太島 丈洋 - 倉敷中央病院

第10回 地域がん診療連携拠点病院 市民公開講座
倉敷中央病院 総合保健管理センター
太島
丈洋
大腸の機能
• 食べた物は、腸内細菌によ
る腐敗と発酵、粘膜からの
栄養・水分吸収を経て、便
になる
• 腸内細菌は
500~1000種
500兆~1000兆個
(約1.5 kg)
• 人体の細胞総数は60兆個
• 人体最大の臓器である肝臓
は重さ約1.5kg
→腸内細菌が健康に大きな影響
腸内細菌
• 腸内細菌の種類と数(腸内細菌叢・腸内フローラ)
→個人・年齢・食事の内容によって変化
日本の主要疾患別死亡率の推移
第1位 がん
第2位 心疾患
第3位 肺炎
第4位 脳卒中
出典 厚生労働省「平成26年 我が国の人口動態」
癌の部位別・性別死亡率
男性
女性
第3位
第1位
大腸がんの原因
• ポリープ(腺腫)
• 正常
• 大腸の炎症
(潰瘍性大腸炎など)
• 遺伝性の病気
大腸がん
ポリープとは
早期がん(悪性)
腫瘍
ポリープ
「ポリープ」
=隆起している物
生体内の制御に反
して自律的に過剰
に増殖する
腺腫(良性)
腫瘍以外
炎症性ポリープ
過形成性ポリープ
過誤腫性ポリープ
内視鏡治療
ポリープや早期の大腸がん
→内視鏡で腸の中から腫瘍を切除して完治さ
せる事が可能
• Polypectomy
• EMR(Endoscopic Mucosal Resection)
内視鏡的粘膜切除術
• ESD(Endoscopic Submucosal Dissection)
内視鏡的粘膜下層剥離術
自覚症状
• 早期の大腸がんの場合、自覚症状はほとんどあ
りません.
• 大腸がんが進行すると
肛門から血便(血液が混じった便)・血液が出る
便が細くなる
下痢と便秘を繰り返す
便が残っている感じがする
お腹が張る
腹痛が起きる
お腹にしこりが触れる
貧血になる
便が出なくて嘔吐する
急に体重が落ちる
便潜血検査
 大腸からの出血を調べる検査.
 血液に特異的に反応するため
食事制限の必要はありません
・・・痔でも陽性になります
 大腸癌での死亡率が15~30%程度減少する
• 大腸がんで便潜血が陽性になる割合・・・
進行がんで約60~75%
が陽性になる程度
早期がんで約30~40%
2日間連続検査で10~15%程度上昇
→便潜血陰性でも異常がないとは限らない
当センターでの
大腸がん検診の診断率
• 2013年に行った大腸がん検診の結果
受診者数 3万1094人
精密検査が必要と判定
1697人(5.46%)
精密検査を実際に受診した人
1052人
⇒検診を通してがんを発見された人
12人(0.04%)
ポリープが見つかった人
393人(1.26%)
最後は内視鏡!
• 便潜血検査
• 血液検査
•
•
•
•
バリウム
大腸3D-CT
PET-CT
カプセル内視鏡
異常があれば
大腸内視鏡検査
大腸がんに関係する生活因子(海外)
予防因子
確実
ほぼ確実
可能性あり
危険因子
身体活動
赤身肉・加工肉
肥満・内臓脂肪
飲酒(男性)
成人で達した身長
食物繊維
にんにく
牛乳・カルシウム
飲酒(女性)
野菜・果物
葉酸
セレン
ビタミンD
魚
鉄分
動物性脂肪
ショ糖
(砂糖の主成分)
世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による2007年の評価報告書
「食物・栄養・身体活動とがん予防」より改変
大腸がんに関係する生活因子(日本)
予防因子
確実
ほぼ確実
可能性あり
危険因子
飲酒
運動
肥満
コーヒー
カルシウム
魚の脂質
喫煙
糖尿病
肉(保存肉・肉)
国立がん研究センター
「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」より
最後に…
• 生活習慣の改善で可能な限り予防しましょう
(腸内環境改善も大切)
• 大腸ポリープ・早期がんで発見できれば、根
治可能です.
• ぜひ定期的に検診を受けましょう.
毎年の便潜血検査
40歳を過ぎれば1度は大腸カメラ
50歳以降は3~5年毎の大腸カメラ