塩酸バンコマイシン点滴静注用0.5gの よくある お問い合わせ

塩酸バンコマイシン点滴静注用0.5gの
よくある お問い合わせ
2015 年 9 月
Q1 塩酸バンコマイシン点滴静注用 0.5g の腎障害の患者に対する投与量の調節方法を教え
てください。
Q2 塩酸バンコマイシン点滴静注用 0.5g の透析患者に対する投与法を教えてください。
Q3 塩酸バンコマイシン点滴静注用 0.5g の血中濃度モニタリングのタイミングを教えてく
ださい。
Q1 塩酸バンコマイシン点滴静注用 0.5g の腎障害の患者に対する投与量の調節方法を教え
てください。
A1 腎障害患者:添付文書の【薬物動態】
「2.腎機能障害患者への投与法」の項には,投与
量調節のためのノモグラム(図 1)の記載がありますので,こちらを利用してください。
[図 1 の使い方]
横軸はクレアチニン・クリアランス(mL/min)を体重で割った値(mL/min/kg)とな
っております。例えば患者条件としてクレアチニン・クリアランスが 40mL/min,体重
が 50kg の患者では,横軸は 40÷50=0.8(mL/min/kg)となります。横軸 0.8 の上に
線を引き,斜めの線にぶつかったら右に線を折り返して縦軸にぶつかる位置を見ると,
12.4(mg/kg/日)になります。従って,この患者条件における 1 日投与量の計算は,12.4
×50=620(mg)となります。
<参考>
クレアチニン・クリアランスは蓄尿により測定しますが,一般臨床では血清クレアチニ
ン値から Cockcroft&Gault 式(※)などを用いて計算した推定クレアチニン・クリアラ
ンスを用いることが多いようです。
※Cockcroft&Gault 式
男性:
(140 - 年齢)× 体重÷(72× 血清クレアチニン値)
女性:0.85 × 男性の値
但し,血清クレアチニン値は低栄養状態,高齢者,長期入院患者等では低値を示すこと
が多く,計算式を用いた腎機能推定値と実測値には乖離が見られることが指摘されて
います。このような患者では,可能であれば実測クレアチニン・クリアランスから投与
量を計算してください。
やむを得ず血清クレアチニン値からクレアチニン・クリアランスを推定する場合は,血
中濃度を実測して投与量を調節すること(TDM)をお奨めいたします。
Q2 塩酸バンコマイシン点滴静注用 0.5g の透析患者に対する投与法を教えてください。
A2 ダイアライザーの種類や各種条件により報告が異なりますが,ハイパフォーマンス膜
(HPM)を用いた間欠的な血液透析施行中の患者においては,日本化学療法学会・日
本 TDM 学会が編集した「抗菌薬 TDM ガイドライン Executive summary」の p.15,
「Ⅲ
-1 バンコマイシン」,「6.特殊病態,小児」の「b.血液透析(HD)」の項を参考とし
ていただくとよいと考えます。
「抗菌薬 TDM ガイドライン Executive summary」は以
下の URL です。
http://www.chemotherapy.or.jp/guideline/tdm_executive-summary.pdf
抗菌薬 TDM ガイドラインでは持続的血液ろ過透析(CHDF),持続的腹膜透析(CAPD)
施行中の患者における投与法も紹介しております。
なお,各種条件により得られる血中濃度が異なる可能性がありますので,血中濃度実測
値を用いた TDM をお奨め致します。
Q3 塩酸バンコマイシン点滴静注用 0.5g の血中濃度モニタリングのタイミングを教えてく
ださい。
A3「抗菌薬 TDM ガイドライン Executive summary」の p.13,
「Ⅲ-1 バンコマイシン」,
「3.
TDM の方法(採血ポイントなど)
」b.に「腎機能正常で 1 日 2 回投与の場合、定常
状態に達していると考えられる 4-5 回投与直前(3 日目)に TDM を行う(B-Ⅱ)
。
」と
記載があります。
但し,バンコマイシンは腎排泄型の薬剤であり,中~高度腎障害患者では半減期が著明
に延長します。
そのため,
同ガイドラインには「腎機能低下時には半減期延長により 3 日
目でも定常状態に達していない症例があり,トラフ値過小評価の危険性を考慮する(C1Ⅲ)
。
」と注意喚起を行っています。
<参考>
1.日本感染症学会・日本化学療法学会編「抗菌薬使用のガイドライン」p8 では,臨床
効果の判定はほぼ 3 日の治療で判断が可能であること,および効果が得られない原因の
一つとして感染病巣に十分な濃度の薬物が移行していない可能性を挙げております。
2.中~高度腎障害患者では 3 日目の血中濃度は定常状態に達していません。定常状態
に達するまでの時間は半減期から予測することが可能であり,半減期の 4 倍で約 94%に
達します。塩酸バンコマイシンの血中濃度半減期はインタビューフォーム「Ⅶ.薬物動
態に関する項目」に各種条件の患者におけるデータがありますので,参考としてくださ
い。