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2015年3月2日
パワー・ダイオードの特性
群馬大学
松田順一
1
概要
• パワー・ダイオードの用途と特徴
• ショットキー・バリア・ダイオード
–
–
–
–
–
メタル・半導体コンタクト
順方向特性
逆方向特性
トレードオフ・カーブ、パワー消失と温度、バリア低下、エッジ終端構造
高耐圧ショットキー・バリア・ダイオード
• PiNダイオード
–
–
–
–
–
順方向特性(極低、低、高レベル注入)
逆方向特性(リバース・リカバリー特性,ライフタイム制御)
ドーピング不純物
オーミック・コンタクト
最大動作温度
• JBS (Junction Barrier Controlled Schottky) ダイオード
• MPS( Merged PiN/Schottky)ダイオード
• トレンド
(注)群馬大学アナログ集積回路研究会 第65回講演会(2007年7月20日)資料から抜粋
2
ダイオードの種類
• 整流ダイオード
– 一般用、高速用、ファースト・リカバリー・ダイオード
• ショットキー・バリア・ダイオード
– 整流用、小信号用、高周波用
• ツェナー・ダイオード
– ESD保護用、定電圧用
• 可変容量ダイオード
– チューナー( AM, FM, UHF/VHFなど)用、VCO用
• 可変抵抗(PiNダイオード)
– AGC(Auto Gain Control)用
3
パワー・ダイオードの用途と特徴
• 用途:DC-DCコンバータ、AC-DCコンバータ
– 情報、家電、車載等の各種スイッチング電源
• 特徴
– ショットキー・バリア・ダイオード
•
•
•
•
低順方向電圧VF(0.5~0.6V)
リーク電流大
ユニポーラ
逆特性リカバリー:早い
– PiNダイオード
•
•
•
•
高順方向電圧VF(~0.9V)
リーク電流小
バイポーラ(伝導度変調により低抵抗化)
逆特性リカバリー:遅い
4
DC-DCコンバータの基本回路
+
Vi
Vo
+
Vi
Vo
-
-
昇圧型
降圧型
-
Vi
Vo
+
昇降圧型
5
エネルギー・バンド
-メタルと半導体:分離-
m
s
s
EC
E Fs
E Fm
EV
メタル
半導体(n型)
6
エネルギー・バンド
-メタルと半導体:接触-
ショットキー
バリア障壁
E
qVbi
bn
EC
m
F
2 sVbi
W0 
qN D
EFs
空乏層
メタル

W0

EV
半導体(n型)

qVbn  qVbi  EC  EFs  m  s   EC  EFs

7
順方向電導におけるエネルギー・バンド
(a)
(b)
bn
E Fm
(c)
(d)
qVbi  qVF
EC
EFs
qVF
(a)が支配的
⇒ユニポーラ
デバイス
EV
メタル
半導体(n型)
8
電流電圧特性
• ショットキー・バリア界面を横切る電流
– 熱電子放出

J  AT 2 e  qbn kT  e qV
kT 

1
A : 実効リチャードソン定数
A  110A/cm 2 /K 2 (N型Si )
A  140A/cm 2 /K 2 (N型GaAs)
T : 絶対温度、q : 電子電荷、k : ボルツマン定数、
bn : バリア高さ、V : 印加電圧
9
ショットキー・パワー・ダイオードのエネルギー・バンド
メタル
N型ドリフト領域
WD
コンタクト
N+基板
WS
EC
エネルギー
バンド
EF
EV
等価回路
RD
RS
10
順方向電流特性
• 順方向電流
J F  AT 2e qbn kT eqVFB
kT 
VFB : ショットキー・バリアを横切る電圧
• 順方向全電圧降下
kT  J F
VF 
ln 
q  JS

  RS J F


J S  AT 2 e qbn kT:飽和電流
RS : 全直列抵抗(単位面積当り)
ドリフト領域、基板、コンタクト抵抗
11
飽和電流のバリア高さ依存性
飽和電流JS (A/cm2 )
-ショットキー・バリア・ダイオードー
1.0E+02
1.0E+01
1.0E+00
1.0E-01
1.0E-02
1.0E-03
1.0E-04
1.0E-05
1.0E-06
1.0E-07
1.0E-08
1.0E-09
JSはΦbnとTに強く依存
T=300K
T=350K
T=400K
T=450K
0.5
0.6
0.7
バリア高さΦ bn (eV)
0.8
0.9
A=110(A/cm2/K2)
12
ブレーク・ダウン電圧の順方向特性への影響
-ショットキー・バリア・ダイオードー
1.6
順方向電圧VF (V)
1.4
Φbn=0.8eV, T=300K
SBDは高電圧では一般的に使用不可
N型ドリフト領域の
抵抗増大による
ブレーク・ダウン
電圧BVpp
1.2
50V
100V
150V
200V
300V
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
1.E+01
VF(SBD)≒0.5V (at BVpp=50V, JF=100A/cm2) < VF(PiN)≒0.9V(typ)
1.E+02
1.E+03
2
電流密度J F (A/cm )
基板抵抗とコンタクト抵抗無視
13
順方向電圧の温度依存性
-ショットキー・バリア・ダイオードー
JF=100A/cm2
低ブレークダウン電圧の場合:BVpp(≒50V)
0.7
VF  bn 
順方向電圧VF (V)
0.6
kT  J F 
ln 

q  AT 2 
0.5
バリア高さbn
0.7(eV)
0.8(eV)
0.9(eV)
0.4
0.3
0.2
T上昇 ⇒ JS増大 ⇒ VF低下
0.1
0.0
300
350
400
温度T (K)
450
500
14
イメージ・フォースによるショットキー・バリア低下
xm
0
x
b
イメージ・フォースによる
ポテンシャル・エネルギー
bn
E
E Fm
EC
E Fs
qEm
2qN D
VR  Vbi 
b 
, Em 
4 s
s
15
リーク電流特性
-ショットキー・バリア・ダイオードー
リーク電流密度(A/cm2)
6.0E-06
リーク電流
・Φbn低下(支配的)
・空間電荷発生
と拡散成分(無視)
2  q bn  b  kT
J R1 (VR )   AT e
5.0E-06
4.0E-06
インパクト・イオン化
JS(A/cm2)
JR1(A/cm2)
JR2(A/cm2)
3.0E-06
Φbn低下
2.0E-06
飽和電流
1.0E-06
JS:飽和電流
JR1:バリア低下考慮
JR2:バリア低下
+アバランシェ倍増考慮
0.0E+00
0
10
20
30
逆方向電圧V R (V)
40
50
16
リーク電流の温度依存性
-ショットキー・バリア・ダイオードー
熱暴走(正帰還)
パワー消散増大 ⇒ 温度増大
リーク電流増大
リーク電流密度JR 2(mA/cm2)
50
45
40
バリア高さ
35
0.6(eV)
0.7(eV)
0.8(eV)
0.9(eV)
30
25
20
15
10
5
0
300
320
340
360
380
400
420
温度T (K)
440
460
480
500
JR2:バリア低下+アバランシェ倍増考慮
逆方向電圧:10(V)
17
bn
逆方向リーク電流密度 JR (A/cm2)
順方向電圧と逆方向リーク電流のトレードオフ
1.E-01
 qVF 
J R  J F exp  

 kT 
1.E-02
JF=100(A/cm2)
300(K)
350(K)
400(K)
450(K)
1.E-03
1.E-04
バリア低下無視
アバランシェ倍増無視
ドリフト領域抵抗無視
1.E-05
1.E-06
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
順方向電圧 V F (V)
トレードオフはΦbn から決定
⇒ Siを他の半導体に変えても改善されない。(低耐圧の場合)
18
パワー消失と温度との関係
-パラメータ:バリア高さー
JF=100 (A/cm2)
VR=20 (V)
デューティ比:0.5
パワー消失密度(W/cm2)
35
30
25
バリア高さΦbn
0.6(eV)
0.7(eV)
0.8(eV)
0.9(eV)
20
15
10
5
Φbn低下
リーク電流増大
0
300
350
400
温度T (K)
450
500
Φbnは最低0.7(eV)以上必要
19
パワー消失と温度との関係
-パラメータ:デューティ比ー
パワー消失密度(W/cm2 )
35
最小値のところのTはDと共に増大
30
デューティ比
25
D=0.1
D=0.25
D=0.5
D=0.75
20
15
10
JF=100 (A/cm2)
VR=20 (V)
Φbn=0.8(eV)
5
0
300
350
400
温度T (K)
450
500
20
ショットキー・バリア高さ
メタルの仕事関数とショットキー・バリア高さ(Siショットキー・パワー・ダイオード用)
メタル
仕事関数(eV)
Al
Cr
Mo
Pt
W
4.28
4.50
4.60
5.65
4.55
0.61
0.68
0.90
0.67
バリア高さ(eV) 0.60-0.80
シリサイドのショットキー・バリア高さ(n型Si上)
シリサイド
CrSi2
MoSi2
PtSi2
WSi2
バリア高さ(eV)
0.57
0.55
0.78
0.65
By Jayant Baliga
21
ショットキーバリアの低下
-表面での高ドーピングー
NS
ドーピング密度
ND
0 a
電界
Em
b
バンド図
bn 
be
x
x
W
qEm
q

4 s  s
b 
Em 
q
s
aN S
4
N S a  N D W  a 
EC
EF
ドーズ量:1012~1013 cm-2
△Φb:0.05~0.20eVの低下
EV
22
エッジ終端構造
メタル・オーバーラップ
LOCOS
P+ガードリング
N-ドリフト層
N-ドリフト層
N-ドリフト層
N+基板
N+基板
N+基板
エッジ終端の電界緩和
23
高電圧ショットキー・バリア・ダイオード:GaAs
-ブレーク・ダウン電圧の順方向特性への影響-
順方向電圧VF (V)
5
Φbn=0.8eV, T=300K
Baliga’s figure of merit
4
RD , SP
2
4 BVPP

 s Ec3
VF: SBD(GaAs) < PiN(Si)
at 100~200A/cm2, BVpp≦500V ブレーク・ダウン
電圧BVpp
100(V)
200(V)
300(V)
500(V)
1000(V)
2000(V)
3
2
1
0
1
10
100
1000
電流密度J F (A/cm2)
10000
基板抵抗とコンタクト抵抗無視
24
高電圧ショットキー・バリア・ダイオード:6H-SiC
-ブレーク・ダウン電圧の順方向特性への影響ー
Φbn=1.0eV, T=300K
順方向電圧VF (V)
5
VF: SBD(SiC) < PiN(Si)
at 100~200A/cm2, BVpp≦1000V
4
ブレーク・ダウン
電圧BVpp
200(V)
500(V)
1000(V)
2000(V)
5000(V)
3
2
1
0
1
10
100
1000
2
電流密度J F (A/cm )
10000
基板抵抗とコンタクト抵抗無視
25
PiNダイオードの特性
• フォワード・リカバリー特性
– 電圧オーバーシュート(高di/dtのターンオン時に発生)
• 理由:ターンオン時から定常状態へ向けてN(i)領域の抵抗変化
ターンオン時高抵抗:N(i)領域への不充分な少数キャリア注入
定常時低抵抗:N(i)領域への充分な少数キャリア注入
• リバース・リカバリー特性
– 逆電流(ターンオフ時に発生)
• 理由:N(i)領域に蓄積された少数キャリアの除去
– 電圧オーバーシュート
• 理由:回路内インダクタンスを流れるリバース・リカバリーdi/dt
• N(i)領域の設計
– 必要な逆耐圧を確保後、N(i)領域の抵抗低減
26
フォワード・リカバリー特性
-PiNダイオード-
I SS
ダイオード
電流
ターンオン
di dt
t
電圧オーバーシュート
⇒N( i)領域の抵抗率と厚さに依存
ダイオード
電圧
電流上昇率 > 少数キャリアの拡散
VF
t
27
リバース・リカバリー特性
-PiNダイオード-
ターンオフ
IF
ダイオード
電流
di dt
tA
tB
t
0.25I RP
リバース・リカバリー
I RP
di dt
VF
t
ダイオード
電圧
P+N接合面でキャリア・ゼロ
VRP
VR
28
順方向電流(極低/低レベル注入)
-PiNダイオード-
• 極低レベルの注入
– 空乏層内の再結合電流
qV

qniWD  2kTa
 e  1
JF 

2 SC 

• 低レベルの注入
– 中性領域へ注入された少数キャリアの再結合電流
– 少数キャリア≪多数キャリア
qDP P0 N
JP 
LP
a
 qV

kT
 e  1




N領域の幅≫LP(少数キャリア拡散長)
a
 qV

qDP P0 N
kT
 e  1
JP 

LP tanhW LP  

N領域の幅≒LP(少数キャリア拡散長)
29
低レベル注入のP-N接合
空乏層
P+
キャリア密度
N
PN (0)
P0 N
LP
電流密度
Jn
JP
30
順方向電流(高レベル注入)
-PiNダイオード-
• 高レベル注入
– 注入キャリア密度≫ドーピング密度(N型)
– n(x)=p(x):N領域の電荷中性
– N領域の抵抗の大幅な低下 ⇒ 伝導度変調
– N領域、アノードとカソード端での再結合電流
d
J  q
d
n( x )
 HL
dx 
2qna d
 HL
, n:平均キャリア密度
a
(アノードとカソード端での再結合無視)
キャリア密度は、電流密度に比例して増大する。
⇒ キャリア密度の増大に比例して伝導率も増大する。
⇒ N領域の電圧降下は、電流密度に依存しない。
31
PiNダイオードのキャリアと電位分布
-高レベル注入-
P+
キャリア密度
-d
noP+
電位
0
p
+d
n
n(-d)
n=p
n(+d)
p
n
Va
N+
N
NB
poN+
VP+
Vm
VN+
32
高レベル注入時の電流特性 1
• 連続の式
dn
n
d 2n
0
 Da 2 , D:両極性拡散係数
a
dt
 HL
dx
• 境界条件
– ① N+端(+d):ホール電流⇒ゼロ、電子電流⇒ 全電流
– ② P+端(-d) :ホール電流⇒全電流、電子電流⇒ ゼロ
 dn 
 dp 
① J  2qDn  
, ② J  2qD p  
 dx  x  d
 dx  x  d
電流=拡散電流+ドリフト電流
高レベル注入:n=p
33
高レベル注入時の電流特性 2
• キャリア密度
 HL J  coshx La 
sinh x La  
n p


, La  Da HL
2qLa  sinh d La  2 coshd La 
• 中間領域(N領域)の電圧降下(近似)
2
3kT  d 
3kT d La
  Vm 
for d  La , Vm 
e
for d  La q  La 
8q
Vmは電流密度に依存しない。
⇒ キャリア密度は、電流密度に比例して増大するため。
34
高レベル注入時の電圧降下
中間領域(N)の電圧降下(V)
-PiNダイオード-
1.E+02
1.E+01
2
Vm 
3kT  d 
  : d  La
q  La 
1.E+00
Vm(V)
1.E-01
d 
3kT
Vm 
exp   : d  La
8q
L
 a
1.E-02
1.E-03
0.1
1
10
d/L a
35
高レベル注入時の電流
-エンド領域での再結合がない場合(PiN)-
qV
2qDa ni  d  2 kTa
J
F  e
d
 La 
関数 F(d/La)
1.E+00
qV
d 

d La  tanhd La   2 kTm
F   
e
4
1  0.25 tanh d La 
 La 
1.E-01
F
1.E-02
1.E-03
0.1
1
d/La
10
d/La≒1の時Jが最大
36
順方向電圧降下Vaとd/Laの関係
-PiNダイオード-
順方向電圧降下Va(V)
J=280A/cm2
1.25
1.20
1.15
1.10
1.05
1.00
0.95
0.90
0.85
高キャリア注入
⇒接合電圧降下増大
(端での再結合考慮なし)
Va(V)
伝導度変調低下
⇒中間領域抵抗の
電圧降下増大
端での再結合考慮
0.1
1
d/La
10
37
順方向電流まとめ
-PiNダイオード-
• 極端に低い電流密度(極低レベル注入)
– 空間電荷発生電流
 J F  exp qVa 2kT 
• 低い電流密度(低レベル注入)
– 拡散電流
 J F  exp qVa kT 
• 中程度の電流密度(高レベル注入)
– 両極性拡散(n=p)
 J F  exp qVa 2kT 
• 非常に高い電流密度
– エンド領域での再結合
– キャリア-キャリア散乱による拡散長の減少
⇒指数関数からのずれ
38
PiNダイオードの順方向特性
端領域での再結合、キャリア-キャリア散乱、Auger再結合の影響
①無
②無
③無
①有
②無
③無
①有
②有
③有
①端領域での再結合
②キャリア-キャリア散乱
③Auger再結合
①有
②有
③無
By Jayant Baliga
39
PiNダイオード逆方向リーク電流
電界 E
P+
N(i)
空間電荷発生電流 JSC
拡散電流 JDN
拡散電流
JDP
空乏層 W
J L  J DP  J SC  J DN
2
qDn ni2 qWni qD p ni



Ln N A
 sc
Lp N D
40
PiNダイオード・リバース・リカバリー特性
t0
t1
JF
t2
t rr
tA
tB
t
0
キャリア
密度
J PR
t 0
n(d )
n
t0
P+
N(i)領域
t1
0
b
x
41
リバース・リカバリー特性解析:JPR
• JPRの導出
dn
J F  2qDn
dx
dn
, dx
x  d

x d
n d   n

b
2qDn n d   n
 b 
JF
n
J F HL

J PR  2qDn , n 
b
2qd
 HL Dn
 J PR 
JF
bd
• JPRの低減

d

n( x ) 
 J   qRdx , R 


HL 
d



2qna d
 J 

 HL


– 中間領域でのτHLを低下させると、 JPRは低減する。
42
リバース・リカバリー特性解析:trr
• trrの導出
 HL Dn
1

J PR t rr  QS  qn 2d  J F HL ,  J PR 
JF
2
bd
J F 2bd
 t rr  2 HL

J PR
Dn
trrの低減
⇒ ① τHLを低減、② JFに対しJPRを増大
43
リバース・リカバリー特性解析:tB/tA
• tAの導出
1
1
b HL J F
J F HL


J PR t A  QR (t A )  qbn 
, n 
2
2
4d
2qd
b HL J F
 t A 
2d J PR
• tBとtB/tAの導出
b 
JF
t B  4d 

t B  trr  t A   2 
,  
 1
 HL
2d 
J PR
tA  b


ソフト・リカバリー⇒tB領域のdi/dt:小⇒tB/tA:大⇒d:大、b:小
44
ライフタイム制御
• ファースト・リカバリー
trr  2 HL J F J PR : 小   HL:小、J PR:大、J F:既定
• ライフタイム低減の手法 (再結合中心の形成)
– 不純物導入:Au拡散、Pt拡散
– 注入:高エネルギー電子注入、プロトン注入、He注入
• 順方向電圧降下とリバース・リカバリー時間のトレードオフ改
善
– 再結合中心の不均一分布導入
• Nベースの中央領域 かつ P-N接合から離れた領域に再結合中心を形成
– プロトンやHeにより、再結合中心分布の狭帯化
• Au、Pt拡散係数大(Si中)、電子注入⇒再結合中心の狭い分布は難しい。
• 再結合中心によるリーク電流の発生
– 再結合レベル位置がエネルギーギャップの中央近傍:リーク電流大
– リーク電流:Pt拡散<電子注入<Au拡散
• フォワード・リカバリー特性
– 再結合中心密度増加⇒フォワード・リカバリー特性の悪化(トレードオフの関係)
45
トレードオフ・カーブ(VFvs.trr)
-Au、Pt、電子照射(ER)-
By Jayant Baliga
46
ライフタイム比の抵抗率依存性比較
-Au、Pt、電子照射(ER)-
ライフタイム比(τ
HL/τ
LL)
Pt
Au
1.E+02
Au(T=300K)
Au(T=350K)
Pt(T=300K)
Pt(T=350K)
ER(T=300K)
ER(T=350K)
1.E+01
1.E+00
1.E-01
1.E+00
ER
1.E+01
1.E+02
抵抗率(Ω cm)
1.E+03
Au(ERと比較):τHL/τLL大 ⇒ VF:低、スイッチング・スピード:アップ
47
ドーピングプロファイル
従来プロファイル
ドーピング
P+拡散
N+基板
改良プロファイル
N2 (mid 1014 cm 3 )
N1
階段接合 ⇒ リバース・リカバリーのスピードアップ
・空乏層広がりを抑制
・伝導度変調あり
・蓄積電荷の急峻な除去なし
⇒ソフト・リカバリー
48
従来型オーミック・コンタクト
アノード
P
電子
電子
+
N
正孔
N+
N
N+
正孔
カソード
構造
バンド図
49
改良オーミック・コンタクト
-P+とN+のモザイク構造-
アノード
P+
電子
電子
P+
正孔
N
N
N+
P+
N+
カソード
構造
P+
N+
N+
正孔
バンド図
50
改良オーミック・コンタクト
-ショットキー界面を持つ構造-
アノード
P+
N
N+
N+
N+
カソード
51
最大動作温度
• PiNダイオードでの消費電力

ton
T  ton 
PD  I FVF
 I LVR
T
T
• 温度が低い場合
– 上式 第一項 > 第二項 (IL小による)
• 温度上昇と共にVF低下 ⇒ PD低下
• 温度が高い場合
– 上式 第一項 < 第二項 (IL大による)
• 温度上昇と共にIL増加 ⇒ PD増加(熱暴走)
• 動作最大温度
– PiNダイオードでの消費電力 vs. 温度の関係 ⇒ 最小値
52
JBS (Junction Barrier Controlled Schottky) ダイオード
アノード
順方向
P+
P+
P+
P+
N
N
N
N
電流通路
オン状態
↓
P+N接合
順方向バイアス無
N+基板
空乏層広がり
カソード
(ポテンシャルバリア)
アノード
逆方向
P+
P+
P+
P+
N
空乏層端
N
N
N
N+基板
カソード
↓
ショットキー・バリア
をシールド
↓
リーク電流低減
耐圧:アバランシェ破壊
(熱暴走なし)
↓
Φbn/ VF低減
53
JBSダイオードの電流路(断面)
s 2
m
2d
P+
s 2
P+
xj
W
N
空乏層端
t
N+基板
カソード
ストライプ形状
xjの横拡散85%
54
JBSの順方向特性
• ショットキー・バリアの電圧降下
kT  J FS 
kT  m  s 
V  
ln
 
ln
FS
B
 J FS
J FC 
AT 2 
B
2

q  AT 
q  2d

m  s

J FC , J FC:全JBS電流 / セル面積
2d
• ドリフト領域の電圧降下

x j  t m  s   m  s 
VFD  
ln 
 J FC
m  s  2d   2d 
• JBSの順方向電圧降下
VF  VFS  VFD
狭い接合ウィンドウ幅(s)
⇒ 接合下のデッド・スペース活用 ⇒ 低VF
55
JBS逆方向特性
• ショットキー・バリアによるリーク電流
 q
  qB 
 2d  2
JL  
 AT exp  
 exp 
ms
  kT 
 kT
E 
2qN D
s
qE
4 s




qN D
m  1.7 x j 2  Vbi
VP  Vbi , VP 
8 s
• 空間電荷発生と拡散によるリーク電流
J LD
2 s
D ni2 qniW
VR  Vbi 
q

, W 
 ND

qN D
ショットキー・バリアに加わる逆電圧は、ピンチオフ電圧(VP)で抑えられる。
56
MPS(Merged PiN/Schottky)ダイオード
アノード
P+
P+
オン状態
↓
P+N接合
順方向バイアス
↓
伝導度変調
空乏層広がり
(ポテンシャルバリア)
N
↓
ショットキー・バリア
をシールド
(JBSと同じ)
N+基板
カソード
蓄積電荷: MPS < PiNダイオード
57
MPSダイオードの順方向特性
-PiN、ショットキー・ダイオードとの比較-
By Jayant Baliga
58
MPSダイオードのキャリア分布
-PiNダイオードとの比較-
境界条件:ショットキー界面でキャリア=0 By Jayant Baliga
59
MPSダイオード特性の特長
-リバース特性-
• リバース・リカバリー特性
– JPR ⇒ MPS < PiN
• 理由:蓄積電荷:MPS<PiN
• 効果:パワーロス低減、回路内トランジスタへのストレス低減
– di/dt ⇒ MPS < PiN
• 理由:① JPR小
② ブロッキング・ジャンクションでの低キャリア密度(MPS)
早い逆電圧の立上り ⇒ 多くの残留電荷(MPS)
• 効果:電圧スパイク対策に有効(ソフトリカバリー)
• リバース・ブロッキング特性
– 逆耐圧 ⇒ MPS ≒ PiN (ポテンシャル・バリアによる)
– 高温リーク電流 ⇒ MPS > PiN(ショットキー領域のため)
• 対策:高いショットキー・バリア高さ(0.8V)の採用
60
パワーダイオードのトレンド
• VLSI用電源電圧の低下に対応
⇒ JBS(低い順方向電圧)
• パワートランジスタの高電圧、高周波化に対応
(高スピード、高電圧(100~600V)ダイオードの要求)
⇒ PiNダイオード
⇒ MPSダイオード(Si技術)
⇒ SiCのショットキーダイオード
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