2015 年 7 月 21 日号 調査情報部 今週の見通し 先週の東京市場はギリシャへの金融支援延長に向けた合意がなされたことに加え、中国市場が落ち着き を取り戻しつつあることから、戻り歩調となった。日経平均は再び 2 万円の大台を回復し、20600 円台まで上昇 した。9 日の安値からわずか 7 日間で上昇幅は 1500 円強に達した。主力銘柄のリバウンドに加え、4-6 月期 決算の発表を控え、好業績期待銘柄が堅調となった。米国市場もギリシャ問題の後退と中国市場の落ち着き から戻り歩調となり、NY ダウは 3 週間ぶりに 18000 ドルの大台を回復した。為替市場でドル円はリスクオンの流 れからドルが買われ、1 ドル 124 円台前半まで円が軟化した。ユーロ円はギリシャへ情勢への懸念が後退し、 135 円台でのもみ合いとなった。 今週の東京市場は外部環境の改善に加え、業績期待からじり高歩調となろう。中国市場動向にやや不透明 感が残るものの、企業の 4-6 月期決算発表を控え、企業業績の拡大期待が高まろう。リスクオンの流れから、 主力銘柄に買い戻し需要が見込まれるほか、好業績期待銘柄に買いが集まろう。また、大詰めを迎えた TPP 交渉への期待から、関連銘柄への物色も続こう。米国市場は決算を睨みつつも、外部環境の落ち着きから、底 堅い展開となろう。為替市場でドル円は米国の年内利上げ観測からドル強含みとなり、1 ドル 124 円前後の動き となろう。ユーロ円はギリシャ情勢の落ち着きから、1 ユーロ 135 円前後でもみ合いとなろう。 今週、国内では 22 日(水)に 6 月の訪日外国人数、23 日(木)に 6 月の貿易統計が発表されるほか、21 日(火) に月例経済報告関係閣僚会議が開かれ、7 月の月例経済報告が公表される。一方、海外では 23 日に 6 月の 米景気先行指数、24 日(金)に 7 月の HSBC 中国製造業 PMI、6 月の米新築住宅販売が発表されるほか、24 日 に EU 財務相理事会、24 日から 27 日(月)まで TPP 首席交渉官会合が開催される。 テクニカル面で日経平均は、日足一目均衡表の転換線や基準線を上回り、抵抗帯領域を再び上に放れてき た。また、遅行スパンも日々線の上に出てきており、先高期待が高まっている。当面の上値めどは 6 月 24 日に 付けた年初来高値の 20952 円となろう。一方、下値めどは 25 日移動平均線の 20336 円(17 日現在)や 13 週線 の 20170 円(同)、日足一目均衡表の抵抗帯上限の 20148 円(同)などが意識されよう。(大谷 正之) -1- 各種指数の推移 (Bloomberg データより証券ジャパン調査情報部が作成) -2- 投資のヒント ☆業績堅調な主な好取組銘柄群 東証 1 部信用倍率は 5 月 29 日の 3.65 倍を底に、7 月 10 日時点では 5.03 倍まで上昇しており、信用需給は 悪化傾向となっている。反面、個別で見ると東証 1 部銘柄で 321 銘柄が、依然、信用倍率 1 倍以下の水準にあ り、中には、業績的にも堅調な銘柄が多く存在していることから、中長期スタンスで注目したい。 (野坂 晃一) -3- 今週の参考銘柄 科研製薬(4521・東 1) ☆「クレナフィン」に期待 15/3 期業績は売上高が前年比 5.6%増の 938.8 億 円、営業利益は同 30.0%増の 206.3 億円となった。薬 価改定の影響で関節機能改善剤「アルツ」は減収とな ったが、昨年 9 月に発売された自社開発品の爪白癬治 療薬「クレナフィン」(一般名「エフィナコナゾール」)が順 調に売り上げを伸ばしたほか、癒着防止吸収性バリア 「セプラフィルム」や後発医薬品の伸長、「クレナフィン」 のライセンス収入の増加などで収益を伸ばした。また、 農薬も殺菌剤「ポリオキシン」の好調が寄与した。16/3 期も「クレナフィン」関連の売り上げの伸びが続くほか、 「アルツ」、「セプラフィルム」、「リピディル」などに加え、 後発医薬品の寄与で増収増益が続く見通し。売上高 は前期比 4.9%増の 985 億円、営業利益が同 1.8%増 の 210 億円の計画だが、「クレナフィン」は潜在的な患 者が国内で 1100 万人、米国で 3500 万人いると見られ ており、一段の拡大が見込まれることから、計画上振 れとなる可能性があろう。(大谷 正之) クミアイ化学(4996・東 1) ☆水稲用一発処理除草剤 3 種発売 全農系で水稲系除草剤が主力の農薬専業トップクラ ス。イハラケミカルや理研グリーンを傘下に有する。 15/10 期第 2 四半期(11-4 月)業績は売上高が前年同 期比 10.1%増の 386.8 億円、営業利益が同 8.5%増の 35.3 億円となった。国内は主力の水稲用除草剤「ピリミ スルファン剤」などを中心に、消費税率引き上げ前の駆 け込み需要の反動で売上が減少したものの、園芸用 の殺虫剤や非農地向け薬剤の販売は好調だった。一 方、海外は畑作用除草剤「ピロキサスルホン剤」が好 調だったほか、直播水稲用除草剤「ノミニー」がインド 向けに販売を伸ばした。さらに、除草剤の「サターン」も 米国で好調に推移した。通期見通しは据え置かれたが、 新規除草剤「フェノキサスルホン」を含有した水稲用一 発処理除草剤 3 種を上期に発売しており、今後の展開 が期待される。(大谷 正之) -4- 今週の参考銘柄 不二越(6474・東 1) ☆小型ロボットなど好調 第 2 四半期の営業利益は前年比 3.9%減の 96 億円 だったが、前年は海外子会社の決算が 8 か月分計上さ れており、調整後の実質ベースで前年比 1.2%増となる。 日系自動車メーカーの減産の影響で軸受けが伸び悩 んだものの、国内市場でシェアが拡大、北米など海外 展開に注力する超硬ドリルや中国の EMS 向けなどに 小型ロボットなどが好調だった他、小型建機向けの油 圧機器も伸びた。円安やコストダウン効果も大きかった。 通期の営業利益は前年比(実質ベース)13.5%増の 205 億円と期初計画を据え置いた。日本、中国市場に 不安が残るが、米国市場は自動車、建機、工具ともに 好調に推移しそうだ。なお、中期計画では来期に売上 高 2500 億円、営業利益 250 億円(営業利益率 10%) を目標としている。重点 6 商品の拡販(自動車用軸受、 自動車用油圧機器、建機用油圧機器、産業用油圧機 器、ロボット、ラウンドツール)や生産性の向上、原価低 減などを行うことで達成を目指す。(増田 克実) その他 日本電産(6594) 22 日に第1四半期の決算発表、17 時から決算説明会開催も予定。第 2 四半期以降の業績飛躍に期待する。 国内景気回復、訪日外国人増加で恩恵を受ける運輸株 東武鉄道(9001)、東急電鉄(9005)、日本航空(9201)などに注目。 業績堅調、バリュエーション、チャートでも魅力的な金融株に引き続き注目 みずほ(8411)、三井住友(8316)、第一生命(8750)、ソニーフィナンシャル(8729)など。 ガリバーインターナショナル(7599) 13 日に豪州の新車ディーラー(売上高約 600 億円)を買収すると発表した。買収額は約 117 億円で、銀行借入 で賄う計画という。同社は世界最大の自動車販売インフラを創ることを目標としているが、今回の買収によって 海外事業の拡大に弾みをつける。買収効果が分かり次第、業績を見直すとしており、通期の営業利益は前年 比 54%増の 82 億円と期初計画を据え置いた。 セブン&アイ・HD(3382) 第 1 四半期の利益実績は会社計画を上回る好スタートを切った他、6 月もコンビニ(既存店売上高:セブン-イレ ブン・ジャパンが前年比+1.7%、7-Eleven,Inc.が同+5.5%)が好調に推移。なお、当面のリスクは天候不順。 (増田 克実) -5- タイムテーブルと決算予定(予定は変更になる場合があります) <国内スケジュール> 7月20日(月) 「海の日」 7月21日(火) 6月18・19日の日銀金融政策決定会合議事要旨(8:50) 5月景気動向指数改定値(14:00、内閣府) 6月主要コンビニ売上高(フランチャイズチェーン協) 月例経済報告関係閣僚会議(時間未定、官邸) 7月の月例経済報告(関係閣僚会議終了後、内閣府) 李登輝元台湾総統が来日(26日まで) 7月22日(水) 5月全産業活動指数(13:30、経産省) 6月訪日外国人数(14:00、政府観光局) 7月23日(木) 6月、15年上期貿易統計(8:50、財務省) 6月半導体製造装置BBレシオ(16:00、SEAJ) 経団連夏季フォーラム(24日まで、長野県軽井沢町) 7月24日(金) みずほ総研の内外経済の中期見通し(15:00) 気象庁3カ月予報 <国内決算> 7月21日(火) 15:00~ <1Q>メルコ<6676> 16:00~ <1Q>安川電<6506> 7月22日(水) 14:00~ <1Q>OBC<4733> 15:00~ <1Q>オービック<4684>、東製鉄<5423>、日本電産<6594>、航空電子<6807> <2Q>キヤノンMJ<8060> 7月23日(木) 15:00~ <1Q>信越化<4063>、日車両<7102> <2Q>中外薬<4519>、キヤノン電<7739> <3Q>サイバエジェ<4751> 7月24日(金) 14:00~ <1Q>山陽特鋼<5481>、サトーHD<6287>、サカイ引越<9039>、帝国ホテル<9708> <2Q>コクヨ<7984> 15:00~ <1Q>NRI<4307>、日立ハイテク<8036>、ジャフコ<8595>、KABU.COM<8703> 16:00~ <1Q>富士通ゼ<6755> 時間未定 <1Q>KOA<6999> -6- タイムテーブルと決算予定(予定は変更になる場合があります) <海外スケジュール・現地時間> 7月20日(月) 日中韓FTA、局長級会合(24日まで、北京) FRB公開理事会、巨大金融機関の資本上乗せ規制を協議 米・キューバ、54年ぶりに国交回復 休場 インドネシア(断食明け大祭) 7月21日(火) 米 6月北米半導体製造装置メーカーBBレシオ 休場 インドネシア(断食明け大祭) 7月22日(水) 米 6月中古住宅販売 7月23日(木) 韓 4~6月期GDP 米 6月景気先行指数(コンファレンス・ボード) 7月24日(金) 中 7月HSBC中国製造業PMI 欧 7月ユーロ圏PMI EU財務相理事会(ブリュッセル) 米 6月新築住宅販売 TPP首席交渉官会合(27日まで、米ハワイ州マウイ島) <海外決算・現地時間> 7月20日(月) ハリバートン、モルガン・スタンレー、IBM 7月21日(火) ベライゾン、ユナイテッド・テクノロジーズ、ロッキード・マーチン、トラベラーズ、マイクロソフト、アップル、ヤフー、 アイロボット、インテューイティブ、チポトレ 7月22日(水) ニューモント、ボーイング、コカ・コーラ、クアルコム、テキサス・インスツルメンツ、アメリカン・エキスプレス 7月23日(木) キャタピラー、GM、3M、ダウ・ケミカル、マクドナルド、AT&T、アマゾン・ドット・コム、スターバックス、VISA 7月24日(金) アメリカン航空グループ -7- 投資にあたっての注意事項 ●手数料について ○国内金融商品取引所上場株式の委託取引を行う場合、一取引につき対面取引では約定代金に対して最大 1.2420%(税込)(但し、最低 2,700 円(税込))の委託手数料をご負担いただきます。また、インターネ ット取引では、「約定毎手数料コース」においては、1 取引の約定代金が 100 万円以下の場合は1取引につ き 540 円(税込)、1 取引の約定代金が 100 万円超の場合は 1 取引につき 1,080 円(税込)の委託手数料を ご負担いただきます。「1 日定額コース」においては、1 日の約定代金 300 万円ごとに 1,620 円(税込)の 委託手数料をご負担いただきます。 募集等により取得する場合は購入対価のみをお支払いただきます。 ※1 日定額コースは、取引回数(注 1)が 30 回以上の場合、現行の手数料に加えて 21,600 円(税込)の追 加手数料を加算させていただきます。(注 2) 注 1 取引回数=約定に至った注文の数 注 2 複数市場へのご注文は市場ごとに 1 回の注文となります。 ○外国金融商品取引所上場株式の外国取引を行う場合、売買金額(現地約定代金に買いの場合は現地諸費用 を加え、売りの場合は現地諸費用を差し引いた額)に対して最大 1.2960%(税込)の取次手数料をご負担い ただきます。 ○非上場債券(国債、地方債、政府保証債、社債)を当社が相手方となりお買付けいただく場合は購入対価 のみをお支払いいただきます。 ○投資信託の場合は銘柄ごとに設定された販売手数料及び信託報酬等諸経費等をご負担いただきます。 ○外貨建て商品の場合、円貨と外貨の交換、または異なる外貨間の交換については、為替市場の動向に応じ て当社が決定した為替レートによります。 ●リスクについて ○株式は、株価変動による元本の損失を生じるおそれがあります。また、信用取引を行う場合は、対面取引 においては建玉金額の 30%以上かつ 100 万円以上、インターネット取引においては建玉金額の 30%以上か つ 30 万円以上の委託保証金の差し入れが必要です。信用取引は、少額の委託保証金で多額の取引を行うこ とができることから、損失の額が多額となり差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。外国 株式の場合、為替相場によっても元本の損失を生じるおそれがあります。 ○債券は、金利水準の変動等により価格が上下することから、元本の損失を生じるおそれがあります。 外国債券は、金利水準に加えて、為替相場の変動により元本の損失を生じるおそれがあります。 ○投資信託は、銘柄により異なるリスクが存在しており、各銘柄の組入有価証券の価格の変動により元本の 損失を生じるおそれがあります。各銘柄のリスクにつきましては目論見書等をよくお読み下さい。 ●お取引にあたっては、開設された口座や商品ごとに手数料等やリスクは異なりますので、上場有価証券等 書面、契約締結前交付書面、目論見書、お客様向け資料等をよくお読み下さい。これら目論見書等、資料 のご請求は各店の窓口までお申出下さい。 ●銘柄の選択、投資に関する最終決定はご自身の判断でお願いいたします。 ●本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全性を保証したもの ではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに 当社の判断で随時変更することがあります。また、本資料のコンテンツ及び体裁等も当社の判断で随時変 更することがあります。 2015 年 7 月 17 日現在、金融商品取引所の信用取引の禁止措置等の規制銘柄は当レポートより除外しており ます。今後、金融商品取引所等により新たな規制が行われる可能性があります。 ●当社の概要 商号等:株式会社証券ジャパン 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 170 号 加入協会:日本証券業協会 コンプライアンス推進部審査済 2015 年 7 月 17 日 -8-
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