basepage のモバイルデバイスへの対応について ~情報共有システムの

プログラム紹介 basepage のモバイルデバイスへの対応について
プログラム紹介
basepage のモバイルデバイスへの対応につ
いて
~情報共有システムの方向性と今後の展開~
Information Sharing System “basepage” Adapted for Mobile Device Use
森重 瑛二 *1
Eiji MORISHIGE
四月朔日 勉 *2
Tsutomu WATANUKI
1.はじめに
「basepage」とは,川田テクノシステム㈱が運営する
情報共有システムであり,インターネットを利用して発
注者と受注者が工事情報を共有できる ASP(Application
Service Provider)サービスです。
最近ではタブレット,スマートフォン等のモバイルデ
バイスからインターネットを利用することは常識となっ
ており,basepage においても,モバイルデバイスから
現在の basepage のポータル画面
利用したいというニーズが増えています。そこで,昨年
basepage の一部機能をモバイルデバイスに対応させ,
モバイルデバイス利用時におけるユーザビリティを向上
させました。
(2)コンセプト
basepage のモバイルデバイスへの対応については,
「欲しい情報をどこでも素早く確認」というコンセプト
また,屋外作業であるために,今まで IT 技術を取り
を元に開発を行いました。これによって外出先で情報を
入れにくかった点検・調査作業を効率化するため,モバ
確認し,会社に帰ってから PC で書き込む,といった使
イルデバイスと basepage を組み合わせた「点検(パトロ
い方が可能となります。今回のモバイルデバイスへの対
ール)アイテム」を開発しました。
応ではあえて書き込み機能を排除し,閲覧重視の画面設
これらの取り組みを紹介し,basepage のモバイルデ
バイスへの対応状況を示すとともに,モバイルデバイス
に対する方向性と今後の展開を紹介します。
計を行いました。
(3)ポータル画面
ポータル画面に表示される情報は本日の予定,重要欄,
新着欄の 3 つのカテゴリに分けられ,縦方向のスライド
2.モバイルデバイス対応 basepage
で全ての情報が確認可能です。
(1)従来のユーザインタフェーズ(PC 用)
basepage は PC からの利用を前提として設計されてい
たため,1 画面に表示する情報量が非常に多くなってい
ます。これを画面の小さいモバイルデバイスで利用する
場合,画面の拡大/縮小操作(ピンチイン/ピンチアウト)
が頻発してしまい,利用は可能でしたが決してユーザビ
リティが高いとは言えませんでした。
モバイルデバイス版 basepage ポータル画面
*1 川田テクノシステム㈱ICT ソリューション部 Public コンピューティンググループ
*2 川田テクノシステム㈱ICT ソリューション部 Public コンピューティンググループ 課長
プログラム紹介 3-1
川 田 技 報 Vol.34 2015
プログラム紹介 basepage のモバイルデバイスへの対応について
新着欄には 24 時間以内に更新された情報を表示し,
②点検情報を入力
重要欄に表示されるワークフローは,端末から決裁する
③写真を撮影,もしくは既存の写真を選択
ことが可能です。
④データ送信
各情報は更新順に表示され,いつ,どのチームの,誰
が,何を更新したのかが一目で確認できる画面となって
以上で,添付した写真の位置情報を元にデータが地図
います。また,内容の一部も表示されており一覧性の高
上にマッピングされます。また,②の点検項目はカスタ
い画面となっています。
マイズ可能です。
確認時の操作の流れは,
①.ポータル画面で新着情報を確認
②.パネルをスライドし,全文を表示
③.ボタンをタ ッチし詳細 画 面に遷移し, 添 付画像等
の詳細情報を確認
となります。このように,簡単な操作で詳細情報を閲覧
することが可能です。
3.点検(パトロール)アイテム
(1)点検(パトロール)アイテムとは
一連の維持点検作業のうち,日常の点検やパトロール
の情報収集および資料作成を支援する機能です。モバイ
点検(パトロール)アイテム画面
ルデバイスによる点検では,点検者がモバイルデバイス
を用いてサーバに点検情報を送信することで,点検情報
を収集します。
点検(パトロール)アイテムにアクセスすることでいつ
でも確認でき,
(2)コンセプト
このようにして収集した点検情報は,PC 上でいつで
点検(パトロール)アイテムでは,「点検作業や現地で
も確認できます。また,蓄積したデータを元に帳票
の情報収集を可能な限り簡単化する」ことをコンセプト
(PDF)の作成も可能になっており,点検作業者の入力し
としています。
た情報を元に帳票を作成するので誤りが少なくなります。
現地で写真撮影を行う際,撮影する写真が多いと後の
分類作業が大変手間になります。本機能では,モバイル
他にも音声ファイルを添付する機能もあり,文字入力が
困難な状況においての点検作業で有効です。
デバイスを用いることで写真データに位置情報を付加し,
それにより情報別にグルーピングし,情報収集作業と分
4.まとめ
basepage がモバイルデバイスから利用可能になった
類作業を効率化しています。
(3)モバイルデバイス点検登録機能
ことで,ユーザーは外出先や現場でも簡単に必要な情報
以下に,モバイルデバイスを用いた点検作業の流れを
を得ることができ,これまで以上に円滑な情報交換が可
紹介します。
能になりました。また,屋外作業であるために IT 技術
①現地でモバイルデバイスから点検(パトロール)アイテ
を取り入れにくかった点検(パトロール)作業においても
ムのサイトを開く
情報収集作業の効率化を実現できました。
今回,点検(パトロール)アイテムの企画・開発を通し
て,モバイルデバイスと basepage の組み合わせにより
新たな価値を生み出せることが分かりました。これは,
今後の basepage の方向性を考える上で大きなヒントに
なっています。今後は,単に従来機能をモバイルデバイ
スに対応させるというだけではなく,モバイルデバイス
と basepage を組み合わせることによる新たなソリュー
ションの創造を目指していきたいと考えています。
点検情報登録画面
プログラム紹介 3-2
川 田 技 報 Vol.34 2015