NHKメディアテクノロジーの 超高精細・大型映像技術

株式会社 NHK メディアテクノロジー
NHKメディアテクノロジーの
超高精細・大型映像技術
株式会社 NHK メディアテクノロジー/
斉藤 晶、内藤一輝、和田浩二、村上篤史、
伊能英男、明石雅子、栗田泰市郎
NHKメディアテクノロジー
(MT)では、高い映像技術力を駆使して様々な超高精細・大型映像の
制作・システム開発に取り組んでいる。それらは、世界初の実写8K3Dシアター、8Kコンテンツの
3面表示、4K/8K縦型デジタルサイネージ、マルチシンクロビジョンなどである。
本稿では、
それらの概要を紹介する。
1
はじめに
株式会社NHKメディアテクノロジー
(NHK-MT:
以下、MT)
は、高い技術力で文化の創造と社会の
発展に貢献することを経営理念として、映像制作
2
世界初!実写8K3Dシアター
MT 創立 30 周年記念技術展の目玉企画として
「世界初! 8K3D シアター」を展示した。
3D 制作は MT の得意分野であり、映像設計は
や映像システム・サービスの構築・提供、情報シ
8Kにおいても問題なくできるとの確信はあった。
ステムの設計・開発・運用・保守などを主な事業
最大の課題は、世の中にある 8K 機材を駆使して
としている。映像関係では、放送技術に関する
8K3D の撮影から編集、MA、展示と一連の業務
NHK からの委託業務を幅広く担っているほか、そ
に対応できるかどうかであった。
の技術力を活かして、委託業務以外の自主事業も
撮影にはカメラとレンズ、3D リグ(カメラを 2
行っている。その一環として、放送以外の用途も
台載せる台)、収録機が必要である。カメラは大き
目指した、様々な超高精細・大型映像の制作・シ
さを考慮しアストロデザイン社製 AH4800 を 2 台
ステム開発にも取り組んでいる。
用いた。1 台は MT 所有のものであり、もう 1 台は
MT は昨年 10 月に創立 30 周年を迎えたが、それ
アストロデザイン社から借用した。品薄な 8K カ
を 記 念 し て、 昨 年 11 月 19~21 日 の Inter BEE
メラ 2 台のスケジュールに合わせてロケ日程を決
2014(国際放送機器展、於:幕張メッセ)の際に、
定した。もう 1 つの事前課題としてカメラ 2 台の
Inter BEE本会場とは別のホールにおいて、MT創
同期の問題があったが、ロケ直前に技術開発が終
立 30 周年記念技術展を開催した 1)。その技術展や
わり、ギリギリ間に合わせることができた。図1に
本会場の自社ブースにおいて、MT が最近取り組
制作した 8K3D コンテンツのタイトル、図 2 に撮
んできた独自の超高精細・大型映像を披露した。
影現場の様子を示す。
それらは、世界初の実写 8K3D シアター、8K コン
編集作業には MT の高精細編集室 BLAZE(ブレ
テンツの 3 面表示、4K/8K 縦型デジタルサイネー
イ ズ )を 使 用 し た。AUTODESK 社 製 Flame
ジ、マルチシンクロビジョンなどである。次項で
Premium をメインに 8K の連番ファイルを編集し
は、それらについて紹介する。
ていく。ここでの 3D調整はHD画質にダウンコン
eizojoho industrial
September 2015︱39