Title 地震による降雨浸透特性変化が盛土の降雨時安定性に 及ぼす影響

Title
地震による降雨浸透特性変化が盛土の降雨時安定性に
及ぼす影響に関する解析的考察
Author(s)
川尻, 峻三, 布川, 修, 太田, 直之, 杉山, 友康, KA
WAJIRI, Shunzo, NUNOKAWA, Osamu, Ohta, Naoyuki,
SUGIYAMA, Tomoyasu
Citation
Issue Date
URL
第57回地盤工学シンポジウム論文集
2012-12
http://hdl.handle.net/10213/2204
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Conference Paper
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http://kitir.lib.kitami-it.ac.jp/dspace/
地震による降雨浸透特性変化が盛土の降雨時安定性に及ぼす影響に関する解析的考察
Analytical consideration for Effect of Earthquake-induced change of Rainfall
infiltration characteristics on Embankment stability against rainfall
川尻峻三*,布川 修**,太田直之***,杉山友康****
Shunzo KAWAJIRI, Osamu NUNOKAWA, Naoyuki Ohta and Tomoyasu SUGIYAMA
地震によって盛土内に発生したと想定したせん断帯部のサクションをそれ以外の盛土部より低
下させた状態で飽和・不飽和浸透流解析およびせん断強度低減法による解析を実施して,降雨時の
盛土の安定性について検討を行った.その結果,今回実施した解析の範囲では,せん断帯が盛土天
端からのり尻までに至った場合には,せん断帯が発生していない状態よりも少ない総降雨量で安全
率が 1.0 に至る可能性があることがわかった.
キーワード:せん断帯,サクション,降雨浸透特性,盛土
shear band, suction, rainfall infiltration characteristics, embankment
示す.盛土高さ H については H = 7.5,5.0,2.5m とした.
1.はじめに
土構造物に地震動が作用した場合,土のせん断強度低
せん断帯の幅については,その大きさが解析結果に影響
下や降雨浸透特性が変化することによって降雨時の安定
を及ぼすと考えられるが,本解析では幅 0.3m のみとし
性が低下すると考えられる.地震後の盛土の耐降雨性を
た.せん断帯高さ Hs はそれぞれの H に対して Hs = 1/4H,
適切に評価するためには,地震動の作用によって発生し
1/2H, 3/4H,H とした.また,のり面勾配および盛土天
たせん断帯部分における土のせん断強度の低下やせん断
端幅はすべてのケースで 1:1.5 および 5m とした.さら
帯が生じることによる降雨浸透特性の変化を考慮して,
に,図 1 に示した解析ケース以外にそれぞれの H の盛土
土構造物の降雨耐力の変化を定量的に把握する必要があ
に対してせん断帯が発生していない状態を想定した解析
る.
についても実施している.
浸透特性の変化を考慮して解析的手法によって降雨耐
せん断帯部では地震動によるダイレイタンシーによっ
力を検討するためには,まず地震動によって発生したせ
て間隙比の増減が発生すると考えられる.具体的には,
ん断帯部のダイレイタンシーと対応した飽和・不飽和透
地震前に密な状態にある土構造物では正のダイレイタン
水係数および水分特性などの地盤物性を明らかにする.
シーによってせん断帯部の間隙比が増加し,ゆるい状態
そして,この結果をせん断帯部分に設定した解析モデル
にある土構造物では負のダイレイタンシーによってせん
を対象として飽和・不飽和浸透流解析を実施し,降雨時
断帯部の間隙比が減少することが予想される.ここで,
における土構造物の安定性の評価を行う必要がある.し
地震動による間隙比の変化が土構造物の排水よりも早く
かし,地震時における土のせん断強度低下に関する既存
完了することを勘案すると,せん断帯部では加振前後で
の研究
1)2)3)
と比較して,地震後の降雨浸透特性に着目し
た研究成果は比較的少ない.
含水比一定条件であると考えられ,せん断帯部では含水
比一定条件下で間隙比の増減に伴い飽和度が変化し,そ
そこで本研究では,ゆるい状態にある盛土に地震動が
れに対応して不飽和浸透特性(体積含水率サクショ
作用した時に,含水比一定状態でせん断帯部に負のダイ
ン関係および体積含水率比透水係数 Kr 関係)が変
レイタンシーが発生して飽和度が上昇し,せん断帯部の
化している可能性がある.ここで,単純にせん断帯部の
サクションが低下すると想定した.このような状態を想
飽和透水係数のみを変化させる解析手法では,せん断帯
定した盛土に対して,盛土高さおよび盛土天端からのせ
部とせん断帯以外の盛土部において飽和透水係数は異な
ん断帯の深さが盛土の降雨時安定性に及ぼす影響につい
る値を設定しているが,および Kr がせん断帯部とせ
て数値解析を実施した.
ん断帯以外の盛土部において同一の値となっており,こ
のような状態量の分布は地震動を受けた土構造物が呈し
ていると予想される現実的な状態量の分布と乖離が生じ
2.解析モデル
図 1 に解析対象断面および設定したせん断帯の状況を
ていると考えられる.このことから,およびの変化
*
鉄道総合技術研究所
防災技術研究部
地盤防災
研究員
Researcher, Railway Technical Research Institute
**
鉄道総合技術研究所
防災技術研究部
地盤防災
主任研究員
Senior researcher, ditto
***
鉄道総合技術研究所
防災技術研究部
地盤防災
研究室長
Laboratory head, ditto
****
鉄道総合技術研究所
防災技術研究部
部長
Division head, ditto
H = 7.5m
H = 5.0m
H = 2.5m
せん断帯
Hs =
盛土
H
基礎地盤
Hs =
3/4H
Hs =
2/4H
Hs =
1/4H
図1
表1
試料名
Loamy
sand
試料名
Sandy
clay loam
解析ケースのまとめ
盛土材料および基礎地盤の物性値
粒度分布(%)
m - m
11.0
m
6.0
飽和透水係数,ksat.(m/s)
4.051×10-5
m - m
83.0
r
s

0.057
0.410
12.4
粒度分布(%)
m - m
12.0
m
28.0
m
2.28
飽和透水係数,ksat.(m/s)
0.364×10-5
m - m
60.0
r
s

0.100
0.390
5.9
m
1.48
によって Kr が決まることで飽和・不飽和浸透特性が変化
透境界とした.用いた解析コードの基礎方程式は
することを勘案した解析モデルが,せん断帯の飽和透水
Richards 式 4)を使い,水分特性曲線のモデルは式(1)に示
係数を単純に増減させる解析よりも現実的な解析である
す van Genuchten モデル 5)を,比透水係数のモデルは式(2)
と考えられる.これに着目して沖村ら
9)
は,同様の考え
に示す Mualem- van Genuchten モデル 6)を用いている.
方で加振後の自然斜面模型の降雨浸透特性を再現できる
と報告している.以上のことから,本解析においてはせ
 = [{ (1+(・)n }]-m・(s-r) +r
(1)
ん断帯部のサクションをそれ以外の盛土部よりも低く設
Kr = Se1/2 {1-(1-Se1/m) m} 2
(2)
定することで,地震動を受けた土構造物が呈していると
考えられる応力状態および状態量の再現を試みている.
ここに,:体積含水率,r:残留体積含水率,s:飽
飽和・不飽和浸透流解析における境界条件は,基礎地
和時体積含水率,:マトリックサクション(kPa),,
盤下端・右端および盛土右端を不透水境界,基礎地盤左
n,m:定数,Se:有効飽和度(= (-r) / (s-r)),Kr:
端は水頭一定境界,基礎地盤および盛土表面部を降雨浸
比透水係数である.なお,m と n の関係は式(3)となって
いる.
3.解析結果および考察
図 2 は,盛土高さ H = 7.5m の解析結果として降雨発生
m = 1-1/n
(3)
1 時間,4 時間および 8 時間後のサクション s 分布(図
2a))と飽和度 Sr 分布(図 2b))を Hs = 1/4H および Hs = H
表 1 に解析に用いた盛土材料(Loamy sand)および基
について比較している.降雨発生 1 時間後の結果を見る
礎地盤(Sandy clay loam)の地盤物性を示す.地盤物性
とせん断帯部付近においてサクションが低下し,飽和度
は USDA(アメリカ合衆国農務省)の土壌分類に基づい
が上昇している領域を確認できる.また,降雨途中(経
ている.また,表中には USDA の土壌分類に基づく各種
過時間 4 時間)や降雨降り止み後(経過時間 8 時間)に
7)
の土質に対して Carsel and Parrish が求めた飽和透水係
おける s および Sr 分布はせん断帯部のサクション低下領
数 ksat と式(1)および式(2)のパラメータについても示して
域の影響を受けており,Hs = H の結果が Hs = 1/4H の結
いる.なお,USDA 土壌分類は,使用した有限要素解析
果と比較して,盛土内のサクションが低下して飽和度が
コードに設定されているデータベースの一つである.
上昇している範囲が若干広いことが確認できる.
浸透流解析の初期条件は,岡田ら
8)
の手法を参考に
図 3 は各 Hs における盛土内水位 hs とせん断帯が発生
0.0136m/day の降雨を 3 日ごとに与えて定常盛土内水位
していない盛土の盛土内水位 h0 の比である hs / h0 を降雨
を発生させ,その状態を初期条件とした.初期条件での
時間 48 時間以内の任意時間について整理したものであ
定常状態を確認後,地震動によってせん断帯部の間隙比
る.なお,図中の(hs / h0)ave.はのり尻から盛土奥行き 1m
が減少し,飽和度が上昇したと想定して,図 1 に示した
解析断面のせん断帯部におけるサクション s を 0.5kPa
まで低下させた.なお,降雨条件としては累積雨量
経過時間
Hs = 1/4H
Hs = H
960mm(= 降雨強度 20mm/h×48h)を与えた.
さらに,降雨中の任意時間での盛土内水位における安
全率をせん断強度低減法 10)(以降,SSRM とする)によ
1 時間
って算出した.SSRM で必要な地盤材料の物性値は,盛
土材料においては土の単位体積重量t = 17.0kN/m3,飽和
単位体積重量sat. = 20.0 kN/m3,ヤング率 E = 13.0MN/m3,
4 時間
ポアソン比 = 0.3,粘着力 c = 1.0 kN/m2,内部摩擦角 =
35.0 ゚,ダイレイタンシー角d = 35.0 ゚とした.基礎地盤
については,単位体積重量t = 17.0kN/m3,飽和単位体積
重量sat. = 21.0 kN/m3,ヤング率 E = 50.0 MN/m3,ポアソ
ン比 = 0.3,粘着力 c = 1.0 kN/m2,内部摩擦角 = 35.0 ゚,
ダイレイタンシー角d = 35.0 ゚とした.
8 時間
3.2 3.0 2.8 2.6 2.4 2.2 2.0 1.8 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0
[kPa]
また,本解析では飽和・不飽和浸透 ~ 変形連成解析
a)
サクション分布
を実施している.連成解析の際に必要とされる構成則は
Mohr-Coulomb 破壊基準を用い,不飽和土の有効応力の
経過時間
定義は Bishop が提案した 11) 式(4)に従った.
'=(- ua)+・(ua - uw) = net +・s
(4)
Hs = 1/4H
Hs = H
1 時間
ここで':有効応力,:全応力,ua:間隙空気圧,uw:
間隙水圧,net:実質応力(net stress),s:サクション,
:Bishop の有効応力係数 (0 <<1)である.本解析
4 時間
においては,を有効飽和度 Se としている.
なお,不飽和土の有効応力を用いた際の SSRM による
安定解析時には,サクション効果によって安全率が過大
に算出され,危険側の評価となる.このことから,水位
8 時間
より上部の不飽和領域におけるサクションを 0.001kPa と
ゼロに近い値と設定した.このことから,本解析での
100
90
80
70
60
50
40
30
20
0
[%]
SSRM における有効応力の算出は Terzaghi の有効応力式
にほぼ従っていると解釈できる.
10
b)
飽和度分布
図 2 H = 7.5m における Hs = 1/4H および
Hs = H での s および Sr の経時変化
:Hs = 1/4H
:Hs = 2/4H
:Hs = 3/4H
:Hs = H
(hn / h0)ave.
H = 7.5m
1.5
1.0
0.5
0
8
16
24
32
40
48
1.3
H = 7.5m
1.2
安全率,Fs
2.0
1.1
:Hs = 0
:Hs = 1/4H
:Hs = 2/4H
1.0
:Hs = 3/4H
:Hs = 3/4H
0.9
5
56
7
経過時間,t (hour)
1.4
:Hs = 1/4H
:Hs = 2/4H
:Hs = 3/4H
:Hs = H
1.5
1.3
1.0
:Hs = 0
:Hs = 1/4H
:Hs = 2/4H
:Hs = 3/4H
:Hs = H
1.2
1.1
1.0
0.5
0
8
16
24
32
40
48
0.9
5
56
7
経過時間,t (hour)
1.5
1.0
H = 2.5m
1.3
:Hs = 0
:Hs = 1/4H
:Hs = 2/4H
:Hs = 3/4H
:Hs = H
1.2
1.1
1.0
8
16
24
32
40
48
56
0.9
5
7
経過時間,t (hour)
図3
各盛土高さにおける(hs / h0)ave. の経時変化
40
1.4
安全率,Fs
:Hs = 1/4H
:Hs = 2/4H
:Hs = 3/4H
:Hs = H
H = 2.5m
(hn / h0)ave.
9 10
20
経過時間,ln t(hour)
1.5
2.0
0.5
0
40
H = 5.0m
H = 5.0m
安全率,Fs
(hn / h0)ave.
2.0
9 10
20
経過時間,ln t(hour)
図4
9 10
20
経過時間,ln t(hour)
40
各盛土高さにおける Fs の経時変化
毎における hs / h0 を平均した値である.この図から,H =
次に図 4 は,飽和・不飽和浸透流に伴う任意時間での
7.5m での盛土内水位 hs は,Hs = 1/4H, 2/4H の場合では
応力状態を反映した SSRM によって算出した安全率 Fs
Hs = 0m(せん断帯が無い)の場合における盛土内水位と
と経過時間 t の関係である.降雨は降雨強度 20mm/h×48h
ほぼ同程度であり,Hs = 3/4H, H の場合では Hs = 0m の場
を与えているが,図には Fs < 1.0 となった最初の経過時
合と比較して 1.2 倍程度の水位となることがわかる.一
間までの結果を示している.Fs が盛土高さ H の影響を受
方で,H = 5.0 および 2.5m では,Hs = H の場合において
けるため,降雨初期段階の Fs は H = 2.5m の場合が最も
(hs / h0)ave. = 1.5 以上となることがわかる.また,概ね Hs
大きいことがわかる.しかし,H が低いと H に対する盛
の大きさに対応して(hs / h0)ave. が増加していることから,
土内水位 h の上昇割合が大きいため,時間の経過と供に
H = 5.0, 2.5m では H = 7.5m と比較してせん断帯の有無や
Fs が急激に低下することがわかる.そのため,H = 2.5m
大きさが盛土内水位の上昇に与える影響は大きいと言え
のケースが最も短時間で Fs < 1.0 となっている.
る.これは,H = 7.5m よりも H が低い H = 5.0, 2.5m では,
また,図 4 は経過時間を対数表示としているが,経過
せん断帯部における透水係数やその大きさが盛土内水位
時間を対数表示とすることで Fs が急激に低下する時間
の上昇に及ぼす影響が相対的に大きいためと考えられる.
帯の t ~ Fs 関係が直線で表現できることがわかる.この
100
H = 5.0m
800
95
Rd(%)
Fs = 1.0 に至るまでの総雨量,R1.0(mm)
900
700
H = 7.5m
:H = 7.5m
85
600
Hs = 0
1/4H
2/4H
3/4H
せん断帯高さ,Hs(m)
図5
:H = 5.0m
:H = 2.5m
H = 2.5m
500
90
80
H
Hs = 0
R1.0 ~ Hs 関係
1/4H
2/4H
3/4H
せん断帯高さ,Hs(m)
図6
ことから,それぞれの解析結果における Fs が急激に低下
2)
する時間帯の t ~ Fs 関係を対数で近似した.この対数近
Rd ~ Hs 関係
盛土内に発生したせん断帯は,降雨浸透時のサクシ
ョンおよび飽和度分布の経時変化に影響を及ぼす
似した t ~ Fs 関係を用いて,Fs = 1.0 となる時の経過時間
t1.0 を求め,t1.0 を用いて Fs = 1.0 に至るまでの総雨量 R1.0
H
ことが分かった.
3)
(= t1.0 (h) × 20 (mm/h))を算出した.
盛土高さに応じて初期安全率が異なるため,Fs =
1.0 に至るまでの降雨量が異なることがわかった.
図 5 は,R1.0 とせん断帯高さ Hs の関係である.H = 5.0m
特に盛土高さが低い場合には降雨に伴う盛土内水
の盛土において R1.0 が最も多いことがわかる.これは,
位の上昇量が大きいため,少ない降雨量で Fs = 1.0
H = 7.5m では,H の影響によって降雨前の Fs が H = 5.0m
よりも低いため,H = 5.0m よりも少ない降雨量で崩壊に
に至る.
4)
今回実施した範囲の解析結果は,盛土高さ H = 7.5m
至ると結果と考えられる.また,H = 2.5m では盛土高さ
および 5.0m においてせん断帯が施工基面からのり
に対する盛土内水位の上昇割合が大きいため,少ない降
尻までに至った場合には,せん断帯が発生していな
雨量で Fs = 1.0 に至ると推察される.
い状態の 85%程度の総降雨量で Fs = 1.0 に至る可能
図 6 は,式(5)で定義するせん断帯が発生していない状
性があることを示唆している.
態(Hs = 0)での R1.0 が 100%となる値を Rd とし,それぞ
れの Hs における Rd と Hs の関係を示している.
参考文献
Rd = {1-(R1.0,0- R1.0,n) / R1.0,0} ×100
(5)
1)
松丸貴樹,石塚真記子,舘山勝,小島謙一,渡辺健治,
篠田昌弘:2004 年新潟県中越地震で被災した鉄道盛土の
ここで,R1.0,0:Hs = 0 での R1.0,R1.0,n:それぞれの Hs で
概要と降雨浸透解析,ジオシンセティックス論文集,
の R1.0,である.
Vol.21,pp.187-194,2006.
図 6 から,H = 7.5 および 5.0m において降雨前の地震
2)
石塚真記子,松丸貴樹,渡辺健治,小島謙一,舘山勝,
の規模が大きく,せん断帯が施工基面からのり尻まで至
篠田昌弘:2004 年新潟県中越地震で被災した鉄道盛土の
った場合では,せん断帯が発生していない状態の 85%程
動的応答解析,ジオシンセティックス論文集,Vol.21,
度の総降雨量で Fs = 1.0 に至ることがわかる.
pp.195-202,2006.
3)
4.まとめ
の耐震性低下に関する一考察,
土木学会論文集 C,
Vol.65,
得られた結果を以下にまとめる.
1)
地震動を受けたことでせん断帯部の飽和度が上昇
No.2,pp.401-411,2009.
4)
し,サクションが低下することによって浸透特性が
変化した場合の盛土の安定性評価を試みた.本解析
秦吉弥,一井康二,土田孝,加納誠二:降雨による盛土
Richards, L. A. : Capillary Conduction of Liquids through
Porous Mediums, Physics, 1, pp.318-333, 1931.
5)
van Genuchten, M. T. : A closed-form equation for predicting
手法を用いることで盛土材料の不飽和浸透特性が
the hydraulic conductivity of unsaturated soils, Soil Science
既知の場合には,せん断帯部の飽和度を求めること
Society American Journal, Vol.44, pp.892-898, 1980.
によって,せん断帯部の浸透特性を反映した浸透流
解析が可能となることがわかった.
6)
Maulem, Y. : A new model for predicting the hydraulic
conductivity of unsaturated porous media, Water Resources
程に与える影響に関する一考察,神戸大学都市安全研究
Research, Vol.12, pp.513-522, 1976.
7)
distributions of soil water retention characteristics, Water
8)
10)
例えば,鵜飼恵三:弾塑性 FEM による斜面の全体安全率
Resources Research, Vol. 24, No. 5, pp. 755-769, 1988.
の計算法,土質工学会論文報告集,Vol. 29,No. 2,
岡田勝也,杉山友康,太田直之,布川修,柴田英明:鉄
pp.190-195,1989.
道盛土の法面被覆が降雨崩壊に及ぼす影響,土木学会論
9)
センター研究報告,No.10, pp.1-15,2006.
Carsel, R. F. and Parrish, R. S.: Developing joint probability
11)
Bishop, A. W. and Donald, I. B. : The experimental study of
文集 No.778/III-69,pp.111-124,2004.
effective stress in partly saturated soil in the triaxial apparatus,
沖村孝,鳥居宣之,谷本育水:加振が斜面の降雨浸透過
Proc. 5th ICSMFE, Vol.1, pp.13-21, 1961.
This study aims at clarifying rainfall infiltration behavior of embankment caused by
earthquake-induced change of rainfall infiltration characteristics. In this paper, three study points was
investigated by numerical analysis; 1) a value of suction and coefficient of permeability at the shear
band, 2) height of embankment, 3) length of shear band.
Analysis results showed that; three study points are important for evaluating the rainfall stability of
damaged embankment.