柏市少年野球連盟主催講習会 成長期におけるスポ-ツ障害と予防法 (スポ-ツキッズを見守る大人が知っておきたいこと) はじめに、私たちが日常の診療で遭遇する少年野球選手の障害には、指導者方やご父兄の思い違いからくる指 導で惹起されるものが多々有ります。フィ-ルド調査によると 25.6%以上の選手が肩•肘関節に痛みを抱えてプレ ―していて、現場の指導者の多くがこれらの実態をほとんど把握していません。 監督 ・コーチが把握している 肩・肘の有痛者数は 2-3 名といった状況でも、実際にグラウンドに出向いて選手達に直接問いかけると、チーム の半数以上が有痛者であることが多々あります。強いチームや部員数の多いチームほど、監督 ・コーチが把握し ている有痛者数と実際の有痛者数との間には大きな開きがあり、また弱いチームや部員数の少ないチームであっ ても、監督•コーチによる有痛者数の把握率は 100 %には届きませんでした。チーム内にライバルが沢山いること や、監督・コーチが怖いこと、親の期待が大きいことなど、肩・肘関節の痛みを素直に申告しにくい環境がそこ にはあるものと考えられます。指導の現場における 肩 ・肘痛者数の平均は 25.6%でしたが、実際はその 1.5~2 倍は存在すると予想されます。 これまで、 私たちが訪問 ・調査してきましたどのチームの監督•コーチも休日返上で一生懸命にご指導されて おり、ご父兄の方々も熱心に監督・コーチをサポートされていました。これらは否定することのできない事実で あり、その姿勢には本当に頭が下がる思いです。ただし、これだけは忘れないでいただきたい。 「ちょっと間違 ったことを一生懸命に指導し続けると、脆弱な子供達の肩•肘関節はあっという間に壊れてしまいます。経験的 な指導法には、その「ちょっと間違ったこと」が数多く含まれているのです。 野球指導に対する「ちょっとした誤解 」を解き、子供たちを安全かつ効率的に上達させて中学・高校・大学や プロへと繋がる指導法を皆様方に考えていただくことが 、この講習の役割であると思っております。子供たちを 守るはずの大人が、将来ある子供たちを傷つけてしまうようなことは、絶対にあってはならないと考えておりま す。 今回、このような機会を与えてくださった柏市少年野球連盟の皆様に深く感謝いたします。 BST トレ-ナ-一同 第1章 発育曲線、発育パターン スキャモンの曲線から(重要) 図はスキャモンの成長曲線と呼ばれるものです。ここで注目していただきたいのは青い線で表された『神経型』 です。神経系統は生まれてから5歳ころまでに80%の成長を遂げ12歳でほぼ100%になります。この12 歳になる直前の数年間、日本で言えば小学校高学年の時期は別名『生物学的臨界期』とも呼ばれ、神経系の発達 の著しい年代で、さまざまな神経回路が形成されていく大切な過程となります。また神経系は一度その経路が出 来上がるとなかなか消えません。これは、いったん自転車に乗れるようになると何年間も乗らなくても、いつで もスムーズに乗れることが出来ることからも、この理論は理解できると思います。この時期に、神経回路にさま ざまな刺激を与え、その回路を張り巡らせること、すなわち、多種多様な動きを経験させることは、とても大切 なことなのです。子どもが成長していく時点では、それぞれの器官、機能はまちまちの発達をしていきますので、 あるひとつの課題に対しても、吸収しやすい時期と、しにくい時期が出てきます。図の『一般型』とは筋・骨格 系を表していますが、ここからもわかるように、この系が伸びるのは中学生年代以降です。一般に「筋トレは高 校生以降に」というのもこのことから来ています。そこで最終的に大きな成長を期待するなら、最も吸収しやす い時期に、その課題を与えていくというのが、最適な方法です。 もう一度図を見ていただくと、プレ・ゴールデンエイジと呼ばれる小学校低学年期は、神経系の発達過程時期で あることがわかります。すなわち、体内にさまざまな神経回路が次々と張りめぐらされていく大切な時期なので す。この時期の子どもたちは、集中力が長続きせず、常に新しいものに興味が移っていくといった特徴をもって います。これは、神経回路にさまざまな刺激を与え、その回路をさらに張りめぐらせ、神経系の配線をより多様 に形成していこうとする、自然な欲求の現われなのです。彼らは、集中力がないのではありません。非常に高い 集中力を持ちながらも、常に多種多様な刺激を身体が求めているのです。 子どもたちのこのような集中力を利用し、飽きさせないで楽しませるためには、多彩な身体運動を含む『遊び』 を与えていくことが1つのポイントです。鬼ごっこや、木登り、ボールを使ったさまざまな遊び、それらの動き 一つ一つが、後になって貴重なものとなって身体の中に刻まれていくのです。 次に訪れるゴールデンエイジを生かすも殺すもこの時期次第といってよいでしょう。この時期は多種多様な動き を含むさまざまな動きを経験させることが大切です。スポーツの基礎づくりが多面的であればあるほど、後に専 門的なスポーツを行った時に覚えるのがはやいと言われています。低学年の子ども達が練習や試合の最中に砂遊 びをしている光景をご覧になったことがあると思いますが、これまで述べてきたことからおわかりのように、こ うした(一見、自分勝手に見える)遊びは子ども達自身にとって非常に重要なのです。保護者の方はそうした場 面に遭遇しても決して怒ったり落胆したりしないでください。むしろこうした遊びに次々と気持ちが移る子ほど 後々大きな成長を遂げるのだという優しい目で見ていただけたらと思います。高学年になると、神経系の発達が ほぼ完成に近づく一方、身体形態的にもやや安定した時期に入ります。この時期は、動作の習得に対する準備も 整い、さらに『可塑性』と呼ばれる脳・神経系の柔らかい性質も残しているという非常に特異な時期として位置 づけられています。一生に一度だけ訪れる『即座の習得』を備えた動作習得にとって、もっとも有利なこの時期 は、『ゴールデンエイジ』と呼ばれ、世界中どこでも非常に重要視され、運動に必要なあらゆるスキル獲得の最 適な時期として位置づけられています。しかし、この『即座の習得』は、それ以前の段階でさまざまな運動を経 験し、神経回路を形成している場合にしか現れません。だからこそ、プレ・ゴールデンエイジが重要となるので す。低学年の練習において一見野球とは無関係に思える鬼ごっこやドッヂボール、はては逆立ちやデングリ返し が実はバッティング練習などよりはるかに重要なわけです。 ポスト・ゴールデンエイジは中学生(ジュニアユース)年代にあたります。この時期は心肺機能の向上と共に、 筋・骨格が急速に伸び、体のバランスが今までとは異なってきます。そのために感覚が狂い、習得した技術が一 時的にできなくなったり、上達に時間がかかったりします。この時期には、新しい技術の習得よりも、今まで身 につけた技術を実戦状況の中でも発揮できるような指導プログラムが重要になります。またこの年齢になると戦 術的なことも理解できるようになります。基本的な守備やコンビネーションの練習で、野球の視野を広げさせる ことも大切です。ここから逆算して、小学生年代では強さや速さの向上の習得よりも『プレーの正確さ』を身に つけることに集中するべきなのです。 第2章 障害と外傷 傷害と外傷の違い。 野球における外傷 発育、成長過程における身体の特徴。 子供の骨の特徴 発達段階によって違う脆弱部。 第 2 次成長前(ジュニア前期 小学校~中学 1 年) 第 2 次成長加速期(移行期 中学1~3年生) 第 2 次成長後(ジュニア後期 高校生以降) 肩関節の傷害。 腱板障害 上腕二頭筋長頭腱炎 動揺性肩関節 ベンネット障害 リトルリーグショルダー 肘関節の傷害。 内側型野球肘 外側型野球肘 後方型野球肘 腰椎分離症 野球における分離症 分離症の原因 競技別発症数 治療期間 分離症の初期症状 第3章 予防法 ZERO真下投げ(肘関節) ZERO(0)ポジション(肩関節) 腰椎分離症の予防 セルフチェック バッドトレーニング 思春期前の筋力トレーニングの原則 指導者が考えるべきこと --------------------------------------------------------------------------------------------------BST とはBone Setter Trainersの略称です。 千葉県柏市周辺で接・整骨院を開業し、柔道整復師や鍼師・灸師の資格を持ち、基礎運動学・生涯スポーツ論・ スポーツ生理学・スポーツバイオメカニクス・体力トレーニング論・スポーツ栄養学・スポーツ心理学等を研修 し、認定柔道整復スポーツトレーナー・千葉県体育協会認定アスレチックトレーナー.ジャパンアスレチックト レーナーズ協会認定トレーナー・日本赤十字社救急法救急員等の資格を有し、平成10年に結成したトレーナー 活動をするプロフェッショナルチームです。 院名 氏名 住所 電話番号 海老原接骨院 海老原 玄 金子整骨院 我孫子市日秀27―2 7188-0345 金子幸太郎 柏市逆井藤ノ台23―6 7176-0547 小林接骨院 小林勝人 柏市東中新宿1―22―1 7176-4049 さとう接骨院 佐藤 柏市明原2―2―4 7147-5341 西川整骨院 西川佳克 柏市中央2―13―5 7163-3855 山本接骨院 山本眞二 柏市大室1192―3―103 7131-8266 寛
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