みんなの声が、言葉になりました。 6 ナーシング・スター 2015 for Society 日精看ニュース No. 672 Q. 日精看、何をめざす? 字/末安民生 特集 精神保健医療福祉の最新動向、日精看支部紹介 2015年6月1日発行(毎月1回1日発行)No.672 昭和44年7月21日 第三種郵便物認可 07 学術集会、研修会、その他お知らせ 変 えら れ な い 一 日に 寄 り 添 い 、 変 わ って いく一 日に 寄 り 添 う CMYK 06 日精看の活動理念 02 2015.6 No.672 日精看の 活動理念は 社会への約束です 昨年度より一般社団法人として歩みだした日精看は、いままで以上に、社会に「役立ち」 「信頼 される」団体として力を発揮することが求められています。たとえば、こころの健康問題を抱える 人々が増え、超高齢化社会にともない認知症が増加していくなかで、多様な医療ニーズに十分に 対応できる力。たとえば、精神医療の変革の時代に向けて、よりよい精神科看護を提供すべく制 度改革に挑む力。日精看は、広い視野に立ち、社会の要請に力強く応えていかねばなりません。 そして、団体としての存在意義や目的、つまり「日精看は何をめざすのか」を社会に明確に示すた めに、 わかりやすい言葉=活動理念をもって伝えていく必要があります。協会の活動理念は、 社会にとっ て“かけがえのない仕事”である精神科看護の力と、その結集によって、私たちがめざすものです。 これまで『ナーシング・スター』でも経過をお知らせしてきましたが、昨年3月の全国支部長会 議で本格的な意見交換をスタートさせてから約1年、たくさんの会員の方々との議論や検討を経 て、1つの文章にたどり着きました。私たち日精看の活動理念です。 “こころの健康を通して、だれもが安心して暮らせる社会をつくります” 。 個人も、施設も、支部も、協会も。日精看のあらゆる取り組みは、この理念につながります。 こころの健康を通して、 日精看の精神科看護の定義では、精神科看護の対象 は、すべての人々を対象とする幅広い支援活動を意 を 「精神的健康について援助を必要としている人々」 味しています。精神保健への関心が高まる社会情勢 としています。精神的健康は精神疾患に起因するも のなかで、個人がこころの健康を保とうとするニー のだけでなく、人々が生きる過程で直面する多様な ズも顕在化しつつあります。ゆえに、社会的に関心 こころの問題を含んでいます。つまり、精神科看護 の高い言葉「こころの健康」を用いています。 だれもが安心して暮らせる 精神疾患を抱えている人でも、こころの健康に不安 ることも、とても重要なことです。よりよい精神科 を感じている人でも、子どもでも高齢者でも、すべ 看護をずっと提供し続けることは、精神的にも身体 ての人に「精神科看護者がいるから、何かあったと 的にも重労働です。困ったとき、疲れたとき、自信を しても安心していられる」といつも思ってほしい。そ 失ったときには必ず支えてもらえるとだれもが感じ して、ケアを提供する支援者自身が安心して暮らせ られるように。そんな想いが込められています。 社会をつくります。 日精看は、日本に暮らすすべての人々のために存 組織だからこそ実現できる活動を通して「よりよ 在する団体です。精神科看護の知見を活用し、会 い社会」をつくります。社会に何が起きているか 員がそれぞれの現場で力を発揮する、支部では地 を把握し、時代の変化を適切に見極めるには、日 域づくりのための取り組みを行う、そしてそれら 精看の歴史(継続性)が重要になります。 をつなぐネットワークや社会に発信する力。全国 特別企画 精神科看護管理者から届いた声 Vol.3 テーマ“日本の暮らしをよりよくするために日精看にできることは?” 理念ができるまで 前 回までは、東京、鹿児島、札幌でさまざまな手法により実施したタウンミ ーティング(率直な意見交換を行うための対話集会)の様子を中心に報 告しました。ここでは、 『ナーシング・スター』2月号の募集企画に寄せられた精 神科看護管理者からの回答や、3月の理事会での協会役員の意見を紹介しま す。日精看の活動理念は、約1年間にわたって議論・検討を重ね、いつの時代 にも受け継がれていくもの、実現するために会員が一丸となって困難に立ち向 かえるもの、医療職以外の人々にも理解されやすいもの、といった点を重視し て最終的な文案を協会役員がまとめ、5月の理事会で承認されました。このた びの理念策定プロセスにご参加いただいた会員のみなさまに、この場を借り てお礼申し上げます。 『ナーシング・スター』2015年2月号の特別企画のなかで掲載した精神科看護管理者への質問に対 して、全国からたくさんの回答が届きました。主な内容を紹介します。圧倒的に多かったのが、一般 市民への普及啓発に関する回答で、以前のタウンミーティングの参加者のほとんどがあげた「精 神科看護という仕事を一般の人に伝えるのが難しい」という課題感と重なる結果となりました。 ● 一般市民に「精神疾患」や「精神障害」の理解を深めるための啓発活動を行う ● 一般市民に「こころの健康」の大切さとサポートの重要性を伝える活動を行う ● 早期に精神疾患の治療やサポートが受けられる地域づくりに貢献する ● 地域で活躍できる看護者の育成や精神科看護の役割をアピールする活動を行う ● 未来を担う子どもたちにこころの健康に関する教育と支援を行う ● 超高齢化社会に向けて在宅の認知症の人やその介護者を支える活動を行う ● 現場の看護者等が誇りをもって働けるように教育やサポートを行う ……などなど 2015.6 No.672 企画・編集/平野謙一 03 これまでの取り組みの中心に理念を置いてみる ナーシング・スターや HPなど情報発信 そのための ― 精神保健福祉フォーラム 就労支援フォーラム 精神科認定 看護師制度 そのための ― 政策提言 こころの健康 出前講座 実態調査 こころの健康を通して、 だれもが安心して暮らせる 社会をつくります。 こころの日 日本精神科看護 学術集会 アール・ブリュット 支援 自殺予防 対策セミナー そのための ― しごとをつくろう プロジェクト 会員ネットワーク 支部活動 研修会 ※平成27年度までの活動の一部です 活動理念実現のために力を入れるべきことを議論します 末安民生 日本精神科看護協会会長 創設からもうすぐ70年となる日精看は、その長い歴史のなかでさまざまな取 きたいと思います。具体的な取り組みに関する検討は、理念づくりと同じよう り組みを行ってきました。自己研鑽の場をつくり、学術の振興をはかり、全国 に、協会役員、支部役員、そして全国の会員の声を聞くことから始めますので、 的な水準を高め、患者の回復を促進して人々の生活を支える「精神科看護の質 ぜひご意見をお寄せください。 の向上」をめざす、研修会や学術集会などの教育事業。臨床の課題やニーズを 精神科看護者1人1人が思いを語りあい、支えあうことで少しずつ発展してき 把握する実態調査や、制度・政策の決定プロセスへの参画や提言といった「制 たのが日精看です。その「つながり」 こそが日精看の土台です。私たちが行う 「ケ 度改革への対応や推進」 。こころの健康出前講座や精神保健福祉フォーラムを ア」 は、 一度行えば終わるというものではありません。対象となる人がいる限り、 はじめとした「正しい知識の普及啓発」と誤解や偏見の解消。アール・ブリュッ ずっとケアを続けていくために、つながりは大きな力となってきました。よいケ ト支援やしごとをつくろうプロジェクトのような、看護現場以外での「精神障 アを提供するために、まず私たち自身が、安心していられること、そして誇りや がい者の自立支援」 。 希望をもって、楽しく続けていけること。それを支えるのが日精看です。こうし これまでの事業を継続しつつ、来るべき精神医療の変革に向け、理念実現の て支えあう仕組みとして日精看をつくった先輩たちの意志をこれからも引き継ぎ、 ために何をすべきかを議論し、見極め、これからの事業に具体的に反映してい 社会のためにより大きな役割を果たしていきたいと思います。 理念をめぐる 理事会における議論 今年3月に行われた平成26年度第4回理事会では、 「私たち看護者が何よりも大切にしているも 切にしていくべきものは何か?」の3つのテーマを設定し、自由に論議しました。出された意見の一 部を抜粋して紹介します。 歳をとっても、みんなが身体もこころも元気でいられるような活動をすべき ● 本来は、精神科領域は世の中でもっとも大事なところだと思う ● もっとも大切にしているのは「安心を提供する」ということ 3 日精看会員のみなさんにお聞きします のは何か?」 「理事として、何よりも大切だと考えているものは何か?」 「日精看として、何よりも大 ● Question ●「生命を支える人になる!」という人材を育て、その人が社会に貢献できる仕組みをつくる 精神科看護が誇りをもてる仕事であるとみんなが実感できるようにしたい ● 精神科看護に誇りをもって、社会的地位の向上に努めなければならない ● 患者さんを大事に思うには自分自身も大事にしないといけない。みんなが幸せになることが必要 ● 大切なのは、全国の精神科看護者が安心して看護を提供でき、看護を楽しめること ● 同僚、患者、地域と病院など、パイプ役として「つながり」の場を提供するのが日精看 ……などなど みなさんのご意見をお待ちしています。 2015年6月30日までに[email protected]へ メールでお送りください。 CMYK ● 活動理念実現のために 日精看がこれから特に 力を入れるべきことは? 04 2015.6 No.672 日精看がこれから特に力を入れるべきこ こころの健康を通して、だれもが安心して暮らせる社会をつくる——そのためには、今後どのような取り組みに注力すべきなのか。これからの議論のために、まずは理事に聞きました。 案1=会員に向けて、案2=社会に向けて、案3=そのほか、3つの観点で具体的なアイデアがあがっています。会員のみなさんもぜひご提案ください。 (詳細は3面右下) 案 会員が臨床で得た知識を十分に活用して 1 地域ケアモデルをつくる こころの健康出前講座を活用して精神疾患の正しい知識の普 及啓発をする。訪問看護や就労支援を通して、臨床の情報や課 題について提言を行っていく。 案 国民が抱えているこころの健康問題に対応する 2 統合失調症や認知症等の地域生活を支援するために、精神疾 患の正しい知識を普及し偏見を解消していく。 案 日精看の活動理念を周知する 3 活動理念を会員と共有し、理念の実現に向けた、協会・支部活 動を明確にしていく。 副会長 天賀谷 隆 案 精神医療の動向や日精看の取り組み、制度・政策につ 1 いてタイムリーにていねいに届ける仕組みをつくる 自ら情報収集できる人もいるが、会員の多数は「知らない」場合 が多く、看護部長や師長でさえも情報が得られていないことを 実感する。もちろん、キャリアによって理解や活動は異なるが、 情報を共有することからしか動きだすことはできない。 案 こころの健康に関する教育や相談活動を強化する 2 認知症やうつ病といった精神疾患ではなく、加齢にともなう不 調や、家族や周囲との人間関係などに悩んでいる人は多く、そ こではカウンセリングの要素が必要とされる。心的外傷の理解 やケアも含めて精神科看護に求められていることは大きい。 案 会員意識調査の実施 1 案 こころの健康について地域フォーラムの実施 2 獨協医科大学看護学部 市町村単位で、協会と、地域の会員施設と、精神保健福祉行政と の共催で実施。組織内外の連携強化につなげる。 案 組織拡大 (1施設 1名以上増員運動) 3 案 地域生活支援を実践する体制づくり、 3 精神科看護の専門性について再認識できるアンケート内容にす る。また、ニーズを把握し、会員が求めている研修会の実施につ なげる。 政策提言のためのデータ収集の仕組みづくり 会員が増え組織が大きくなれば、日精看を広く社会に認知して もらいやすくなる。そのために、会員施設へは、前年度より1名 以上の増加、非会員施設へは、加入していただくように施設訪 問を積極的に実施し、日精看をアピールしていく。 副会長 現場で働く精神科看護者の思いを国に届け政策に反映させるこ とによって、日精看は社会から評価を受け、会員全体のモチベー ションが高まる。そのために、必要なデータを日常的に収集で きるシステムをつくる。また、課題である地域生活支援を実践 するために、それぞれの病院での実践を体系化する役割がある。 山本哲生 医療法人信和会城ケ崎病院 副会長 大塚恒子 一般財団法人仁明会精神衛生研究所 案「精神科看護の仕事」の意義や魅力を言葉にする 1 タウンミーティングの開催 精神科看護という仕事を、友達や一般の人々に説明すること が難しいと感じている会員が多くいます。精神医療に従事す る看護者が、自分たちの役割や仕事に誇りをもち、自信をもっ て伝えられる言葉をもつことが重要だと思います。 案 日精看だからこそできる 2 一般向け 「こころの健康」に関する情報発信 世の中の人々は、こころの健康に不安や悩みを抱えたとき、ま ずは理解・解決の手がかりになる情報を求めます。しかし、情 報は氾濫し、何が信用できるのかわかりません。情報に「安心」 「信頼」の付加価値をつけることができるのは、専門家と見ら れている看護者の団体だからこそです。 案 看護者だからこそできる 3 新たな 「精神疾患の普及啓発」活動 普及啓発は正しい情報を広めること、そして活動を継続するこ とが大切です。精神医療に携わる専門家としてもっとも人数 が多く、継続力やチーム力を備えた看護者が、いまこそ「看護 者だからこそできる」新たな普及啓発活動を創造し、地域規模、 全国規模で展開します。 案 個別ケアが得意な精神科看護者を増やします 1 「腕がいいナース」とは、個別ケアがしっかりできる看護者の ことです。入院した患者さんたちに「看護者が側にいてくれる から安心」と思っていただくために、優秀な看護者を増やして いきます。 案 精神疾患と精神障がい者のイメージを 2 変えていきます 精神疾患や精神障がい者に対する偏見は「知らない」ことによっ て生じています。正しい知識をわかりやすく伝えるこころの 健康出前講座を、当事者と看護者がペアになり講師として行 うなど、グレードアップした出前講座にもトライしていきた いと思います。 案 ポジティブで元気な看護管理者を増やしていきます 3 精神医療におけるケアの質を向上させるために、精神科病院 等の看護管理者のネットワークをつくり、看護管理者のサポー トシステムを構築します。看護管理者が元気になることが、そ の病院の看護の質を上げ、スタッフの働きやすさにつながる からです。 案 参加型の学術集会 1 平成28年度より、日本精神科看護学術集会専門Ⅰ・Ⅱが統合さ れ、 「日本精神科看護専門学術集会」として新たにスタートし ます。見聞きするだけの学術集会ではなく、自ら参加し体験で きるプログラムや参加者交流がはかれるような開催内容を企 画します。 案 こころの健康情報 2 案 3 情報の発信として、ホームページの利用価値を高めます。特に 支部で実施している、こころの日のイベント情報やこころの 健康出前講座などの情報をタイムリーに更新して社会への情 報発信に努めます。 Web申込対応の充実 現在、入会手続き、協会主催の研修会申込(および支部研修会 の一部 )、学術集会申込は、Web 申込に対応しています。福島で の学術集会の業務改善発表のエントリーも Web 受付に切り替 えました。今後、看護研究発表論文の投稿なども Web から直接 エントリーできるように充実させていきます。 業務執行理事 早川幸男 業務執行理事 仲野 栄 業務執行理事 日精看事務局 日精看事務局 吉川隆博 東海大学健康科学部看護学科 案 会員1人1人がその人に合ったかたちで 1 スキルアップできる教育プログラム クリニカルラダー制度を活用し、会員1人1人が目標に応じて ステップアップしていけるような研修会を企画する。ある一 定の期間で決められた初心者・中堅・ベテラン・指導者・管理者 等のプログラムを習得することで認定証を発行する。 案 どこでも精神科認定看護師出前講座 1 案 こころの健康ホットラインを47都道府県で設置 2 いつも近くにいて安心できる精神科看護者、団体として、ここ ろの健康に関する電話相談ができる体制を整える。たとえば、 月に1 回程度、電話 1 回線を数人が交代で担当するなど。その 対応のための研修会なども開催する。研修会参加者は「こころ のホットラインアドバイザー」として登録できる。 案 精神科看護者がリカバリーの支援を実践する 2 案 支部運営のスマート化による支部活動の強化 3 支部運営に関する事務作業などの効率化をはかることで、本 来の支部の活動に時間や労力をシフトすることができ、間接 的に理念実現に向かうことができる。 業務執行理事 窪田澄夫 日精看京都研修センター こころの健康出前講座のように、ちょっと呼んで講義をしても らう。少人数でも、短時間でも OK。協会としては、精神科認定 看護師の活動の場をつくること、存在を周知すること、精神科 認定看護師の研鑽の機会をつくることを目的とする。会員と しては、職場に迷惑をかけず、お金をかけず、馴染んだ仲間と 自己研鑽できる。仲間と聴講することから学んだことを職場 に使えるメリットがある。精神科認定看護師が、教育の訓練を 積む機会が得られ、かつ活動実績ポイントに換算してもらう。 1 どうしたら、病棟看護者が患者さんのリカバリーを推進する力 となり得るか。患者さんがリカバリーの力をもっていること を実感できるか。具体的なアイデアが私にはいまはないが、講 義で知るのではなく、実感できる活動が病院内外にぜひ必要 だと思う。 研修を全国で行う 厚生労働省の検討会で示された「地域移行に関する研修」を厚 生労働省と共催することで、今後の精神医療に対する会員の不 安を払拭する。 「こころの健康出前講座」事業を 案「こころの日」 2 機会をつくること 案 今後も協会の運営のわかりやすさと 3 案 病院スタッフの地域移行に関する理解を深める 推進する 国民のこころの健康の維持増進をはかるとともに、精神障がい 者への偏見を解消し、こころの健康を通して、だれもが安心し て暮らせる社会をつくる。 案 支部運営の継続・強化のため、 3 協会に支援システムを確立する 支部役員の負担軽減と組織としてのガバナンスとコンプライア ンスを高めていくため、協会内に人的資源を含めた支援システ ムを確立する必要がある。 透明性と評価を継続していくこと 業務執行理事 看護にリフレクションが大事なように、何よりも自分たちの 足元を常に振り返り、かつ第三者の意見、市井の人々の感覚に 耳を傾けることはもっとも大事なことだと思います。 医療法人久盛会秋田緑ヶ丘病院 業務執行理事 遠藤淑美 大阪大学大学院医学系研究科 工藤正志 05 2015.6 No.672 ことは? 〜理事からの提案〜 案 単なる知識提供にとどまらず、精神科看護の本質や 1 魅力を伝えられる機会を設ける 日精看の研修会は、知識提供(演習を含む)が多い。最新の知識 や技術、動向を知ることは重要だが、精神科看護者であるとい うことがどういうことなのか、精神科看護とは何かを考える 機会が1年に1回くらいはあってもよいのではないか。自信の 獲得や自分自身のめざす道へとつながっていくように。 案 精神科看護者が地域住民とふれあうことで、 2 こころの健康について考える機会を設ける こころの日や出前講座の実施はもちろんのこと、地域社会にお けるボランティア活動を募り、精神科看護者として活動する ことで、地域住民のこころの健康に対する関心を高められる 可能性がある。災害などの有事の際だけではなく、気軽に参加 できるボランティア活動の推進を検討してみてはどうか。 案 研修会以外に自分が日精看の会員であるという 3 ことを認識できるよう1人1人に働きかける 案 会員のつぶやきにも耳をすませて聞き入る 1 組織でありたい この仕事の「誇り」とはなんだろう。そう自分に問いかけつつ 臨床の場に踏みとどまる。そのような精神科看護者を支える 「誇り」 には、日精看はどのような活動を行えばいいか。68年前、 を共有するために日精看を組織したであろう男性たちにも思 いを馳せつつ考えていきたい。 案 社会が求めている精神科看護的な知の集積と提供 2 いくつかの治療ガイドラインが示しているように薬物療法が すべてという時代ではなくなりつつある。看護が主体性を発 揮できる「療養指導(心理教育) 」の領域が拡大定着するよう精 神科看護の力量を高める努力が必要だ。 案 ナレッジコミュニティとしての日精看 3 スマートフォンの普及も進み、会員の多くがメールを閲覧でき る状況にある。会員情報の1つとして、メールアドレスの登録 を準義務化し、これまで希望者に限られていたメールマガジン の配信を積極的に行ってみてはどうだろうか。うまく活用で きれば、ニュース以上に活用性の高いものになるように思う。 臨床の場には、データで説明可能な現象だけでなく論理にでき ない解決事例、言語化の困難な暗黙知や身体知もある。このよ うな臨床の知恵 (ナレッジ)を共有する仕組みをつくるため、臨 床に根を下ろした経験の交流が活性化することを期待したい。 案 身近な存在の日精看 1 会員1人1人が日精看の存在を身近に思うことが必要不可欠であ る。多くの会員は日精看を身近な存在だと思っているか不明瞭 である。支部研修などを通して日精看をアピールする必要があ る。 案 目に見える社会貢献 2 こころの日とこころの健康出前講座はいままで同様に実施す る。さらに、こころのケアのプロとして文部科学省や厚生労働 省と連携し、小学校から高校などの教育現場のこころのケア に参入する。 案 組織強化につながる組織運営 3 会員1人1人が日精看の土台である。会員が増えることによって 土台が強化され新規事業などの組織運営ができる。案1とつな がるが、日精看を内外にアピールする。会員を増やすために平 成26年度に実施したことを推し進める。 業務執行理事 渡辺勝次 業務執行理事 公益財団法人積善会曽我病院 吉浜文洋 佛教大学保健医療技術学部看護学科 業務執行理事 畠山卓也 公益財団法人井之頭病院 案 地域で働く看護者のスキルアップと 1 精神科看護者の意識改革をはかる研修実施 医療改革が行われ、看護者の働く場所が広がりを見せている。 しかし、看護教育の中で(特に精神科看護において)在宅支援 については学習する時間が短い。リカバリーの視点に立つ看 護を展開するためにも看護の視点を広げるためにも“当事者が 地域で暮らす”を中心にした研修の機会が必要である。 案 企業に向けた精神障害 (うつ対策を含む)に関する 2 啓発活動 うつ病等により長期に休職する人の増加は経済効果としても 不利益が生じている。働きやすい環境を整えることやリワー クのための支援を疾病教育も含めて社会に対して行うことは 日精看が担うべき啓発活動の1つではないかと考える。 案 支部と協会が一貫した活動として地域で働く 3 案 日精看という団体を組織する意義を 1 理解していただく 日精看という団体は、単に精神科看護者としての知識を深める だけでなく、精神障がい者の社会復帰や参画を考えること、また、 精神医療に携わる看護者の地位向上やそれにともなう施策の提 言も行う団体である。その実現には、組織の力が必要である。 案 精神科の早期受診を推奨 2 精神疾患もその他の疾患同様、早期治療の有効性が提唱されて いる。未治療の状態が長期にわたると回復の遅延や予後不良と なり、罹患した方の人生をも左右しかねないからである。 案 組織強化をはかる 3 看護者にも魅力ある活動を展開 精神科看護の魅力を会員個々が再認識し、魅力ある精神科看 護の現場をつくるためにも、他職種と協働で研修を行う機会 をもちながら各職種をつなげ、当事者のことを中心に多職種 で一緒に考える活動を支部でも協会でも展開する。 案1、2を実現するためには団体として組織の規模が必要である。 また、精神科に従事するすべての看護者に、精神医療を取り巻 く現状とわれわれがこれから実施しなければならないことを認 識してもらい、そのために1人1人が何をすべきなのかを示すこ とが、精神科看護の団体としての役割であると考える。 案 協会理念の浸透に努める 1 会員個人ではなく、日精看が職能団体としてどうあるべきか? ということを共通認識できるように、機会あるごとに理事や支 部長が協会理念や活動状況を直接、会員に伝える。 案 日々、良質な看護を提供する 2 困った時に精神科へ行って救われたと言われるように精神科看 護者の資質・技術の向上に努め、一般科と同等のレベルで評価さ れるように、教育に力を入れる。 案 支部組織を強化する 3 協会の活動方針、活動状況を共通理解できるように全国支部長 会議に十分な時間をかけ、全国の支部の考えに温度差がないよ うにする。 (全支部が心を1 つにして歩めるようにする) 理事 尾形和惠 社会医療法人みやま会盛岡観山荘病院 理事 内野隆幸 医療法人緑心会福岡保養院 理事 東 美奈子 訪問看護ステーション Relisa 案 情報の発信 1 過去、現在、未来の予測に関して、情報を発信することにより、 精神医療がどうあるべきかを知ることができる。 案 こころの健康に関する情報の発信 2 こころの健康出前講座などを通じて、日精看のもてる力を社 会に発信することで、社会貢献の一端を担うことができる。 案 組織強化と日精看のアピール 3 組織 強化は、経済基盤が安定し、人材も豊かになり、より発展 的な組織づくりが可能となる。NHK をはじめ、民放などのマス メディアにも、こころの健康を専門とする看護者の団体とし てアピールする。 理事 奥山 修 地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立精神医療センター 案 魅力ある組織にする 1 積極的に参加したいと思われる研修などを企画し、もっと楽 しく興味のあるものに参加していただく。 「個人の成長」が「組 織の成長」となり、看護の力を磨いていく。 4 4 44 案 退院調整はもともと精神科看護者の得意技だと伝え隊 1 案 社会貢献できる組織にする 2 地域で生きる人々を支援するための活動を増やす。 「こころの日」 のアピールと精神疾患を抱え地域で生活している人を支える 活動を通して、こころの健康を大切にできるような講演、相談 会などを開催する。 案 目標を共有する 3 4 4 44 案 いつも私たちが何かのお役に立てると伝え隊 2 支部の研修会や講演会などで、日精看のあり方を共有する。く り返し話すことで浸透していくと思う。 理事 佐藤照美 相馬広域こころのケアセンターなごみ 医療機関で退院後の生活を見据え、家族や地域とかかわる退院 調整の必要がいわれるようになったのは最近です。精神科看護 者は以前からそれを本来業務として実践してきました。自信と 誇りをもって今後の活動を展開するためにも、社会が求める「退 院調整」は、私たちの本来業務であり専門技術であり得意技だ と伝え隊、結成してはどうでしょうか。 5疾病・メンタルヘルス。毎日、目や耳にしない日はありません。 相談や受診ができず、あるいは気づかず苦しんでいる人たちが 多いのだろうと思います。日精看はそのどの段階にある方々に も、まずお役に立てると思います。そのことを広く社会に伝え隊、 結成してはどうでしょうか。 案「当事者意識」で活動理念を浸透させるよう 3 私たちから 「変わる勇気」をもつ 理事 吉野百合 一般財団法人創精会松山記念病院 CMYK いま、理事会に与えられているミッションは、組織の存続です。 日精看の歴史を大切にすることと、新規会員獲得などの組織強 化は必ずしも同じ方向に向かわないかもしれません。状況判断 ⇒決断の繰り返しになりますが、当事者である覚悟をもちながら、 変化することを恐れずに進みたい。今後は理念の実現に向けて 常に結果をだす議論に努めます。
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