統計学の基礎 第７回：信頼区間 統計数値の精度を知ろう (２) 土屋隆裕 情報・システム研究機構 統計数理研究所 1 標本平均の標本分布の性質 母集団平均 ① 期待値は母集団平均に一致する 標本平均は母集団平均とずれていても、 平均的 には母集団平均に一致する 母集団分布 6,000千世帯 4,000千世帯 2,000千世帯 0千世帯 ② 標準誤差は標本サイズの平方根に 反比例する 標本が大きいほど、標本平均が母集団平均から ずれる可能性は小さくなる 0千円 200千円 400千円 600千円 800千円1,000千円 年間医療費支出 期待値 標準誤差 標本分布 ③ 母集団分布によらず標本サイズが 大きいとき正規分布に近づく 126千円 128千円 130千円 132千円 134千円 136千円 138千円 年間医療費支出の標本平均 2 正規分布 平均 99% 95% 68% 1 標準偏差 1.96 標準偏差 2.58 標準偏差 3 標本平均と標本分布 ※ 標準誤差は、理論的に1.41千円であることが分かっているものとする 母集団平均 129.0千円 母集団平均 133.7千円 標本平均 131.1千円 124千円 125千円 126千円 127千円 128千円 129千円 130千円 131千円 132千円 133千円 134千円 135千円 136千円 137千円 138千円 4 信頼区間 ※ 標準誤差は、理論的に1.41千円であることが分かっているものとする 母集団平均 130.4千円 標本平均 131.1千円 124千円 125千円 126千円 127千円 128千円 129千円 130千円 131千円 132千円 133千円 134千円 135千円 136千円 137千円 138千円 1.96 131.1 1.96 1.41 = 128.3千円 1.41 = 2.76千円 131.1 + 1.96 95%信頼区間 1.41 = 133.9千円 5 以下の表は，支出項目ごとに「標準誤差」及び「標準誤差率」（平均値に対する標準誤差の比率）を 示したものである。平均値を中心としてその前後に標準誤差の２倍ずつの幅を取ったものを９５％信 頼区間といい，各支出項目の真の年間平均額は信頼区間の中にあると９５％の確信を持って言える。 信頼区間の例 幼 稚 園 公 立 区 分 a 平均値 （円） b 標準誤差 （円） 私 立 b/a （％） a 平均値 （円） b 標準誤差 （円） b/a （％） 学習費総額 230,100 2,849 1.24 487,427 8,185 1.68 学校教育費 131,624 1,831 1.39 340,464 5,461 1.60 学校給食費 17,920 1,068 5.96 26,891 1,528 5.68 学校外活動費 80,556 2,058 2.55 120,072 3,739 3.11 文部科学省 平成24年度 子供の学習費調査 小 学 校 私 立 公 立 公立幼稚園 学習費総額： 区 分 a b 平均値 標準誤差 下限 = 230,100 （円） 1.96 （円） 学習費総額 305,807 3,606 a b b/a 平均値 標準誤差 b/a 2,849 = 224,516 円 （％） （円） （円） （％） 1.18 1,422,357 19,282 1.36 1.43 40,229 2,394 5.95 1.78 559,661 10,223 1.83 上限 = 230,100 + 1.96 2,849 = 235,684 円 学校教育費 55,197 785 1.42 822,467 12,993 1.58 学校給食費 42,035 599 私立幼稚園 学習費総額： 学校外活動費 208,575 3,711 下限 = 487,427 1.96 8,185 = 471,384 円 中 学 校 上限 = 487,427 +公 立 1.96 私 立 8,185 = 503,470 円 区 分 a 平均値 b 標準誤差 b/a a 平均値 b 標準誤差 b/a 6 95%信頼区間 母集団平均 1.96 標準誤差 95% 95%信頼区間 標本平均標本平均 標本平均 標本平均 100回のうち95回の割合 (95％) で、95％信頼区間 は母集団平均を含む 7
© Copyright 2024 ExpyDoc
