夏の風物詩、打ち上げ花火(25年8月) 花火と言えば夏の風物詩ですが、花火の由来や種類について知っている人は意外 と少ないのではないでしょうか? ○打上花火の中身 日本の打上花火は、「玉」と呼ばれる紙製の球体の中に「星」と呼ばれる火薬球を詰 めて、火薬で空に打ち上げられます。 「星」の詰め方やその中身によって、様々な色や形の花火が生み出されるのです。 花火のあの美しい色合いは、「星」に詰められている金属の炎色反応によって生み 出しています。 昔の技術では淡い色彩を出すのが難しかったそうですが、最近の花火では淡いピ ンクやレモン色など、実に多彩な色が使われています。花火の技術もどんどん進化し てきています。 そして打ち上げられた時の、菊や牡丹の花や土星を連想させる丸い形は、打上花 火の代表的な姿と思いきや、実はこういった円形の花火は、日本の花火特有のもの なのです。 花火そのものの形状も、外国の場合は球体ではなく円筒形のものが多いのです。 空中での姿も、日本のように色の変化に富んでいるものは少なく、沢山の火薬を使 うことで華やかさを演出するケースが多いようです。 ○打上花火の種類 打上花火は、大きく分けると「割物」「型物」「ポカ物」がメインとなります。 「割物」は、一番ポピュラーな丸いタイプの花火です。 尾を引くものが「菊」、尾を引かず点がパッと広がるものは「牡丹」と呼ばれます。 よく「しだれ柳」と呼ばれる金色の花火は「半割物」で、正しくは「錦冠菊(にしきかむ ろぎく)」という名前です。 「型物」は割物のアレンジバージョンで、「土星」「ハート」「蝶」など、変形タイプの花 火です。 観る角度によっては普通の割物と区別が付かないので、しっかり鑑賞したい場合は ベストポジションを確保する必要があります。 「ポカ物」は、空中で不規則に飛び散るタイプの花火です。 「小花」「蜂」「椰子」などがあります。昼の運動会で使われる合図用の花火なども、 ポカ物の一種です。 ○「かぎや~!」「たまや~!」の正体 打上花火を鑑賞する時の「かぎや~!」「たまや~!」という掛け声、一度は耳にし たことがあると思います。 これは江戸時代の「両国川開き大花火」の際に、日本の打上花火のルーツを作った 「鍵屋」というお店と、その鍵屋がのれん分けして生まれた「玉屋」の競演を、江戸の 人々が鑑賞しながらはやし立てたことが始まりだそうです。 ちなみに「玉屋」は不慮の失火で江戸所払いになってしまい、残念ながら現存してい ませんが、「鍵屋」は株式会社宗家花火鍵屋としてまだまだ現役です。
© Copyright 2025 ExpyDoc