大谷レポートのさらに詳しい情報はPDFをご覧ください

2015 年 11 月 16 日号
調査情報部
今週の見通し
先週の東京市場は大幅続伸で始まった後、高値もみ合いとなった。円安や好調な企業決算に加え、郵政 3
社への資金流入期待や外国人投資家の買いが支えとなり、堅調な展開となった。日経平均は 8 月 21 日以来、
約 3 か月ぶりに 19700 円台を一時回復した。米国市場は中国の景気減速懸念が再燃する一方、雇用統計の改
善や金融当局者のタカ派的な発言などを受けて 12 月の利上げ観測が一層強まり、NY ダウは大幅反落となっ
た。為替市場でドル円は利上げ観測を背景にドルが買われ、一時 8 月 20 日以来となる 1 ドル 123 円台後半を
付けた。一方、ユーロ円はユーロがじり安となり、1 ユーロ 131 円台後半まで円高が進んだ。
今週の東京市場は引き続きしっかりな展開となろう。決算発表一巡で材料難の中、7-9 月期 GDP が 2 期連
続のマイナスとなるようなら、追加金融緩和や景気対策への期待が高まろう。また、日本郵政やゆうちょ銀行に
は指数組み入れに伴う買い需要の思惑が強まろう。一方、米国市場は景気指標睨みとなり、一進一退の動き
となろう。ただ、年末商戦への期待などから、底堅さも見られよう。為替市場でドル円は、FRB の利上げ接近と
日銀の追加緩和への思惑から円弱含み状況が続き、1 ドル 124 円台をうかがう可能性があろう。ユーロ円は
ECB と日銀両者の追加緩和観測を背景に 1 ユーロ 132 円前後でもみ合いの展開となろう。
今週、国内では 16 日(月)に 7-9 月期の GDP、18 日(水)に 10 月の訪日外国人数、19 日(木)に 10 月の貿易
統計、20 日(金)に 11 月の日銀金融経済月報が発表されるほか、18 日、19 日に日銀金融政策決定会合が開催
される。一方、海外では 17 日(火)に 10 月の米消費者物価、鉱工業生産、18 日に 10 月の米住宅着工が発表さ
れるほか、18 日、19 日に APEC 首脳会議、19 日~21 日(土)に ASEAN 首脳会議が開催される。
テクニカル面で日経平均は、200 日線(19311 円:13 日現在)を上回り、8 月 24 日に空けた窓(19435 円)も埋め、
8 月 11 日高値から 9 月 29 日安値までの下げ幅の 3 分の 2 戻しに当たる水準(19597 円)を回復した。当面は 8
月 21 日に空けた窓(20033 円)や今回底打ちから切り返しの第 1 波となった 9 月 29 日安値から 10 月 9 日高値
までの上昇幅(1537 円)を直近安値(11 月 2 日の 18641 円)に当てはめた水準(20178 円)が戻りメドとなろう。一方、
下値は 200 日線や 9 日に空けた窓(19294 円)、日足一目均衡表の転換線(19183 円:同)などが意識されよう。
(大谷 正之)
-1-
各種指数の推移
(Bloomberg データより証券ジャパン調査情報部が作成)
-2-
投資のヒント
☆主な低PBR高利回り銘柄群
郵政 3 社の新規公開に伴い、投資尺度であるPBR、配当利回りの注目度が高まりつつある。東証 1 部上場
銘柄中、11 月 11 日時点でPBR1 倍未満の銘柄は 815 銘柄、予想配当利回りで 2%以上の銘柄は 739 銘柄存
在している。決算期末までの期間が短い 12 月決算銘柄も散見され注目したい。 (野坂 晃一)
-3-
今週の参考銘柄
クボタ (6326・東 1)
上期業績は売上高が前年同期比 9.9%増の 8188.1
億円、営業利益が同 16.1%増の 1163.0 億円。機械部
門は国内の農業機械が消費増税による反動減から
の回復に加え、排ガス規制切り替え前の拡販で増加
した。建設機械も優遇税制効果もあり堅調だった。海
外は北米で小型トラクタや芝刈り機が伸びたほか、建
設機械も堅調な住宅着工によって好調だった。また、
欧州も英国や南欧で建設機械、エンジンが拡大した。
さらに、中国では政府補助金の復活で農業機械が伸
びたほか、コンバインやトラクタも好調だった。一方、
タイでは深刻な干ばつでトラクタや耕うん機が落ち込
んだが、コンバインの増販でカバーした。水・環境部
門ではダグタイル鉄管が海外向けに大きく伸びたが、
販管費の増加で利益は減少した。15/12 期は 9 か月
の変則決算となるが、売上高は 1 兆 2500 億円で据え
置きながら、営業利益は従来計画比 80 億円増の
1730 億円に引き上げた。営業利益の通期計画に対す
る進捗率は 67.2%で、前期第 3 四半期までの進捗率
52.3%を上回っている。 (大谷 正之)
島津製作所 (7701・東 1)
上期業績は売上高が前年同期比 13.2%増の
1604.1 億円、営業利益が同 43.9%増の 144.5 億円と、
過去最高となった。主力の計測器事業では、国内が
官公需の拡大や民需の回復によって液体クロマトグ
ラフや質量分析計などが好調だったほか、海外は欧
米やアジアで製薬分野向けに液体クロマトグラフや質
量分析装置が伸び、増収となった。医用機器事業も内
外で X 線撮影装置を中心に売り上げを伸ばした。また、
航空機器事業も国内が防衛省向け、北米がボーイン
グ向けに売り上げが増加した。さらに、産業機器事業
も半導体製造装置向けが好調に推移した。会社側で
は第 2 四半期までの好調を背景に、通期業績を再増
額し、売上高を従来計画比 40 億円増の 3400 億円、
営業利益を同 15 億円増の 345 億円に修正した。営業
利益の中間実績に対する進捗率は 41.9%だが、前年
同期の 36.9%に比較して高い進捗。 (大谷 正之)
-4-
今週の参考銘柄
NTT (9432・東 1)
上期の営業利益は前年同期比 24.1%増の 7334
億円と 5 年ぶりの上期増益となった。NTTドコモがd
マーケットなどスマートライフ領域の利益貢献やコス
ト削減効果などから増益となった他、NTT東西が光
回線の自社の直接販売から卸提供に変更(光コラ
ボ)したことで販促コストが減少して増益となったこと
が大きかった。上期までの好調を受けて通期計画の
上方修正を発表、営業収益と営業利益は当社計画
から 500 億円、純利益は 250 億円へそれぞれ引き上
げた。なお、全国の固定電話を 2020 年代にIP網へ
移行すると発表した。携帯電話の普及で契約件数が
大幅に減少する中、コストを抑える他、基本的なサー
ビスを維持するため。また、11 月 13 日付で金庫株 1
億 7700 万株(発行済株式数の 7.79%)を償却する予
定。政府(同社株 3 分の 1 以上の保有義務)は最大
約 5900 万株の売却余地が生じるが、同社は全て自
社株買いで対応する計画。 (増田 克実)
その他
2269 明治ホールディングス
上期の営業利益は 334 億円と 8 月 5 日発表の修正計画をも上回った。プロバイオティクスヨーグルトが好調だっ
た他、チョコなどの値上げ、高付加価値品へのシフトも奏功。また、「ザバス」、「アミノコラーゲン」も好調だった。
今下期から来期にかけてもプロバイオティクスヨーグルトの好調、構造改革によるコスト低減などが寄与しよう。
3397 トリドール
第 2 四半期の営業利益は前年同期比 124%増の 44.6 億円と期初計画 12 億円弱の上振れ。既存店売上高が
前年比 107.8%(会社前提 104.7%)と好調だった他、海外事業の黒字転換、減損減少など寄与し、テレビ CM
の費用増をカバー。通期の営業利益計画を 64.4 億円に上方修正したが、上期上振れ分のみ上乗せで保守的
な計画であろう。前年のハードルが高い 8、9、10 月の既存店売上も前年比プラスが続き、主力の業態「丸亀製
麺」は 15 か月連続して 100%超。また、注力する海外は不採算店舗の閉鎖で利益が改善傾向にある。
9989 サンドラッグ
通期の営業利益計画を 16 億円引き上げた。化粧品などインバウンド需要が好調。今後は主力のドラッグストア
に加え、ディスカウント事業が成長を支えるとみている。
1808 長谷工
通期営業利益計画を 110 億円引き上げた。大型マンションの好調などで完成工事総利益率が 14.8%にまで高
まる見込み。
6929 日本セラミック
自動車向けの苦戦などで 1-9 月期の営業利益は前年同期比 11.4%減の 14.68 億円。ただ、第 1Q:8.5%、第 2
Q:9.6%、第 3Q:10.7%と四半期ごとに営業利益率が改善。
6178 日本郵政
主要指数採用に伴う買い需要の期待からマーケットで引き続き注目されそうだ。
(増田 克実)
-5-
タイムテーブルと決算予定(予定は変更になる場合があります)
<国内スケジュール>
11月16日(月)
7~9月期GDP(8:50、内閣府)
9月、15年度上半期の産業機械受注(11:00、産工会)
11月17日(火)
10月首都圏マンション発売(13:00、不動産経済研)
11月18日(水)
日銀政策委・金融政策決定会合(19日まで)
10月訪日外国人数(16:00、政府観光局)
11月19日(木)
日銀政策委・金融政策決定会合最終日
黒田日銀総裁会見(15:30)
10月貿易統計(8:50、財務省)
9月全産業活動指数(13:30、経産省)
10月民生用電子機器国内出荷(14:00、JEITA)
10月半導体製造装置BBレシオ(16:00、SEAJ)
上場 ロゼッタ<6182>、あんしん保証<7183>マザーズ
11月20日(金)
大和総研の日本経済予測(13:00)
11月の日銀金融経済月報(14:00)
10月コンビニ売上高(16:00、フランチャイズチェーン協)
上場 ベルシステム24ホールディングス<6183>東証一部
11月22日(日)
大阪府知事選、市長選投開票
<国内決算>
11月18日(水)
14:00~ <2Q>MS&AD<8725>、東京海上<8766>
15:00~ <2Q>損保ジャパン日本興亜ホールディングス<8630>
-6-
タイムテーブルと決算予定(予定は変更になる場合があります)
<海外スケジュール・現地時間>
11月16日(月)
G20首脳会議最終日(トルコ・アンタルヤ)
米 11月NY州製造業景況指数
APEC閣僚会議(17日まで、マニラ)
休場 メキシコ(革命記念日祝日)
11月17日(火)
独 11月ZEW景気期待指数
米 10月消費者物価
米 10月鉱工業生産・設備稼働率
米ロサンゼルス国際自動車ショー(29日まで)
11月18日(水)
ECB定例理事会(金融政策発表、記者会見なし)
米 10月住宅着工件数
10月27・28日のFOMC議事要旨
APEC首脳会議(19日まで、マニラ)
休場 フィリピン(APECサミット)
11月19日(木)
欧 9月ユーロ圏国際収支
米 10月景気先行指数
米 11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
米 10月北米半導体製造装置メーカーBBレシオ
ASEAN首脳会議(21日まで、クアラルンプール)
休場 フィリピン(APECサミット)
11月20日(金)
独 10月生産者物価
休場 ブラジル(黒人意識の日)
11月21日(土)
エジプト総選挙第2ラウンド投票(23日まで)
<海外決算・現地時間>
11月17日(火)
ウォルマート、ニュアンスコミュニケーションズ、ホーム・デポ
11月18日(水)
ターゲット、セールスフォース・ドットコム
11月19日(木)
ベスト・バイ、ギャップ
-7-
投資にあたっての注意事項
●手数料について
○国内金融商品取引所上場株式の委託取引を行う場合、一取引につき対面取引では約定代金に対して最大
1.2420%(税込)(但し、最低 2,700 円(税込))の委託手数料をご負担いただきます。また、インターネ
ット取引では、「約定毎手数料コース」においては、1 取引の約定代金が 100 万円以下の場合は1取引につ
き 540 円(税込)、1 取引の約定代金が 100 万円超の場合は 1 取引につき 1,080 円(税込)の委託手数料を
ご負担いただきます。「1 日定額コース」においては、1 日の約定代金 300 万円ごとに 1,620 円(税込)の
委託手数料をご負担いただきます。
募集等により取得する場合は購入対価のみをお支払いただきます。
※1 日定額コースは、取引回数(注 1)が 30 回以上の場合、現行の手数料に加えて 21,600 円(税込)の追
加手数料を加算させていただきます。(注 2)
注 1 取引回数=約定に至った注文の数
注 2 複数市場へのご注文は市場ごとに 1 回の注文となります。
○外国金融商品取引所上場株式の外国取引を行う場合、売買金額(現地約定代金に買いの場合は現地諸費用
を加え、売りの場合は現地諸費用を差し引いた額)に対して最大 1.2960%(税込)の取次手数料をご負担い
ただきます。
○非上場債券(国債、地方債、政府保証債、社債)を当社が相手方となりお買付けいただく場合は購入対価
のみをお支払いいただきます。
○投資信託の場合は銘柄ごとに設定された販売手数料及び信託報酬等諸経費等をご負担いただきます。
○外貨建て商品の場合、円貨と外貨の交換、または異なる外貨間の交換については、為替市場の動向に応じ
て当社が決定した為替レートによります。
●リスクについて
○株式は、株価変動による元本の損失を生じるおそれがあります。また、信用取引を行う場合は、対面取引
においては建玉金額の 30%以上かつ 100 万円以上、インターネット取引においては建玉金額の 30%以上か
つ 30 万円以上の委託保証金の差し入れが必要です。信用取引は、少額の委託保証金で多額の取引を行うこ
とができることから、損失の額が多額となり差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。外国
株式の場合、為替相場によっても元本の損失を生じるおそれがあります。
○債券は、金利水準の変動等により価格が上下することから、元本の損失を生じるおそれがあります。
外国債券は、金利水準に加えて、為替相場の変動により元本の損失を生じるおそれがあります。
○投資信託は、銘柄により異なるリスクが存在しており、各銘柄の組入有価証券の価格の変動により元本の
損失を生じるおそれがあります。各銘柄のリスクにつきましては目論見書等をよくお読み下さい。
●お取引にあたっては、開設された口座や商品ごとに手数料等やリスクは異なりますので、上場有価証券等
書面、契約締結前交付書面、目論見書、お客様向け資料等をよくお読み下さい。これら目論見書等、資料
のご請求は各店の窓口までお申出下さい。
●銘柄の選択、投資に関する最終決定はご自身の判断でお願いいたします。
●本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全性を保証したもの
ではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに
当社の判断で随時変更することがあります。また、本資料のコンテンツ及び体裁等も当社の判断で随時変
更することがあります。
2015 年 11 月 13 日現在、金融商品取引所の信用取引の禁止措置等の規制銘柄は当レポートより除外してお
ります。今後、金融商品取引所等により新たな規制が行われる可能性があります。
●当社の概要
商号等:株式会社証券ジャパン 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 170 号
加入協会:日本証券業協会
コンプライアンス推進部審査済 2015 年 11 月 13 日
-8-