1 はじめに ・ 気象庁「高解像度降水ナウキャスト」は、Cバンドレーダ とXバンドMPレーダ(XRAIN)観測データを用いて、5分 毎の250mメッシュの降水分布と60分先までのナウキャ スト情報を発信している。 ・ 阪大吹田キャンパス(2012年5月)とNICT神戸(2014年 3月)に設置されたフェーズドアレイ気象レーダ(PAWR) より、 2台のPAWRによる30秒毎の高分解能3次元観 測(100mレンジ間隔、100仰角)が可能となった。 ⇒ 本研究ではdual‐Doppler観測 を含む30秒毎の 3次元観測データの利用方法と将来展望につい て議論する。 パラボラアンテナによる 3次元立体観測 (15仰角 ⇒ 5分) 気象庁高解像度降水ナウキャスト 1次元フェーズドアレイアンテナによる 3次元詳細観測(110仰角 ⇒ 30秒) 2 孤立積乱雲による局地的大雨 2012年07月26日,17:38:16の3次元降水分布.京都府南部の京田辺市 付近の降雨の3次元構造を北東方向から眺める (格子間隔 100m). ⇒ 17:20:16~18:10:46の動画(30秒間隔). 3 梅雨期における降雨帯 (2013/7/13, 15:20~16:20) 六甲山 大阪平野 生駒山 2013年07月13日15時20分から16時20分までの30秒毎の3次元降雨分布 を大阪平野南部から眺める.組織化されたレインバンドでも上空の降水 10fps → 300倍速 コアが落下してくる. 4 神戸・吹田PAWRの観測範囲 ⼤阪⼤学吹⽥キャンパス (阪⼤PAWR) NICT未来ICT研究所 (神⼾PAWR、DPL) 60 km 60 km ● Dual-Doppler観測による3次元風速ベクトル算出 ● 2方向からの観測による降雨減衰補正 5 発達する対流雲 (08:00~10:00, Sep 11, 2014) 08:10:02 08:40:02 09:10:02 09:40:02 10 km 40 km 2014/09/11 08:05:02 6 30秒毎 dual-Doppler解析 (2014/9/11) CAPPI HT = 4 km 09:45:00 JST 09:45:30 JST 09:46:00 JST 09:46:30 JST 09:47:00 JST 09:47:30 JST ● 30秒毎に見ても、水平風速ベクトル(u+v)はほとんど変化しないが、 降水コアは成長している@X=-30km, Y=-24km付近 ●データ品質管理を行っていないため(特に神戸PAWR)ノイズデータが多い 7 30秒毎 dual-Doppler解析 (2014/9/11) Y = ‐20 km HEIGHT (km) 09:45:00 JST 09:45:30 JST 09:46:00 JST 09:46:30 JST 09:47:00 JST 09:47:30 JST 09:48:00 JST 09:48:30 JST 09:49:00 JST Est-West distance from Suita PAWR (km) ● 鉛直風速分布(u+w)も30秒ではほとんど変化しない 8 降水の成長とエコーの3次元移動ベクトル 09:47:00 JST 1) 水平・鉛直風速 u,v,w ← dual‐Doppler解析 2) 雨滴の終端落下速度 Vt ← 反射強度(Ze)から推定 3) 降水エコーの3次元移動ベクトル ← 30秒毎データから TREC (Tracking Radar Echoes by Correlation)法で計算 4) 降水強度の盛衰量 ←移動ベクトル or dual‐Doppler風速 鉛直方向のエコーの動きを考えると、 09:50:00 JST 強い上昇流 (> 6 m/s)中では移動ベクトルは上向き vertical motion: w + Vt > 0 下降流や弱い上昇流中では移動ベクトルは下向き vertical motion: w + Vt < 0 09:53:00 JST しかし、これに降水の盛衰を加えて考える必要 がある。移動ベクトルが上向きでも下向きでも、 衝突併合によって降水は成長するが、成長率は 雲水量に比例するので上昇流中の方が有利と 考えられる。 ⇒ 詳細な解析は今後の研究課題 9 ビッグデータ同化によるゲリラ豪雨予測 (三好CREST) CREST研究課題「ビッグデータ同化」の技術革新の創出によるゲリラ豪雨予測の実証 (H25-30年度) 研究代表者: 三好建正 (理研AICS) 研究グループ: 富田浩文(理研AICS)、佐藤晋介(NICT)、牛尾知雄(大阪大)、石川裕(東京大) フェーズドアレイ気象 レーダー 2基で1GB/30sec 次期ひまわり 500MB/2.5min A‐1. 品質管理 A‐2. データ処理 B‐1. 品質管理 B‐2. データ処理 ①アンサンブル30秒 予測シミュレーション 2 PFLOP アンサンブル予測 シミュレーション シミュレーション 200GB データ データ ②アンサンブル データ同化 2 PFLOP アンサンブル解析 シミュレーション シミュレーション 200GB データ データ 30秒毎に繰り返し計算 解析データ 2GB ③30分予測 シミュレーション 1.2 PFLOP 30分予測データ 2GB 10 データ同化実験の結果 15:06:00 JST after the 12th assimilation NO DA WITH DA Observation W E W E W E S N S N S N 11 データ公開 (http://pawr.nict.go.jp/) グーグル マップス表示 リアルタイム表示(1分以内) 降雨サマリー 過去データ の利用 神戸・沖縄PAWRもWeb公開開始 http://pawr.nict.go.jp/pawr/kobe/web/ http://pawr.nict.go.jp/pawr/okinawa/web/ 12 モバイルコンテンツ開発 & 配信実験 (株)エムティーアイとの共同研究 「フェーズドアレイ気象レーダーによる豪雨予報に関するモバイルコンテンツ開発」 豪雨の可能性 ある地域 13 まとめ フェーズドアレイ気象レーダーによる30秒毎の3次元観測 データの利用方法として、3次元アニメーションによる降水 コアの動態を紹介した。短時間予測/降水ナウキャストの 精度向上が期待される。 神戸と吹田PAWRによる30秒毎のdual-Doppler観測による 3次元風速分布(少なくとも数分間は維持)について紹介し た。 今後、降水の移動ベクトルを組み合わせることで、降 水の成長に関する新しい知見が期待される。 30秒毎に更新する30分予測を目指した「ビッグデータ同化」 システム(三好CREST)、豪雨予報に関するモバイルコンテ ンツの配信実験(エムティーアイとの共同研究)は近い将来 に実現される予定である。 14
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