくさんのオゾンを分解する。
※塩素原子1個によって、概略1万個のオゾンが分解
○CFC(クロロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は、化学的に安定し、
毒性が無い等の特徴を有するため、冷蔵・冷凍・空調機器の冷媒等として幅広く使用中。
○フロン:R-11がオゾン破壊の基準として、各気体の影響度を「オゾン層破壊係数(ODP)」と呼ぶ。
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地球環境問題
地 球 温 暖 化 へ の 影 響
○地球は温室効果ガスに覆われ適度な温度に保たれています。
○二酸化炭素(CO2)は、温室効果ガスの代表的なもので、その大気中濃度は産業革命(1750年)
以降、化石燃料の使用により、急激に増加。その結果、大気中のCO2 濃度は現在、1750 年に
比べて40%も増加し、温暖化が進んでいます。
○「代替フロン」等の温室効果ガスが増加すると、地球温暖化に影響を与えます。
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冷媒と地球温暖化と安全性
○二酸化炭素を温暖化の基準として、各気体の影響度を「地球温暖化係数(GWP)と呼ぶ。
○ふっ素系冷媒は、低GWPの地球環境保護と不燃性かつ毒性が少いという安全性とは相反する。
・水素原子の割合が大きいと、GWPは低くなるが燃焼性は強くなる。
・ふっ素原子の割合が小さくなると、寿命が短くなりGWPは低くなるが、安定性は低くなる。
・塩素原子の割合が大きいと、GWPは低く且つ潤滑性に優れるが、ODPは増加し毒性が強くなる。
○自然冷媒のアンモニアはGWPは1以下であるが、毒性を有し且つ弱い燃焼性がある。また、
炭化水素類は、GWPが3と低いが、燃焼性が強い。
○冷凍空調機器管理者の安全性からは、燃焼性・毒性が共に低い冷媒が良く、R1234yfのような
安全な新ふっ素系冷媒の開発が望まれる。
特定フロン
(CFC、HCFC)
Cl
F C
Cl
F
CFC-12
・0DP=1.0
・GWP=10,900
H
F C
Cl
F
オゾン層
破壊効果無
代替フロン
(HFC)
F
CF
H
F
HCFC-22
・0DP=0.055
・GWP=1,810
温室効果
大
オゾン層
破壊効果無
温室効果
大
オゾン層
破壊効果有
代
替
C
F
H
+
HFC-125
冷媒転換
(低GWP化)
HFC-134a
・0DP=0
・GWP=1,430
H H
C
HFC-32
F
F
F
H CF F
C
F
F
HFC-410a
・0DP=0
・GWP=2,090
(HFC-32とHFC125
の混合ガス)
温室効果
小
代
替
CO2 ?
HFO ?
冷媒の記号(番号)
冷媒の今後
フロン類使用製品が目指すGWP値(参考)
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冷媒の今後
HCFC削減スケジュール(R22)
30,600t
(注1)
生産+輸入許可枠(既定値)
生産+輸入許可枠(推定値)
注1.モントリオール議定書では、2020年時点で現存する冷凍空調機器への補充用途のHCFCに限り2029
年末まで生産を認める特例が存在します。
ただし、通商産業省化学品審議会オゾン保護対策中間報告(平成8年3月14日)においては、上記の補充用も
含めて、2020年のHCFC生産・消費量の削減・全廃を目標とするとされています。
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冷媒の特性
冷凍空調機器の代表的冷媒使用状況
微燃性
毒性
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冷媒の特性
使 用 冷 媒 特 性 比 較
ODP
GWP
安全性
区分
COP
比
高圧
MPa
吹出温度
℃
1000‐CO2屯
kg
R22
0.055
1,810
A1
1.00
1.53
57.5
552
R134a
0
1,430
A1
0.99
1.02
44.5
699
R404A
0
3,920
A1
0.90
1.83
44.8
255
R407C
0
1,770
A1
0.99
1.64
53.6
564
R410A
0
2,090
A1
0.93
2.41
57.2
478
NH3(R717)
0
< 1
B2
1.05
1.55
93.3
CO2(R744)
0
1
A1
0.63
9.0
72
冷媒
特定フロン
(HCFC)
代替フロン
(HFC)
自然冷媒
※ODP(Ozone Depleting Potential):オゾン層破壊係数
※GWP(Global Warming Potential):地球温暖化係数
※凝縮温度/蒸発温度=40/0℃
※効率比はR22を1とした時の比較値
※安全性区分はフルオロカーボン協会資料によるASHRAE Standard 34 Safety Group
A:低毒性、B:高毒性、1:不燃性、2:弱燃性、3:強燃性
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高圧ガス保安法と冷媒
高圧ガス保安法の構造(冷媒関係)
◆高圧ガス保安法では、高圧ガスによる災害を防止するため、高圧ガスの製造、貯蔵、販売、移動その他取
扱及び消費並びに容器の製造及び取扱について規制している。
◆冷凍設備のうち一部のものは、冷凍に係る高圧ガスに関する保安(冷凍設備の運転時を含む)についての
規定である冷凍保安規則(以下「冷凍則」という。)に基づき、使用する冷媒や冷凍能力に応じて、技術基準
への適合や、都道府県知事に対する許可・届出等が求められる。
◆冷媒回収行為は、一般高圧ガス保安規則(以下「一般則」という。)が適用されることとなるが、温度35℃に
おいて圧力5MPa以下のフルオロカーボン(一般則において不活性のものに限る。)について、経済産業省
告示による技術基準に適合することが認証された回収装置により回収する場合には、法適用の対象外となる。
◆その他、ガスの販売(冷媒充塡等)、移動、貯蔵行為については、一般則による技術基準への適合や、都道
府県知事に対する許可・届出等が必要となる。
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高圧ガス保安法と冷媒
高 圧 ガ ス の 定 義
高圧ガスの区分
定
義
具体的なガス名(例)
〔法第2条第1号〕
圧縮ガス
(圧縮アセチレンガスを
除く。)
常用の温度において圧力(ゲージ圧力。以下同じ)が1メ
ガパスカル以上で現に1メガパスカル以上であるもの
又は温度35度で1メガパスカル以上となるもの
アルゴン、一酸化炭素、空気、
酸素、水素、窒素、ヘリウム、
メタンほか
〔法第2条第2号〕
圧縮アセチレンガス
常用の温度において圧力が0.2メガパスカル以上で現に
0.2メガパスカル以上であるもの
又は温度15度で0.2メガパスカル以上となるもの
アセチレン
〔法第2条第3号〕
液化ガス
常用の温度において圧力が0.2メガパスカル以
上で現に0.2メガパスカル以上であるもの
又は圧力が0.2メガパスカルとなる場合の温度
が35度以下であるもの
(いずれも「液化」を冠
す)アンモニア、塩素、酸
化エチレン、二酸化硫黄、
二酸化炭素、液化石油
ガス、フルオロカーボン、
酸素、窒素、アルゴンほ
か
〔法第2条第4号〕
第3号に掲げるものを
除くほか、右の定義に
該当する液化ガス
温度35度において圧力が0パスカルを超える液化ガスの
うち、液化シアン化水素、液化ブロムメチル又はその他の
ガスであって、政令で定めるもの
液化シアン化水素
液化ブロムメチル
液化酸化エチレン
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高圧ガス保安法と冷媒
☆フルオロカーボン〔不活性のもの〕
冷媒ガス種別
規制体系
☆フルオロカーボン〔不活性のもの以外〕、アンモニア
☆その他ガス
(ヘリウム、プロパン、水素、二酸化炭素等)
20トン
以上
3トン未満
通常
適用外
第二種製造
3トン以上
20トン未満
第一種製造
保安検査
(ヘリウムを除く)
冷凍保安責任者
(ユニット型を除く)
定期自主検査
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高圧ガス保安法と冷媒
冷凍則における代替冷媒の扱い①
◆高圧ガス保安法施行令第4条においては、ガスの種類によって「フルオロカーボン(不活性のものに限る。)」及び「フルオロ
カーボン(不活性のものを除く。)及びアンモニア」と「その他のガス」の3つに分類されており、それぞれ規制対象となる
範囲が異なる。
◆現行冷媒の大半は第1グループ(フルオロカーボン(不活性のものに限る。) )に分類されるが、転換候補となるR1234yf/ze、
R32等のフッ素化合物系の冷媒は冷凍則において不活性なものの扱いにならないため第2グループ、CO2冷媒はこれら
以外の第3グループにそれぞれ分類され、第1グループに比べ厳しい規制になる。
冷凍保安規則における冷媒の種類、冷凍能力の違いによる規制の状況
<各冷媒の分類>
R32
一般則:不活性かつ可燃性でない
冷凍則:不活性ではなく、
かつ、可燃性でない
R1234yf/ze
一般則:不活性ではなく、可燃性
冷凍則:不活性ではなく、
かつ、可燃性でない
CO2
一般則:不活性かつ可燃性でない
冷凍則:不活性で、
かつ、可燃性でない
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※高圧ガス保安法の冷凍能力:圧縮機のピストン押しのけ体積を冷媒種により個別に設定された係数で除して算出。
1日の冷凍能力の大きさにより対応する規制の範囲が異なる。
高圧ガス保安法と冷媒
冷凍則における代替冷媒の扱い②
◆不活性以外のフルオロカーボン(R1234yf/ze、R32等)、その他のガス(CO2)を扱う場合の主な責務
規制を受ける者
機器
ユーザー
機器製造
業者
主な
対象機種
高圧ガス保安法
の規制
備考
第1種製造者
・公共施設用
スクリュー冷
凍機
・許可対象
・製造のための施設
の位置、構造及び設
備、製造の方法につ
いて技術基準が適用
◆不活性のフルオロカーボンをCO2に転換する場合は、1日の冷凍
能力が20トン以上~50トン未満が新たに規制対象となる。
第2種製造者
・ビル用マル
チエアコン
ディショナー
・食品スー
パー用CO2
ショーケース
・届出対象
・第2種製造者(第1
種製造者)の技術上
の基準の一部が適用
◆不活性のフルオロカーボンをCO2に転換する場合1日の冷凍能
力が3トン以上~20トン未満が新たに規制対象となる。
◆R1234yf/ze、R32に転換する場合は、1日の冷凍能力が5トン以上
~20トン未満が新たに対象となる。
・届出書類作成等の事務負担や保安教育の実施、技術上の基準へ
の適合等の負担が生ずるが、従来設備担当者がいないケースが大
半の分野であるため、円滑な対応ができないおそれ。
・冷媒漏えい時の機器修理にも事前届出が必要となる。
・安全装置の取り付け等により高コスト化、重量増加となる(現行冷
媒と競争上の不公平が生じるおそれ。)。
その他製造者
・店舗オフィ
ス用エアコン
ディショナー
・第2種製造者の技
術上の基準の一部が
適用
◆R1234yf/ze、R32に転換する場合は1日の冷凍能力が3トン以上~
5トン未満が新たに対象となる。
・設備の設置・変更に際して気密試験を行うことが必要(機器製造業
者が技術基準に沿って製造した冷凍機器を使用することが前提。)
1日の冷凍能力が3トン
以上~20トン未満の機
器製造者(不活性のフル
オロカーボンの場合は1
日の冷凍能力が5トン以
上)
(上記機種)
・冷凍設備に用いる
機器の製造に係る技
術基準が適用
・安全装置の取り付等により高コスト化、重量増加となる(現行冷媒
と競争上の不公平が生じるおそれ。)。
(備考) 法令に基づくものではないが、冷凍空調装置設置の事実上の標準である高圧ガス保安協会の「施設基準」においては、
R32は微燃性(A2L)に区分され、3冷凍トン以上の冷凍空調周辺設備の防爆仕様及び防火構造や火気設備間の距離確保等が求められる。
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高圧ガス保安法と冷媒
一般則における代替冷媒の扱い(回収装置)
◆冷媒回収行為は、高圧ガス保安法一般則が適用されることとなるが、温度35℃において圧力5MPa以下の
フルオロカーボン(一般則において不活性のものに限る)について、経済産業省告示による技術基準(耐圧設
計、安全装置の具備等)に適合することが認証された回収装置により回収する場合には、法適用の対象外となる。
◆R32は、改正フロン法においても引き続き回収が義務づけられており、R32は一般則において不活性であるため、
上述の基準を満たす回収装置を用いて回収する場合は高圧ガス保安法の適用除外となる。
◆R1234yf/zeは、改正フロン法上のフロン類には該当しないため法律上の回収義務はなく、主にガス価格が高価
であることを理由として積極的な回収が行われる見込みであるものの、一般則において不活性ではないため、上述
の基準を満たす回収装置を用いても高圧ガス保安法の適用除外とはならず、法に基づく規制に服することとなる。
◆CO2は、フルオロカーボンではないため、上述の基準を満たす回収装置を用いても高圧ガス保安法の適用除外
とはならないが、改正フロン法上のフロン類には該当しないため法律上の回収義務はない。
高圧ガス保安法に係わる規制改革等
◆近年、冷凍事故において漏洩が中心であるが増加している状況にあることは事実。
◆このような状況を踏まえ、冷媒転換に当たっても安全の問題をないがしろにすることはできないことから、十分な
安全性の検証を行い、安全性を担保するために必要な措置を講じた上で規制の見直しを行うことが必要。
◆既に、閣議決定された規制改革実施計画に基づき、安全性の検証が進められているところ。
◆規制改革実施計画(平成25 年6月14 日閣議決定)
・冷凍空調機器への新冷媒の使用基準の整備
(規制改革の内容)
現在主に使われている冷媒に比べて、地球温暖化に対する影響が小さいHFC-32等のガスについて、冷凍空調機器の冷媒とし
て円滑に使用できるよう、技術的事項について検討し、検討を踏まえ利用に伴う条件の緩和や適用除外の措置を講じることに
ついて検討し、結論を得る。
(実施時期)
平成25年度検討開始、平成25年度以降平成27年度までに順次結論、結論を得次第順次措置
◆平成25年度高圧ガス保安対策事業(経済産業省委託:平成25年度~平成27年度(予定))
・平成25年度は、冷凍設備分野の健全な発展に寄与するために、可燃性の冷媒、微燃性の冷媒等を使用した冷凍設備について、
海外における冷凍設備の規制の調査を行い、高圧ガス保安法での規制のあり方についての検討を実施。
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高圧ガス保安法と冷媒
可燃性ガスの定義(参考)
◆可燃性ガスの定義については、一般則では①特定の掲名ガス+②特定の掲名ガス以外の一定の数値基
準を満たすガスであるのに対し、冷凍則では①特定のガスを掲名して定義。
19
高圧ガス保安法と冷媒
不活性ガスの定義(参考)
◆冷媒の不活性分類については、一般則では①特定の掲名ガス+②一定の数値基準により可燃性がない
と判断されたフルオロカーボンであるのに対し、冷凍則では①特定のガスを掲名して定義。
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