【モーニングセッション】最新核医学事情 座長集約 杉山昌弘(公立大学法人横浜市立大学附属病院) 核医学装置は PET-CT の登場以降、SPECT と PET のハイブリッド装置、半導体検出器 を備えた装置や SPECT-CT 装置などが利用されている。最近では MR-PET 装置も薬事承 認され、今後の動向が期待される。ソフト面では診断支援ソフトの開発があげられる。 モーニングセッションでは装置メーカーと放射性医薬品メーカーから最新装置の紹介、 薬剤の最近の事情、最新のアプリケーションについて講演をいただいた。 核医学装置については、まず Philips の新山大樹氏より「PHILIPS 社製 TOF-PET/CT・ TOF-PET/MR の最新動向」と題し、Time Of Flight PET の原理から CT の被ばく低減・ 金属アーチファクト低減技術、そして最新の PET/MR 装置について紹介いただいた。MR と PET が別ガントリーで構成され、撮像時には寝台を 180 度回転させそれぞれの撮像を行 い、磁場からの影響を低減させているとの事であった。 次いで、SIEMENS の小田川哲郎氏より「SIEMENS 核医学ハイブリッドシステム 最 新情報」 として SIEMENS 社の MR-PET 装置について紹介いただいた。これまでの PET-CT 装置では CT と PET を同一寝台上にて、同一体位で連続的に撮像していたが MR-PET 装 置では真の意味での同一撮像が可能という事でこれまで以上の高精度な位置あわせ画像が 提供できるとの事であった。 島津製作所の田中和巳氏からは「マンモ PET」についてご紹介いただいた。マンモ PET では、これまでの WholeBody 撮像用の PET よりも高い分解能が求められており、性能評 価を行う際これまでの手法やファントムが利用できず苦慮たとの事であった。 薬剤メーカーからはまず、富士フイルム RI ファーマの河上一公氏より「骨シンチ診断支 援ソフト BoneNAVI による骨転移の評価」についてお話しいただいた。核医学ではこれま でも脳血流や心筋シンチにおいて各種ソフトを利用してきた。このソフトも今後は、多く の検査で有用な情報を臨床科へ提供していくと考える。 最後に日本メジフィジックスの柳沼聡氏より「FDG 検査の現状」として、PET 検査の施 行状況や FDG スキャン注のデリバリー状況について説明いただいた。FDG 検査は、保険 適用となった後、PET-CT 装置の登場もあり、サイクロトロンを有しない施設においても行 われるようになり、今では臨床診断に欠かす事のできない検査となっている。今後は FDG 以外の PET 薬剤のデリバリーも期待されるが、デリバリーにおいては、半減期が問題とな るとの事であった。 モーニングセッションは会場が満員になるほどの参加者のなかで行う事ができた。また 限られた時間ではあったが各メーカーから最新情報を報告いただき有意義なセッションと なった。 核医学技術学会の専門技術者認定や核医学専門技師の認定など、核医学についての専門 性を高める事は重要であるが、一方で PET-CT 装置、PET-MR 装置そしてマンモ PET 装置 の登場により我々核医学に携わる放射線技師は、 今後 SPECT や PET のみならず CT、 MR、 マンモ等他のモダリティに関する幅広い知識が求められるのではないかと考える。
© Copyright 2024 ExpyDoc