高校野球における,ベンチウォーマー,ベンチ外選手 の役割に関する運動学的研究 上村 詢也 (生涯スポーツ学科 学校スポーツコース) 指導教員 仲宗根 森敦 キーワード:ベンチワーク,一体感,役割 1. 緒言 筆者は小学4年から中学3年までは軟式野球部, 重要なものだと対象者のインタビューから筆者は 理解することができた.試合観戦では,良いベン 高校の3年間は硬式野球部に所属した.高校3年 チワークをしていたチームが逆転の末,僅差で勝 間はレギュラーメンバーにはなれず,控え選手で 利した.ベンチ,控え選手が中継ぎ投手や代打等 あった.ここで筆者自身,ベンチ選手,控え選手, の役割に対して,準備を十分に行い,出場時に良 ベンチ外選手の役割について非常に考えさせられ い結果を出すこともベンチワークの一つであり, た.筆者は,試合の勝敗を競うにあたって,ベン 勝利に繋がるものだと筆者は理解した.出場して チ選手,控え選手,ベンチ外選手の力も必要だと いる選手,ベンチ,控えの選手,ベンチ外選手, 考えている.本研究では,高校野球の試合におけ これら全てが1つのチームである.どれか1つが るベンチワーク,ベンチ外選手の働きがどれほど 違う方向を向いていると,チームは一丸となれな の影響があり,どのような意義があるのかを明ら い.一体感が出ない.ベンチ外選手の意識が高け かにする.そして,よりレベルの高いチーム,集 れば高いほど,一体感のあるチームが形成される 団を形成するための指導ができるようにすること と筆者は理解できた. を目的とする. 4. まとめ 2. 研究方法 本研究よりベンチワーク,ベンチ外選手の働き 本研究の研究方法としてまず,ベンチワークに は試合の勝敗にあたって非常に重要なものだとい 対する意識,ベンチ,控え選手の役割,重要性に うことが理解できた.しかし,控え,ベンチの選 ついて対象者4名にインタビューを実施する.そ 手がベンチワークの雰囲気,ムード作りに特化し して,実際に試合を観戦し,ベンチワークを重点 過ぎるとベンチ内でも意識の違いや格差が生まれ 的に観察,考察する.各選手がどのようなアクシ てしまう.格差が生じると一体感のあるチームに ョン,動きを起こしたときに,どのような結果が はなりにくい.選手全員が同じ環境で練習を行う 生まれるのかを確認する. 等の工夫でモチベーションを保たせる必要がある. 今後指導者として,野球の技術,スキルだけでは 3. 結果と考察 なく,一体感のあるチームを作るために,ベンチ 対象者4人全員がベンチワークは試合に勝利す ワークやベンチ外選手の役割に目を向け,チーム るために必要だと答えた.上記より,良いベンチ を内面から構築することが指導者として重要だと ワークを行うことは,試合に勝利するためには必 筆者は考える. 要なことであるということが明らかになった.一 方,控え,ベンチの選手がベンチを盛り上げるこ とに特化してしまうことで,出場している選手と 控え,ベンチの選手との間で気持ちの格差が出て しまうというベンチワークが及ぼすデメリットも 明確となった.又,ベンチ外選手の存在も,大変 引用・参考文献 田尻賢誉(2014)高校野球敗者の心理.日刊スポ ーツ出版社:東京. 渡辺元智(2012)高校野球って何だろう.報知新 聞社:東京.
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