有人宇宙システム株式会社 代表取締役社長 古藤 俊一 寸 言 有人宇宙開発とその先に向けて 弊社は、1990年5月に宇宙関連企業62社の 出資により日本実験棟JEM「きぼう」を含む したが、新しい利用の例になるのではないで しょうか。 国際宇宙ステーション(ISS)の運用及び利用 一方、国際宇宙ステーションISSは国際約束 を担う会社として設立されました。「ひとと で2020年まで運用することとなっていました 宇宙を結ぶシステム・インテグレータとして、 が、昨年1月アメリカ政府は運用を少なくと 宇宙の開発及び利用を推進し、豊かな人類社 も2024年まで延長することを決定しました。 会の実現に貢献します。」という経営理念の 米国は本件について関係各国に打診をしてお もと、有人宇宙を主力とする企業として、こ りまして、我が国においても本年1月に決定 れまでJEMの開発段階における安全開発保証、 された宇宙基本計画の中で運用の延長につい 軌道上組み立てとそれに続く運用管制及び利 ては2016年を目途に他国動向等を十分に勘案 用等の支援を行ってまいりました。またHTV しながら費用対効果等を総合的に検討するこ 「こうのとり」によるISSへの物資輸送の運用 ととされています。弊社におきましてはISSの 管制にも携わっております。さらには宇宙飛 今後の動向とポストISSとしての宇宙探査等 行士及び運用管制要員の訓練においても について有人宇宙開発を担う企業として注視 JAXAを支援してきたところです。有人以外 しているところであります。 の分野では、人工衛星・ロケットに搭載する また、宇宙基本計画の中で宇宙政策の目標 各機器の開発支援、利用成果を挙げるための として、「宇宙安全保障の確保」、「民生分野 運用支援なども実施しております。 における宇宙利用推進」、「産業・科学技術基 近年においてはこれまでの宇宙ステーショ 盤の維持・強化」の三本の柱が掲げられてい ンの運用管制等の経験を通して培ってきた技 ます。これらの政策目標と具体的な計画が今 術・ノウハウをもとに日本における有人宇宙 後の企業経営に大きく影響して参りますが、 活動のリーディングカンパニーとして「きぼ これまで有人宇宙開発に携わって得られた知 う」の産業利用、次期宇宙探査へも積極的に 見等をもとに今後ともその役割を果たす所存 アプローチするとともに、新たなビジネスと であります。特に宇宙利用という意味では宇 して衛星利用等のビジネス提案や国内外にお 宙の民間転用という形で、航空機、自動車等 ける宇宙全般の調査等を行っています。「き の民間事業に活用するなど新しい展開もでき ぼう」の利用という意味では、打上機会提供 始めています。新時代に向けた新しい貢献を サービスをブラジル宇宙庁から受注し、本年 していくことが役目と存じますので、各社様 2月に超小型衛星を「きぼう」から放出しま よろしくお願い申し上げます。
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