加熱ステージを利用したラマン分光分析

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加熱ステージを利用したラマン分光分析
不活性ガス雰囲気下における微小領域の加熱による構造変化の評価が可能です。
背景
材料評価のためには、その構造を調査することが重要です。ラマン分光分析は、試料にレーザーを照射することで発生する
散乱光から、物質の構造状態を解析できるため、加熱ステージを用いたラマン分光分析により、製品が実際に使用される環境
を模擬した条件下での加熱時の微小領域における変化を測定でき、温度による材料性能変化を評価することが可能です。
分析事例
測定可能条件
ラマン分光分析では、1μmの微小領域における化合物の結合
状態を、スペクトルの形状から解析できます。更に加熱ステージ
を用いることにより、実際の使用環境を模擬した条件下における
測定を行うことが可能です。フィルム界面の状態調査など、共焦
点法を組み合わせた非破壊試験が可能です。
温度範囲
室温~800℃
雰囲気ガス
空気、N2、Ar等の不活性ガス
試料サイズ
直径約8mm以下、厚さ約5mm以下
例1:高密度ポリエチレン
加熱後(140℃、融点付近)
加熱前(室温)
7500
12000
7000
CH2
逆対称伸縮
6500
6000
CH2
対称伸縮
11000
10000
5500
9000
5000
Raman intensity
Raman intensity
8000
4500
CH2
対称伸縮
4000
3500
3000
2000
CH2(長鎖)
はさみ
1500
1000
CH2
逆対称伸縮
6000
CH2(長鎖)
ひねり
5000
CH2(長鎖)
ひねり
2500
7000
4000
CH2(長鎖)
はさみ
3000
C-C伸縮
2000
C-C伸縮
1000
500
4000
4000
3500
3000
2500
2000
Raman shift (cm-1)
1500
1000
3500
3000
500
2500
2000
Raman shift (cm-1)
1500
1000
500
●測定結果
加熱により、C-H伸縮のピーク形状が変化することを確認できました。 また、ピークがブロードになったことから、結晶性が
低下しているといえます。
例2:消石灰
CaCO3
32000
加熱後(室温)
30000
CO32(CO2吸収)
28000
26000
冷却(大気中)
24000
22000
CaO
Raman intensity
20000
加熱(650℃)
18000
●測定結果
加熱前に観察されたOHのピークが、加熱による
脱水反応で消失したことがわかります。
さらに、加熱後大気中で放冷するとCO2を吸収
することを、スペクトルから確認できました。
16000
14000
12000
-OH
10000
加熱
8000
分析目的や試料状態に合致した方法を
ご提案いたします。お気軽にご相談ください。
加熱前(室温)
6000
4000
2000
Ca(OH)2
4000
3500
3000
2500
2000
Raman shift (cm-1)
1500
1000
500
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