「明治日本の産業革命遺産」と白秋展

明治日本の
みに、作曲は山田耕筰です。
す。レコードも製作され、現
もに、白秋の名声は国民詩人
大 正、 昭 和 初 期 に か け て、
童謡、民謡、歌謡の流行とと
野球部の応援歌としても歌い
ました。応援歌は戦後、同所
幡小唄」などをたくさん残し
年ぶりに郷土柳川へ帰郷し
「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録されること
7月、
が決まりました。登録されることになった官営八幡製鉄所(北九州市)
や 三 菱 長 崎 造 船所( 長 崎 市 )の 所 歌 は 北 原 白 秋 が 作 詞 し た も の。 近 代
化が進む日本産業の躍進を社歌で応援した北原白秋を紹介します。
白秋は、昭和3(1928)
年に大阪朝日新聞社の依頼で
地域に勇気と元気を
在も同造船所史料館で大切に
保存されています。
産業革命遺産 と白秋
時 代は鉄なり
白秋は同製鉄所で見た光景
が忘れられず、所歌と応援歌
としてますます高くなりま
継がれていったそうです。
八幡製鉄所所歌
す。白秋は、各方面からの依
の他に、
4部 編からなる「八
頼に応じて、その土地の特色
造船の業ここにあり
を詩歌で表現しています。
三菱長崎造船所所歌
ています。この後、八幡製鉄
所と三菱長崎造船所の所歌を
つくるため、九州にやってき
てたときも、柳川に足を延ば
同製鉄所に到着し、工場を
見学した白秋は、
溶鉱炉で「驚
して八幡を訪れます。
訪れた白秋は、建造中の船の
昭和 (1935)年5月、
所歌をつくるため同造船所を
た。
望があがり、白羽の矢が立っ
会歌や柳河商工会行進歌を
学校の校歌、また柳河婦人会
柳河小学校、伝習館、柳河盲
に立ち寄り、南関小学校をは
した言葉は、今もさびること
1
昭和5(1930)年、
歳の白秋は、八幡製鉄所から
しています。
す。
底が平たいということを発
次々と手がけました。
三菱長崎造船所で働く職工
たちから、所歌がほしいと要
翌日は同製鉄所の工業用水
を確保するために造られた河
見。パイプや汽缶(ボイラー)
所歌と応援歌の歌詞の選者と
内貯水池や、船に乗って洞海
の各部はすべて鋳物でできて
多くの地域で人々に勇気や
元気を与えてくれる歌をつ
三菱長崎造船所の帰りには
母の古里、熊本県南関と柳川
湾 か ら 工 場 を 視 察 し ま し た。
いることを初めて知って大い
くった白秋。その生き生きと
たのが白秋と山田耕筰でし
その後、応募された370編
に驚いたといいます。
じ め、 矢 留 尋 常 高 等 小 学 校、
の歌詞の審査に当たりました
いたな」を連発したといいま
が、 入 選 作 品 が な く、 結 局、
なく受け継がれています。
庁舎を訪れ、11 月に開催される
翌年春、所歌は完成し、長
崎で山田耕筰の指揮により発
長 が、7 月 16 日、 市 役 所 柳 川
白秋自らが所歌と応援歌を作
を行う三崎白秋会の加藤治彦会
(取材協力:北原白秋記念館)
川県三浦市で、白秋の顕彰活動
表会が開かれることになりま
▲
1. 明治から大正、昭和の初期にかけて、童謡や歌曲、
社歌などで数々の名曲を生んだ、北原白秋(右)と
山田耕筰。
「からたちの花」
「ペチカ」
「この道」な
ど 500 曲ほどの歌を残している。
(昭和 6 年撮影)
2. 山田耕筰が下書きした八幡製鉄所所歌の楽譜
3. 三菱長崎造船所所歌
「城ケ島の雨」で知られる神奈
詞することになります。ちな
八 幡製鉄所所 歌
「鉄なり秋 な り 」
1
とき
鉄なり、秋なり、
時代は鉄なり。
高鳴れ、この腕、世界の鉄腕、
こが
炎々と、炎々と、
三菱長崎造船所所歌
は た て
1 ふ
海に噴き立つ積雲の
こうどう
かいな
際涯に遠く我呼ばん。
ま
皇道光高うして
▲▲▲
「三浦市合唱祭」への招待状と三
天をも焦さむ此の火を見よや。
ほんとう
溶鉱炉、溶鉱炉、溶鉱炉、
フレー、
不断の熱鉄、火竜の奔騰、
見よ見よ、我が火は尽きず
尽きず。
製鉄、製鉄、フレー、フレー、
フレー、フレー。
そうそう
時代は俟てり、この腕、
した。昨年、世界文化遺産に登録され
か ん ら
た富岡製糸場行進歌「甘楽行進歌」も
白秋がつくっています。この他、校歌
や応援歌、民謡など全国にたくさんの
歌を残しています。それぞれの地域に
足を運び、現場の声を聴き、歌にして
いった白秋の歌からは、地域の人たち
の誇りが伝わってくるようです。
来年、
「長崎の教会群とキリスト教
関係遺産」が世界文化遺産として審査
されます。白秋の「五足の靴」や「邪
宗門」などの作品と深い関わりがある
地域で、登録されることが楽しみです。
「八幡製鉄所所歌」や「三菱長崎造
船所所歌」などのメロディーを
聴くことができる視聴コーナー
白秋が手がけた社歌や歌にまつわ
るエピソードなどを紹介
浦市長からの親書を届けました。
わざ
白秋は、明治から昭和初期にかけ
て、殖産興業の時代を社歌で応援しま
2
3
20
45
人々が誇りに思う詩歌
をつくり続けた白秋
2
広報やながわ 2015.8.1
広報やながわ 2015.8.1
3
金子市長に親書を手渡す
加藤会長(左から2人目)
▲
10
あげよ響を鏘々と、
大橋 鉄雄さん(垂見・62 歳)
造船の業ここにあり。
北原白秋記念館館長
期間 8 月 31 日(月)まで
会場 北原白秋記念館(市立歴史民俗資料館、沖端町 55・1)
主な展示 八幡製鉄所所歌・応援歌、三菱長崎造船所所歌、カル
ピス(初恋小唄)、白洋舎の歌、富岡製糸場関連(甘楽行進歌、繰
糸の歌)、日本電気(NEC)社歌、柳河商工会行進歌 他
入館料 大人 500 円、市内小中学生無料(市外は 250 円)、高校・
大学生 450 円
【問】同館(☎ 73・8940)
三浦市合唱祭へ招待
「明治日本の産業革命遺産」
と白秋展
三崎白秋会の加藤会長が来柳
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