農家経済調査における調査農家の選定方法について

、
き
馬
場
士
口
行
農家経済調査における調査農家の選定方法について
し
が
農豪経済調査における調査農豪の選定方湛について
一
り、そのうち農家人口︵B︶は、三七、八一〇、九三六人となっている。︵ポケット農林水産統計、一九五四年版、農林省統計調
さて昭和二五年︵︸九五〇︶︼○月一日の国勢調査結果によるに、わが国総人口︵A︶は、八三、一九九、七三七人であ
第三頁︶
活用されて居り、農業の構造変化に伴う農業理論の発展に、この調査が常に露悪している事実は、い5までもないところである﹂︵同書
の算出等が、その主要なものである。 さらに農業問題の多くの研究者によって、幾多の問題に関し、その実証的解明資料⋮としてひろく
ひろく政策上の資料に供せられていることは周知の如くであり、 現在例えぼ農業国民所得の推計・農村消費水準の測定・パリティ指数
いて、産業としての農業及び商品市場としての農民経済の実相を把握するにある。 そしてまたこの調査結果が、推計と分析の両面から
農民経済の貨幣経済化等の過程を、個別農家の経済構造の中から、内容的に明らかにしょうとするものであり、 さらに国民経済上にお
いるが、この調査が本来の目的とするところは、資本主義の発展に伴う農業構造上の諸変化、即ち農民階層の分化、商業的農業の発展、
﹁農家経済調査は、過表四〇年聞を通じて、その時々の政策上の要請から、 その目的として掲げる事項も種々の修飾がなされて来て
いま農家経済調査解説︵昭和二六年一〇月、農林省統計調査部︶により、その調査の目的をみよう。
農林省の農家経済調査は、大正二年︵一九一三︶帝国農会により実施されて以来、 四十余年の歴史をもつものである。
は
噛農家経㎝済調査における調査曲震家の脂選定方法につい︵ 二
査部編、第工ハ頁︶従って農家人口の全人口に対して占める割合は璽⑳より四五・四%に及んでいる。またこれを世帯数
から見れば、総世帯数︵ぎは、一六、四二二、○00戸であり、そのうち農家︹∬4は、六、一七六、四一九戸である。従
って、農家の全世帯数に対して占める割合は、︵8一違憲︶から三七・六%に及んでいる︵同書第一六頁︶。
このように、農家人口は、わが国総人口の極めて大きな部分を占めている。しかもかxる農家は、工業労働者の世帯に
おける如くに、単なる消費単位の世帯ではない。それは生産を営む農業経営体でもある。しかも農家は資本主義的農業生
産を営む農業企業体ではない。専業農家といっても、主食等は、自家保有分を残しつエ、更に商品としての農産物の生産
を営む、家族労働を基本とする農業経営体である。また一面かxる農家の家族は、この生産活動による労賃分、利潤分と
して農業所得を得、これをもって生計を営んでいる。このように生産単位と消費単位との両者の性格を、あわせ有し未分
離のまNに置かれたのが、わが国農家経済の現状である。従って農業、農民問題を具体的に論ずる際、その構成因子たる
農家の経済分析−経営と家計 を実証的に行う必要がおこって来る。前述農家経済調査、概況において﹁個別農家の
経済構造の中から﹂﹁資本主義の発展に伴う農業構造の諸変化﹂を﹁内容的に明らかにしよう﹂という所以である。
しからぼ、戸数六一七里という農家︵耕作反別一反以上︶、人数にして三七八一万人の農家人口の、経済構造を如何にして
把握するか。農家はおのおの独立の経営をもち、独立の家計を営んでいる。これを総合的に把握することは、如何にして
可能であろうか。
これに対しては、国勢調査における如く、これを全部調査︵悉皆調査︶において把えることが考えられる。 昭和二五年
二月︸臼現在調査の︸九五〇年世界農業センサスの基本調査は、正にこの線に沿ったものである。しかしながら、農家の
経済活動は本来動態的であり、農業における再生産過程を各個の農家における農業所得の生成において把えようとする以
上、その調査は一回きり断面的のものであってはならない。︵いわゆる静態統計、動態統計ともに︶継続し連続して行う調査.
球磨的調査を必要とする・しがるに全戸数について、かような経済籍博経済的変動を調査し、分析の芝葺資料︵紘融
を与えることは、事実においては困難である。又これを分析することは容易でばない。そこで上記の如き全蔀調査ないし
抽出率の高い標本抽出調査をセンサスの基本調査として採用すると同時に、この基本調査に基いて、部分調査により、農
家経済の構造、動向をうかがう必要を生ずるわけである。 、
わが農家経済調査は、現在調査農家として錦塗、六〇〇戸をもつている。︵農林水産統計月報第二五号、昭和二九年四月、農
林省統計調査部。︶この農家は全農家数六一七万に対して、実に千分の一に満たない。この少数の選定農家に対する、簿記記
帳による申告を基礎とした継続調査から、はたして全農家の経済構造・動向をつかみ得るか。この農家の選定は、いわゆ
る標本抽出理論に基くとされるが、その基礎理論、その適用限界は如何。こエに統計調査における調査対象把握の、正確
性、信頼性の問題と、抽出ないし選定に伴う、推定・見積りの誤差限界の問題がからんで来る。しかも事実においては、
かエる数学的、確率論的考察に入るまえに、いわゆる階層別、類別の問題、質的考察を要する問題が横たわる。
既にご製したように、本調査は四〇有余年の歴史をもつ。しかも終戦後昭和二四年︵一九四九︶の大改正により、従来農
家の選定において事例調査式であったものが、層別任意抽出法式に変更せられた。そこで現在の本調査における、調査農
家の選定方法を吟味するために、先ず、従来の沿革を概観し、その基盤を明らかにしたいと思う。
①昭和三〇年臨時農業基本調査︵二月一目施行︶では、いわゆる﹁農業集落﹂︵部落、大字︶の五分の一を任意標本として選んでいる。
説
一農家選定方法を中心として一
農家経済調査の沿革概要
︵同調査b農家謝調査の手引、農林省一、昭和二九年鳳二月川参昭︷。︶
6序
農家経済調査における調査農家の選定方法について
三
二
農家経済調査における調査農家の選定方法について 覧 四
農家経済調査は、四〇年余の歴史をもつ。以下簡単に、この沿革を、特に調査農家の選定方法をたずね、﹁調査事項の推
定・分析にどう結びついているかにつき、考察をしょうと思う。
.本調査は、大正二年以前、すでに齊藤万吉技師による調査が先駆をなして居る。そして次の段階を経ている。
ω 齊藤技師の調査︵明治二三、三二、四一、四四、大正一、九年︶
⑬ 帝国農会の調査︵大正二一四年︶
⑥農林省の調査
ω 第一期︵大正一〇ーコ一年︶、②第二期︵大正;了昭和五年︶.㈲第三期︵昭和六−一六年︶、ω第四期︵昭和一七⊥コニ
年︶.⑤第五期︵昭和二四年以降︶
研究刊行会︶に委・しい。また農林統計調査、第∼二巻第九号、特一盛、農家経済調査の四十年・︵昭和二八年︶がある。 以下主として前
①農家経済調査の漕革については、稻葉擦三編、覆刻版農家経済調査報告一調査方法の変還と累年成績︵昭和二八年一月,農業総合
書を参照する。
口 沿 革
ω 齊藤技・師の調査︵明治二三、三二、四一、四四、大正一、九年︶
調査農家ば地主︵正確には地主兼小作︶、自作及び小作農であるが、その選定標準、地主自小作別の戸数、及び地方別配
置数は明らかでない。たゴ大正九年の調渣では、三七村、 一一一、戸とされて量る。 ︵同書第一頁︶
個 帝国農会の調査︵大正二一四年︶
農商務省の委託により、帝国農会がその系統組織を利用して実施したもので、わが国最初の全国葡簿記調査として有名
である。
調査対象地域は、北海道及び沖縄を除く全国であったが、脱落した県もある。大正二年度の調査において、調査農家ば
全府県で一六〇戸で、地方別にみると、関東二一戸、奥羽一五戸、北陸一三戸、中部二三戸、近畿二三戸、中国二一戸、
四国一四戸、九州三〇戸となっている。 ︵同書第三八、三九頁︶
﹁調査農家は当該地方の普通農家とし、二郡に↓戸の割合で之を選定した。而してその半数は米麦作を主とする者、他の半数は養蚕、
いない。唯﹃東北地方及び関東地方に在りては、耕作反別二町歩前後乃至三町歩前後、近畿地方又は中国地方に在りては、 一町歩前後
園芸、養畜叉は農産製造という如き、特殊の経営を行5者を選定した。 普通農家とは如何なるものなるかについては、明らかにされて
乃至一町五反歩前後﹄というが如くに、例示されているに過ぎない。 ︵同書三頁︶
調査事項を列挙すると、①農業用土地面積、②農業用総財産、③農業用純資産、④農業純牧益、⑤農業経営費、⑥農業
純生産、⑦農業所得、⑧農業純資産に対する利廻、⑨家族の労働報酬、⑩総使用農業労力、⑪農業用以外の財産、⑫農家
所得、⑬家計費、となっている。これらは、若干の規定の変更を経て、現在の農家経済調査の調査事項に引継がれている。
㈲ 農林省の調査
大正︸○年以来、農商務省自ら調査方法の立案、及び結果の全国的集計に当った。これは調査方法の変更から見て、前
述五期に分類することが出来る。
m田 第一期︵大正一〇年!一二年の調査︶
帝国農会の調査以来、中止されていた本調査が、再び実施されることになったのは、小作制度調査委員会の要望に基く
というQ ︵同書一一頁︶
調査地域は、一更二〇県である。調査農家の選定標準は、惰国農会の調査と同じく、普通農家である。その戸数は一府
県当り、自作農、自小作農及び小作農、各三戸計九戸である。調査方法は、ぼ黛膏国農会の調査に同じである。
似 第二期︵大正一三年一昭和五年の調査︶
農家経済調査における調査農家の選定方法について 五
農家経浩調査における調査農家の選定方法について 六
この調査では、大正=二年置ら帝国農会が実施した、農業経営改善指導並びに調査︵経営調査と略称する︶に対する現状
調査として、本調査に新しく加えられた目的に基いて、その調査方法に変更が加えられた。調査戸数は、二三二戸であっ
た。 ︵前出警=ハ頁︶
③ 紐弟三柵期︵昭和六年i一⊥ハ年の調査︶
調査方法が再検討され、改正された。調査農家の選定については、前期調査で二戸調査した北海道及び各府県の調査農
家を、六戸に増加すると共に、選定標準及び配置方法を定め、選定方法の統一を図った。
昭和六年の﹁農家経済調査注意事項﹂に示された、農家選定標準を示すと
ω 農家の性質一調査農家は、自作農、自作兼小作農、小作農とし、規定をあたえた。
回 農家の大小i一農家の耕作面積の大小により、第一種及び第二種とする。
㈲ 家族︵世帯員︶−−一調査農家の世帯員は、六一七人で、うち三一四人が農業従事者であること。 其の他附随の規定
を設けた。
調査農家の配置については、六戸調査の道府県と、九戸調査の府県にわかれる。前者においては、自作、自小作、小作
の各汝につき、第﹁種、第二種各=戸を含めて、六戸を﹁組とする。これをその道府県における、代表的農業組織の地方
において、同一町村内において選定するのを原則とした。また後者においては、前記方法により、六戸を一組として選定
し、残り三戸を一組とし、自作、自小作、小作農から各一戸をとり、これを六戸一組のものとは、農業事情を異にする地
方において、同︸町村内で選定した。記帳年度は、三月一日置ら翌二月末までの満一ヵ年間で、調査事項の変更はない。
ω 舶弟四期︵昭和一七−二三年の調査︶
これは、﹁農家経済経営調査﹂と称し、 当蒔婁施されていた﹁農業経営調査し、﹁有畜農業経営調査甑及び﹁農家経緕調
査Lを合併したものであった。
調査農家は、 一般調査農家と特殊調査農家に分かれる。前者は更に、特殊経営組織農家、機械導入農家、及び狭義の一
般調査農家に分かれ、後者は、大規模経営農家と兼営農家に分けられた。
調査予想戸数は一、四〇〇戸である。調査農家は、 一般、特殊両調査農家を含めて、その道府県の農業事情及び農家戸
数を参照して配分した。しかし戦時中のため、この計画は完全には実施されなかった。
以上の沿革を経て、農林省第五次調査として、昭和二四年の大改正を迎えたのである。
①農林統計調査、第二巻第九暑、多田誠論丈参照
国総 括
以上において見られるように、本調査は大正二年創始以来、昭和一七一;二年農林省第四期調査に到るまで、その調査
農家の選定は、いわゆる事例的︵山門型的︶に為されたのであった。しかるに昭和二四年置大改正に於いて、この選定は、
↓応確率原理による標本抽出理論に基くこととなったのである。
選定農家数は、大正二年子〇〇戸、大正一〇年一八九戸、大正一三年二三二戸、昭和六年三四二戸、昭和一七年一四〇〇
戸と増加している。そして昭和二四年に於いて、 一躍五、五〇〇戸に増加したのであるが、しかも前述のように、僅かに
全農家の一千分の﹁に満たない。
以上の沿革を見るに、農家選定標準として、㈲調査農家の階級別として、自作農、自作兼小作農、小作農とし、㈲農家
の大小、㈲家族員の構成を限定している。そして選定農家をして、なるべく平均的・代表的たらしめて居る。更にその配
置においても、選定農家が階級別・経営規摸別に、夫汝代表者たり得るような考慮が払われている。
このように地区別に、更に自小作別に、経営規模別に、平均的・代表的農家を選定したとして、これに基いてこれを階
農豪経済謂査における調査農豪の選定方荘について 七
農家経済認査における調査農家の選定方法について 八
①
級別に、経営規模別に、更に地区別に集計し、平均した農家牧入支出の金額・数量等は、︼体何を意摂するであろうか。い
わゆる典型調査・事例調査が、個別調査ないし、きわめて小数の同種の対象について概観する調査である限り、集団観察
をその構成単位の観察を通して行うのであり、いわゆるぎ冨諺署Φな質的な考察の基盤を提供する。しかしながら、これ
を全部調査の代用i総計値・平均値の推定一として利用しようとする揚合、直ちにその無力なことがわかる。こxにおい
て、調査対象個数の増加が問題となり、更に、その選定方法が取りあげられる。継続調査においては、更に量りである。
こうした見地からみる時、昭和二四年忌大改正の如きは、当然早晩考慮されねばならぬものであったといえよう。
三 現在の農家経済調査における調査対象農家の選定方法
①例えば、農家経済調査報告︵自昭和一三年三月至昭和一四年二月︶、昭和二五年、農林省経済更生部、を参照。
の序 説
前述のように、農家経済調査は、大正二年開姶以来、調査様式は五回の改正を経、調査戸数も漸次増加して来た。しか
しながら調査対象の選定は、いわゆる事例調査方式に則ったのであった。しかるに今次の終戦後、わが国の統計界は、米
国の統計専門家の勧告もあり、その実施、企画につき、各方面において大いなる変革をみた。そして標本抽出調査の採用
が、極めて広範園に行われるようになったのである。本調査の昭和二四年の大改正は、実にこの事例調査から標本抽出調
査への移行という点にあるとされる。然らば、どこまでこの抽出理論が貫かれて採用されているだろうか。これを吟味す
る為、先ず本調査の要項について検討し吟味して見よう。 ここには主として、前出農家経済調査解説︵改訂版︶と、前掲
多田誠氏の論文を参考することとする。
口 昭和二四年度における改正要旨と其の後の経過
本調査解説︵第一頁︶において、次の六点を挙げている。
ω 調査対象農家を層別任意抽出法によって選定することとし、この調査結果の代表法を強くし、推計利用を可能ならしめた。
② 調査戸数を増加し、農村社会の階層別に比較研究が出来るようにした。 千
③ 従来この調査は、主として貨幣価値をもつて把握表示することに限られていたが、 これと表裏する物財量の把握も可能とするよう
にした。これによって、諸商品の農家受取価絡及び農家支払聯絡も箕出されるようになり、 経済変動に伴う農業再生産構造または
ある。
農民の消費水嚢等の分析も充全のものとなつだ。またこのため農産物の商品化率や、 農民の栄養に関する調査も可能となったので
㈲ 物財調査によって、物価体系は農家経済調査を基礎とする、農業パリティ指数を基準として決定されていたが、 その正確な基準と
して、物量計算を可能ならしめた。
⑤ 価値統計、物財統計に加えて、さらに四半期ごとに資金動態調査を実施し、 農家の経済循環に伴う資金の回洗麗係、預貯金、借入
金の残高について調査することとし、農家に於ける資金の需要と、その調逮関係を明らかならしめるようにした。
⑥ 調査結果は、従来大体ニカ年功に報告されていたため、政策の資料一としては利用性に限定があったが、 この報告を毎年または毎四
半期に速報することとし、さらに年報にとりまとめ、 ヵ年輩早めることとして利用性を増加した。
①
以上において、調査事項は箇、㈲、⑥に述べられた多数に亘っている。本調査の目的については、既に考察したが、生
産面・消費面をあわせ有するわが国一般大家の個別経済を、総合的に把握しようというのである。しかし全農家において
これを調査するのではない。また詣りに全部につき調査をなし得ても、これを集計し平均する意昧が問題となる。このこ
とは、調査農家を一部分選定する時に、いよいよ問題となる。即ち調査農家について、これらの調査項目に関する集計結
果は、何を物語る数字であるか。更にまた、全農家経済、全農業経済においての問題としてみたとき、右の集計結果ない
し相互比較が、果してどの程度まで信頼し得るかが問題となる。調査対象農家の選定は、実に一般的な調査目的と、その
具体的な技術的限定としての調査專項を、把え得るものとして考察されねばならない。即ちいい換えれば、調査対象農家
農家経洛調査における調査農家の選定方法について九
農家経済調査における調査農家の選定方法につい︵ 一〇
の選定は、当然に調査事項・調査目的を規制することとなる。いまωにおいて、調査対象農家は層別任意抽出法によった
ことを明らかにしているが、これは標本抽出方法の一型である。
この抽出理論による農家選定が、農家の牧入・支出の平均、農業所得の推計、更に農村物価賃銀の調査集計、推計にお
いて﹁調査結果の代表性を強くし、推計利用を可能ならしめ﹂ているかどうか。そのもつ意義・内容、更にその方法の適
用限界が問題となる。
次に②に挙げられた階層間の比較の問題である。現在の本調査においては、経営規模面積に従って、五階層にわけ、こ
の階層別に比較数字を求めている。先ず実質的には、農家経済の分析に、階級別・階層別としてか瓦る経営面積をとるこ
とが如何なる意義をもつか、次に意義あるとして、階層区分をどう作るかが問題である。次に形式的に見てかかる階層区
分による相互比較が、本調査の抽出理論による設計によって、果して代表性をもち得て居るかどうか、この吟昧が重要と
なる。
次に調査事項が複雑多岐になるに伴い、その理論的・一般的規定が先ず問題となり、次に降りに理論的に明確に規定し
得ても、調査において、調査技術上の制約があり、調査上の意識的・無意識的な歪曲ないし誤謬を伴う。更に抽出理論に
よって、いわゆる任意標本から女男の推定にうつる時、これらの調査結果の歪曲がどう取扱われるか。ここに大きな問題
がある。本調査の如く、調査事項多く、更に継続的調査に鞭て、その集計結果の利用限界の問題は、極めて重要である。
昭和二四年の改正以来、調査の基礎になる考え方や約束事項には、大した変化はない。た黛標本抽出方法のより妥当な
適用という点に於いて、昭和二五年度にサンプル・ローテイションの実施が行われ、昭和二七年度において、農家選定方
法に全般的に改正が行われた。
① 基本となる調査事項は、本調査解説︵一三頁以下︶において、年度計算にお替る主要とりまとあ事項として説明さ⑳てかみ。
所得、㈹農家の家計費、σゆ農家の租粉公課諭負澹、㊦農家の経済余剰と財産の檜減形態。
8農家の所帯昌只と家軌族熱い業労働⋮・刀、¢⇒経営地の伽構成、㊨農家の⋮財産、㈹農業租攻盆、 ㈲農業経営曲買、 ㈹農外墨入及び支毘、㈹農家
調査対象とその抽出方法
農家経済調査における調査農家の選定方法につい︵
コ
経営耕地の面積の広狭別階層によ〇五階層に区分した。次にそれぞれの階層に所属する農家集団を抽出母体とし︵、 各階層に各扁戸宛
統計調査事務所においては、まず管内の指定町村毎に、 一九五〇年の琶界農業センサスの個票と同一の事業体名簿から、 別に定める
いてこれを行った。
以上の農薬の分類、耕地率・水田率による市町村の分類と、抽出単位区の設定、及び調査町村を抽出指定する迄の業務は、 本省にお
数は、全国五八六力町村となる。
じた確率比例抽出法により、一力町村を抽出し、その町村を調査町村として選定することとした。 このようにして選定される市町村の
度に区分して、その区域を抽出単位区とした。 この抽出単位区に所属する町村数は大体一〇数力町村であるが、その中より農家数に応
つぎにそれぞれの地帯毎に道府県の境界を設けて、その内部を出来る限り等質化する建前で、 農家戸数一万戸︵北海道は入千戸︶程
の調査で水田輩と呼ぶ︶で三区分に分類し、全国を︸三二地帯に分割した。 、
対する耕地面積の割合︵この調査で耕地傘と呼ぶ︶で四区分に分類し、 またそれぞれの市町村を耕地面積に対する永田面積の割合︵こ
まず全国の農村を自然条件と、農業経営の組織により、 一一農区に大区分を行った。 そして農区に含まれる市町村を、土地総面積に
をとった。
度に於て、最も経済的に調査の目的を実施するために、調査農家の選定方法において、従来とつて来た選定標準を改め、 次の如き方法
したがって調査の結果を、緊急の経済諸政策の要求に即応せしむることは困難であるから、 農林省統計調査部の調査機構で可能な限
員と多額な経費を要する上に、調査結果の公表には、多大の月日が必要である。
来るだけ多数選定して、充分な記帳指導と、正確な検査の結巣に基いて計算しなければならない。 これがためには、非常に多くの調査
農家経済調査を正確に行うためには、すべての自然的な条件・村会経済的な諸条件の異なる地方毎に、 すべての経営組識の農家を出
先ず本調査解説三頁以下の説明をみよう。
序 論
ω ⇔
農家経浩調査における調査農家の選定方法について 一二
の農家 ︵北海道は八戸︶ を選定し、 その農家を調査農家として委嘱するものである。 従つ︵抽出選定される調査対象農家は、 全国
の農家を配当して、任意抽出で選定し、残りの五戸を階層を設けず、所属農家の全戸数より任意抽出して、 一調査町村より合計一〇戸
五、八○○戸程度である。
本調査解説においては、つ璽いて灘区の区分、耕地率・水田率の区分、町村の抽出方法及び調査農家の選定方法を詳細
に説明している。これを参照しつX、問題点を考察しよう。
㈱ 農区の区分方法
前述のように、気候条件と農業経営組織を勘案し、全国を一一農区に区分した。即ち
①北海道、②東北、③北陸、④山陰、⑤北関東、⑥南関東、⑦東海、⑧近畿、⑨瀬戸内、⑩北九州、⑪南海。
本調査においては、先ずかxる.農区別に︵五階層別の1後述︶農家の悟入・支出・所得の平均・総額を推定し、地域的に
相互比較を可能ならしめようとする。そして全国平均・総額を推計するのである。従って、この農区の区分が、実質的に
極めて大きな問題となる。先ず気付くのは、現行の区分が府県なる行政区劃に基いた、地方区分によって居らない点であ
る。例えば京都府は近畿農区と山陰農産に分割して所属して居る。これは、気候条件と農業経営組織なる自然的・社会的
条件を勘案して、全国を地域的に区分しようとする時、例えば、近畿型、山陰型農家経済を平均的に把えようとする、調
査目的にかNつて来る。
以前の農家経済調査においては、府県別に基いた地区の区分であった。これを抽出理論の観点からみる時、農区の区分
は、所与の条件であって、各農区において、農家の抽出、推計値の算出が問題となるのみである。
⑥ 地域及び地帯の決定方法
全国の市町村を区分するために、先ず市町村の土地総面積に対する耕地面積︵昭和二五年度調査︶”の比率を計算し、次の
四分類とした。
①耕地肇、三〇%未満”山間部、②三〇%一五〇%口準山間部、③五〇%一七〇%o準平三部、④七〇%以上口平坦部。
次に誹地面積︵田畑︶に対する田の面積の比率を水田率とし、これを三分類する。
①水田肇、五〇%夫・満胃畑作、②五〇%i八○%11田・畑作、⑨八○%以上”田作。
.この耕地率・水田率は、市町村の第⊥次抽出単位区︵P・S・U︶の設定に役立たせた。
一
瑳灘都特普
都 近地 地
蒙村梛帯紐
市
、DCBr一・・「L一.一Lpm
喜)))茶果謝冊
、
農家経済調査における調査農家の選定方法について 重点
た。このことは、実質的には農区分類と共通の問題をもつている。即ち所属農家を等質化したものとして、 ︸の階層別け
に分類したのであるが、更に農業経営からみてぼゴ共通とみられ得る点から、農家を地域別・地帯別に分類したのであっ
以上各農期において、先ず地域別・地帯別に農家を分類した。即ち既に全国農家を自然的・社会的条件から、一一農区
する。
般農耕部たる町村を純農村と呼ぶ。純農村地域に属する町村のうち、更に桑樹・果樹・茶樹の作付比率の高い町村を指定
とし
全国農村は、特殊事情にある地域と
て、 漁村を一定の規準により選定した。次に特殊地域以外の︸
で
帯帯帯作作
次に全国農村を地域・地帯別に分類するのであるが、先ず一覧表を作ってみよう。
畑
を 地地地
_ 農
村
地
域
さ
田 作
畑
へ
特殊地蕊
漁 園樹蚕 ’
村
殊 通
し 市
純一
農家経済調査における調査農家の選定方法について 齢鴎
︵地域的︶を行うわけである。しかしこれも厳密に言って、性質的に・数量的に等質化しうるかが問題である。この場合現
行市町村行政区分によって、耕地率・水田率を定めたのであるが、それは意昧をもつだろうか。むしろ純農村経営に即し
て考えれば、市町村を構成している集落︵部落.大字︶単位について色わけして区分図を作り、階層わけした方がよいと患
われる。これを従前の調査においてみるに、代表的農業組織を選定したが、これは、典型調査・実態調査として利用する
意図をもつ限り、極めて重要な意義をもつて来る。
⑧ 抽出単位区の設定
抽出単位区の所属農家戸数は、一万戸程度︵北海道は八千戸︶とし、農業経営の条件が等質なもので、位置の近接してい
るものから、一万戸程度を包撮するだけの町村を組合せた。単位区の設定には、北海道は、全道を通じて単位区を設け、府
県は原則として府県別に境界を設けて別に抽出単位区を設けた。
純農村地域に分類されたところは、地帯毎に所属農家が一万戸になる揚合には、そのまx抽出単位区とし、抽出単位区
設定のために地帯の配合を必要とする場合には、耕地率にかNわらず水田率により、田作・田畑作・畑作の順序で配合し
た。
かくて抽出単位区は、純農村・都市近郊・山村・漁村地域に大分類され、純農村は田作・田畑作・畑作及び養蚕・果樹
・茶園の地帯に分類される。
さて前述のように、地域別.地帯別は、実は農家・農村をその地域性や農業経営からみて、地区別しただけではない。
実に抽出理論における階層別の一段階として行われていることに注目するを要する。即ち抽出単位区は、 一万戸程度の農
家︵そこから一〇農家を抽出する︶を一群とするという要請を撃っている。 従って農村地域を、地帯別に構成・分類する場
合、常にこの制約を受けている。普通地帯における、田作・田畑作・畑作なる分類や、特殊地帯たる養蚕・果樹・茶園の
分類も、一万戸程度の農家を持たない揚合︵たと幻その地方として特殊な・代表的な地方産業の地域でも瓢これは他と合
併させられている。 ︵例えば京都府学治市及びその近郊の如きは、茶園地帯となっていない。︶更に特殊地域の如き、都市近郊・漁
村・山村は、同﹁農区に属する二府県にまたがっている所もある。ここに抽出理論における︸段階としての階層別である
ことが、はっきりと出て居る。これは正に典型調査・実態調査として利用し得ない点である。
本調査解説︵六頁︶において﹁この分類は簡易な調査結果の資料を公表する場合の区分に用いられる﹂と述べているが、
既に指摘したように、本来標本抽出理論によれば、鞍置として各農区ないし全国の農家をもつ揚合、標本として選ばれた
農家における諸調査項目の平均・総計から、母域におけるこれらを推計するのであり、か&る農村分類における農家の調
査結果の、平均ないし相互の比較はたゴ一応の事実を語る集計数字というに止まるのである。但し前述したように、これ
を典型調査として実質的意義をみる場合に、極めて重要なる意義を帯びて来る。
㈹ 調査町村の選定方法
調査町村は、右の抽出単位区から一つずつ無作為に︵9瞥 目口切目O録︶、農家戸数に応じた確率比例抽出法式により選出され
た。即ち調査農家を選定する町村は、地域・地帯を考慮して選定された抽出単位区からの、抽出単位に外ならぬ。そこで
前述のように、抽出単位区の大いさは︸万戸程度の農家からなり、その構成も地域的に更に経営組織的にみて、等質化さ
れて居るとはいうものの、程度の問題であり、そこから選定された町村の如何により、その趣きを異にするものなしとせ
ない。このことは数学的抽出理論に即する限り問題ではない。しかし乍ら、実態分析の利用に供しようという鳴合、注意
を要するのである。
㈹ 調査農家の選定方法
﹁五
調査町村ごとに一〇戸の農家を選定する。さて調査町村は、抽出単位区︵一万戸︶につき↓つであるから、 結局一千戸
、農家経浩調査における調査農家の選定方法について 農家経溶講酬査における調査農家の選定方法について 一六
に= の抽出率になるわけである。 、
一町一一町五反、 一町五反一ご町、ご町以上にわけ、順次、 一階層、ご階層、三階層、四階層、五階層と呼んでいる。 北海道農区
ω 農家の階層わけの基準一経営耕地面積の広狭により、五階層にわけられる。即ち府県の所属する農区では、五反未満、五反一一町、
は、これと面積の大いさが異っている。
先ず抽出農家数は、調査町村の属する抽出単位区の農家戸数の合計︵約一万戸︶の二千分の一で、 おおむね五戸である。この農家の
② 調査農家の選定1一〇戸の農家を選定するのに抽出農家と配当農家の二種類に区分する。
諸差は、調査町村の全農家の中から、階層を考慮しない農家名簿に基き、 任意に系統的に抽出して選定される。次に配当農家は調査町
村の全農家を上述の如く、五階層に区分したとき、原則として各階層に一戸ずつ配当し、各階層ごとに任意抽出により選出した。
選出農家としては、止むを得ない事清を有するものについては、特別の処置を講じて他農家と代替したが、その列挙事
情のうち﹁生計費の大部分を自営兼業の皆皆に依存する農家﹂が入っている。即ち該当農家として耕作面積のみにより、
等質とみなし得ないのであって如何なる農家を選ぶべきかは注目を要する点である。
さて、各調査町村から十戸を選出するのであるが。層別副次任意抽出法に即して、虚誕につき、全農家の牧支・所得等
の平均ないし総計を推計するとしよう。気息区は抽出単位区に区分され、各面から一つずつ調査町村が、確率比例抽出法
により抽出された。却ち抽出単位区は第一次抽出単位であり、抽出比は一である。次に選出された調査町村は第二次抽出
単位群から抽出されたものである。従って調査農村にある農家は、第三次抽出単位であり、そこから十戸が任意抽出さる
べきである。
しかるに本調査においては、経営耕地面積の大小により、前述の如く階層区分し五階層を設けた。かxる階層区分の実
質的意義は、しばらく措き、今この五階層を設定して、医籍区において、各階層毎に、所属農家の経済について、諸種の
平均値を推定し、さらに相互に比較しようとするのである。
この場合、本調査における如く、 ︸方では配当農家として約半数五戸を各階層別に配当して抽出し、他方では半数五戸
を階層区分を設けないで、全部から抽出して、合計十戸を選定するのは、果して意味を有するであろうか。思うに抽出理
論を貫く限り、五階層に縦に分割し、夫々に於て調査農家を選出すべきである。即ち調査町村までの抽出手続を終えた上
は、各調査町村において、五階層に農家をわかち、その各汝から調査農家を選出すべきである。この時、数学的確率論的
推計方式から、各階層において抽出すべき農家数は加減を要するであろう。
すでに述べた如く、以前の調査に於ては、第一種農家、第二種農家の別、自小作の別にても区分をなし、各汝に調査農
家を配当した。しかしかxる配当農家は事例的に取上げられたのであって、既述の如くこれを農区別・階級︵階層︶別に
平均し・集計しても、全体の推計値としては意味をもたない。しかしこれを実態分析の基礎資料として見る時、各個別資
料は個々の有機的実態の資料であり、代表的集落につき、同種として選定ざれた資料の平均は、また典型を示す質的考察
の基礎となる。
さて実質的な問題として、既に;島ふれた兼業、副業農家をどう区分するか。更に戦後農地改革により、重要性と失っ
たとみられた自小作別階級分化の問題は、実態調査・事例調査により、適確な実情・動態の把握を必要とするであろう。
そこで単に経営面積の広狭別による五階層区分が、各農区においてそれ自身の推計値において、更にそれらの相互比較に
⑤
おいて、果して実質的意義をもつかどうか.疑問と思われる。
例えば、農家経済調査報告︵自昭和=二年三月至昭和一四年二月︶三頁以下参照。
農家経済調査における調査農家の選定方法について 一七
ここでは前掲本調査解説のほかに、昭和二六年度︵一九五一︶農林省農家経済調査報告、 昭和二九年五月、 農林省統計調査部を参
推計方式の形式的吟昧・実質的吟味は別の機会に護る。なお本調査解説、八頁以下参照。
本調査解誼. 一〇頁参照。
昭和一二〇年二月二日施行、農業集落調査はこの線に副って居る。
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かるに本調査の如き、毎記記帳による複雑な内容をもつものに於いては、先ずその個汝の申告数値に誤謬・逸脱を伴う。
こうした点で、標本抽出理論は、たとえば農地面積の推定・農産物牧量の推定の如き、実測的なものに適している。し
いのである。
及びその内訳について、その平均値が全体として、まとまった関連のある推計値の集合としては、把握することが出来な
いて、分散が別個の問題となる。即ち層別副次抽出の方式がとられ、その一つが実施された揚合、農業牧入・支出・所得
その分類を推定する故、平均値は一応の推定値に止まるわけである。別の標識について考えれば、やはりその推定値につ
応推定されるのである。しかしながらこれは層別任意抽出設計が、理論的に貫かれたとしてのことであり、更に標本から
いえる。そこで農業所得の分散を推定し、一応この標本設計により、その擢定値が標本から算出され、その存在範園も︼
集合の平均ないし総計を推定しようというのである。いま本調査について見るに、調査事項の主たるものとして、農家の
農業所得を取っている。この揚合、農区別・階層別に農業所得の平均を推定するという角度から、抽出設計がなされたと
もとに推定する。しかし既に屡汝論じた如く、抽出理論における母集団というのは、実は数値の集合であり、その数値の
か。抽出理論においては、母集団︵母域︶から標本を任意抽出し、 この標本の知識から母集団の知識を、推定誤差範園の
本調査では、層別副次任意抽出法により、調査対象を抽出したとされているが、それはどこまで貫ぬかれて居るだろう
以上において、私は現行農家経済調査における調査農家の選定方法について概観した。
照
仮りにこれを看過したとしても、重要標識に限って利用の意昧を持つといえよう。
こう考えて来ると、私は最初本調査の沿革について考察した際の、以前の調査に於ける調査対象の選び方・集計の仕方
を反省せざるを得ないのである。例えば、昭和六−一六年の調査を見るに、各府県に六戸ないし九戸の農家を配当し、第
一種・第二種農家、自小作別に配分している。 この場合、 各々の調査資料は生きた個汝の農家の実態を物語るものであ
る。しかもこれを︵相加︶平均するとき、平均の意味が判然とせない。
現行本調査において、層別副次任意抽出方式をとっているといいながら、その実際の設計において、以前の調査の事例
的な考え方を残して居る。私はこれは充分その必然性があるからと考える。既に述べたように、私の意見として、本調査
における個別農家の調査資料の一部を、個別農家経済の実態把握の資料として、活用してはどうかと思う。即ち、各論区
において、普通地帯・特殊地帯につき、典型的な農家の群を一括して、それのみの考察として役凝せては如何と考える。
この点は本来抽出理論は、数学的確・率論的方式に則って居るのであり、同一熊内では、その対象の選択は、無作為
︵即け 吋暫目ΩO昌︶である。ここに無作為とは確率論的の謂いであるけれども、 これはあらゆる可能な二合を考慮に入れるとい
うことである。従って同一層内において、個別事例考察をしたい対象を特に選定するようにすればよい。通常等質とはい
っても、これは一の標識についてであり、他の諸標識について平均化するため、いわゆる無作為的に抽出しているに過ぎ
ないのである。
①拙著、社会統計学と抽出理論、第一章参照。
②本調査解説き八頁。
③拙稿、標本調査における代表性について、彦根論叢︵第一五号、昭和二八年九月︶参照。
︵附記︶本稿は、昭和二九年度、農鉢統計協会全国協議会の委嘱による調査報告︵昭和二九年一〇月提出︶に、加筆した屯のである。
︵昭和三〇年一月末日︶
農家経済調査における調査農家の選定方法について 一九