>> http://www.bc-cytometry.com 11 CD34+造血幹細胞数の測定と解析方法 -ISHAGE プロトコル- Ⅰ. はじめに 末梢血幹細胞移植(PBSCT)において、CD34 陽性細胞数は、比較的簡便に測定しうることから、造血幹細胞/前駆細 胞数の指標としてよく用いられています。移植細胞中の造血幹細胞/前駆細胞の数は、移植の成否に直接関わるため、 CD34 陽性細胞数を正確に知ることは臨床的にも重要です。より正確な測定を実現するために、測定試薬のキット化や 関連学会(国際血液療法・移植学会-ISHAGE、現 ISCT)のプロトコルを代表としたサンプル調整や解析方法の標準化 など、測定値の精度向上に向けた努力がなされています。 ベックマン・コールター社の Stem-Kit では、ISHAGE プロトコルに準拠した CD34 陽性細胞数の精密測定に加えて、独 自に開発した Stem-Trol(CD34 陽性コントロール細胞:絶対数既知)を用いた精度管理を実施することも可能です。 Ⅱ. Stem-Kit による検体測定までの流れ 精度管理 プロセスコントロールとして正常末梢血に StemTrol™を加えて CD34 陽性細胞数を測定します。測 定値を Stem-Trol™アッセイ値と照合することによ り、機器設定及びサンプル調製が正しく行われてい ること確認します。 サンプル測定 問題点がないことを確認後、検体サンプルを 重複測定し、平均値を算出します。 Ⅲ. Stem-Kit(50テスト)構成試薬および必要な試薬 ● Stem-Kit CD34 HPC Enumeration Kit 製品番号:A15573(IM3630×1+IM3632×2) キット内容 ・CD45-FITC/CD34-PE ・CD45-FITC/Isoclonic Control-PE ・Stem-Count(CD34 陽性細胞数測定用ビーズ) ・Lysing Solution(溶血剤:塩化アンモニウム 10 倍濃縮) ・7-AAD Viability Dye ・Stem-Trol(CD34 陽性コントロール細胞) 110 テスト分×1 バイアル 60 テスト分×1 バイアル 200 テスト分×1 バイアル 100 テスト分×2 バイアル 180 テスト分×1 バイアル 10 テスト分×2 バイアル IM3630 IM3632 ● StemComp(製品番号:IM3631)または CD8-FITC/CD4-PE(製品番号:IM1379) -蛍光補正用- 必要に応じて ● Coulter Stem-Trol Control Cells(製品番号:IM3632) -補充用- Ⅳ. Stem-Kit の特長 ISHAGE(国際血液療法・移植学会)プロトコルの測定方法に準拠 ISHAGE プロトコル (DR Sutherland, et al.: J. Hematother. Vol.5: 213-226, 1996) 抗 体 ● 抗 CD34 抗体は、classⅢまたは PE 標識の classⅡを使用する。 ● CD45-FITC/CD34-PE の2カラー分析を行う。 測 定 ● FS/SS/CD45/CD34 による階層化ゲーティング ● 白血球数(CD45+)75,000 個以上測定 ● CD45/CD34 を重複測定し、平均値を採用 以下(M.Keeney, et al.: Cytometry vol.34: 61-70, 1998)により追加 ● 内部標準ビーズによる CD34 絶対数直接測定 ● 7-AAD による死細胞除去測定 ISHAGE プロトコルに関する情報は、ISHAGE(ISCT)ホームページでも入手できます。 (http://www.ishage.org/committees/Committees/Graft_Evaluation/graft.htm) ・ ・ ・ キットで使用している CD34 classⅢ(581)及び CD45(J33)は、ISHAGE CD34 測定プロトコルでも推奨されているクロー ンで、S/N 比が高く、わずかな CD34 陽性、CD45 弱陽性細胞集団を確実に見出すことができます。 Isoclonic Control (図参照)を使うことにより、効果的に CD34 陽性細胞リージョン内の「偽陽性細胞」を除くことができ、 ゲーティングの誤差による測定値の変動を少なくすることができます。 検体として新鮮アフェレーシス検体、全血、臍帯血、及び骨髄検体に使用できます。7-AAD の使用により、凍結保存検体 にも使用可能です。 ◆ 造血幹細胞数測定に必要な試薬がセットになっており、抗体試薬(2 カラー)は調製済です(Ready for use)。 ◆ 内部標準ビーズ法によるシングルプラットフォーム測定 絶対数が既知の Stem-Count を直接検体の中に入れて測定し、ビーズと細胞の数を比率計算します。 ※FCM による CD34 陽性細胞陽性率と血球計算機のデータから CD34 陽性細胞数を算出する方法をデュアルプラットフォーム測定と呼びます。 ◆ 同一検体から調製した検体を重複測定し、その平均値を採用 同じテストサンプルを 2 本用意し、重複(繰り返し)測定します。2つの結果がかけ離れた結果でないかどうかを確認し、その 平均値を採用します。Stem-Kit には、重複測定分の抗体がセットになっています。 ◆ 細胞のロスを防ぐため、No-wash 法 ◆ CD34 陽性コントロール細胞 Stem-Trol を付属 Stem-Trol は、KG1a 細胞を長期安定化処理した CD34 陽性コントロール細胞です。あらかじめアッセイ値が明記されていま すので、測定方法の正確度を評価し、精度管理ができます。 図. Isoclonic control Isoclonic Control は CD34-PE 標識抗体と CD34 精製抗体(未標識を1:10の割合で混合したものです。 未標識抗体が PE 抗体よりもアフィニティーが強い点を利用したもので、抗原抗体反応に無関係な非特異的結 合を検出できます。 CD34-PE 標識抗体 CD34 未標識抗体 未標識抗体が CD34 に先回りしてブロック PE 抗体が結合しても数量 的に蛍光量が低いため、 「CD34 陽性」リージョンか ら外れます。 CD34 サンプル 1 Application Note 11 10 100 1000 コントロールサンプル 1 10 100 1000 -2- Ⅴ. 精度管理について <CD34+細胞絶対数測定における誤差要因> ISHAGE プロトコル ISHAGE プロトコル 検体が手元に届いてから、正確な CD34+細胞数測定に至るまでには、上記に示すような様々な誤差要因が存在します。正 確に CD34+細胞数測定をするためには、こうした誤差要因をできる限り排除して標準化された方法に従うことが重要です。ま た、その結果を客観的に評価し継続的な改善を行なうことが精度管理の基本的な考え方です。 検体の採取方法や保存方法、測定時におけるゲーティング方法については、ISHAGE<国際血液療法・移植学会>の示す ガイドラインや自施設内での作業標準書の整備によって標準化することが可能です。一方サンプル処理における試薬の状態 や反応条件(温度、時間)、手技、機器の状態や設定については、プロセスコントロールを用いて確認する方法が一般的です。 <Stem-Trol> は正常末梢血に加えることでプロセスコントロールとしての使用が可能な CD34 陽性細胞です。これを用い て検体と同様にサンプル調製し、コントロール細胞数(回収率)をカウントすることにより、試薬や反応条件の適切さとともに、 先に述べた標準化の効果を確認することができます。 Ⅵ. Stem-Kit による精度管理操作手順(ダイジェスト) 全て同時に処理する CD45/ CD45/ CD34/ コントロール/ 7-AAD 7-AAD CD45/ CD45/ CD34/ コントロール/ 7-AAD 7-AAD 陽性コントロール 正常末梢血 + Stem-Trol CD45/ CD45/ CD34/ コントロール/ 7-AAD 7-AAD 検体1 CD45/ CD45/ CD34/ コントロール/ 7-AAD 7-AAD 検体 X 検体2 室温、20 分 溶血 室温、10 分 Stem-Count 添加 FCM 測定 陽性コントロールサンプルで Stem-Trol の回収率を確認 ±15%以下 検体の測定へ進む ±16%以上 サンプル調製~測定の各ステップの再確認 サンプル調製のやり直し -3- Application Note 11 Ⅵ. Stem-Kit 使用手順 1. 精度管理のための Stem-Trol 処理手順 1) 試験管の準備 試験管2本を用意し、 ① TROL 45/34 ② TROL 45/CONTROL とラベルします。 2) 抗体の分注 で準備した試験管に 各抗体を 20μL 分注します。 ① CD45-FITC/CD34-PE ② CD45-FITC/CONTROL-PE 抗体 20μL 3) 7-AAD の添加 7-AAD を 20μL ずつ添加します。 7-AAD 20μL 4) 正常末梢血の分注 各々の試験管に 正常末梢血を 100μL 加えます。 末梢血 100μL 注) この時サンプルチューブの壁に血液が付かないように気をつけてく ださい。 付着した場合は、濡らした綿棒で拭き取ってください。 5) Stem-Trol 添加 ①と②の試験管によく攪拌した Stem-Trol を 20μL 加えます。 注) Stem-Trol 添加は、キャリブレーションされたピペットを用いて正確 に行ってください。 Application Note 11 -4- Stem-Trol 20μL 6) 抗体のインキュベーション 室温、暗所で 20 分間インキュベーションします。 室温、暗所 7) 溶血剤の添加 1×Lysing Solution(10×Lysing Solution:蒸留水=1:9)を調製し、 試験管①、②に 2mL ずつ加えて攪拌後、室温、暗所で 10 分間イン キュベーションします。 室温、暗所 注) 1×Lysing Solution の調製は測定日ごとに行ってください。 洗浄操作(遠心分離~上清除去)は、絶対数測定の誤差要因とな りますので、No Wash 法による溶血が理想的です。 8) Stem-Count の添加 室温に戻した Stem-Count を泡立たないように注意しながらよく攪拌 し、試験管①、②に 100μL ずつ加え、再度 5 秒以上攪拌します。 Stem-Count 100μL 注)・Stem-Count の添加は、測定の直前に行ってください(添加後、2 時間以内に解析)。 ・Stem-Count の添加は、キャリブレーションされたピペットを用いて 正確に行ってください。 9) 測定 測定直前に攪拌し、フローサイトメーターで分析します。 注) Stem-Count のビーズが凝集すると、正確な細胞数をカウントでき ません。 必ず測定直前に十分攪拌してください。 CD34 回収細胞数 [#CD34tube①-#CD34tube②] が Stem-Trol アッセイ値±15%以内なら OK! -5- Application Note 11 2. 検体サンプル処理手順 ・ Stem-Kit では、検体サンプルを重複測定し、それぞれの平均値を採用することでより精密なデータを取得することを推奨し ています。 ・ Stem-Kit の対象検体は、新鮮(採取後 24 時間以内)アフェレーシス検体、末梢血、臍帯血、及び骨髄検体です。 分離した CD34 陽性細胞については、添付の Lysing Solution の代わりに Hank’s BSS(5%FCS 含む)に浮遊させて測 定してください。 1) 試験管の準備 試験管を 1 検体につき3本用意し、それぞれ Ⓐ45/34 #1 Ⓑ 45/34 #2 Ⓒ 45/CONTROL と ラベルします。 2) 抗体の分注 1)で準備した試験管に 各抗体を 20μL 分注します。 Ⓐ CD45-FITC/CD34-PE Ⓑ CD45-FITC/CD34-PE Ⓒ CD45-FITC/CONTROL-PE 3) 7-AAD の添加 7-AAD を 20μL ずつ添加します。 4) 検体の分注 各々の試験管に検体を 100μL 加えます。 抗体 20μL 7-AAD 20μL 検体 100μL 注) この時サンプルチューブの壁に血液が付かないように気を つけてください。 付着した場合は、濡らした綿棒で拭き取ってください。 5) 抗体のインキュベーション 室温、暗所で 20 分間インキュベーションします。 Application Note 11 室温、暗所 -6- 6) 溶血剤の添加 1×Lysing Solution(10×Lysing Solution:蒸留水=1:9)を 調製し、全ての試験管に 2mL ずつ加えて攪拌後、室温、暗 所で 10 分間インキュベーションします。 室温、暗所 注) ・ 1×Lysing Solution の調製は測定日ごとに行ってく ださい。 ・ 洗浄操作(遠心分離~上清除去)は、絶対数測定の 誤差要因となりますので、No Wash 法による溶血が 理想的です。 ・ 分離した CD34 陽性細胞の場合は、 Lysing Solution は使わず、 5%FCS+Hank’s 2mL に浮遊させます。 7) Stem-Count の添加 室温に戻した Stem-Count を泡立たないようによく攪拌し、 全ての試験管に 100μL ずつ加え、再度 5 秒以上攪拌しま す。 Stem-Count 100μL 注) ・ Stem-Count の添加は、測定の直前に行ってくださ い(添加後、2 時間以内に解析)。 ・ Stem-Count の添加は、キャリブレーションされたピ ペットを用いて正確に行ってください。 8) 測定 測定直前に攪拌し、FCM で分析します。 Stem-Count 添加後 2 時間以内に分析を行ってください。 注) Stem-Count のビーズが凝集しますと、正確な細胞数 をカウントできませんので、必ず測定直前に十分に攪 拌をしてください。 -7- Application Note 11 Ⅶ. 測定データ解析方法 ここでは EPICS XL SYSTEMⅡのヒストグラム例を元に説明していますが、EPICS XL EXPO32 ADC および CytomicsFC500 RXP/CXP で測定の場合も、同様のプロトコルを 設定することで解析可能です。 「Stem-Trol の回収率の測定」及び「検体の測定」ともに下記プロトコルに従って行います。 A B E C 検体中の白血球領域にリー ジョンを設定 白血球中の CD34 陽性細胞 にリージョンを設定 CD45 陽性細胞集団全体(造血幹 細胞を含む白血球)にリージョン A を設定します。 ヒストグラム2~4のゲートに A を 設定します。 リンパ球領域にリージョンIを設定 し、ヒストグラム6にIゲートを設定 します。 CD34 陽性かつ低 SS 強度の細 胞にリージョン B を設定します。 ヒストグラム 3,4 のゲートを AB (A かつ B)に設定します。 こ の ヒ スト グ ラ ム でカ ウ ン ト 数 を 75,000 に設定します。 CD45 強 陽 性 の 細 胞 集 団 を 除き、CD34 陽性細胞領域を 設定 CD45 が強陽性の細胞集団[非特 異反応を示す白血球(リンパ球ま たは単球)]を含まないようにリー ジョン C を設定します。 ヒストグラム4のゲートを ABC(A かつ B かつ C)に設定します。 E H I F D CD34 陽性細胞領域の決定 反応性の確認 ディスクリミネータの確認 顆粒球やデブリを含まないように リージョン D を設定します。 このリージョン D(A かつ B かつ C かつ D)が Stem Cell のリー ジョンになります。 リージョンB中の細胞が CD 34+/CD 45dim かどうかを確 認します。Stem-Count にリージョ ンHを設定します。 リージョン D をコピーして細胞数 測定のためのリージョンがディス クリミネーターで切られていないか どうかを確認します。 Application Note 11 -8- G J TIME パラメータで流体系の安 定性をモニタ Stem-Count ビーズの部分にリー ジョンGを設定し、リージョン名を 「CAL」と入力します。 ※ EXPO32 または RXP/CXP の場合、ヒストグラム上に 「CAL」と表示されます。 また、ビーズが安定して流れてい るかどうかを確認します。 死細胞の除去(行う場合) 7 -AAD に 染 色 さ れ な い 細 胞 群 (生細胞)にリージョン J を設定し ます。 ヒストグラム1~4にゲート J を設 定します。 注: 「Stem-Trol 回収率の測定」の際には、ヒストグ ラム1~4のゲート J を外してください。 Stem-Trol は固定細胞のため、死細胞と同様、 7-AAD 陽性となります。 -9- Application Note 11 正しく測定するためのポイント ―感度および蛍光補正(Compensation)値の確認― Stem-Kit を用いた幹細胞測定は、FITC(CD45)/PE(CD34)/7-AAD(死細胞)の3カラー測定を行うため、正しく 測定するためには各検出器の感度設定および蛍光補正(Compensation)の調整が重要です。 下記の要領に従って、定期的に感度および蛍光補正値を確認し、必要に応じて下図のようになるように調整を行っ てください。 1. サンプル調製 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 試験管に正常ヒト末梢血 100μL を分注します。 Stem-Trol 20μL を添加します。 IM3631(StemCOMP)または IM1379(CD8-FITC/CD4-PE)を 20μL 添加します。 7-AAD を 20μL 添加します。 試験管をよく撹拌して混合します。 室温、暗所で 20 分間インキュベーションします。 溶血剤(Stem-Kit 付属、用時 10 倍希釈)を2m L 添加し、室温、暗所で 10 分間インキュベーションします。 測定します。 2. 測定 B A 細胞のスキャッタを設定 FS および SS の感度を設定し、リ ンパ球領域にリージョン A、リンパ 球+Stem-Trol の領域にリージョン B を設定します。 ヒストグラム2には、ゲート A を、 ヒストグラム3、4にはゲート B を 設定します。 FITC および PE の感度設定 と FITC 、 PE 間 の 蛍 光 補 正 確認 FITC および 7-AAD の感度設 定と FITC、7-AAD 間の蛍光 補正確認 それぞれの感度設定および蛍光補正値の調整が終 わったら、 Screen<CytoSettings の条件を印刷(またはメモ)し、 Stem-Kit のプロトコルの CytoSettings に手入力して条 件を写します。 PE および 7-AAD の感度設 定と PE、7-AAD 間の蛍光補 正確認 Application Note 11 - 10 - Ⅷ. 測定データ解析方法 -他社フローサイトメーターの場合- 以下の手順でデータ解析を行ってください。 (例:B-D FACSCalibur、CELLQuest で解析) 検体中の白血球領域にリー ジョンを設定 白血球中の CD34 陽性細胞 にリージョンを設定 FL1/SSC Dot Plot 上で CD45 陽性細胞集団全体(造血幹細 胞を含む白血球)に R1 を設定 します。 リンパ球領域に R5 を設定しま す。 FL2/SSC Dot Plot 上で CD34 陽性かつ低 SS 強度の細胞に R2 を設定します。 この Dot Plot のゲートを R1 に 設定します。 この Dot Plot で 75,000 以上カ ウントします。 CD34 陽 性 細 胞 領 域 の 決定 FSC/SSC Dot Plot 上で顆粒 球やデブリを含まないように R4 を設定します。 この R4 が Stem Cell のリー ジョンになります。 この Dot Plot のゲートを R1 か つ R2 かつ R3 に設定します。 CD45 強陽性の細胞集団を 除き、CD34 陽性細胞領域 を設定 FL1/SSC Dot Plot 上で CD45 が強陽性の細胞集団[非特異反 応を示す白血球(リンパ球また は単球)]を含まないように R3 を設定します。 この Dot Plot のゲートを R1 か つ R2 に設定します。 反応性の確認 ディスクリミネータの確認 R2 中の細胞が dim CD 34+/CD 45 かどうか を確認します。 こ の ヒ ス ト グ ラ ム の StemCount に R8 を設定します。 R4 をコピーして細胞数測定の ためのリージョンがディスクリミ ネータで切られていないかどう かを確認します。 この Dot Plot のゲートを R5 に 設定します。 - 11 - Application Note 11 TIME パラメータで流体系の 安定性をモニタ Stem-Count の位置に R7 を設 定します。 Application Note 11 死細胞の除去(行う場合) 死細胞の除去を行う場合は、ヒスト グラム8に SSC/FL3 Dot Plot を作 成します。 生細胞(7-AAD-)にリージョン R9 を設定し、ヒストグラム1~4にゲー ト R9 も設定します。 - 12 - Ⅸ. 計算・判定方法 1. Stem-Trol の回収率 a. EPICS XL SystemⅡ使用の場合 各チューブ内の CD34 陽性細胞絶対数は、あらかじめ Stem-Count の校正値を入力しておくことで、自動的に出力されます。 #CD34①(試験管①の#CD34=Stem-Trol+正常末梢血の CD34+細胞+非特異的結合) =230 個/μL (下記測定データプリントアウト例、リージョン D の Count) #CONTROL(試験管②の#CONTROL=非特異的結合)= 3 個/μL* *試験管②の測定データプリントアウト例は省略 Hist 1 2 3 4 5 6 7 8 Region ID A A E E B B C C D D CD34+HPC I1 I I2 I I3 I I4 I H H F F G CAL 1002 J J % 71.5 24.9 5.60 91.2 99.6 0.09 20.5 12.5 66.9 15.8 36.4 15.3 90.7 Count 4522 1575 253 231 230 6 1298 790 4228 1012 574 1002 5892 Mn X 86.2 154.3 22.5 18.9 491.9 3.11 400.7 0.651 95.1 853.8 271.5 165.9 0.675 Mn Y 429.7 57.1 226.5 216.8 216.6 11.9 367.8 0.300 0.290 15.0 73.6 14.9 435.2 Stem-Trol 回収率(%)= 5 x (試験管① CD34 細胞数-試験管② 非特異的結合数) x100 Stem-Trol アッセイ値 ** (**1152 個/μL(Lot により異なります)) = 5 x (230 – 3) 1152 x 100 = 98.5% 許容範囲内ですので、検体サンプルの 測定を行います。 Stem-Trol の回収細胞率(%)が 85~115%の範囲であれば測定系には問題ないと判断し、検体の測定・解析を行ってくだ さい。 この範囲に入らないときは、測定系に異常や誤り等がないか見直した後、もう 1 度サンプル処理~測定を行ってください。 Stem-Count 校正値の設定 (EPICS XL SystemⅡの場合) z z z z z z z z 「Protocol」スクリーンから、Select に入ります。 「Setup Screen」の中の、「Protocols」を選択します。 右下四角の中の、一番下「Statistics Select」をクリックします。 左下 CAL FACTOR ****をクリックします。 Stem-Count のラベルに記載してある絶対数を確認して、その数を手入力し、Enter を押します。 Okay をクリックします。 Save Change to file? Y と聞いてきますので、Enter を押します。 「Setup Screen」の中の「Run」を選択します。 これで、Stem-Count 値の設定は終了です。 - 13 - Application Note 11 b. EPICS XL EXPO32 ADC および Cytomics FC500 RXP/CXP の場合 各チューブ内の CD34 陽性細胞絶対数は、あらかじめ Stem-Count の校正値を入力しておくことで、自動的に計算されます。 リージョン D の “Cells/uL” が CD34 陽性細胞絶対数 になります。 SystemⅡの場合と同様にして、StemTrol 回収率を計算し、85~115%の範囲内に入っていることを確認します。 Stem-Count 校正値の設定 (EPICS XL EXPO32 ADC および Cytomics FC500 RXP/CXP の場合) AcquisitionManager の “FlowCount Batch ID” アイコンをクリックします。 “Absolute Count Calibration” に StemCount 校正値を入力し、“Enable”にチェックを入れて “OK” をクリックします。 StemCount 校正値を入力し、“Enable” にチェックを入れます。 c. EPICS XL および Cytomics FC500 以外の FCM を使用している場合 i. EPICS XL および Cytomics FC500 以外の FCM の場合は、Stem Cell のリージョンと Stem-Count のリージョンのそ れぞれの Event 数(Count)から次式により絶対数を算出します。 CD34 絶対数(/μL)= Stem Cellリージョンの Events ×Stem-Count 校正値* Stem-Countリージョンの Events *製品能書に記載 ii. ⅰで算出した試験管①及び②の CD34 絶対数から Stem-Trol の回収率を計算します。 ・ 試験管①の CD34 絶対数から試験管②の CD34 絶対数を差し引き、換算ファクタ(Stem-Count と Stem-Trol の添加量の比 = 100μL/20μL = 5)をかけます。 ・ 次式により、Stem-Trol の回収率を計算します。 Stem-Trol 回収率(%)= 5 x (試験管① CD34 細胞数-試験管② CD34 細胞数) ×100 Stem-Trol 校正値 * *製品能書に記載 Application Note 11 - 14 - 2. 検体サンプル a. EPICS XL SystemⅡ, EPICS XL EXPO32ADC および Cytomics FC500 使用の場合 <検体中の CD34 陽性細胞数の求め方> StemTrol 回収率確認の場合と同様に、各テストチューブ内の CD34 陽性細胞絶対数を求めます。 次に、下記手順にしたがって非特異結合分を差し引いた、真の CD34 陽性細胞絶対数を算出します。 CD34 陽性細胞絶対数の計算方法 試験管 Ⓐ中の#CD34=25 個/μL、試験管 Ⓑ中の#CD34=23 個/μL 両試験管での平均値をとると、(25+23)×1/2=24 個/μL 試験管 Ⓒ(コントロール)中の# 非特異的結合=2 個/μL 従って、検体中の#CD34=24-2=22 個/μL b. EPICS XL および Cytomics FC500 以外の FCM を使用している場合 EPICS XL および Cytomics FC500 以外の FCM の場合は、StemTrol 回収率確認の場合と同様に Stem Cell のリー ジョンと Stem-Count のリージョンのそれぞれの Event 数(Count)から次式により絶対数を算出します。 CD34 絶対数(/μL)= Stem CellリージョンのEvents ×Stem-Count 校正値* Stem - CountリージョンのEvents (#CD34) *製品能書に記載 上記「a. EPICS XL SystemⅡ, EPICS XL EXPO32ADCおよびCytomics FC500使用の場合」と同様に、非特異結合分を差 し引いた、真のCD34陽性細胞絶対数を算出します。 - 15 - Application Note 11 参考文献 CE1011 0610
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