食用カンナ、ヤーコン試食記 市川紀男さん逝く

いられるようですが、現在では余り使用さ
れてはいません。
なお、「原色牧野和漢薬草大図鑑」のサネ
カズラの項に解説されている使用法は、ま
さにジャム。1回5∼10gほどを食べるとな
っています。
一度お試しあれ。
(峰村記)
同時に、薬草栽培グループの畑で収穫で
きたヤーコンも味わっていただきました。
ヤーコンは南米アンデス原産のキク科の
植物で、胃腸や肝臓にいい食品として、い
ろんな健康雑誌に紹介されています。
いつもご夫婦で案内ボランティアにきて
頂き、見学者のみなさんの案内をして頂き
ました。
氏は、春日村の出身でこどもの頃から薬
草に親しんでおられいろいろとお話くださ
いました。聞き及びますにほかにもいろい
ろと自然のものを山で集め、アクセサリー
等の作り方の指導や春日もりもり村の薬草
教室などにも参加されたえず勉強されてい
たようです。
その貢献や地域での活躍を想い、心から
ご冥福をお祈りいたします。
故市川さんの作品
ヤーコン
ビナンカズラの実
していて、芽の出る部分が赤く、握り拳ほ
どの大きさがあります。皮を剥いてみると、
ヌメリのない里芋のようでした。
これを2cm厚さの輪切りにし、水から軟ら
かくなるまで茹で、フロフキ大根のように
甘味噌を添えてみました。
シンプルな調理の方が持ち味がよく分か
りますが、生のまま短冊切りにし、油炒め
で塩・胡椒、または醤油で調味しても美味
しいようです。
休日ボランティアで活躍いただいていた
市川紀男さんが去る4月10日に急逝され
ました。
]
食用カンナ
食用カンナは根(塊根)の部分を食べるの
ですが、それは真ん丸なボール・里芋型を
[食用カンナの塊根]
ビナンカズラのジャム作り
ビナンカズラはご存じですね。薬草園の
北端、桑の木の横にある棚です。初夏から
秋にツヤのある淡黄白色の厚手の花を咲か
せ、晩秋頃に赤熟した果実が美しい。
このビナンカズラの赤く熟した実を採り、
花床周りの液果のみにします。そしてこの
赤い実の周囲のツブツブを水洗いして、シ
ロップまたは半量の砂糖をまぶし、半日置
きます。中火または弱火で10分ほど煮てか
ら裏漉しし、種を除きます。これを再び鍋
に戻し、弱火で煮詰めると出来上がり。種
が入ると苦いです。
このビナンカズラの実は、“南五味子”と
いう生薬名があり、五味子(チョウセンゴミ
シの果実)のように、咳の病や体力増強に用
市川紀男さん逝く
[
薬草園に食用カンナが植えられています。
この食用カンナについて、薬草園におられ
た土屋さんは「戦後、食糧のない時に食べ
たことがある」といっておられました。
以前から「どんな花が咲くのだろう」「ど
んな味がするのだろう」と気になっていて、
会員の皆様にもガイド時の話題にしていた
だければ、と思い、昨年試食会をいたしま
した。
【会員訃報】
故市川紀男さん
食用カンナ、ヤーコン試食記
塊根を食べますが、サツマイモによく似
ていて、ダリアの根のような付き方をして
います。
これも同様に切って湯がいたら、甘味が
あって美味しかったのですが、生のままの
方がシャキシャキした食感や甘味があり、
いいようです。スライスまたは千切りでサ
ラダにどうぞ。
アクが出る場合は、ザルに入れ、サッと
水で流します。このアクはポリフェノール
とのことだそうです。
[
《報告》
[ヤーコンの 花 と 塊 根 ]
]
残暑の候になりました。日中の暑さの中にも秋気配が漂う感じがしますね。いかがお過ご
しでしたか。薬草園も秋ウコンの花が咲きはじめ、オオセンナリも実が茶色になって、吹き
通る風に涼しさが感じられます。
25日の草取り会に参加して頂いた会員諸子に感謝しています。お陰様で高木園周りや通路
のたたずまいがすっきりとして、見学に来られる方への準備が整いました。
これから今年度の開園日後半に入ります。今までの研鑽を生かし、ガイド活動のほどよろ
しくお願いします。
岐阜薬科大学薬草園
田中 俊弘
[
平成16年9月
94号
岐阜薬科大学薬草園
薬 草 を 学 ぶ 会
[食用カンナの実]
]
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先日、クルミの青い実で染めました。
シルクには鮮烈な黄色、クルクミンでも
入っているのでは?と期待をしなかった分、
とても嬉しい色でしたが、少し経つと少し
茶がかかって、落ち着いた黄色です。木綿
では薄く色がついた程度です。
思わなかった嬉しい色に味を占め、その
後の色の変化も知りたくて、10日後に再
挑戦。その時の手袋をはめずに素手でやっ
た、恐ろしい(?)話の発表です。
洗った青いクルミをポリの洗面器に入れ、
少し水を入れました。先が少しギザギザの
グレープフルーツ用スプーンでえぐると、
果肉は細かく割に簡単に取れ、中の固い核
(いわゆるクルミの部分)はまだ未熟の感
じでした。
左手にクルミを持ち右手でスプーンだっ
たのですが、5∼6個剥いた所、左手の平
がしみて痛くなり、水で冷やすと気持ちが
いいけど、10数個したのかな、手がどん
どんしみて、やめるように痛くてとても続
けられません。
眼にも1∼2度入ったなと思った時も、
とても痛い、しみる痛さです。
結局、その晩は保冷剤を当てたのですが、
寝られるものではありません。
朝見ると、手の指のつけ根に、かぶれと
いうよりヤケドのようで、腕には無数の小
さな斑点。洗濯機の上でやったのですが、
床上50∼170位まで無数のシミ、タイ
ルは拭き取れましたが、壁は黒いカビのよ
うなシミがいっぱいです。
えらい目に会いましたが、学んで体験す
る、そして実証する。余り良い見本にはな
りませんでしたが、写真も撮ってもらいま
した。
《コメント》
あちゃー、大変な経験でしたね。クルミ
の未熟果実の汁には、皮膚などへの刺激作
用があって炎症を起こすことがあります。
飲んだりすると腹痛・下痢を起こすことも
あるような。ウルシやハゼなどのように強
力な作用ではないようですが、注意が必要
です。
今出ている薬草の本には、クルミの未熟
果や緑色の枝の汁を水虫などの治療に塗る
ことが紹介されていますが、かぶれること
があることは、その多くには書かれていま
せん。
青い未熟果実の汁が皮膚についた場合に
は、まず充分に水で洗って、念のためステ
ロイドの入った塗り薬をつけます。症状が
良くならない場合には、皮膚科を受診。目
に入った場合には、流水で洗って眼科を受
診して下さい。特に子供さんには注意。
トウダイグサ科、ケシ科、ウルシ科、キ
ンポウゲ科、クワ科、クルミ科、イチョウ
科などの樹液はかぶれることがありますの
で、素手では扱わない方が無難ですよ。細
かい液粒などが飛散することにも注意が必
要です。
おだいじに。………
(北川記)
《活動報告》
子ノ原実習園探訪
7月21日(水)
午前7時、JR岐阜駅西北のパルルプラ
ザ前に集合した23名の学ぶ会メンバーは、
バスに乗り、東海北陸自動車道各務原イン
ターから美並を通り、高山市内を抜け、途
中昼食の弁当をバスの腹に入れ、急な山坂、
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[実習園の記銘看板と管理棟]
道路沿いの山では、葛の花が咲き出して、
皆が田口会員に教えて貰ってその香りをか
ぎ、里中会員は○○の香り(聞き漏らしまし
た)に似ているとの感想に納得し、また松山
会員の葛酒の話、家伝茶に使われた葛の葉
の採集時期など、話が盛り上がった頃、予
定より15分ほど早く先生方の到着。挨拶も
そこそこに、ここで合流した高山在住の中
島会員とともに子ノ原へ。
バスはここまでという道路から小径を歩
き、カヌー湖(別荘開発の折の人造湖)周辺
]
康子
]
(岐阜市)横山
[
[
クルミは恐ろしいけど…
すれ違い困難な道を、田中先生と約束し、
出迎えていただく高根村へとひた走る。
ボランティアガイド10周年を迎えた本年
に公開された一般会員向けへの企画は、学
ぶ会の申し入れに田中教授が快く忙しい日
程をさかれ、とくに本会会員のために色々
な便宜を図っていただいて実現した企画で
す。
険しい山中の細い道、なおかつ車を降り
て歩くという足場の悪さ、小型バスは乗員
最大24名、しかも会員のみに限定という中
での募集は、当初参加表示された会員は意
外にも少なく、ハラハラしました。新人会
員が6名参加されましたが、とてもよいチ
ャンスを選ばれたと思います。
車中での楽しみは青山会員手作りの桃の
シロップ煮、香りも良くとってもおいしく
て、お汁まで飲んじゃいました。
集合場所の道の駅、飛騨高根工房に予定
より1時間ほど早く着いたため、道の駅や
ら近くの山へと動き出す。高根村は唐辛子
が村の産物とかで、それぞれに唐辛子を買
い込む。里中会員は酒に入れるんだとか。
管理棟山荘前にて
クルミの若い実
《体験記》
で昼食をとる。途中の道ではウツボグサ、
ヤマオダマキ、クガイソウ、白花のニガナ
などが咲き、木立の中から聞こえるウグイ
スの声は、さながら4月下旬から5月中旬
の感がして……。茶枯れた葉の前で酒井先
生が「2・3日前に雹(ヒョウ)が降った……」。本
当に八十八夜の別れ霜とはよくいったもの。
おいしい昼食を食べた後、雨がポツポツ。
管理棟山荘にたどり着いた時にはドシャ降
り……。暖かいストーブの火は何よりのご
馳走、身も心も暖まれました。先生方のお
気持ちがそんな所にも現れて、本当にあり
がとうございました。
ところで、本来の子ノ原実習園のことを
話したいのはヤマヤマですが、先生より呉
々も一切口外無用とのキツイお達しのため、
植物名の分かった人もそうでない人も、詳
しいお話はできません。……
しかし、今回学ぶ会会員の一度見たかっ
た色々なことに、先生方が通常の予定を変
えてまで今回の訪問に協力して頂いたこと
はひじょうにありがたく、参加者の方々に
も万障繰り合わせて“思わば願いは叶う”
の諺(?)に
もあるよう
に、良い機
会であった
ということ
はいうまで
もありませ
ん。
(横山記)
[ エゾウコギ(刺五加) ]
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