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大阪市立大学医学部附属病院に手術見学に行ってきました。
2015年2月、吉田卓弘先生、古北由仁先生とわたくし西野豪志の食道チーム3人は、大阪市立大学医学部付属病院第2外科の大杉治司先
生の胸腔鏡下食道亜全摘術の見学に行かせていただきました。大杉治司先生とわが徳島大学第2外科との交流は深く、各学会ではいつも酒
を酌み交わしますし、毎年、阿波踊りにも来ていただいております。我々と同じ側臥位での食道亜全摘を完全鏡視下で行われており、以前から
見学を熱望しておりましたが、今回、病棟スタッフのサポートと丹黒先生のお許しを得て、実現しました。早朝6時半に吉田先生の車で出発し、
午前9時前に予定通り大阪市立大学医学部付属病院に到着しました。当日はカナダモントリオールのマギール大学からの見学者が1名と、沖
縄県立中部病院からの見学者が1名あり、日本のみならず海外からも注目を集める大杉治司先生の名声を実感しました。手術は大杉治司先生
が執刀され、李栄柱先生を中心に岸田哲先生や橋場亮弥先生、形部憲先生が助手を務められました。前側方の小開胸(5cm)と3ポートで術者
は患者の背側から手術を行うスタイルで、第一助手は腹側から気管鈎と吸引鉗で術野を確保します。大杉先生と李先生の絶妙のコンビネー
ションで手術は驚くべきスピードで進行していきました。反回神経周囲のリンパ節郭清は、まさに理想的と思われる剥離層に迷いなく入り、ほと
んど出血することなく、完璧と思われる郭清が行われていました。その剥離技術や手術道具の選択もさることながら、あらためて膜の解剖を学ぶ
ことのできる、素晴らしい郭清手技でした。胸部操作を終了したあとは、大杉先生の御厚意で用意されていたお弁当をいただき、腹部操作に移
りました。腹部操作は開腹でされており、その目的としては再建臓器である胃管を愛護的に扱うことと、確実に捻じれなく頸部まで拳上すること
のようです。腹部操作も頸部操作もスピーディーに進んでいきましたが、最も驚いたのが吻合操作の速さです。自動吻合器を用いた器械吻合
を選択されており、胃管にストレスをかけるこの吻合 操作は、0.1秒を惜しむほどの素早さで吻合されておりました。大杉先生と李先生のスピード
についていくのは正直大変そうです。午後2時過ぎには吻合も終え、李先生と形部先生が
頸部郭清を追加されました。時間的にも余裕があり、最後まで見学することができ、大満足
でした。大杉先生の手術から学んだことの中から、我々の側臥位食道亜全摘に応用できる
ことは何かを3人で話し合いながら帰ってきました。モチベーションがあがっています。我々
の手術もそろそろ進化する時期がきています。これからが楽しみです。
最後になりましたが、平日の手術日に食道チーム3名が留守にしてしまい、病棟スタッフ(特
に住友先生)、入院患者さんには大変ご迷惑をおかけしました。病棟スタッフの先生方に感
謝いたします。また、今回の手術見学をお許し下さった丹黒 章先生に深くお礼を申し上げ
ます。
文責 西野豪志(平成16年卒)