2015年3月2日 パワー・ダイオードの特性 群馬大学 松田順一 1 概要 • パワー・ダイオードの用途と特徴 • ショットキー・バリア・ダイオード – – – – – メタル・半導体コンタクト 順方向特性 逆方向特性 トレードオフ・カーブ、パワー消失と温度、バリア低下、エッジ終端構造 高耐圧ショットキー・バリア・ダイオード • PiNダイオード – – – – – 順方向特性(極低、低、高レベル注入) 逆方向特性(リバース・リカバリー特性,ライフタイム制御) ドーピング不純物 オーミック・コンタクト 最大動作温度 • JBS (Junction Barrier Controlled Schottky) ダイオード • MPS( Merged PiN/Schottky)ダイオード • トレンド (注)群馬大学アナログ集積回路研究会 第65回講演会(2007年7月20日)資料から抜粋 2 ダイオードの種類 • 整流ダイオード – 一般用、高速用、ファースト・リカバリー・ダイオード • ショットキー・バリア・ダイオード – 整流用、小信号用、高周波用 • ツェナー・ダイオード – ESD保護用、定電圧用 • 可変容量ダイオード – チューナー( AM, FM, UHF/VHFなど)用、VCO用 • 可変抵抗(PiNダイオード) – AGC(Auto Gain Control)用 3 パワー・ダイオードの用途と特徴 • 用途:DC-DCコンバータ、AC-DCコンバータ – 情報、家電、車載等の各種スイッチング電源 • 特徴 – ショットキー・バリア・ダイオード • • • • 低順方向電圧VF(0.5~0.6V) リーク電流大 ユニポーラ 逆特性リカバリー:早い – PiNダイオード • • • • 高順方向電圧VF(~0.9V) リーク電流小 バイポーラ(伝導度変調により低抵抗化) 逆特性リカバリー:遅い 4 DC-DCコンバータの基本回路 + Vi Vo + Vi Vo - - 昇圧型 降圧型 - Vi Vo + 昇降圧型 5 エネルギー・バンド -メタルと半導体:分離- m s s EC E Fs E Fm EV メタル 半導体(n型) 6 エネルギー・バンド -メタルと半導体:接触- ショットキー バリア障壁 E qVbi bn EC m F 2 sVbi W0 qN D EFs 空乏層 メタル W0 EV 半導体(n型) qVbn qVbi EC EFs m s EC EFs 7 順方向電導におけるエネルギー・バンド (a) (b) bn E Fm (c) (d) qVbi qVF EC EFs qVF (a)が支配的 ⇒ユニポーラ デバイス EV メタル 半導体(n型) 8 電流電圧特性 • ショットキー・バリア界面を横切る電流 – 熱電子放出 J AT 2 e qbn kT e qV kT 1 A : 実効リチャードソン定数 A 110A/cm 2 /K 2 (N型Si ) A 140A/cm 2 /K 2 (N型GaAs) T : 絶対温度、q : 電子電荷、k : ボルツマン定数、 bn : バリア高さ、V : 印加電圧 9 ショットキー・パワー・ダイオードのエネルギー・バンド メタル N型ドリフト領域 WD コンタクト N+基板 WS EC エネルギー バンド EF EV 等価回路 RD RS 10 順方向電流特性 • 順方向電流 J F AT 2e qbn kT eqVFB kT VFB : ショットキー・バリアを横切る電圧 • 順方向全電圧降下 kT J F VF ln q JS RS J F J S AT 2 e qbn kT:飽和電流 RS : 全直列抵抗(単位面積当り) ドリフト領域、基板、コンタクト抵抗 11 飽和電流のバリア高さ依存性 飽和電流JS (A/cm2 ) -ショットキー・バリア・ダイオードー 1.0E+02 1.0E+01 1.0E+00 1.0E-01 1.0E-02 1.0E-03 1.0E-04 1.0E-05 1.0E-06 1.0E-07 1.0E-08 1.0E-09 JSはΦbnとTに強く依存 T=300K T=350K T=400K T=450K 0.5 0.6 0.7 バリア高さΦ bn (eV) 0.8 0.9 A=110(A/cm2/K2) 12 ブレーク・ダウン電圧の順方向特性への影響 -ショットキー・バリア・ダイオードー 1.6 順方向電圧VF (V) 1.4 Φbn=0.8eV, T=300K SBDは高電圧では一般的に使用不可 N型ドリフト領域の 抵抗増大による ブレーク・ダウン 電圧BVpp 1.2 50V 100V 150V 200V 300V 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 1.E+01 VF(SBD)≒0.5V (at BVpp=50V, JF=100A/cm2) < VF(PiN)≒0.9V(typ) 1.E+02 1.E+03 2 電流密度J F (A/cm ) 基板抵抗とコンタクト抵抗無視 13 順方向電圧の温度依存性 -ショットキー・バリア・ダイオードー JF=100A/cm2 低ブレークダウン電圧の場合:BVpp(≒50V) 0.7 VF bn 順方向電圧VF (V) 0.6 kT J F ln q AT 2 0.5 バリア高さbn 0.7(eV) 0.8(eV) 0.9(eV) 0.4 0.3 0.2 T上昇 ⇒ JS増大 ⇒ VF低下 0.1 0.0 300 350 400 温度T (K) 450 500 14 イメージ・フォースによるショットキー・バリア低下 xm 0 x b イメージ・フォースによる ポテンシャル・エネルギー bn E E Fm EC E Fs qEm 2qN D VR Vbi b , Em 4 s s 15 リーク電流特性 -ショットキー・バリア・ダイオードー リーク電流密度(A/cm2) 6.0E-06 リーク電流 ・Φbn低下(支配的) ・空間電荷発生 と拡散成分(無視) 2 q bn b kT J R1 (VR ) AT e 5.0E-06 4.0E-06 インパクト・イオン化 JS(A/cm2) JR1(A/cm2) JR2(A/cm2) 3.0E-06 Φbn低下 2.0E-06 飽和電流 1.0E-06 JS:飽和電流 JR1:バリア低下考慮 JR2:バリア低下 +アバランシェ倍増考慮 0.0E+00 0 10 20 30 逆方向電圧V R (V) 40 50 16 リーク電流の温度依存性 -ショットキー・バリア・ダイオードー 熱暴走(正帰還) パワー消散増大 ⇒ 温度増大 リーク電流増大 リーク電流密度JR 2(mA/cm2) 50 45 40 バリア高さ 35 0.6(eV) 0.7(eV) 0.8(eV) 0.9(eV) 30 25 20 15 10 5 0 300 320 340 360 380 400 420 温度T (K) 440 460 480 500 JR2:バリア低下+アバランシェ倍増考慮 逆方向電圧:10(V) 17 bn 逆方向リーク電流密度 JR (A/cm2) 順方向電圧と逆方向リーク電流のトレードオフ 1.E-01 qVF J R J F exp kT 1.E-02 JF=100(A/cm2) 300(K) 350(K) 400(K) 450(K) 1.E-03 1.E-04 バリア低下無視 アバランシェ倍増無視 ドリフト領域抵抗無視 1.E-05 1.E-06 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 順方向電圧 V F (V) トレードオフはΦbn から決定 ⇒ Siを他の半導体に変えても改善されない。(低耐圧の場合) 18 パワー消失と温度との関係 -パラメータ:バリア高さー JF=100 (A/cm2) VR=20 (V) デューティ比:0.5 パワー消失密度(W/cm2) 35 30 25 バリア高さΦbn 0.6(eV) 0.7(eV) 0.8(eV) 0.9(eV) 20 15 10 5 Φbn低下 リーク電流増大 0 300 350 400 温度T (K) 450 500 Φbnは最低0.7(eV)以上必要 19 パワー消失と温度との関係 -パラメータ:デューティ比ー パワー消失密度(W/cm2 ) 35 最小値のところのTはDと共に増大 30 デューティ比 25 D=0.1 D=0.25 D=0.5 D=0.75 20 15 10 JF=100 (A/cm2) VR=20 (V) Φbn=0.8(eV) 5 0 300 350 400 温度T (K) 450 500 20 ショットキー・バリア高さ メタルの仕事関数とショットキー・バリア高さ(Siショットキー・パワー・ダイオード用) メタル 仕事関数(eV) Al Cr Mo Pt W 4.28 4.50 4.60 5.65 4.55 0.61 0.68 0.90 0.67 バリア高さ(eV) 0.60-0.80 シリサイドのショットキー・バリア高さ(n型Si上) シリサイド CrSi2 MoSi2 PtSi2 WSi2 バリア高さ(eV) 0.57 0.55 0.78 0.65 By Jayant Baliga 21 ショットキーバリアの低下 -表面での高ドーピングー NS ドーピング密度 ND 0 a 電界 Em b バンド図 bn be x x W qEm q 4 s s b Em q s aN S 4 N S a N D W a EC EF ドーズ量:1012~1013 cm-2 △Φb:0.05~0.20eVの低下 EV 22 エッジ終端構造 メタル・オーバーラップ LOCOS P+ガードリング N-ドリフト層 N-ドリフト層 N-ドリフト層 N+基板 N+基板 N+基板 エッジ終端の電界緩和 23 高電圧ショットキー・バリア・ダイオード:GaAs -ブレーク・ダウン電圧の順方向特性への影響- 順方向電圧VF (V) 5 Φbn=0.8eV, T=300K Baliga’s figure of merit 4 RD , SP 2 4 BVPP s Ec3 VF: SBD(GaAs) < PiN(Si) at 100~200A/cm2, BVpp≦500V ブレーク・ダウン 電圧BVpp 100(V) 200(V) 300(V) 500(V) 1000(V) 2000(V) 3 2 1 0 1 10 100 1000 電流密度J F (A/cm2) 10000 基板抵抗とコンタクト抵抗無視 24 高電圧ショットキー・バリア・ダイオード:6H-SiC -ブレーク・ダウン電圧の順方向特性への影響ー Φbn=1.0eV, T=300K 順方向電圧VF (V) 5 VF: SBD(SiC) < PiN(Si) at 100~200A/cm2, BVpp≦1000V 4 ブレーク・ダウン 電圧BVpp 200(V) 500(V) 1000(V) 2000(V) 5000(V) 3 2 1 0 1 10 100 1000 2 電流密度J F (A/cm ) 10000 基板抵抗とコンタクト抵抗無視 25 PiNダイオードの特性 • フォワード・リカバリー特性 – 電圧オーバーシュート(高di/dtのターンオン時に発生) • 理由:ターンオン時から定常状態へ向けてN(i)領域の抵抗変化 ターンオン時高抵抗:N(i)領域への不充分な少数キャリア注入 定常時低抵抗:N(i)領域への充分な少数キャリア注入 • リバース・リカバリー特性 – 逆電流(ターンオフ時に発生) • 理由:N(i)領域に蓄積された少数キャリアの除去 – 電圧オーバーシュート • 理由:回路内インダクタンスを流れるリバース・リカバリーdi/dt • N(i)領域の設計 – 必要な逆耐圧を確保後、N(i)領域の抵抗低減 26 フォワード・リカバリー特性 -PiNダイオード- I SS ダイオード 電流 ターンオン di dt t 電圧オーバーシュート ⇒N( i)領域の抵抗率と厚さに依存 ダイオード 電圧 電流上昇率 > 少数キャリアの拡散 VF t 27 リバース・リカバリー特性 -PiNダイオード- ターンオフ IF ダイオード 電流 di dt tA tB t 0.25I RP リバース・リカバリー I RP di dt VF t ダイオード 電圧 P+N接合面でキャリア・ゼロ VRP VR 28 順方向電流(極低/低レベル注入) -PiNダイオード- • 極低レベルの注入 – 空乏層内の再結合電流 qV qniWD 2kTa e 1 JF 2 SC • 低レベルの注入 – 中性領域へ注入された少数キャリアの再結合電流 – 少数キャリア≪多数キャリア qDP P0 N JP LP a qV kT e 1 N領域の幅≫LP(少数キャリア拡散長) a qV qDP P0 N kT e 1 JP LP tanhW LP N領域の幅≒LP(少数キャリア拡散長) 29 低レベル注入のP-N接合 空乏層 P+ キャリア密度 N PN (0) P0 N LP 電流密度 Jn JP 30 順方向電流(高レベル注入) -PiNダイオード- • 高レベル注入 – 注入キャリア密度≫ドーピング密度(N型) – n(x)=p(x):N領域の電荷中性 – N領域の抵抗の大幅な低下 ⇒ 伝導度変調 – N領域、アノードとカソード端での再結合電流 d J q d n( x ) HL dx 2qna d HL , n:平均キャリア密度 a (アノードとカソード端での再結合無視) キャリア密度は、電流密度に比例して増大する。 ⇒ キャリア密度の増大に比例して伝導率も増大する。 ⇒ N領域の電圧降下は、電流密度に依存しない。 31 PiNダイオードのキャリアと電位分布 -高レベル注入- P+ キャリア密度 -d noP+ 電位 0 p +d n n(-d) n=p n(+d) p n Va N+ N NB poN+ VP+ Vm VN+ 32 高レベル注入時の電流特性 1 • 連続の式 dn n d 2n 0 Da 2 , D:両極性拡散係数 a dt HL dx • 境界条件 – ① N+端(+d):ホール電流⇒ゼロ、電子電流⇒ 全電流 – ② P+端(-d) :ホール電流⇒全電流、電子電流⇒ ゼロ dn dp ① J 2qDn , ② J 2qD p dx x d dx x d 電流=拡散電流+ドリフト電流 高レベル注入:n=p 33 高レベル注入時の電流特性 2 • キャリア密度 HL J coshx La sinh x La n p , La Da HL 2qLa sinh d La 2 coshd La • 中間領域(N領域)の電圧降下(近似) 2 3kT d 3kT d La Vm for d La , Vm e for d La q La 8q Vmは電流密度に依存しない。 ⇒ キャリア密度は、電流密度に比例して増大するため。 34 高レベル注入時の電圧降下 中間領域(N)の電圧降下(V) -PiNダイオード- 1.E+02 1.E+01 2 Vm 3kT d : d La q La 1.E+00 Vm(V) 1.E-01 d 3kT Vm exp : d La 8q L a 1.E-02 1.E-03 0.1 1 10 d/L a 35 高レベル注入時の電流 -エンド領域での再結合がない場合(PiN)- qV 2qDa ni d 2 kTa J F e d La 関数 F(d/La) 1.E+00 qV d d La tanhd La 2 kTm F e 4 1 0.25 tanh d La La 1.E-01 F 1.E-02 1.E-03 0.1 1 d/La 10 d/La≒1の時Jが最大 36 順方向電圧降下Vaとd/Laの関係 -PiNダイオード- 順方向電圧降下Va(V) J=280A/cm2 1.25 1.20 1.15 1.10 1.05 1.00 0.95 0.90 0.85 高キャリア注入 ⇒接合電圧降下増大 (端での再結合考慮なし) Va(V) 伝導度変調低下 ⇒中間領域抵抗の 電圧降下増大 端での再結合考慮 0.1 1 d/La 10 37 順方向電流まとめ -PiNダイオード- • 極端に低い電流密度(極低レベル注入) – 空間電荷発生電流 J F exp qVa 2kT • 低い電流密度(低レベル注入) – 拡散電流 J F exp qVa kT • 中程度の電流密度(高レベル注入) – 両極性拡散(n=p) J F exp qVa 2kT • 非常に高い電流密度 – エンド領域での再結合 – キャリア-キャリア散乱による拡散長の減少 ⇒指数関数からのずれ 38 PiNダイオードの順方向特性 端領域での再結合、キャリア-キャリア散乱、Auger再結合の影響 ①無 ②無 ③無 ①有 ②無 ③無 ①有 ②有 ③有 ①端領域での再結合 ②キャリア-キャリア散乱 ③Auger再結合 ①有 ②有 ③無 By Jayant Baliga 39 PiNダイオード逆方向リーク電流 電界 E P+ N(i) 空間電荷発生電流 JSC 拡散電流 JDN 拡散電流 JDP 空乏層 W J L J DP J SC J DN 2 qDn ni2 qWni qD p ni Ln N A sc Lp N D 40 PiNダイオード・リバース・リカバリー特性 t0 t1 JF t2 t rr tA tB t 0 キャリア 密度 J PR t 0 n(d ) n t0 P+ N(i)領域 t1 0 b x 41 リバース・リカバリー特性解析:JPR • JPRの導出 dn J F 2qDn dx dn , dx x d x d n d n b 2qDn n d n b JF n J F HL J PR 2qDn , n b 2qd HL Dn J PR JF bd • JPRの低減 d n( x ) J qRdx , R HL d 2qna d J HL – 中間領域でのτHLを低下させると、 JPRは低減する。 42 リバース・リカバリー特性解析:trr • trrの導出 HL Dn 1 J PR t rr QS qn 2d J F HL , J PR JF 2 bd J F 2bd t rr 2 HL J PR Dn trrの低減 ⇒ ① τHLを低減、② JFに対しJPRを増大 43 リバース・リカバリー特性解析:tB/tA • tAの導出 1 1 b HL J F J F HL J PR t A QR (t A ) qbn , n 2 2 4d 2qd b HL J F t A 2d J PR • tBとtB/tAの導出 b JF t B 4d t B trr t A 2 , 1 HL 2d J PR tA b ソフト・リカバリー⇒tB領域のdi/dt:小⇒tB/tA:大⇒d:大、b:小 44 ライフタイム制御 • ファースト・リカバリー trr 2 HL J F J PR : 小 HL:小、J PR:大、J F:既定 • ライフタイム低減の手法 (再結合中心の形成) – 不純物導入:Au拡散、Pt拡散 – 注入:高エネルギー電子注入、プロトン注入、He注入 • 順方向電圧降下とリバース・リカバリー時間のトレードオフ改 善 – 再結合中心の不均一分布導入 • Nベースの中央領域 かつ P-N接合から離れた領域に再結合中心を形成 – プロトンやHeにより、再結合中心分布の狭帯化 • Au、Pt拡散係数大(Si中)、電子注入⇒再結合中心の狭い分布は難しい。 • 再結合中心によるリーク電流の発生 – 再結合レベル位置がエネルギーギャップの中央近傍:リーク電流大 – リーク電流:Pt拡散<電子注入<Au拡散 • フォワード・リカバリー特性 – 再結合中心密度増加⇒フォワード・リカバリー特性の悪化(トレードオフの関係) 45 トレードオフ・カーブ(VFvs.trr) -Au、Pt、電子照射(ER)- By Jayant Baliga 46 ライフタイム比の抵抗率依存性比較 -Au、Pt、電子照射(ER)- ライフタイム比(τ HL/τ LL) Pt Au 1.E+02 Au(T=300K) Au(T=350K) Pt(T=300K) Pt(T=350K) ER(T=300K) ER(T=350K) 1.E+01 1.E+00 1.E-01 1.E+00 ER 1.E+01 1.E+02 抵抗率(Ω cm) 1.E+03 Au(ERと比較):τHL/τLL大 ⇒ VF:低、スイッチング・スピード:アップ 47 ドーピングプロファイル 従来プロファイル ドーピング P+拡散 N+基板 改良プロファイル N2 (mid 1014 cm 3 ) N1 階段接合 ⇒ リバース・リカバリーのスピードアップ ・空乏層広がりを抑制 ・伝導度変調あり ・蓄積電荷の急峻な除去なし ⇒ソフト・リカバリー 48 従来型オーミック・コンタクト アノード P 電子 電子 + N 正孔 N+ N N+ 正孔 カソード 構造 バンド図 49 改良オーミック・コンタクト -P+とN+のモザイク構造- アノード P+ 電子 電子 P+ 正孔 N N N+ P+ N+ カソード 構造 P+ N+ N+ 正孔 バンド図 50 改良オーミック・コンタクト -ショットキー界面を持つ構造- アノード P+ N N+ N+ N+ カソード 51 最大動作温度 • PiNダイオードでの消費電力 ton T ton PD I FVF I LVR T T • 温度が低い場合 – 上式 第一項 > 第二項 (IL小による) • 温度上昇と共にVF低下 ⇒ PD低下 • 温度が高い場合 – 上式 第一項 < 第二項 (IL大による) • 温度上昇と共にIL増加 ⇒ PD増加(熱暴走) • 動作最大温度 – PiNダイオードでの消費電力 vs. 温度の関係 ⇒ 最小値 52 JBS (Junction Barrier Controlled Schottky) ダイオード アノード 順方向 P+ P+ P+ P+ N N N N 電流通路 オン状態 ↓ P+N接合 順方向バイアス無 N+基板 空乏層広がり カソード (ポテンシャルバリア) アノード 逆方向 P+ P+ P+ P+ N 空乏層端 N N N N+基板 カソード ↓ ショットキー・バリア をシールド ↓ リーク電流低減 耐圧:アバランシェ破壊 (熱暴走なし) ↓ Φbn/ VF低減 53 JBSダイオードの電流路(断面) s 2 m 2d P+ s 2 P+ xj W N 空乏層端 t N+基板 カソード ストライプ形状 xjの横拡散85% 54 JBSの順方向特性 • ショットキー・バリアの電圧降下 kT J FS kT m s V ln ln FS B J FS J FC AT 2 B 2 q AT q 2d m s J FC , J FC:全JBS電流 / セル面積 2d • ドリフト領域の電圧降下 x j t m s m s VFD ln J FC m s 2d 2d • JBSの順方向電圧降下 VF VFS VFD 狭い接合ウィンドウ幅(s) ⇒ 接合下のデッド・スペース活用 ⇒ 低VF 55 JBS逆方向特性 • ショットキー・バリアによるリーク電流 q qB 2d 2 JL AT exp exp ms kT kT E 2qN D s qE 4 s qN D m 1.7 x j 2 Vbi VP Vbi , VP 8 s • 空間電荷発生と拡散によるリーク電流 J LD 2 s D ni2 qniW VR Vbi q , W ND qN D ショットキー・バリアに加わる逆電圧は、ピンチオフ電圧(VP)で抑えられる。 56 MPS(Merged PiN/Schottky)ダイオード アノード P+ P+ オン状態 ↓ P+N接合 順方向バイアス ↓ 伝導度変調 空乏層広がり (ポテンシャルバリア) N ↓ ショットキー・バリア をシールド (JBSと同じ) N+基板 カソード 蓄積電荷: MPS < PiNダイオード 57 MPSダイオードの順方向特性 -PiN、ショットキー・ダイオードとの比較- By Jayant Baliga 58 MPSダイオードのキャリア分布 -PiNダイオードとの比較- 境界条件:ショットキー界面でキャリア=0 By Jayant Baliga 59 MPSダイオード特性の特長 -リバース特性- • リバース・リカバリー特性 – JPR ⇒ MPS < PiN • 理由:蓄積電荷:MPS<PiN • 効果:パワーロス低減、回路内トランジスタへのストレス低減 – di/dt ⇒ MPS < PiN • 理由:① JPR小 ② ブロッキング・ジャンクションでの低キャリア密度(MPS) 早い逆電圧の立上り ⇒ 多くの残留電荷(MPS) • 効果:電圧スパイク対策に有効(ソフトリカバリー) • リバース・ブロッキング特性 – 逆耐圧 ⇒ MPS ≒ PiN (ポテンシャル・バリアによる) – 高温リーク電流 ⇒ MPS > PiN(ショットキー領域のため) • 対策:高いショットキー・バリア高さ(0.8V)の採用 60 パワーダイオードのトレンド • VLSI用電源電圧の低下に対応 ⇒ JBS(低い順方向電圧) • パワートランジスタの高電圧、高周波化に対応 (高スピード、高電圧(100~600V)ダイオードの要求) ⇒ PiNダイオード ⇒ MPSダイオード(Si技術) ⇒ SiCのショットキーダイオード 61
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