ハイパースペクトルカメラ BaySpec社製「OCIシリーズ」の紹介

株式会社システムズエンジニアリング
ハイパースペクトルカメラ
BaySpec社製「OCIシリーズ」の紹介
株式会社システムズエンジニアリング 技術部/青柳光洋
ハイパースペクトルカメラは、画像上のすべてのピクセルがそれぞれにハイパースペクトル情報
(数十バンド以上の分光スペクトル)をもったデータを取得可能な装置である。近年、性能の向上
とともに入手しやすい価格帯となってきたため、急速に産業への応用が進んでいる。
弊社は、国外
メーカの優れたハイパースペクトルカメラの輸入販売・技術サポートを行ってきた。
本稿では、BaySpec社製OCIシリーズを紹介する。
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ハイパースペクトルカメラの特徴
一般のRGBカメラは、各ピクセルにおいて赤
(R)
、
緑(G)
、青(B)
の 3 バンドのスペクトル情報しか取
得できないが、ハイパースペクトルカメラは RGB
カメラでは捉えきれない撮影対象物の細かな特徴
を、遙かに多くのスペクトル情報として捉えること
が可能である。この技術は多くの可能性を秘めて
いるが、従来は大型で高価な装置であったため使
用範囲が限定されてきた。しかし近年になり、性能
の向上とともにリーズナブルな価格の製品が次々に
登場している。目的に合わせて適切な波長範囲や
図 1 ハンドヘルド OCI-1000 および OCI-2000
バンド幅をもったハイパースペクトルカメラを選択
することで測定対象物がもつ固有の性質を顕在化
のハイパースペクトルカメラは、プリズムやグレー
できるため、すでに精密農業、食品検査、医療と
ティング、電圧制御の波長可変フィルタなどの分
いった様々な産業応用が始まっている。
光方式を駆使して構成されているが、複雑な光学
系ゆえに本体が大型で高価にならざるを得なかっ
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超小型ハイパースペクトルカメラ
BaySpec社製OCIシリーズ
た。BaySpec 社は、CMOS イメージセンサに直接
エタロンフィルタを実装した画像素子を採用し、
従来の光学部品を廃することで光学系のサイズを
BaySpec 社は革新的な技術によって、業界最小
極限まで抑えたため、装置本体をハンドヘルドサ
サイズの OCI シリーズを製品化した
(図1)
。従来
イズにまで小型化することに成功した。
eizojoho industrial
August 2015︱77