修 士 論 文 の 和 文 要 旨

修 士 論 文 の 和 文 要 旨
大学院
氏
電気通信学研究科
名
論 文 題 目
要
佐藤
博士前期課程
隼人
知能機械工学
専攻
学籍番号 0634022
宇宙太陽発電システムのための
軌道上フォーメーションフライト制御
旨
近年, エネルギーと地球環境の問題解決に寄与する未来技術の一つとし
て, 宇宙太陽発電システム(SSPS:Space Solar Power Systems)の研究
開発が行われている. SSPSとは, 太陽発電衛星を宇宙に打ち上げて太陽発
電パネルを展開し, 太陽光という無尽蔵なクリーンエネルギーを赤道上空
約36,000kmの静止軌道上で収集し, マイクロ波またはレーザーの形で地上
に輸送し, 地上で電力や水素を製造するエネルギーシステムのことであ
る. このSSPSは, これまでに国内外で様々な種類のものが検討され, 多く
のコンセプトが提案されてきた. それらの多くは大型柔軟構造物の太陽指
向部および地球指向部から成り立っており,回転機構により機械的に接続
されている. しかし,その回転機構は外力に抗するだけの十分な強度と軌
道周波数より十分高い振動数を持つための剛性を備えていなければなら
ず,大きな直径を要する事や単一故障点になるという欠点がある.
このような理由から,近年回転機構を用いない太陽指向部と地球指向部
とをそれぞれ独立した構造物として平行な軌道上をフォーメーションフ
ライト(編隊飛行)させるSSPSについての構想が掲げられている. ここで,
フォーメーションフライトとは, 多数の衛星が互いの自身の位置と相対位
置関係を制御しつつ協調的にミッションを実行する技術のことである.
上記のような背景から, 本研究では, 回転機構を用いない太陽指向部と
地球指向部とをそれぞれ独立した構造物として平行な軌道上をフォーメ
ーションフライトさせるSSPSの基礎的な検討としてSSPSのモデル構築と
フォーメーションフライトを達成させるための制御器設計を行い, 数値シ
ミュレーションでその妥当性を確認する事を目的とする.