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さ く ら ん ぼ
~やさしく・かしこく・たくまし く~
N0.1 平成 27年4月28日発行
山口大学教育学部附属幼稚園
URL:http://[email protected]
花組の保育室横の「さくらんぼ」がふくらみ始め、子どもたちの
口に入るだろう日が間近となりました。
「園内にいろいろな実のなる
木を!」との思いから植えた木々第1号のさくらんぼ。園だより「さ
くらんぼ」の名は、それを由来にしています。毎月学級担任5名が
順に編集を担当しながら、園生活の様子や保育者の思いや願いなど
をお知らせしたいと思います。
どうぞよろしくお付き合いください。
進級、入園した4月からもうすぐ5月。初めての園生活や、新た
な学年での生活にワクワクドキドキしながら過ごしてきま
した。各学年での様子と保育者がどのようにその姿をとら
えているかを紹介したいと思います。
3歳児クラス 花組の様子
花組では、子どもたちが初めての園生活で無理なく安心して馴染
んでいけるようにと、しばらくの間半数ずつの登園をお願いしてい
ます。
(ご協力ありがとうございます。
)家庭では1対1でのかかわ
りが多かった子どもたちにとっては、半数であっても、12~13
人の友達が一緒に生活していること、靴を脱いだら靴箱に入れるこ
と、上靴を履くこと、タオルを掛けたりたたんだりすることなど、
家庭生活ではなかったことばかりで戸惑いの連続です。この期間に
保育者間で連携を図って一人一人の子どもの様子や特徴をしっかり
と捉え、気持ちを温かく受け止めながら、それぞれの子どもにとっ
て過ごしやすく分かりやすいように環境を整え援助していきます。
これまで数回の登園の様子はといいますと…お母さん方と一緒
に支度を終えた後は、やってみたい好きな遊びや安定する遊びが少
しずつあるようになっています。デッキでは、ウサギやカメがいる
ことで見に行きたい子どもが多く、保育者と一緒に餌をあげながら
「食べた!」と喜んだり「こっちよ」など声をかけたりしています。
お部屋では、自分のクレヨンや自由画帳や粘土、保育室のミニカ
ーやままごと道具など気に入った物を出して遊び出しています。
デッキのすぐ前の小さな砂場は、入園後しばらくの期間に蓋を開
けて使えるようにしています。保育者が道具を出して遊んで見せる
と、
「僕も」
「私も」と手にもち、しばらく一人で熱心に座り込んで
遊ぶ姿があります。繰り返し水を汲んで砂へ混ぜたり、花殻を混ぜ
てみたり、先生に手伝ってもらって型抜きを楽しんだり、できたご
馳走を保育者に食べてもらったりして、保育室のそばで保育者に見
守られながら安心して遊べる場となっています。
また、目に入ったものに興味を向けてやり出しては、次に目に入
ったものに気持ちが移り、点々と動き回って楽しむ姿もあります。
花組さんは、
一年間を通して、
自分の思いをもって過ごしながら、
興味や関心を広げ、友達と一緒が楽しくなり、だんだんと附属幼稚
園の子どもになっていきます。それを温かい眼差しで長い目で見守
りながら、
ご家庭と共に手を取り合って支えていきたいと思います。
(武宮)
4歳児クラス 風組の様子
風組は花組から進級した子どもたちと附属幼稚園が始めての
新入の子どもたちが出会います。新しい環境になるのはどちらも一
緒です、
それぞれに新しい環境に自分を合わせようと一生懸命です。
進級の子どもたちは一つ大きいクラスになったことが嬉
しく期待をもってやってきますが、クラスが2つに分かれ
たり、ロッカーや、トイレの使い方が花組とは違ったりな
ど、花組の時とは大きく様子が違います。クラスが分かれ
て寂しそうな A 君。
「隣のクラスでも遊べるよ。いつでもいってい
いんだよ」と言うと少し安心した様子で、隣のクラスの友達に誘い
にいく姿がありました。
進級児は花組の頃の友達や、
していた遊び、
遊んでいた場所をたよりに安心して過ごす姿がみられます。その姿
を受け止めつつ、風組で遊べる場所を知ったり、風組での遊び方を
みつけながら、その中で新しい友達とも出会い、仲良しの友達が広
がっていけばいいなと思っています。
新入児は、目についた遊具や遊びを先生と一緒にしながら、自分
がしたいことを見つけ、側にいる友達にも目を向けています。砂場
で、ひとり車を走らせて遊んでいた B 君が、次の日は、砂でままご
とをしていた C 君と一緒に、先生に砂のごちそうを運んできてくれ
ました。違うことをしているように見えても、自分が遊んでいる場
に友達がいるということが嬉しくて、そのうちに、同じ遊びをした
り、少しずつ友達にかかわったりしていくのでしょう。
風組はこの一年間で花組の頃のかわいらしい姿に加えて風のよ
うに駆け回るパワフルさもついてきます。まずは、自分のしたいこ
とを安心してできること、好きな遊びができること、幼稚園でこん
な楽しいことがしたいという思いで来れるようにと願っています。
ご家庭での様子もお話していただくと「~が好きなんだな」
「~って
言っていたのはこのことなんだな」と、より子どもたちのことをこ
ちらも分かってかかわることができるので嬉しいです。子どもたち
のことを私たち保育者も知り、関係をつくっていきたいと思ってい
ます。 これから1年よろしくお願いします。
(辻村・高見)
5歳児クラス 星組の様子
星組は幼稚園で一番年長のお兄さんお姉さんになり
ます。新しい青色の名札を付けた子どもたちは、新し
い力ももらったかのように頑張る姿があります。そこには、昨年ま
での星組の姿をあこがれの気持ちをもって見ていたのだなと感じる
ことがいくつもありました。星組になった子どもたちがまず遊ぼう
としたものの一つに、一輪車があります。去年の星組の女の子のほ
とんどが3学期には手放しですいすいと乗っていました。その姿が
鮮明に残っていたのか「星組になったらスイスイ一輪車に乗れる」
と思えるのでしょう。この「できるかも」と思わせてくれる力が頑
張る力を後押ししてくれます。しかし一輪車はそう簡単には乗れる
ようにはなりません。あこがれの姿を手本にこれから友達と励まし
合ったり、競い合ったりしながら少しずつ上達していくことでしょ
う。思ったように乗れない男の子が保育者に聞きに来ました。
「先生
いつ(僕は)乗れるようになりますか?」保育者「すぐには乗れる
ようにならんよ。去年の星組さんもすごく頑張ってから乗れるよう
になったんよ。まずはバーを持って端から端まで行くこと」少し困
った顔をしていましたが、毎日少しずつ挑戦をしています。
子どもたちの気持ちの中には、
「やってみたい」
「できるようにな
りたい」という挑戦する気持ちがあります。そして、それと共に、
「できなかったらどうしよう」
「失敗したくない」という不安やおそ
れのような気持ちもあります。
「やってみよう」という意欲を育むためには、その土台となる小さ
な「できた」という自信がとても大切であると考えます。子どもた
ちには、まず、安心して成功体験を積み重ねていって欲しいと願っ
ています。
例えば、星組のグループ活動。計画的に入れ込んだり、その日の
遊びの様子に合わせて、可変的に組み込んだりしています。変化の
ある繰り返しの中で、だんだん見通しをもちながら、活動できるよ
うにしています。
初めは、グループの列に入ることができなかった子どもたちが、
保育者と一緒にリレーに参加したり、
「今日はやってみる」と言って
挑戦したりする姿がみられました。
幼稚園の人とのかかわりの中で、子どもたちの挑戦する気持ちが
のびやかに育っていくことを願っています。
(高田・上野)
始まりの時期のワクワクドキドキの姿はこのように年齢によっ
ても違いますし、個々の子どもによってもまた違いがあります。そ
の子のペースがあることを周りの大人がしっかりと心にとどめ「で
も大丈夫、幼稚園は楽しいところ。いずれ慣れ親しみ、自分を発揮
してくれる」という思いを共有し、焦らず、ゆったりと信じて待つ
ことが大事な時期だと思います。
編集担当 高田